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キョン乃進侍-一章」(2007/01/15 (月) 03:02:16) の最新版変更点

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<div class="main"> <div> さて舞台変わってこちらは風邪で寝込んでいるキョン乃進の長屋、同僚(朋輩:ほうばい)の国木田と谷口が見舞いと称して遊びにきています。<br> </div> <br> <div>谷「キョン乃進、風邪は如何でござるか」<br> キ「まだ本復いたさぬ、一両日ほど伏せっておれば直ると存ずるが」<br> 国「体は大事にしないといけないでござるな」<br> 谷「それにしてもキョン乃進、おぬしが休みだと姫様がご機嫌斜めで我らも大変なのじゃ、おぬしが非番の日などはいつも大騒ぎじゃ」<br> 国「左様でござる、『キョン乃進、キョン乃進』と姫様はおぬしのことばかり」<br> キ「まことでござるか、まぁハルヒ姫様も新参の拙者が一番用を言いつけやすいであろうからな」<br> 谷「……(御同役、キョン乃進は相変わらず鈍いでござるな)」<br> 国「……(如何様左様(いかさまさよう)で、これでは姫様がご機嫌斜めなのも無理からぬことよ)」<br> </div> <br> <div>谷「ところでキョン乃進、おぬし夕餉は」<br> キ「それが伏せっておったので夕餉どころか朝餉もまだなのじゃ」<br> 国「それは一大事、早速にでも我ら両名にて粥などを作って進ぜよう」<br> キ「忝い、持つべきものは良き朋友じゃのぅ」<br> 谷「任せておけ、キョン乃進はゆっくり休め」<br> 国「おや、だれか来たようだの」<br> 谷「どれ拙者が……こっこれは朝比奈殿、本日はいかなる御用向きで、しかしその冥途服なるものがよくお似合いでございますな」<br> 国「なんと姫様よりの御見舞いの御使者でございますか」<br> 谷「これは一大事、ムサイ部屋ではございますが早速お上がりください」<br> </div> <br> <div>朝「それでキョン乃進殿の様子は如何であろうか」<br> 国「隣の寝間にて休んでおります、一両日中には本復するであろうとのことでございます」<br> 朝「これは姫様よりの見舞いの品、南蛮渡来の熱さましの妙薬、婆婦亜燐(バファリン)じゃ」<br> 国「ありがたき幸せにござります、キョン乃進になりかわり御礼申し上げます」<br> </div> <br> <div> 朝「『しかとその目で確かめて参れ』との姫様よりの仰せなのじゃ、襖を開けてたもれ」<br> 谷「その儀は平にご容赦、もしキョン乃進のせいで朝比奈殿が風邪などおめしになられたら、我ら家臣一同の一大事でございます」<br> キ「おい拙者は(風邪のせいか大声が出ないぞ)」<br> 谷「病気のキョン乃進は黙っておるのじゃ」<br> 国「キョン乃進は相長屋(あいながや)の我ら朋輩衆が責任をもって手厚く看護に勤めますれば姫様へは何卒よしなに」<br> 谷「お帰りでございますな、夜道は危のうござる、我ら両名が御殿までお送りいたしましょう」<br> 国「(おい谷口、おぬし褌がゆるんでおるぞ)」<br> 谷「(これはしたり、すぐに締め直さねば)」<br> 国「早くいたせ、愚図愚図いたしておるとおいてゆくぞ」<br> 谷「準備が出来申した、参りましょう朝比奈殿」<br></div> <br> <div> キ「(おいおい拙者の夕餉はどうなる、朋輩衆の手厚い看護はどうなったのじゃ、大体御殿はすぐそこだぞ)」<br> </div> <br> <div> キ「(あいつらいっちまいやがった、一体何が朋友だ、しかし今日もそうなのじゃが非番などでハルヒ姫様にお目通りせぬと<br> どうにも落ち着かぬのぅ、これも忠義のあらわれであろうか……早くまたハルヒ姫様にお目通りしたいものじゃ)」<br> </div> <br> <div> キ「(ハルヒ姫様に初めてお目にかかった時のことを思い出すのぅ、あれはまだハルヒ姫様にお仕えする前で実家におったころじゃったな)」<br> </div> <br> <div> ……父上の代わりに当番で組合の辻番所に詰めておったときじゃったなぁ<br> 胡乱(うろん)な娘がいるとの注進があったので糾しに出向いたのじゃ、そうしたら目の覚めるような美しい娘御がおって……。<br> </div> <br> <div> ハ「只の町人に興味はない、この中に南蛮人、忍者、天狗、隠れ切支丹がいたらわらわの前に出て参れ」<br> キ「……こりゃ娘御、その尋ねたき儀があるによって辻番所まで同道されたい」<br> ハ「おぬし忍びの者かそれとも隠れ切支丹か」<br> キ「そのような胡乱なものではない、拙者はそこの番所の当番の者でござる」<br> ハ「なら用はないが、はて……、おぬしどこかでわらわと会うたことはないか」<br> キ「全く覚えがござらぬ、とにかく番所までご同道願いたい」<br> ハ「以前より番所の中を見たいとおもっておった、良き機会じゃによって同道して遣わす」<br> キ「ありがたき幸せ(適当にあわせておくか、しかし申しておることは奇妙だが身なりや立ち居振る舞いはかなりな良家の子女といった所じゃな)」<br> </div> <br> <div>ハ「これ番所は遠いのか」<br> キ「すぐそこでござる(銀杏返しの髷に挿しておる黄色い飾り櫛一つみても本鼈甲の超高級品だし、南蛮柄の拝美須賀主振袖も並の者では身につけられられぬ逸品じゃ、しかしどちらもよく似合っておるな……<br>  これはひょっとするとちょっと頭の可哀想な、どこぞの姫君が屋敷を抜け出したってところか、何にせよ扱いには注意が必要じゃな)」<br> </div> <br> <div> キ「その……忍びの者や隠れ切支丹などを探しておいでかな」<br> ハ「その通りじゃ、おぬしするどいな、なかなか見つからんのじゃがのぅ」<br> キ「あぁ、探し方が間違っておりませんかな、問いただしてすぐに名乗り出るようでは忍んでいる者でも隠れている者でもありませんからな」<br> ハ「むぅ、おぬしのいう通りじゃ、これは探し方が間違っていたやも知れぬのぅ<br>  それにしてもおぬし気が利くのぅ、ところでその方は今はなにをしておるのじゃ誰かに仕えておるのか」<br> キ「貧乏旗本の三男坊、俗にいう冷や飯食い(ひやめしぐい)でござる」<br> ハ「冷や飯食いか、よくわからぬが面白い言葉じゃの、時にその方わらわに仕えてみぬか」<br> </div> <br> <div> ……おや誰か来た様じゃ国木田あたりが戻ってきてくれたのかのぅ……<br> </div> <br> <br> <ul> <li><font color="#666666">次へ</font></li> </ul> </div> <!-- ad -->
<div class="main"> <div> さて舞台変わってこちらは風邪で寝込んでいるキョン乃進の長屋、同僚(朋輩:ほうばい)の国木田と谷口が見舞いと称して遊びにきています。<br> </div> <br> <div>谷「キョン乃進、風邪は如何でござるか」<br> キ「まだ本復いたさぬ、一両日ほど伏せっておれば直ると存ずるが」<br> 国「体は大事にしないといけないでござるな」<br> 谷「それにしてもキョン乃進、おぬしが休みだと姫様がご機嫌斜めで我らも大変なのじゃ、おぬしが非番の日などはいつも大騒ぎじゃ」<br> 国「左様でござる、『キョン乃進、キョン乃進』と姫様はおぬしのことばかり」<br> キ「まことでござるか、まぁハルヒ姫様も新参の拙者が一番用を言いつけやすいであろうからな」<br> 谷「……(御同役、キョン乃進は相変わらず鈍いでござるな)」<br> 国「……(如何様左様(いかさまさよう)で、これでは姫様がご機嫌斜めなのも無理からぬことよ)」<br> </div> <br> <div>谷「ところでキョン乃進、おぬし夕餉は」<br> キ「それが伏せっておったので夕餉どころか朝餉もまだなのじゃ」<br> 国「それは一大事、早速にでも我ら両名にて粥などを作って進ぜよう」<br> キ「忝い、持つべきものは良き朋友じゃのぅ」<br> 谷「任せておけ、キョン乃進はゆっくり休め」<br> 国「おや、だれか来たようだの」<br> 谷「どれ拙者が……こっこれは朝比奈殿、本日はいかなる御用向きで、しかしその冥途服なるものがよくお似合いでございますな」<br> 国「なんと姫様よりの御見舞いの御使者でございますか」<br> 谷「これは一大事、ムサイ部屋ではございますが早速お上がりください」<br> </div> <br> <div>朝「それでキョン乃進殿の様子は如何であろうか」<br> 国「隣の寝間にて休んでおります、一両日中には本復するであろうとのことでございます」<br> 朝「これは姫様よりの見舞いの品、南蛮渡来の熱さましの妙薬、婆婦亜燐(バファリン)じゃ」<br> 国「ありがたき幸せにござります、キョン乃進になりかわり御礼申し上げます」<br> </div> <br> <div> 朝「『しかとその目で確かめて参れ』との姫様よりの仰せなのじゃ、襖を開けてたもれ」<br> 谷「その儀は平にご容赦、もしキョン乃進のせいで朝比奈殿が風邪などおめしになられたら、我ら家臣一同の一大事でございます」<br> キ「おい拙者は(風邪のせいか大声が出ないぞ)」<br> 谷「病気のキョン乃進は黙っておるのじゃ」<br> 国「キョン乃進は相長屋(あいながや)の我ら朋輩衆が責任をもって手厚く看護に勤めますれば姫様へは何卒よしなに」<br> 谷「お帰りでございますな、夜道は危のうござる、我ら両名が御殿までお送りいたしましょう」<br> 国「(おい谷口、おぬし褌がゆるんでおるぞ)」<br> 谷「(これはしたり、すぐに締め直さねば)」<br> 国「早くいたせ、愚図愚図いたしておるとおいてゆくぞ」<br> 谷「準備が出来申した、参りましょう朝比奈殿」<br></div> <br> <div> キ「(おいおい拙者の夕餉はどうなる、朋輩衆の手厚い看護はどうなったのじゃ、大体御殿はすぐそこだぞ)」<br> </div> <br> <div> キ「(あいつらいっちまいやがった、一体何が朋友だ、しかし今日もそうなのじゃが非番などでハルヒ姫様にお目通りせぬと<br> どうにも落ち着かぬのぅ、これも忠義のあらわれであろうか……早くまたハルヒ姫様にお目通りしたいものじゃ)」<br> </div> <br> <div> キ「(ハルヒ姫様に初めてお目にかかった時のことを思い出すのぅ、あれはまだハルヒ姫様にお仕えする前で実家におったころじゃったな)」<br> </div> <br> <div> ……父上の代わりに当番で組合の辻番所に詰めておったときじゃったなぁ<br> 胡乱(うろん)な娘がいるとの注進があったので糾しに出向いたのじゃ、そうしたら目の覚めるような美しい娘御がおって……。<br> </div> <br> <div> ハ「只の町人に興味はない、この中に南蛮人、忍者、天狗、隠れ切支丹がいたらわらわの前に出て参れ」<br> キ「……こりゃ娘御、その尋ねたき儀があるによって辻番所まで同道されたい」<br> ハ「おぬし忍びの者かそれとも隠れ切支丹か」<br> キ「そのような胡乱なものではない、拙者はそこの番所の当番の者でござる」<br> ハ「なら用はないが、はて……、おぬしどこかでわらわと会うたことはないか」<br> キ「全く覚えがござらぬ、とにかく番所までご同道願いたい」<br> ハ「以前より番所の中を見たいとおもっておった、良き機会じゃによって同道して遣わす」<br> キ「ありがたき幸せ(適当にあわせておくか、しかし申しておることは奇妙だが身なりや立ち居振る舞いはかなりな良家の子女といった所じゃな)」<br> </div> <br> <div>ハ「これ番所は遠いのか」<br> キ「すぐそこでござる(銀杏返しの髷に挿しておる黄色い飾り櫛一つみても本鼈甲の超高級品だし、南蛮柄の拝美須賀主振袖も並の者では身につけられられぬ逸品じゃ、しかしどちらもよく似合っておるな……<br>  これはひょっとするとちょっと頭の可哀想な、どこぞの姫君が屋敷を抜け出したってところか、何にせよ扱いには注意が必要じゃな)」<br> </div> <br> <div> キ「その……忍びの者や隠れ切支丹などを探しておいでかな」<br> ハ「その通りじゃ、おぬしするどいな、なかなか見つからんのじゃがのぅ」<br> キ「あぁ、探し方が間違っておりませんかな、問いただしてすぐに名乗り出るようでは忍んでいる者でも隠れている者でもありませんからな」<br> ハ「むぅ、おぬしのいう通りじゃ、これは探し方が間違っていたやも知れぬのぅ<br>  それにしてもおぬし気が利くのぅ、ところでその方は今はなにをしておるのじゃ誰かに仕えておるのか」<br> キ「貧乏旗本の三男坊、俗にいう冷や飯食い(ひやめしぐい)でござる」<br> ハ「冷や飯食いか、よくわからぬが面白い言葉じゃの、時にその方わらわに仕えてみぬか」<br> </div> <br> <div> ……おや誰か来た様じゃ国木田あたりが戻ってきてくれたのかのぅ……<br> </div> <br> <br> <ul> <li><a href="http://www25.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/1538.html"><font color= "#666666">次へ</font></a></li> </ul> </div> <!-- ad -->

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