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「阪中から見たSOS団員」(2020/09/01 (火) 01:36:51) の最新版変更点
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<div class="main">
<div>ふぁーあ。つかれた。<br>
この世界史の先生、いっつも一気に板書するのよね、黒板一枚分も。<br>
そのあとすぐに話をしだすけど、その頃皆は、ノートをとるので一生懸命。<br>
話を聞けてるのなんて、涼宮さんくらいなのに。<br>
もうちょっと、板書の後に時間をおいたほうが良いと思うのよね。<br>
</div>
<br>
<div>
私は伸びをしながら、ちらっと涼宮さんの方を見やる。<br>
涼宮さんの席は、窓側の一番後ろの席。<br>
その前の席は、えっと、皆、本名で言わないから分からないけど、キョン君ね。<br>
この席は、最初に席替えした時から変わんない、この2人の特等席。<br>
毎回くじ引きで決めてるはずなのに。<br>
偶然って続くものなのね。<br>
チョンチョンと、涼宮さんがキョン君の背中をシャーペンでつついてる。<br>
キョン君は慣れた風な顔つきで、後ろに振り向いてる。<br>
何を話してるのかな?<br>
涼宮さんは、満面の笑みを浮かべてキョン君に話しかけてる。<br>
他の人と話すときは、あんな顔しないのにね。<br>
あ、でも私がSOS団に依頼に行ったときも、こんな笑顔をしてたかも。<br>
</div>
<br>
<div>
皆、涼宮さんとキョン君はお付き合いしてるって噂してるけど。<br>
うーん、やっぱりそうなのかな。<br>
確かに、あの感じは、単なるお友達には見えないけど。<br>
でも、恋人同士って言うと、ちょっと違う感じがするのね。<br>
どうなんだろう。ほんとのところ。<br>
でも、直接聞いてみても、涼宮さんなら、<br></div>
<br>
<div>
「え?そんなわけないじゃない。誰から聞いたのよそんなデマ」<br>
</div>
<br>
<div>…きっと、こんな感じなのね。<br></div>
<br>
<div>……あ、先生の話全然聞いてなかった。<br>
でも、途中から聞いてもよく分かんないし。<br>
それにこの先生の話って分かりづらいし、聞かなくても大丈夫よね。<br>
板書で疲れたし、もうちょっとぼーっとしとこう。<br>
…次の時間は体育かぁ。<br></div>
<br>
<div>
体動かすのは好きだけど、今やってるテニスはちょっと苦手なのね。<br>
何で、涼宮さんはあんなに上手くできるんだろう?<br>
球技大会のバレーの時もそうだったけど、部活入ってる人と比べても、<br>
あんまり見劣りしないってのはすごいと思うのよね。<br>
今も、練習ですごいフラットショット打ってるし。<br>
あの速さの球は、テニス部員でも取るのは難しいんじゃないかな?<br>
</div>
<br>
<div>でも、それなら長門さんもすごいかも。<br>
涼宮さんがものすごい速さで打った球を、平気でボレー出来るんだもん。<br>
あの反射神経はすごいと思うのよね。<br>
それに、ラリーでは絶対にミスしないし。<br>
見た目と違って運動神経もいいのよね、長門さん。<br></div>
<br>
<div>あ、次は私の番なのね。<br>
よーし、今日はこれからダブルスの試合だし。<br>
気合入れなきゃなのね。<br></div>
<br>
<div>えっと、私のペアは…<br>
あ、この人って、隣りのクラスだからよく知らないけど、多分テニス部の人ね。<br>
練習の時も、他の人より明らかに上手かったから。<br>
これなら、かなり勝てるかも。<br>
やっぱり、現役の部員と組むと違うのよね。<br></div>
<br>
<div>「よろしくねー」<br>
「こちらこそ」<br>
「相手のペアしってる?」<br>
「…涼宮さんと、長門さん」<br></div>
<br>
<div>
「ユキ!授業だからって手抜いたらダメよ!SOS団員は、<br>
SOS団での活動中じゃなくても、敗北は許されないんだからね!」<br>
「………」<br></div>
<br>
<div>…えっと。<br>
これは、かなりきびしい試合になりそうなのね。<br></div>
<br>
<div>
「足、引っ張っちゃうかも知れないけど、許してね」<br>
「大丈夫。私がフォローするから」<br>
「…うん。お願いね」<br></div>
<br>
<div>「あら、阪中さんじゃない。あなた達が試合相手?<br>
ふーん…知り合いだからって、手は抜かないわ。覚悟しなさい!」<br>
「うん、よろしくね」<br>
「じゃ、早速やりましょ。表?裏?」<br>
「表」<br></div>
<br>
<div>
涼宮さんが、ラケットを地面に立ててくるくると回す。<br>
からん。表。<br></div>
<br>
<div>「じゃ、こっちサーブね。ユキ!いくわよ!」<br></div>
<br>
<div>そういって、彼女はバックラインまで歩いていく。<br>
レシーブはわたし。<br>
正直、あんまり取れる気がしないのね。<br></div>
<br>
<div>「せいっ!」<br></div>
<br>
<div>スパァン。<br></div>
<br>
<div>うん。<br>
これは、どう考えても無理なのね。<br></div>
<br>
<div>
「あれはしょうがないよ、あんなサーブ素人じゃとれないって」<br>
</div>
<br>
<div>次は彼女のレシーブ。<br>
この人なら、涼宮さんの殺人サーブもとれるのね。<br></div>
<br>
<div>わたしは、真ん中のラインに立った。<br>
長門さんも、私と同じように立って、レシーバーの彼女をじっと見ている。<br>
涼宮さんがサーブ体制に入る。<br>
トスをあげて、<br></div>
<br>
<div>パァン!<br>
パァン!<br>
ぱこん。<br></div>
<br>
<div>
気がつくと、長門さんがネットの前にいて、ボレーを放っていた。<br>
</div>
<br>
<div>「さすがユキ!ナイスボレー!」<br></div>
<br>
<div>
えっと、私には、長門さんがネットの前に瞬間移動したように見えたのね。<br>
それに、サーブの速度もすごかったけど、レシーブの速度も相当だったのね。<br>
あれを表情一つ動かさずにストップボレー出来る長門さんは何者?<br>
</div>
<br>
<div>
このペア、テニス部で3ヶ月ほどしごかれたら、きっと全国制覇できるのね。<br>
</div>
<br>
<div>
「ふっふーん、私とユキが組んだらこんなもんよ!」<br>
「………」<br></div>
<br>
<div>結局、1ポイントも取れなかった。<br>
涼宮さんの殺人サーブ、殺人ショットもひどいけど、<br>
一回も読み負けない長門さんのポーチがそれ以上に反則なのね。<br>
ラリーが2往復以上しないのって、既にテニスじゃないと思う。<br>
</div>
<br>
<div>
「さ、ユキ!この調子で、全員叩きのめして頂点に立つのよ!」<br>
「………」<br></div>
<br>
<div>
コートの隅で私のペアが泣いてるけど、かける言葉が見つからないのね。<br>
</div>
<br>
<div>体育が終わって、お昼休み。<br>
私たちはいつものメンバーと机をくっつけて、お喋りしながらお弁当を食べていると、<br>
</div>
<br>
<div>
「なあキョン。お前、まだ涼宮とつきあってねえのか?」<br>
</div>
<br>
<div>
谷口君の発した一言で、ピタリと私たちの会話が止まる。<br>
他の女の子のグループからも話し声が止んだ。<br>
教室が、わずかに静まり返る。<br>
やっぱり、女の子はこういう噂が大好きなのね。<br>
そういう私も立派な女の子。<br>
キョン君と谷口君と国木田君の話を、聞き漏らさないように意識を集中。<br>
</div>
<br>
<div>
「前も言ったが、俺は涼宮と付き合う予定もなければ、付き合ってもいない」<br>
「何だ。つまらん」<br></div>
<br>
<div>そういって、3人とも弁当を口にかき込む。<br>
私の隣の子が、ちっと舌打ちしたのが聞こえた。<br>
ていうか、クラス中で聞こえた。<br>
そりゃそうなのね。<br>
キョン君にそういう質問をしたら、さっきみたいな回答がくるのは分かってるもの。<br>
もっと突っ込んだ質問をして、キョン君の反応を見ないとだめなのに。<br>
谷口君、使えないのね。<br></div>
<br>
<div>
「でもさ、もうすぐ僕たちも進級して2年生になるわけだし。<br>
そうなると次も涼宮さんと同じクラスになるとは限らないよ?」<br>
</div>
<br>
<div>
ナイス国木田君。私たちはそういう質問を待ってたのね。<br>
</div>
<br>
<div>「そうそう、俺もそれが言いたかったんだよ」<br></div>
<br>
<div>黙れ谷口、と私の向かいの子が低く呟く。<br>
キョン君は、ごっくんと口の中のお弁当を飲み下して、<br>
むう、と少し腕組みをして考える素振り。<br></div>
<br>
<div>
「確かにそうなんだけどな。俺は、ハルヒとはまた同じクラスになる気がしてならんのだ」<br>
</div>
<br>
<div>左隣の子が、きゃあ、と小さな悲鳴を上げる。<br>
私も声を上げたい気分。<br>
だって、これはどう聞いても、ラブラブのバカップルの言葉にしか聞こえないのね。<br>
</div>
<br>
<div>「なんだそりゃ。何の根拠もないのか」<br>
「うーん、でも実際、涼宮さんとキョンって、席替えで毎回同じ席をキープしてるんだよね。<br>
それ考えると、確かに、次も同じクラスになるような気がするよね」<br>
「ん?でも、この学校って、2年から進路でクラス分けするだろ。お前、涼宮と進路同じなのか?」<br>
</div>
<br>
<div>
「ああ。俺もあいつも、国公立志望だ。お前達と同じだな」<br>
「そうか。確かにあいつなら国公立だろうとなんだろうと、どこでも受かりそうだな」<br>
「でも、キョンは大丈夫なの?成績そんなによくないでしょ」<br>
「まあな。しかし、いざとなったらハルヒが家庭教師してくれるらしいし、なんとかなるだろ。<br>
あいつ、頭もだけじゃなく教え方も上手いからな。」<br></div>
<br>
<div>「きゃー」<br>
あ、声漏れちゃった。<br>
でも、さすがにこの発言は驚きよね。<br>
これってつまり、涼宮さんがキョン君と同じクラスになるため、<br>
更には、同じ大学に行くために、キョン君に勉強を教えるってことよね。<br>
で、キョン君は涼宮さんと同じクラスになるため、<br>
更には、同じ大学に行くために、勉強を頑張るってことよね。<br>
少女漫画みたいな展開じゃない。<br></div>
<br>
<div>うん。<br>
やっぱり、涼宮さんってキョン君って、お互い相思相愛よね。<br>
</div>
</div>
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<div class="main">
<div>ふぁーあ。つかれた。<br />
この世界史の先生、いっつも一気に板書するのよね、黒板一枚分も。<br />
そのあとすぐに話をしだすけど、その頃皆は、ノートをとるので一生懸命。<br />
話を聞けてるのなんて、涼宮さんくらいなのに。<br />
もうちょっと、板書の後に時間をおいたほうが良いと思うのよね。</div>
<div>私は伸びをしながら、ちらっと涼宮さんの方を見やる。<br />
涼宮さんの席は、窓側の一番後ろの席。<br />
その前の席は、えっと、皆、本名で言わないから分からないけど、キョン君ね。<br />
この席は、最初に席替えした時から変わんない、この2人の特等席。<br />
毎回くじ引きで決めてるはずなのに。<br />
偶然って続くものなのね。<br />
チョンチョンと、涼宮さんがキョン君の背中をシャーペンでつついてる。<br />
キョン君は慣れた風な顔つきで、後ろに振り向いてる。<br />
何を話してるのかな?<br />
涼宮さんは、満面の笑みを浮かべてキョン君に話しかけてる。<br />
他の人と話すときは、あんな顔しないのにね。<br />
あ、でも私がSOS団に依頼に行ったときも、こんな笑顔をしてたかも。</div>
<div>皆、涼宮さんとキョン君はお付き合いしてるって噂してるけど。<br />
うーん、やっぱりそうなのかな。<br />
確かに、あの感じは、単なるお友達には見えないけど。<br />
でも、恋人同士って言うと、ちょっと違う感じがするのね。<br />
どうなんだろう。ほんとのところ。<br />
でも、直接聞いてみても、涼宮さんなら、</div>
<div>「え?そんなわけないじゃない。誰から聞いたのよそんなデマ」</div>
<div>…きっと、こんな感じなのね。</div>
<div>……あ、先生の話全然聞いてなかった。<br />
でも、途中から聞いてもよく分かんないし。<br />
それにこの先生の話って分かりづらいし、聞かなくても大丈夫よね。<br />
板書で疲れたし、もうちょっとぼーっとしとこう。<br />
…次の時間は体育かぁ。</div>
<div>体動かすのは好きだけど、今やってるテニスはちょっと苦手なのね。<br />
何で、涼宮さんはあんなに上手くできるんだろう?<br />
球技大会のバレーの時もそうだったけど、部活入ってる人と比べても、<br />
あんまり見劣りしないってのはすごいと思うのよね。<br />
今も、練習ですごいフラットショット打ってるし。<br />
あの速さの球は、テニス部員でも取るのは難しいんじゃないかな?</div>
<div>でも、それなら長門さんもすごいかも。<br />
涼宮さんがものすごい速さで打った球を、平気でボレー出来るんだもん。<br />
あの反射神経はすごいと思うのよね。<br />
それに、ラリーでは絶対にミスしないし。<br />
見た目と違って運動神経もいいのよね、長門さん。</div>
<div>あ、次は私の番なのね。<br />
よーし、今日はこれからダブルスの試合だし。<br />
気合入れなきゃなのね。</div>
<div>えっと、私のペアは…<br />
あ、この人って、隣りのクラスだからよく知らないけど、多分テニス部の人ね。<br />
練習の時も、他の人より明らかに上手かったから。<br />
これなら、かなり勝てるかも。<br />
やっぱり、現役の部員と組むと違うのよね。</div>
<div>「よろしくねー」<br />
「こちらこそ」<br />
「相手のペアしってる?」<br />
「…涼宮さんと、長門さん」</div>
<div>「ユキ!授業だからって手抜いたらダメよ!SOS団員は、<br />
SOS団での活動中じゃなくても、敗北は許されないんだからね!」<br />
「………」</div>
<div>…えっと。<br />
これは、かなりきびしい試合になりそうなのね。</div>
<div>「足、引っ張っちゃうかも知れないけど、許してね」<br />
「大丈夫。私がフォローするから」<br />
「…うん。お願いね」</div>
<div>「あら、阪中さんじゃない。あなた達が試合相手?<br />
ふーん…知り合いだからって、手は抜かないわ。覚悟しなさい!」<br />
「うん、よろしくね」<br />
「じゃ、早速やりましょ。表?裏?」<br />
「表」</div>
<div>涼宮さんが、ラケットを地面に立ててくるくると回す。<br />
からん。表。</div>
<div>「じゃ、こっちサーブね。ユキ!いくわよ!」</div>
<div>そういって、彼女はバックラインまで歩いていく。<br />
レシーブはわたし。<br />
正直、あんまり取れる気がしないのね。</div>
<div>「せいっ!」</div>
<div>スパァン。</div>
<div>うん。<br />
これは、どう考えても無理なのね。</div>
<div>「あれはしょうがないよ、あんなサーブ素人じゃとれないって」</div>
<div>次は彼女のレシーブ。<br />
この人なら、涼宮さんの殺人サーブもとれるのね。</div>
<div>わたしは、真ん中のラインに立った。<br />
長門さんも、私と同じように立って、レシーバーの彼女をじっと見ている。<br />
涼宮さんがサーブ体制に入る。<br />
トスをあげて、</div>
<div>パァン!<br />
パァン!<br />
ぱこん。</div>
<div>気がつくと、長門さんがネットの前にいて、ボレーを放っていた。</div>
<div>「さすがユキ!ナイスボレー!」</div>
<div>えっと、私には、長門さんがネットの前に瞬間移動したように見えたのね。<br />
それに、サーブの速度もすごかったけど、レシーブの速度も相当だったのね。<br />
あれを表情一つ動かさずにストップボレー出来る長門さんは何者?</div>
<div>このペア、テニス部で3ヶ月ほどしごかれたら、きっと全国制覇できるのね。</div>
<div>「ふっふーん、私とユキが組んだらこんなもんよ!」<br />
「………」</div>
<div>結局、1ポイントも取れなかった。<br />
涼宮さんの殺人サーブ、殺人ショットもひどいけど、<br />
一回も読み負けない長門さんのポーチがそれ以上に反則なのね。<br />
ラリーが2往復以上しないのって、既にテニスじゃないと思う。</div>
<div>「さ、ユキ!この調子で、全員叩きのめして頂点に立つのよ!」<br />
「………」</div>
<div>コートの隅で私のペアが泣いてるけど、かける言葉が見つからないのね。</div>
<div>体育が終わって、お昼休み。<br />
私たちはいつものメンバーと机をくっつけて、お喋りしながらお弁当を食べていると、</div>
<div>「なあキョン。お前、まだ涼宮とつきあってねえのか?」</div>
<div>谷口君の発した一言で、ピタリと私たちの会話が止まる。<br />
他の女の子のグループからも話し声が止んだ。<br />
教室が、わずかに静まり返る。<br />
やっぱり、女の子はこういう噂が大好きなのね。<br />
そういう私も立派な女の子。<br />
キョン君と谷口君と国木田君の話を、聞き漏らさないように意識を集中。</div>
<div>「前も言ったが、俺は涼宮と付き合う予定もなければ、付き合ってもいない」<br />
「何だ。つまらん」</div>
<div>そういって、3人とも弁当を口にかき込む。<br />
私の隣の子が、ちっと舌打ちしたのが聞こえた。<br />
ていうか、クラス中で聞こえた。<br />
そりゃそうなのね。<br />
キョン君にそういう質問をしたら、さっきみたいな回答がくるのは分かってるもの。<br />
もっと突っ込んだ質問をして、キョン君の反応を見ないとだめなのに。<br />
谷口君、使えないのね。</div>
<div>「でもさ、もうすぐ僕たちも進級して2年生になるわけだし。<br />
そうなると次も涼宮さんと同じクラスになるとは限らないよ?」</div>
<div>ナイス国木田君。私たちはそういう質問を待ってたのね。</div>
<div>「そうそう、俺もそれが言いたかったんだよ」</div>
<div>黙れ谷口、と私の向かいの子が低く呟く。<br />
キョン君は、ごっくんと口の中のお弁当を飲み下して、<br />
むう、と少し腕組みをして考える素振り。</div>
<div>「確かにそうなんだけどな。俺は、ハルヒとはまた同じクラスになる気がしてならんのだ」</div>
<div>左隣の子が、きゃあ、と小さな悲鳴を上げる。<br />
私も声を上げたい気分。<br />
だって、これはどう聞いても、ラブラブのバカップルの言葉にしか聞こえないのね。</div>
<div>「なんだそりゃ。何の根拠もないのか」<br />
「うーん、でも実際、涼宮さんとキョンって、席替えで毎回同じ席をキープしてるんだよね。<br />
それ考えると、確かに、次も同じクラスになるような気がするよね」<br />
「ん?でも、この学校って、2年から進路でクラス分けするだろ。お前、涼宮と進路同じなのか?」</div>
<div>「ああ。俺もあいつも、国公立志望だ。お前達と同じだな」<br />
「そうか。確かにあいつなら国公立だろうとなんだろうと、どこでも受かりそうだな」<br />
「でも、キョンは大丈夫なの?成績そんなによくないでしょ」<br />
「まあな。しかし、いざとなったらハルヒが家庭教師してくれるらしいし、なんとかなるだろ。<br />
あいつ、頭もだけじゃなく教え方も上手いからな。」</div>
<div>「きゃー」<br />
あ、声漏れちゃった。<br />
でも、さすがにこの発言は驚きよね。<br />
これってつまり、涼宮さんがキョン君と同じクラスになるため、<br />
更には、同じ大学に行くために、キョン君に勉強を教えるってことよね。<br />
で、キョン君は涼宮さんと同じクラスになるため、<br />
更には、同じ大学に行くために、勉強を頑張るってことよね。<br />
少女漫画みたいな展開じゃない。</div>
<div>うん。<br />
やっぱり、涼宮さんってキョン君って、お互い相思相愛よね。</div>
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