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不眠症候群」(2020/06/15 (月) 09:05:42) の最新版変更点

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<div class="main"> <div> こないだ涼宮さんが彼に告白して彼はそれをあっさりOKし、二人は付き合い始めた<br> 彼らが付き合いだして僕は正直嬉しかった。<br> 二人の関係は見ていてもどかしかったし、涼宮さんの恋が上手くいけば<br> 閉鎖空間が発生しなくなるかもしれないと思っていたからだ。<br> けれどそんな考えは甘かった。<br> 彼等はしょっちゅう喧嘩をするのだ。そうするともちろん閉鎖空間が発生する。<br> そのため僕はここ一週間ほどまともに寝ていない。<br> しかし授業中寝るわけにもいかないし、部活をサボるわけにもいかない。<br> なんでって?機関がそう指示してくるからだ。<br> そんなわけで僕は重い身体を無理矢理動かして部室に来ている。<br> いい加減だるい。早く帰って眠りにつきたい。<br> そう思いながら扉を開けた瞬間涼宮さんの怒鳴り声が聞こえた。<br> 「そんなにみくるちゃんがいいならみくるちゃんと<br> 付き合えばいいじゃないの!このバカキョン!!」<br> 「俺は朝比奈さんにちょっかい出し過ぎるのは良くないって言っただけだろ!?」<br> 朝比奈さんは涙目でオロオロしているだけだし、長門さんはいつもどおりだ。<br> あぁ…またか。これで今日の僕の睡眠時間は無くなった。<br> 溜息をつきながらパイプ椅子に座る。…寝不足のせいで頭痛がする。<br> 最初は微笑ましいと思って見ていた二人の喧嘩は今では笑いごとではない。<br> このままじゃ僕は寝不足で死んでしまう。<br> とにかく二人をなだめなくては。少しでも状況を悪化させない為にも。<br> 「二人共落ち着いて下さい」<br> 僕が少し大きめな声で話し掛けると最高に不機嫌な顔で二人とも振り返った<br> 振り返ったと同時に涼宮さんが叫んだ<br></div> <br> <br> <div> 「彼女の前で他の女に優しくするなんて最低だと思わない!?古泉君!」<br> 「さっきのは明らかにお前が悪いぞ!!」<br> …め、眩暈がしてきた。<br> お前らこないだも同じ様な理由で喧嘩してなかったか?<br> その言葉を飲み込み僕はなだめるように言った。<br> 「誰にでも優しいのは彼のいい所ですよ<br> 涼宮さんだって彼のそんな所が好きなんじゃないんですか?」<br> 「そうだけど…でもさっきのは気に食わないの!!!」<br> 「お前はすぐにそうやって言うけど、俺だって色々我慢してることがあるんだぞ!!」<br> ・・・・・逆効果かよ。<br> 「私の何が不満だって言うのよ!?」<br> 「そうやってすぐ怒りながら文句言ってくるところだよ!!」<br> ・・・・苛々してきた。やっぱり寝不足は身体に良くない。<br> 「あんたが私をイライラさせるのが悪いんでしょ!!!」<br> 「お前は我慢が出来なさすぎるんだ!!」<br> 喧嘩する度に毎回同じこと言ってるんだよお前等。お陰でこっちは寝不足だ<br> 「なによ。私のことそんなに不満なの!!?だったら今すぐ別れ…<br> 「いい加減にして下さい!!!!」<br> 涼宮さんの発言をかき消すように叫んだのが自分だと気付くのに少し時間がかかった。<br> </div> <br> <div>気付いた時には遅かった。<br> 部室にいる全員こっちを見ている。ヤバイ。<br> 僕は普段怒鳴るような性格じゃないから皆驚いたのだろう。<br> 特に涼宮さんと彼は目を丸くして驚いている。<br> き、気まずい。<br> どうにかしなくてはいけないと分かっていても今の僕には無理だ。<br> 眠くて頭が回らない。<br> とにかく僕は<br> 「…か、関係ないのに口を挟んだりしてすいません。<br> 最近少しストレスが溜まっていたみたいで・・・・。<br> 外の空気吸ってきます」<br> そう言って立ち上がりその場から逃走した<br></div> <br> <div> 部室から出てきたあと、僕は中庭の木の下に腰をおろしていた。<br> いくら苛々してたからと言って怒鳴ったのは不味かったな・・・・。<br> 部室に戻った時の言い訳を考えなくては。<br> 僕は眠りたがってる脳を叩き起こして言い訳を考え始める。<br> 駄目だ・・・・上手く頭がまわってくれない。<br> 「何悩んだ顔してるんだいっ!?古泉君!」<br> 見なくても声と喋り方とテンションで誰かはわかるが僕は声の主のほうを振り向いた<br> 「こんにちは。鶴屋さん」<br> 無理矢理笑顔を作って挨拶をする。<br> そうすると彼女は僕の隣に座った<br> 「そんな顔してるとカッコイイ顔が台無しになっちゃうにょろよ?」<br> 「別にそこまで格好良くないですよ」<br> 僕は苦笑しながら答えた。彼女の正直な発言はたまに僕を困らせる。<br> 「そんなことないさ!それより何をそんなに悩んでるんだい?<br> 良かったらお姉さんに相談してみないかいっ?」<br> そう言って彼女は僕の目をまっすぐ見てきた。ちょっと照れる。<br> 「…大丈夫ですよ。心配して下さって有難うございます」<br> 「そんなに無理して笑わなくていいと思うよ?」<br> 彼女の言葉に僕は目を見開いた。<br> なんで分かった?僕はいつもどおりだったはずだ。<br> 「古泉君は一人でなんでもやろうとするよね?」<br> 「そ、そんなことないですよ」<br> ヤバイ。動揺してるのがばれる。<br> 「そういう所古泉君のいい所でもあるし悪い所でもあると思うんだ」<br> 気にせず彼女は続ける。というか口調が真剣になっていていつもとは違う。<br> 「もっと周りを頼りなよ?<br> あ、でも古泉君は普段人に頼られる側だから頼るのは苦手?<br> それとも周りが頼りない?SOS団のメンバーもほんとんど同級生だし。<br> 唯一の先輩はみくるだしね。」<br> 半分当たっている。<br></div> <br> <div>「…私も頼りない?」<br> またまっすぐ僕を見てきた。<br> なんて答えるべきか…普段の彼女は全然頼れそうにないが<br> 今の彼女は少しくらい頼ってもいいような雰囲気がある。<br> しかし本当のことを言うわけにはいかない。<br> 一応彼女の前では普通の高校生を演じているのだから。<br> そう思って僕は口を動かした<br> 「最近、ちゃんと寝る機会がなくて苛々してるだけです」<br> 「それは悩みがあるから?」<br> 「…心配してくれるのは嬉しいのですが、事情を話すわけにはいかないんですよ」<br> 「…そっか……やっぱり・・」<br> 「どうかしました?」<br> やっぱりって何がやっぱりなんだ?<br> 「あ、いや、なんでもないさ」<br> 慌てて彼女は喋った。・・・・もしかして全部知ってるのか?<br> </div> <br> <div> 僕は疑問に思った。彼女が閉鎖空間のことを知っているとは思えない。<br> 僕は不審な思いで彼女を見つめていた。<br> 「そーだっ!さっき寝る機会がないって言ってたね?」<br> 「…はい」<br> 「私が寝る機会を作ってあげるさ!」<br> そう言って彼女は正座をして自分の膝を叩いた。<br> 「さ、どうぞ」<br> 「・・・・・はい?」<br> 「遠慮しなくていいよ」<br> こ、これはどうみても膝枕というやつだ<br> 「早くするにょろー!」<br> 彼女が僕の腕を引っ張って寝るように急かしたので<br> 仕方なく僕は鶴屋さんの膝に失礼することにした<br> 「暗くなってきたらちゃんと起こしてあげるからめがっさ安心していいよ!」<br> 「・・・・は、はい」<br> この状況はとてつもなく恥ずかしい。<br> 顔が赤くなりそうで困る。とにかく僕は目をつぶった。<br> 僕が心の中で少し混乱していると彼女は不意にしゃべりだした<br> 「古泉君の悩みってハルにゃんとキョンくんのことじゃないかい?」<br> ・・・・どうやら彼女は僕を困らせるのが好きらしい<br></div> <br> <div> 「元気なくなり始めたのあの二人が付き合い出してからだよね」<br> 口調がだんだん真剣になっていく<br> 「なんかだんだん苛々してきたっていうかそんな感じだったし…」<br> 間違いない。彼女は閉鎖空間のことを知ってる。僕のことも。下手したら機関のことも。<br> どう対処するべきなのだろうか?<br> 彼女の話を全部聞き終わったら無理矢理でも機関に連行しよう。<br> 僕はそう決めて彼女の話の続きを目をつぶったまま聞いた。<br> 「それで私思ったんだよ・…。古泉君ハルにゃんのこと好きだったんじゃないかって」<br> は?今変なこと言わなかったか?<br> 僕は驚いて目を開いた<br> 「・・・・もしかして当たったかい?」<br> 何故か彼女は不安そうに聞いてくる。とにかく僕はすぐに否定した。<br> 「それは誤解ですよ。僕が涼宮さんを好きになるなんて絶対ありえません」<br> 「ほ、本当に?」<br> 「本当ですよ。・・・・どうかしました?」<br> 確認するように聞いてくる彼女に対して僕は疑問を口にした。<br> 「な、なんでもないにょろ!!とにかく早く寝な?ね?」<br> そう言って彼女は僕の目を手で覆った。<br> ・・・・仕方ない。聞きたいことがあるけれどここは大人しく眠っておこう。<br> そう思って僕は目を閉じて意識をとばすことに集中した。<br> </div> <br> <div>どれくらい時間が経っただろう?<br> 僕はぼんやりと目が覚めてきた。<br> ・・・・・?誰か何か喋ってるみたいだ…。僕は目をつぶったままその声聞いた。<br> 「起きてる時になんて言えないけど…」<br> 今ここで寝ているのは僕だけだから、この言葉は僕に対して言っているみたいだ<br> 「私、古泉君がめがっさ好きだよ」<br> その後何か柔らかい物が僕の唇に触れた。それが何か分からないほど僕は馬鹿じゃない<br> その行為のせいで僕の眠気は一気になくなる。寝たふりしているのが苦しい。<br> 鶴屋さんに聞こえるかもしれないぐらい心臓がバクバクしている。<br> 「さて、そろそろ起こすとしますかっ!」<br> と彼女は言い僕の頬を軽く叩いた<br> 僕は出来るだけ自然に目を開けて起きたふりをした。<br> ゆっくりと彼女に膝から体を起こす。<br> こんな状況でこれだけの演技をできる自分を褒めてあげたい。<br> 「おはよー。よく眠れたかい!?」<br> 辺りを見渡すとわりと薄暗くなっている<br> 「え、えぇ…お陰様で」<br> 「なら、よかった」<br> そう言って彼女はいつものように微笑んだ。<br> ……鶴屋さんってこんな可愛い人だっただろうか?<br> さっきの出来事で僕は随分彼女を意識してしまっている。<br> 僕は無意識に彼女の唇に見てしまった。<br> 自分の顔が赤くなっていくことに気付く。ヤバイ。<br> 「あ、ありがとうございました。皆さんを待たせてるかもしれないので<br> これで失礼させて頂きますね」<br> 僕は早口でそう言うと立ち上がって部室へ走った。<br> 後ろで鶴屋さんが「また、明日ねー」と叫んだ。<br> 今が薄暗くて本当に良かった。<br> そうじゃないと僕が今耳まで真っ赤になっていることが<br> 確実に彼女にばれてしまっていた。<br></div> <br> <div>僕は部室に戻っている最中に自分を落ち着かせた。<br> そうか。<br> これで全ての辻褄が合う。<br> 彼女は僕が涼宮さんのことを好きだと勘違いしていたからあんなこと言っていたのだ。<br> ・・・・・それにしてもあんな大胆な行動にでるか?普通。<br> あそこは外だった。誰かに見られていた可能性もある。<br> そう思うとまた自分の心拍数があがる。<br> 僕は部室の前で立ち止まり、何回か深呼吸した後部室の扉を開いた。<br> </div> <br> <div> 僕が部室に入ると、涼宮さんと彼はすぐに謝ってきた<br> 「すまん…」<br> 「ごめんなさい」<br> …この二人の様子を見るとどうやら仲直りしたようだ。僕が怒鳴ったのが効いたのか?<br> 「いえ、僕のほうこそすみません。仲直りしていただければそれで充分ですよ」<br> 涼宮さんは何か言いたげな顔をしていたが僕は<br> もう大丈夫ですからと言って彼女を黙らせた。<br> これで閉鎖空間が発生することはないだろう。<br> 寝不足の苛々や閉鎖空間や涼宮さんと彼の喧嘩など<br> さっきの起こったことに比べればとても小さいことだ。<br> ここ数週間の悩みは解決したが、きっと僕は今日の夜も眠れない。<br> </div> <br> <div>終わり<br></div> </div> <!-- ad -->
<div class="main"> <div>こないだ涼宮さんが彼に告白して彼はそれをあっさりOKし、二人は付き合い始めた<br /> 彼らが付き合いだして僕は正直嬉しかった。<br /> 二人の関係は見ていてもどかしかったし、涼宮さんの恋が上手くいけば<br /> 閉鎖空間が発生しなくなるかもしれないと思っていたからだ。<br /> けれどそんな考えは甘かった。<br /> 彼等はしょっちゅう喧嘩をするのだ。そうするともちろん閉鎖空間が発生する。<br /> そのため僕はここ一週間ほどまともに寝ていない。<br /> しかし授業中寝るわけにもいかないし、部活をサボるわけにもいかない。<br /> なんでって?機関がそう指示してくるからだ。<br /> そんなわけで僕は重い身体を無理矢理動かして部室に来ている。<br /> いい加減だるい。早く帰って眠りにつきたい。<br /> そう思いながら扉を開けた瞬間涼宮さんの怒鳴り声が聞こえた。<br /> 「そんなにみくるちゃんがいいならみくるちゃんと<br /> 付き合えばいいじゃないの!このバカキョン!!」<br /> 「俺は朝比奈さんにちょっかい出し過ぎるのは良くないって言っただけだろ!?」<br /> 朝比奈さんは涙目でオロオロしているだけだし、長門さんはいつもどおりだ。<br /> あぁ…またか。これで今日の僕の睡眠時間は無くなった。<br /> 溜息をつきながらパイプ椅子に座る。…寝不足のせいで頭痛がする。<br /> 最初は微笑ましいと思って見ていた二人の喧嘩は今では笑いごとではない。<br /> このままじゃ僕は寝不足で死んでしまう。<br /> とにかく二人をなだめなくては。少しでも状況を悪化させない為にも。<br /> 「二人共落ち着いて下さい」<br /> 僕が少し大きめな声で話し掛けると最高に不機嫌な顔で二人とも振り返った<br /> 振り返ったと同時に涼宮さんが叫んだ<br /></div> <br /> <br /> <div>「彼女の前で他の女に優しくするなんて最低だと思わない!?古泉君!」<br /> 「さっきのは明らかにお前が悪いぞ!!」<br /> …め、眩暈がしてきた。<br /> お前らこないだも同じ様な理由で喧嘩してなかったか?<br /> その言葉を飲み込み僕はなだめるように言った。<br /> 「誰にでも優しいのは彼のいい所ですよ<br /> 涼宮さんだって彼のそんな所が好きなんじゃないんですか?」<br /> 「そうだけど…でもさっきのは気に食わないの!!!」<br /> 「お前はすぐにそうやって言うけど、俺だって色々我慢してることがあるんだぞ!!」<br /> ・・・・・逆効果かよ。<br /> 「私の何が不満だって言うのよ!?」<br /> 「そうやってすぐ怒りながら文句言ってくるところだよ!!」<br /> ・・・・苛々してきた。やっぱり寝不足は身体に良くない。<br /> 「あんたが私をイライラさせるのが悪いんでしょ!!!」<br /> 「お前は我慢が出来なさすぎるんだ!!」<br /> 喧嘩する度に毎回同じこと言ってるんだよお前等。お陰でこっちは寝不足だ<br /> 「なによ。私のことそんなに不満なの!!?だったら今すぐ別れ…<br /> 「いい加減にして下さい!!!!」<br /> 涼宮さんの発言をかき消すように叫んだのが自分だと気付くのに少し時間がかかった。<br /></div> <br /> <div>気付いた時には遅かった。<br /> 部室にいる全員こっちを見ている。ヤバイ。<br /> 僕は普段怒鳴るような性格じゃないから皆驚いたのだろう。<br /> 特に涼宮さんと彼は目を丸くして驚いている。<br /> き、気まずい。<br /> どうにかしなくてはいけないと分かっていても今の僕には無理だ。<br /> 眠くて頭が回らない。<br /> とにかく僕は<br /> 「…か、関係ないのに口を挟んだりしてすいません。<br /> 最近少しストレスが溜まっていたみたいで・・・・。<br /> 外の空気吸ってきます」<br /> そう言って立ち上がりその場から逃走した<br /></div> <br /> <div>部室から出てきたあと、僕は中庭の木の下に腰をおろしていた。<br /> いくら苛々してたからと言って怒鳴ったのは不味かったな・・・・。<br /> 部室に戻った時の言い訳を考えなくては。<br /> 僕は眠りたがってる脳を叩き起こして言い訳を考え始める。<br /> 駄目だ・・・・上手く頭がまわってくれない。<br /> 「何悩んだ顔してるんだいっ!?古泉君!」<br /> 見なくても声と喋り方とテンションで誰かはわかるが僕は声の主のほうを振り向いた<br /> 「こんにちは。鶴屋さん」<br /> 無理矢理笑顔を作って挨拶をする。<br /> そうすると彼女は僕の隣に座った<br /> 「そんな顔してるとカッコイイ顔が台無しになっちゃうにょろよ?」<br /> 「別にそこまで格好良くないですよ」<br /> 僕は苦笑しながら答えた。彼女の正直な発言はたまに僕を困らせる。<br /> 「そんなことないさ!それより何をそんなに悩んでるんだい?<br /> 良かったらお姉さんに相談してみないかいっ?」<br /> そう言って彼女は僕の目をまっすぐ見てきた。ちょっと照れる。<br /> 「…大丈夫ですよ。心配して下さって有難うございます」<br /> 「そんなに無理して笑わなくていいと思うよ?」<br /> 彼女の言葉に僕は目を見開いた。<br /> なんで分かった?僕はいつもどおりだったはずだ。<br /> 「古泉君は一人でなんでもやろうとするよね?」<br /> 「そ、そんなことないですよ」<br /> ヤバイ。動揺してるのがばれる。<br /> 「そういう所古泉君のいい所でもあるし悪い所でもあると思うんだ」<br /> 気にせず彼女は続ける。というか口調が真剣になっていていつもとは違う。<br /> 「もっと周りを頼りなよ?<br /> あ、でも古泉君は普段人に頼られる側だから頼るのは苦手?<br /> それとも周りが頼りない?SOS団のメンバーもほんとんど同級生だし。<br /> 唯一の先輩はみくるだしね。」<br /> 半分当たっている。<br /></div> <br /> <div>「…私も頼りない?」<br /> またまっすぐ僕を見てきた。<br /> なんて答えるべきか…普段の彼女は全然頼れそうにないが<br /> 今の彼女は少しくらい頼ってもいいような雰囲気がある。<br /> しかし本当のことを言うわけにはいかない。<br /> 一応彼女の前では普通の高校生を演じているのだから。<br /> そう思って僕は口を動かした<br /> 「最近、ちゃんと寝る機会がなくて苛々してるだけです」<br /> 「それは悩みがあるから?」<br /> 「…心配してくれるのは嬉しいのですが、事情を話すわけにはいかないんですよ」<br /> 「…そっか……やっぱり・・」<br /> 「どうかしました?」<br /> やっぱりって何がやっぱりなんだ?<br /> 「あ、いや、なんでもないさ」<br /> 慌てて彼女は喋った。・・・・もしかして全部知ってるのか?<br /></div> <br /> <div>僕は疑問に思った。彼女が閉鎖空間のことを知っているとは思えない。<br /> 僕は不審な思いで彼女を見つめていた。<br /> 「そーだっ!さっき寝る機会がないって言ってたね?」<br /> 「…はい」<br /> 「私が寝る機会を作ってあげるさ!」<br /> そう言って彼女は正座をして自分の膝を叩いた。<br /> 「さ、どうぞ」<br /> 「・・・・・はい?」<br /> 「遠慮しなくていいよ」<br /> こ、これはどうみても膝枕というやつだ<br /> 「早くするにょろー!」<br /> 彼女が僕の腕を引っ張って寝るように急かしたので<br /> 仕方なく僕は鶴屋さんの膝に失礼することにした<br /> 「暗くなってきたらちゃんと起こしてあげるからめがっさ安心していいよ!」<br /> 「・・・・は、はい」<br /> この状況はとてつもなく恥ずかしい。<br /> 顔が赤くなりそうで困る。とにかく僕は目をつぶった。<br /> 僕が心の中で少し混乱していると彼女は不意にしゃべりだした<br /> 「古泉君の悩みってハルにゃんとキョンくんのことじゃないかい?」<br /> ・・・・どうやら彼女は僕を困らせるのが好きらしい<br /></div> <br /> <div>「元気なくなり始めたのあの二人が付き合い出してからだよね」<br /> 口調がだんだん真剣になっていく<br /> 「なんかだんだん苛々してきたっていうかそんな感じだったし…」<br /> 間違いない。彼女は閉鎖空間のことを知ってる。僕のことも。下手したら機関のことも。<br /> どう対処するべきなのだろうか?<br /> 彼女の話を全部聞き終わったら無理矢理でも機関に連行しよう。<br /> 僕はそう決めて彼女の話の続きを目をつぶったまま聞いた。<br /> 「それで私思ったんだよ・…。古泉君ハルにゃんのこと好きだったんじゃないかって」<br /> は?今変なこと言わなかったか?<br /> 僕は驚いて目を開いた<br /> 「・・・・もしかして当たったかい?」<br /> 何故か彼女は不安そうに聞いてくる。とにかく僕はすぐに否定した。<br /> 「それは誤解ですよ。僕が涼宮さんを好きになるなんて絶対ありえません」<br /> 「ほ、本当に?」<br /> 「本当ですよ。・・・・どうかしました?」<br /> 確認するように聞いてくる彼女に対して僕は疑問を口にした。<br /> 「な、なんでもないにょろ!!とにかく早く寝な?ね?」<br /> そう言って彼女は僕の目を手で覆った。<br /> ・・・・仕方ない。聞きたいことがあるけれどここは大人しく眠っておこう。<br /> そう思って僕は目を閉じて意識をとばすことに集中した。<br /></div> <br /> <div>どれくらい時間が経っただろう?<br /> 僕はぼんやりと目が覚めてきた。<br /> ・・・・・?誰か何か喋ってるみたいだ…。僕は目をつぶったままその声聞いた。<br /> 「起きてる時になんて言えないけど…」<br /> 今ここで寝ているのは僕だけだから、この言葉は僕に対して言っているみたいだ<br /> 「私、古泉君がめがっさ好きだよ」<br /> その後何か柔らかい物が僕の唇に触れた。それが何か分からないほど僕は馬鹿じゃない<br /> その行為のせいで僕の眠気は一気になくなる。寝たふりしているのが苦しい。<br /> 鶴屋さんに聞こえるかもしれないぐらい心臓がバクバクしている。<br /> 「さて、そろそろ起こすとしますかっ!」<br /> と彼女は言い僕の頬を軽く叩いた<br /> 僕は出来るだけ自然に目を開けて起きたふりをした。<br /> ゆっくりと彼女に膝から体を起こす。<br /> こんな状況でこれだけの演技をできる自分を褒めてあげたい。<br /> 「おはよー。よく眠れたかい!?」<br /> 辺りを見渡すとわりと薄暗くなっている<br /> 「え、えぇ…お陰様で」<br /> 「なら、よかった」<br /> そう言って彼女はいつものように微笑んだ。<br /> ……鶴屋さんってこんな可愛い人だっただろうか?<br /> さっきの出来事で僕は随分彼女を意識してしまっている。<br /> 僕は無意識に彼女の唇に見てしまった。<br /> 自分の顔が赤くなっていくことに気付く。ヤバイ。<br /> 「あ、ありがとうございました。皆さんを待たせてるかもしれないので<br /> これで失礼させて頂きますね」<br /> 僕は早口でそう言うと立ち上がって部室へ走った。<br /> 後ろで鶴屋さんが「また、明日ねー」と叫んだ。<br /> 今が薄暗くて本当に良かった。<br /> そうじゃないと僕が今耳まで真っ赤になっていることが<br /> 確実に彼女にばれてしまっていた。<br /></div> <br /> <div>僕は部室に戻っている最中に自分を落ち着かせた。<br /> そうか。<br /> これで全ての辻褄が合う。<br /> 彼女は僕が涼宮さんのことを好きだと勘違いしていたからあんなこと言っていたのだ。<br /> ・・・・・それにしてもあんな大胆な行動にでるか?普通。<br /> あそこは外だった。誰かに見られていた可能性もある。<br /> そう思うとまた自分の心拍数があがる。<br /> 僕は部室の前で立ち止まり、何回か深呼吸した後部室の扉を開いた。<br /></div> <br /> <div>僕が部室に入ると、涼宮さんと彼はすぐに謝ってきた<br /> 「すまん…」<br /> 「ごめんなさい」<br /> …この二人の様子を見るとどうやら仲直りしたようだ。僕が怒鳴ったのが効いたのか?<br /> 「いえ、僕のほうこそすみません。仲直りしていただければそれで充分ですよ」<br /> 涼宮さんは何か言いたげな顔をしていたが僕は<br /> もう大丈夫ですからと言って彼女を黙らせた。<br /> これで閉鎖空間が発生することはないだろう。<br /> 寝不足の苛々や閉鎖空間や涼宮さんと彼の喧嘩など<br /> さっきの起こったことに比べればとても小さいことだ。<br /> ここ数週間の悩みは解決したが、きっと僕は今日の夜も眠れない。<br /></div> <br /> <div>終わり<br /></div> </div>

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