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予防接種」(2020/05/29 (金) 12:06:59) の最新版変更点

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<div class="main"> <div>今日は暇だな。<br> 何故かって?そりゃ俺のゲームの相手がいないからさ。<br> 放課後に部室に行ったのはいいが、まぁなんということか、女しかいないわけだ。<br> 谷口ならハーレムだとか言って喜ぶだろうが……生憎、俺にはハーレムとは思えないわけだ。<br> ぶっ飛んだ発言をするヘンテコ団長に、読書マシーンの宇宙人。それに、かわいいが未来人な3人に囲まれてるからな。<br> 一人暇潰し相手がいないと俺は暇すぎる存在なんだな……。<br> なぁ、ハルヒ。たまにはオセロでもしないか?<br> 「遠慮しとくわ。あんた弱そうだもん。それより!副団長の古泉くんは!?サボりなんて許されないんだから!」<br> ……まぁ、こんな扱いだよな。弱いのは否定出来ないかもしれないが、古泉よか強いんだがな。<br> 古泉は学校終わってすぐに出て行ったらしい。何か用事でも……「すみません。遅れました」<br> 噂のニヤけ面がそこに立っていた。ハルヒをイライラさせるなと言ったのは貴様だろう。<br> 「古泉くん……理由によっては罰金だけじゃ済まないわよ?」<br> 幾分も困った様子のない笑顔でそいつは口を開いた。<br></div> <br> <div> 「実はですね、インフルエンザの予防接種に行っていたのですよ」<br> ……あぁ、あったね。そんなやつ。<br> 「神聖な団活動を休まないためのちょっとした努力ですよ。どうです、みなさんも受けてみては」<br> おい、俺達を巻き込むな。<br> 「……ふ~ん、いいかもね。じゃあ、いまから行きましょう!」<br> おい、勝手に決めるな。そもそも金はそんなに無いぞ。<br> 「その点は心配ありません。僕の知り合いに……」<br> やれやれ、またそのパターンか。聞き飽きたぜ。<br> とりあえず残り二人の様子を伺うとするか。<br> 長門は……まぁ、いつも通りだ。<br> そもそも予防接種なんて必要ないだろうが、一応付き合いとしてついてくることであろう。<br> もう一人、朝比奈さんは……震えながら俺に近付いてきた。<br> 「キョ、キョンくん……あ、あの、予防接種って……針、で、ですかぁ?」<br> 針以外に何があるんですか?……って聞いてもダメですね。未来は針じゃないんですか?<br> 「あ……その、禁則事項です。だけど……針は怖いよぅ……」<br> 本当に怖がっている朝比奈さんもかわいいな……。なんて思ってる内に行くことは決定したらしい。<br> 「ほらっ!みくるちゃん、さっさと着替えなさい!キョンと古泉くんは部室の外で待ってなさい!」<br> ……やれやれ。寒い中を予防接種を受けに外へ、か。やってらんねーぜ。<br> みんなで坂を降り、ゆっくりと歩きながら病院へ向かう途中、俺はずっと朝比奈さんが震えているのを見ていた。<br> 「怖いよぉ……怖いです」<br> ハルヒにもこれくらいのかわいさがつけば、もう少し人気も出るだろうに。<br> 「大丈夫ですよ。取って食われる訳じゃないですから」<br> そんなことを言いながら、肌寒い冬の道を歩いて病院に向かった。<br> 「着きました、ここです」<br></div> <br> <div> 古泉は何かのガイドかのように病院を手でさした。……予想はついていたが、やはり俺が入院した病院か。<br> 「知り合いの方に開けてもらうようにしたので、裏口から入りましょう」<br> まったく……手筈のいい奴だ。<br></div> <br> <br> <div>「さぁ、みんな引きなさい!」<br> 何を引くかって?そりゃクジさ。<br> 二か所でやるってんで、二人ずつ入る時の組み合わせをクジで決めるらしい。<br> 早く終わらせりゃそれでいいんだが……。<br> とりあえず引いてみた。<br> 印あり:俺、朝比奈さん<br> 印なし:ハルヒ、長門<br> まぁ……ちょっとうれしい組み合わせだったりするな。<br> 「うふふふふ……面白い反応を期待してるわよ、みんな!」<br> 一応注射に反応するほどの年齢ではないことを伝えておくか?……いいか、さっさと済まそう。<br> </div> <br> <div> 朝比奈さんと並んで部屋に入ると、綺麗な白衣を着た女医さんがいた。<br> 「どちらからなされますか?」<br> 自分の隣りを見ると、俺を見上げて涙目でフルフルと首を横に振る天使がいた。<br> ……しょうがない、先にやるか。<br> 椅子に座り、左手をまくる。久しぶりだなぁ、注射なんてよ。<br> 消毒用の脱脂綿で腕を拭かれ……いざ突貫!<br> 「ひいぃっ!」<br> 俺じゃないぞ。断じて俺の声じゃない。<br></div> <br> <div> 口を抑え、涙を流しながら震える朝比奈さん。まるで殺人現場を見たかのようだ。……見たことないがな。<br> 「はい、終わりました。しばらく押さえててくださいね」<br> お決まりのセリフを聞き、俺は席を立った。<br> さぁ、朝比奈さんの番ですよ。<br> 「むむむ無理です!……ダメ、死んじゃうよぉ……」<br> 女医さん苦笑い、俺は溜息。……やれやれ。<br> ほら、一瞬ですから。<br> 朝比奈さんのやわっこい背中を押して、椅子に半ば無理矢理に座らせた。<br> 「やめてやめてぇ!ダメ、いやぁ~!」<br> 女医さん爆笑。<br> このままじゃ本当に警備かなんかが飛び込んで来そうだな……もちろん捕まるのは俺。強姦容疑で逮捕。<br> しょうがない……か。<br> 俺は朝比奈さんの手を握って、目を手で覆った。<br> 「大丈夫ですって。俺がついてます。俺の手にだけ感覚を集中させてください」<br> 親が妹に言っていた言葉だが……こんなセリフ二度と言えないな。ハズいから。<br> 「うぅ~、キョンくん……」<br> 「はい、終わりましたよ。自分で押さえててください」<br> さすがはプロだな。朝比奈さんが止まった瞬間には針を刺してしまっていた。<br> </div> <br> <div> 朝比奈さんの腕を押さえてやりつつ、俺は溜息をついた。<br> 「あ、あれ?終わり……ですかぁ?」<br> えぇ、終わりです。よく頑張りましたね。<br> 「……キョンくん、ありがとう」<br> そんなやり取りを見てからか、女医さんが笑顔で口を開いた。<br> 「うふふ……優しい彼氏さんですね?」<br> いえいえ、彼氏だなん……<br> 「は、はいっ!ありがとうございます!」<br> おいおい。……まぁ、いいか。いつから彼氏になったのかなんて問わないでおこう。<br> この笑顔を見れただけで俺は充分さ。<br></div> <br> <br> <div> 結局、誰からも面白い反応は得られないまま予防接種は終わった。<br> ハルヒに見つかったらヤバいかな……まぁ、いいよな。<br> 今日だけは世界も何も考えないで、朝比奈さんと一日カップルを堪能させてくれ。<br> 二人で手を繋ぎつつ、いつもの喫茶店へゆっくり、ゆっくりと歩を進めた。<br> </div> <br> <br> <div>おわり<br></div> <br> <br> <div>番外編~ハルヒと長門の予防接種~<br></div> <br> <br> <div>「有希、あんたから早くやっちゃいなさい!」<br> 「わかった……うっ」<br> 「今!今「うっ」て言ったわよね!」<br> 「……言ってない」<br> 「いえ、言いましたね」<br> 「だよね!古泉くん!珍しいもの見たわ……」<br> 「……次は、あなた」<br> 「オッケー!任せなさい……あれ?針ってこんな大きかったっけ?」<br> 「はい。長門さんとまったく同じサイズですね」<br> 「あ、あ~……ちょっと!痛くしたら死刑だからね!絶対よ!……あ~!」<br> 「……お互い、彼には秘密に」<br> 「うぅ~、わかってるわよ!……古泉くん、絶対言っちゃ駄目よ!」<br> 「もちろんですよ、お二人とも」<br></div> <br> <br> <div>おわり<br></div> </div> <!-- ad -->
<div class="main"> <div>今日は暇だな。<br /> 何故かって?そりゃ俺のゲームの相手がいないからさ。<br /> 放課後に部室に行ったのはいいが、まぁなんということか、女しかいないわけだ。<br /> 谷口ならハーレムだとか言って喜ぶだろうが……生憎、俺にはハーレムとは思えないわけだ。<br /> ぶっ飛んだ発言をするヘンテコ団長に、読書マシーンの宇宙人。それに、かわいいが未来人な3人に囲まれてるからな。<br /> 一人暇潰し相手がいないと俺は暇すぎる存在なんだな……。<br /> なぁ、ハルヒ。たまにはオセロでもしないか?<br /> 「遠慮しとくわ。あんた弱そうだもん。それより!副団長の古泉くんは!?サボりなんて許されないんだから!」<br /> ……まぁ、こんな扱いだよな。弱いのは否定出来ないかもしれないが、古泉よか強いんだがな。<br /> 古泉は学校終わってすぐに出て行ったらしい。何か用事でも……「すみません。遅れました」<br /> 噂のニヤけ面がそこに立っていた。ハルヒをイライラさせるなと言ったのは貴様だろう。<br /> 「古泉くん……理由によっては罰金だけじゃ済まないわよ?」<br /> 幾分も困った様子のない笑顔でそいつは口を開いた。<br /></div> <br /> <div>「実はですね、インフルエンザの予防接種に行っていたのですよ」<br /> ……あぁ、あったね。そんなやつ。<br /> 「神聖な団活動を休まないためのちょっとした努力ですよ。どうです、みなさんも受けてみては」<br /> おい、俺達を巻き込むな。<br /> 「……ふ~ん、いいかもね。じゃあ、いまから行きましょう!」<br /> おい、勝手に決めるな。そもそも金はそんなに無いぞ。<br /> 「その点は心配ありません。僕の知り合いに……」<br /> やれやれ、またそのパターンか。聞き飽きたぜ。<br /> とりあえず残り二人の様子を伺うとするか。<br /> 長門は……まぁ、いつも通りだ。<br /> そもそも予防接種なんて必要ないだろうが、一応付き合いとしてついてくることであろう。<br /> もう一人、朝比奈さんは……震えながら俺に近付いてきた。<br /> 「キョ、キョンくん……あ、あの、予防接種って……針、で、ですかぁ?」<br /> 針以外に何があるんですか?……って聞いてもダメですね。未来は針じゃないんですか?<br /> 「あ……その、禁則事項です。だけど……針は怖いよぅ……」<br /> 本当に怖がっている朝比奈さんもかわいいな……。なんて思ってる内に行くことは決定したらしい。<br /> 「ほらっ!みくるちゃん、さっさと着替えなさい!キョンと古泉くんは部室の外で待ってなさい!」<br /> ……やれやれ。寒い中を予防接種を受けに外へ、か。やってらんねーぜ。<br /> みんなで坂を降り、ゆっくりと歩きながら病院へ向かう途中、俺はずっと朝比奈さんが震えているのを見ていた。<br /> 「怖いよぉ……怖いです」<br /> ハルヒにもこれくらいのかわいさがつけば、もう少し人気も出るだろうに。<br /> 「大丈夫ですよ。取って食われる訳じゃないですから」<br /> そんなことを言いながら、肌寒い冬の道を歩いて病院に向かった。<br /> 「着きました、ここです」<br /></div> <br /> <div>古泉は何かのガイドかのように病院を手でさした。……予想はついていたが、やはり俺が入院した病院か。<br /> 「知り合いの方に開けてもらうようにしたので、裏口から入りましょう」<br /> まったく……手筈のいい奴だ。<br /></div> <br /> <br /> <div>「さぁ、みんな引きなさい!」<br /> 何を引くかって?そりゃクジさ。<br /> 二か所でやるってんで、二人ずつ入る時の組み合わせをクジで決めるらしい。<br /> 早く終わらせりゃそれでいいんだが……。<br /> とりあえず引いてみた。<br /> 印あり:俺、朝比奈さん<br /> 印なし:ハルヒ、長門<br /> まぁ……ちょっとうれしい組み合わせだったりするな。<br /> 「うふふふふ……面白い反応を期待してるわよ、みんな!」<br /> 一応注射に反応するほどの年齢ではないことを伝えておくか?……いいか、さっさと済まそう。<br /></div> <br /> <div>朝比奈さんと並んで部屋に入ると、綺麗な白衣を着た女医さんがいた。<br /> 「どちらからなされますか?」<br /> 自分の隣りを見ると、俺を見上げて涙目でフルフルと首を横に振る天使がいた。<br /> ……しょうがない、先にやるか。<br /> 椅子に座り、左手をまくる。久しぶりだなぁ、注射なんてよ。<br /> 消毒用の脱脂綿で腕を拭かれ……いざ突貫!<br /> 「ひいぃっ!」<br /> 俺じゃないぞ。断じて俺の声じゃない。<br /></div> <br /> <div>口を抑え、涙を流しながら震える朝比奈さん。まるで殺人現場を見たかのようだ。……見たことないがな。<br /> 「はい、終わりました。しばらく押さえててくださいね」<br /> お決まりのセリフを聞き、俺は席を立った。<br /> さぁ、朝比奈さんの番ですよ。<br /> 「むむむ無理です!……ダメ、死んじゃうよぉ……」<br /> 女医さん苦笑い、俺は溜息。……やれやれ。<br /> ほら、一瞬ですから。<br /> 朝比奈さんのやわっこい背中を押して、椅子に半ば無理矢理に座らせた。<br /> 「やめてやめてぇ!ダメ、いやぁ~!」<br /> 女医さん爆笑。<br /> このままじゃ本当に警備かなんかが飛び込んで来そうだな……もちろん捕まるのは俺。強姦容疑で逮捕。<br /> しょうがない……か。<br /> 俺は朝比奈さんの手を握って、目を手で覆った。<br /> 「大丈夫ですって。俺がついてます。俺の手にだけ感覚を集中させてください」<br /> 親が妹に言っていた言葉だが……こんなセリフ二度と言えないな。ハズいから。<br /> 「うぅ~、キョンくん……」<br /> 「はい、終わりましたよ。自分で押さえててください」<br /> さすがはプロだな。朝比奈さんが止まった瞬間には針を刺してしまっていた。<br /></div> <br /> <div>朝比奈さんの腕を押さえてやりつつ、俺は溜息をついた。<br /> 「あ、あれ?終わり……ですかぁ?」<br /> えぇ、終わりです。よく頑張りましたね。<br /> 「……キョンくん、ありがとう」<br /> そんなやり取りを見てからか、女医さんが笑顔で口を開いた。<br /> 「うふふ……優しい彼氏さんですね?」<br /> いえいえ、彼氏だなん……<br /> 「は、はいっ!ありがとうございます!」<br /> おいおい。……まぁ、いいか。いつから彼氏になったのかなんて問わないでおこう。<br /> この笑顔を見れただけで俺は充分さ。<br /></div> <br /> <br /> <div>結局、誰からも面白い反応は得られないまま予防接種は終わった。<br /> ハルヒに見つかったらヤバいかな……まぁ、いいよな。<br /> 今日だけは世界も何も考えないで、朝比奈さんと一日カップルを堪能させてくれ。<br /> 二人で手を繋ぎつつ、いつもの喫茶店へゆっくり、ゆっくりと歩を進めた。<br /></div> <br /> <br /> <div>おわり<br /></div> <br /> <br /> <div>番外編~ハルヒと長門の予防接種~<br /></div> <br /> <br /> <div>「有希、あんたから早くやっちゃいなさい!」<br /> 「わかった……うっ」<br /> 「今!今「うっ」て言ったわよね!」<br /> 「……言ってない」<br /> 「いえ、言いましたね」<br /> 「だよね!古泉くん!珍しいもの見たわ……」<br /> 「……次は、あなた」<br /> 「オッケー!任せなさい……あれ?針ってこんな大きかったっけ?」<br /> 「はい。長門さんとまったく同じサイズですね」<br /> 「あ、あ~……ちょっと!痛くしたら死刑だからね!絶対よ!……あ~!」<br /> 「……お互い、彼には秘密に」<br /> 「うぅ~、わかってるわよ!……古泉くん、絶対言っちゃ駄目よ!」<br /> 「もちろんですよ、お二人とも」<br /></div> <br /> <br /> <div>おわり<br /></div> </div>

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