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『God knows』 12章」(2021/01/09 (土) 23:05:39) の最新版変更点

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<div class="main"> <div>『God knows』<br></div> <br> <div>~12章~<br></div> <br> <div>俺達は、部室に待機している。<br> 特に何かやらかしたわけではないが、ハルヒが<br> 「あたし達はみくるちゃんだけ祝えればいいんだから、部室でパーティーの準備をしとくわよ!!」と言い出したからしょうがない。<br> まあ、俺も式とかは苦手なんだがな。<br> 「でも……ほんとにみくるちゃん、卒業なのね…。なんか、信じられない。」<br> 「しょうがないさ。この日は、絶対に来るんだ。…俺達にもな。」<br> こう、答えるしかないよな。<br> 「それより、俺達が最高の顔で送り出すことを、みくるさんも望んでいるはずさ。」<br> </div> <br> <div> クサかろうが、なんだろうが、俺は、こいつらには笑顔で別れを告げて欲しい、そう願っている。<br> 「ふ~ん……、そろそろ、終わる時間ね。みんな準備しましょっ!」<br> しばらくすると、みくるさんは鶴屋さんを連れてやって来た。<br> 「いんや~!!めがっさ美味そうな匂いだねっ!鍋かなっ!?」<br> 「鶴屋さん、いらっしゃいっ!みくるちゃんもお疲れ……それじゃ、3年生追い出し鍋パーティー、始めるわよっ!!」<br> そのネーミングセンスは如何な物かと思ったが、内容は楽しいもんだった。<br> と言っても、鍋を食いつつ、卒業生二人の苦労を労ったり、古泉の持って来たゲームをやったりといつもと変わらない物だったが。<br> </div> <br> <div>俺は、隙をついて一人で屋上に出た。<br> 特に意味はなかったが、一人になりたかったのだ。<br> 風が暖かい、もう少しで春なんだろうな……。<br> 「キョンっ!!あんた何してんのよっ!!」<br> やべっ、ハルヒだ。<br> 「わ、わりぃ。ちょっと………ってあれ?」<br> そこに居たのは鶴屋さんとみくるさんだった。<br> 「あっははは!そんなに似てたかいっ?」<br> まったくこの人は……。<br></div> <br> <div> 「何なんですか?二人して、からかいに来たわけじゃ無いでしょう?」<br> 「いんや~、あたしはからかいに来ただけっさ!みくるが話があるってさっ!」<br> みくるさんが?なんだ?<br> 「あ、あの……ですね?この、パーティーが終わったら…デ、デートに…行きませんか?」<br> その、俺を誘ったときのみくるさんの顔は、まるで付き合う前の時のもののようだった。不安と、緊張と、期待の混じった顔だ。<br> 「そう…ですね。でも、どうせなら今から行きましょう!!善は急げです!」<br> 俺はみくるさんの手を引き、屋上を出ようとする。<br> 「みくる~、めがっさ頑張ってくるにょろよっ!!ハルにゃん達にはあたしがよろしく言っておくっさ!」<br> 鶴屋さんの声を聞きながら、俺達は走って屋上を後にした。<br> </div> <br> <br> <div> 1時間後、俺達は初デートの時の遊園地に来ていた。<br> みくるさんたっての希望の場所だ。<br> 「懐かしい……ですねぇ。」<br> 「ん~、まぁ半年ぶりくらいですよね。」<br> 少しの沈黙の後、みくるさんが口を開いた。<br> 「き、今日は…ですね、高校……最後のお、思い出に…観覧車に…乗りたかったんです……。」<br> なるほど。いや、何がなるほどなのかはわからんが納得したな。<br> </div> <br> <div> 「……閉園まで時間も無いことですし、さっさと行きましょうか。」<br> 俺は手を差し延べる。<br> その手を優しく握ってくるみくるさん。<br> こんな、なんでもないことがとても幸せに感じる。<br> ……今日は平日でしかも、もう閉園まで一時間もないといい時間なだけあって、観覧車には並ばずに乗れた。<br> 時間は夕方。今回も、前と同じく綺麗な夕焼けが街を染めている。<br> 「ふわぁ……。幻想的、です…。」<br> 「ですね、……前の時は全然景色に集中出来なかったですからねぇ。」<br> 「あ、あれはっ!……しょ、しょうがない…じゃないですかぁ……。」<br> 「へへへ、責めてるわけじゃないですよ。」<br> 景色にも集中すると時間がたつのは早いもので、もうすぐ頂点というところまで来た。<br> 「ほら、みくるさん。もう一番上ですよ。」<br> 「わぁぁ…、すごぉい……です。」<br> 「これが、俺が一番好きな場所って言った理由ですよ。メチャクチャ、綺麗でしょ?」<br> 「うん……。ね、ねぇ…キョンくん。な、何か忘れて…ないですか?」<br> 何か忘れたか?忘れたいことならたくさんあるが……。<br> 「え?…………すいません、何でしたっけ?」<br> 「………もう。わ、わたし、まだ…卒業祝いもらってない、です……。」<br> </div> <br> <div>ああ、そうか。ゴチャゴチャしてたしな。<br> 「す、すいません。……何が欲しい…ですか?」<br> みくるさんは少し俯き、頬を少し朱く染めながら言った。<br> 「キョ、キョンくんの……《愛》、です。…そ、それも、とびっきり大きな《愛》がいい……です。」<br> 観覧車はもう、頂点を少し過ぎた辺りだ。<br> 俺はみくるさんを抱きよせ、言葉をかけた。<br> 「大好きです、みくるさん。……これからも、ずっと、二人で一緒にいましょう。」<br> </div> <br> <div> 夕焼けに照らされる観覧車の中で、俺達は口付け、《とびっきり大きな愛》を誓いあった。<br> </div> <br> <div>~12章・終~<br></div> <br> <br> <ul> <li><a href="http://www25.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/1349.html"><font color= "#666666">最終章</font></a></li> </ul> </div> <!-- ad -->
<div class="main"> <div>『God knows』<br /></div> <br /> <div>~12章~<br /></div> <br /> <div>俺達は、部室に待機している。<br /> 特に何かやらかしたわけではないが、ハルヒが<br /> 「あたし達はみくるちゃんだけ祝えればいいんだから、部室でパーティーの準備をしとくわよ!!」と言い出したからしょうがない。<br /> まあ、俺も式とかは苦手なんだがな。<br /> 「でも……ほんとにみくるちゃん、卒業なのね…。なんか、信じられない。」<br /> 「しょうがないさ。この日は、絶対に来るんだ。…俺達にもな。」<br /> こう、答えるしかないよな。<br /> 「それより、俺達が最高の顔で送り出すことを、みくるさんも望んでいるはずさ。」<br /></div> <br /> <div>クサかろうが、なんだろうが、俺は、こいつらには笑顔で別れを告げて欲しい、そう願っている。<br /> 「ふ~ん……、そろそろ、終わる時間ね。みんな準備しましょっ!」<br /> しばらくすると、みくるさんは鶴屋さんを連れてやって来た。<br /> 「いんや~!!めがっさ美味そうな匂いだねっ!鍋かなっ!?」<br /> 「鶴屋さん、いらっしゃいっ!みくるちゃんもお疲れ……それじゃ、3年生追い出し鍋パーティー、始めるわよっ!!」<br /> そのネーミングセンスは如何な物かと思ったが、内容は楽しいもんだった。<br /> と言っても、鍋を食いつつ、卒業生二人の苦労を労ったり、古泉の持って来たゲームをやったりといつもと変わらない物だったが。<br /></div> <br /> <div>俺は、隙をついて一人で屋上に出た。<br /> 特に意味はなかったが、一人になりたかったのだ。<br /> 風が暖かい、もう少しで春なんだろうな……。<br /> 「キョンっ!!あんた何してんのよっ!!」<br /> やべっ、ハルヒだ。<br /> 「わ、わりぃ。ちょっと………ってあれ?」<br /> そこに居たのは鶴屋さんとみくるさんだった。<br /> 「あっははは!そんなに似てたかいっ?」<br /> まったくこの人は……。<br /></div> <br /> <div>「何なんですか?二人して、からかいに来たわけじゃ無いでしょう?」<br /> 「いんや~、あたしはからかいに来ただけっさ!みくるが話があるってさっ!」<br /> みくるさんが?なんだ?<br /> 「あ、あの……ですね?この、パーティーが終わったら…デ、デートに…行きませんか?」<br /> その、俺を誘ったときのみくるさんの顔は、まるで付き合う前の時のもののようだった。不安と、緊張と、期待の混じった顔だ。<br /> 「そう…ですね。でも、どうせなら今から行きましょう!!善は急げです!」<br /> 俺はみくるさんの手を引き、屋上を出ようとする。<br /> 「みくる~、めがっさ頑張ってくるにょろよっ!!ハルにゃん達にはあたしがよろしく言っておくっさ!」<br /> 鶴屋さんの声を聞きながら、俺達は走って屋上を後にした。<br /></div> <br /> <br /> <div>1時間後、俺達は初デートの時の遊園地に来ていた。<br /> みくるさんたっての希望の場所だ。<br /> 「懐かしい……ですねぇ。」<br /> 「ん~、まぁ半年ぶりくらいですよね。」<br /> 少しの沈黙の後、みくるさんが口を開いた。<br /> 「き、今日は…ですね、高校……最後のお、思い出に…観覧車に…乗りたかったんです……。」<br /> なるほど。いや、何がなるほどなのかはわからんが納得したな。<br /></div> <br /> <div>「……閉園まで時間も無いことですし、さっさと行きましょうか。」<br /> 俺は手を差し延べる。<br /> その手を優しく握ってくるみくるさん。<br /> こんな、なんでもないことがとても幸せに感じる。<br /> ……今日は平日でしかも、もう閉園まで一時間もないといい時間なだけあって、観覧車には並ばずに乗れた。<br /> 時間は夕方。今回も、前と同じく綺麗な夕焼けが街を染めている。<br /> 「ふわぁ……。幻想的、です…。」<br /> 「ですね、……前の時は全然景色に集中出来なかったですからねぇ。」<br /> 「あ、あれはっ!……しょ、しょうがない…じゃないですかぁ……。」<br /> 「へへへ、責めてるわけじゃないですよ。」<br /> 景色にも集中すると時間がたつのは早いもので、もうすぐ頂点というところまで来た。<br /> 「ほら、みくるさん。もう一番上ですよ。」<br /> 「わぁぁ…、すごぉい……です。」<br /> 「これが、俺が一番好きな場所って言った理由ですよ。メチャクチャ、綺麗でしょ?」<br /> 「うん……。ね、ねぇ…キョンくん。な、何か忘れて…ないですか?」<br /> 何か忘れたか?忘れたいことならたくさんあるが……。<br /> 「え?…………すいません、何でしたっけ?」<br /> 「………もう。わ、わたし、まだ…卒業祝いもらってない、です……。」<br /></div> <br /> <div>ああ、そうか。ゴチャゴチャしてたしな。<br /> 「す、すいません。……何が欲しい…ですか?」<br /> みくるさんは少し俯き、頬を少し朱く染めながら言った。<br /> 「キョ、キョンくんの……《愛》、です。…そ、それも、とびっきり大きな《愛》がいい……です。」<br /> 観覧車はもう、頂点を少し過ぎた辺りだ。<br /> 俺はみくるさんを抱きよせ、言葉をかけた。<br /> 「大好きです、みくるさん。……これからも、ずっと、二人で一緒にいましょう。」<br /></div> <br /> <div>夕焼けに照らされる観覧車の中で、俺達は口付け、《とびっきり大きな愛》を誓いあった。<br /></div> <br /> <div>~12章・終~<br /></div> <br /> <br /> <ul> <li><a href="//www25.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/1349.html"><font color="#666666">最終章</font></a></li> </ul> </div>

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