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『God knows』 8章」(2021/01/09 (土) 21:34:55) の最新版変更点

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<div class="main"> <div>『God knows』<br></div> <br> <div>~8章~<br></div> <br> <div>今、俺はエレベーターに乗っている。<br> もち、隣りにはみくるさんがいる。<br> 密室に二人きり。<br> こんなに素晴らしいシチュエーションはないな……、<br> などと考えられないくらい、俺は切羽詰まっている。<br> 何故かって?<br> それでは、5分前を思い出してみようか。<br></div> <br> <br> <div> 「キ、キキキ、キョンくん!あ、あ、上がって……いき、行きませんかぁっ!?」<br> 「……………えぇっ!?」<br> 「い、いや!そ、そ、そんなや、やましいことじゃ、な、な、ないですよっ!?た、ただ……ね?寂しい……から…。」<br> 「で、でもっ!ほら……親とかもいますよね!?」<br> 「か、家族とは……もう…連絡が…。」<br> 「あ……、す、すいません……。」<br> 「ううん、いいの。……しょうがない…こと、です。」<br> 「…よし。わかりました、上がらせてください!」<br> 「ふえっ?ほ、ほんとですかぁ?」<br></div> <br> <div> 「はい。だけど……襲われても知りませんからね?」<br> 「……はいっ!わ、わたし、キョンくんをし、信じてますっ!……じゃあ、つ、ついて来てくださいっ。」<br> </div> <br> <br> <div>というわけだ。<br> よくよく考えると、異性の家で二人きりだな……。<br> だが、『信じてますっ!』って言われたしなぁ……。<br> あぁ、長門?<br> あいつの家は別だ。<br></div> <br> <div>ドアの前に来た。<br> 《802号・朝比奈みくる》と、可愛らしい字で手書きしてある。<br> なるほど、確かに一人で住んでるようだな。<br> 「あ、あの……ど、どうぞ?」<br> 鍵を開けたみくるさんが、ドアを開け、俺に中に入るように促す。<br> 俺は、一つ深呼吸をして答えた。<br> 「……お邪魔します。」<br> 「あ、……はい。」<br> みくるさんは、メチャクチャ優しい微笑みで迎えてくれた。<br> </div> <br> <div>入ると、そこからは、安らげる匂いが広がった。<br> 「おぉ……みくるさんの匂いがしますね。」<br> みくるさんの顔が、徐々に赤くなっていく。<br> 「ふ、ふえ?ご、ごめんなさい!い、今から消臭して…来ますぅっ!」<br> 「ち、違いますよっ!あれです、俺が一番安らぐ匂いだなぁって!!」<br> </div> <br> <div> 「ふぇ!?は、恥ずかしいですよぉっ!?あ~、お、お隣りさんにき、聞こえちゃいますっ…キ、キ、キョンくん、は、早く入ってくださいぃっ!!」<br> と、この様に、とてもうるさいカップルを一通り演じた後、俺は奥に入った。<br> 「きれいに片付いてますね~……あ、これってアルバムですか?」<br> 俺がアルバムを手に取り、開こうとした瞬間、<br> 「だめえぇぇ!!そ、それだけはだめ!ぜ、絶対だめですぅ!」<br> と叫びながら強奪された。<br> しかし、だめと言われると見たくなるのが人間の性である。……だよな?<br> </div> <br> <br> <div>しかし、意外にガードが堅かった。<br> アルバムを抱きかかえて離さないのである。<br> しょうがない、作戦を変えようか。<br> 「みくる……さん。」<br> 俺は【真面目な顔】を作り、みくるさんを真っ直ぐに見つめた。<br> 「ふぇ?……ど、どうしたの?キョン…くん……?」<br> よし、これなら……。<br> 俺は正面から両肩を掴み、少し顔の距離を近くした。<br> 「え、え?キョ、キョンくん?」<br> オドオドしている隙を突き、俺はアルバムを奪った。<br> 「へへへ、アルバム借りますよ!」<br> 「あ、あぁっ…もう!………ひどい、です。…見ても、笑わないでね?」<br> </div> <br> <div> 「もちろんですよ、じゃあ、見させてもらいます。」<br> アルバムを開く。<br></div> <br> <div>……まさかこんな光景とはな。<br> そこにあったのは、主にSOS団の活動時の写真と……俺1人だけ写ってる写真だ。<br> </div> <br> <div> もの凄い罪悪感が襲ってくる。俺がみくるさんにかける言葉を探っていると、みくるさんが話しかけてきた。<br> 「ほ、ほらっ!い、いつもキョンくんって、撮ってばっかりで…だ、だからたまには…良いかなって……。」<br> 「むう……。みくるさん、まだ何か理由隠してるでしょ?」<br> 「ふえっ?……は、はい。こ、これはね、実は……わ、わたしへの《ご褒美》です。えへへ…。」<br> めっちゃ嬉しいね。<br> こんな事言ってもらえる俺は世界一の幸せ者だ。<br></div> <br> <div>その時、俺は棚の上に【ある物】を見つけた。<br> 「なんだ、いい物があるじゃないですか。」<br> 「あ、それ……。それにも、わたしの…あの……《ご褒美》が、は、入って…ます。」<br> これ以上ないくらいに真っ赤な顔になっているみくるさん、食べたいくらいだ。<br> ……冗談だが。<br> 「まだ入ってますねぇ、《これ》。…あと少しか。」<br></div> <br> <div> 俺は《それ》をおもむろに手に取り、みくるさんの横に腰掛けた。<br> </div> <br> <div> まぁ、わかっているだろうが《それ》とは使い捨てカメラである。<br> 残り回数は、3回。<br> 「みくるさん……これ、使いましょうよ。たった3回分だし。」<br> 「え!?…あ、うん。い、いいです、けどぉ……。」<br> 「文句は無しです!いい顔してくださいね?」<br> 俺はみくるさんの肩を抱き、引き寄せる。<br> 「ひ、ひえぇっ!?キョ、キョンくん?か、顔近いですっ!」<br> 「これくらいじゃないと入りませんよ。ほらっ、いきますよ……はい、チーズ!」<br> パシャッ。<br> 「うわあぁぁ……、ちゃ、ちゃんと笑えたかなぁ…?」<br> 「いや、俺に聞かれても。」<br> 「ですよねぇ……。あ、キョンくん!ちょ、ちょっと貸してくださいっ!」<br> 俺はあっさりと、カメラをみくるさんに手渡した。<br> パシャッ。<br> 「はい?」<br> 「えへへ~、キョンくんのマヌケな顔、もらいました!」<br> しまった……。巻かずに渡すべきだったか。<br> 「あ~あ……、もう…あと1回分、かぁ……。」<br> みくるさんが、少し淋しそうな顔で、カメラを見つめる。<br> 「いいじゃないですか、これでアルバムに入る《ご褒美》が増えますよ?」<br> </div> <br> <div> 「………うん、そう…ですねっ!…ねぇ、キョンくん。新しいカメラをね、買ったら……い、一緒にう、埋めていってください、ね?」<br> 「もちろんですよ!あ、最後の一枚…俺に撮らせてくださいよ。」<br> 「え?……ん~、わかりました!あ、あの……良い顔、してくださいね?」<br> この時見せたみくるさんの笑顔、これで俺は完全に心を決めた。<br> </div> <br> <div>再び、肩を寄せあった。<br> さっきと同じように、俺たちは笑顔を作る。<br> 「じゃ、いきますよ。……はい、チー…あ、みくるさん。」<br> 「はい?」<br> チュッ………パシャッ。<br> 俺は、みくるさんに呼びかけ、こっちを向かせた隙に【キス】をし、シャッターを切った。<br> 「あ……、え?……えぇぇっ!?」<br> 「へへへ、ごめんなさい。俺、我慢出来なかったです。まぁ、これは俺の《ご褒美》と思ってください。」<br> </div> <br> <div>みくるさんは、顔を赤らめて、俯いてしまった。<br> 「あ~、怒っちゃい…ました?」<br> 俺は俯いているみくるさんの顔を覗き込む。<br> チュッ。<br> 「へ?」<br> キスされた。しかもマヌケな声を出してしまった。<br> 「えへへへ……、1回は1回……ですよ?」<br></div> <br> <div>うわぁ……イタズラ天使、ここに光臨。<br> って違うだろ、現実に戻れ、俺。<br> 「わ、わたしにも《ご褒美》、です。……ダメ、ですか?」<br> 俺はしばらくみくるさんを見つめた後、言葉を発した。<br> 「まったく……。これじゃ、みくるさんの方が写真の分だけ《ご褒美》多いですよ?」<br> 「ふぇ?……あ、ほ、ほんとですね…。」<br> 「つ~わけで、もっかい、させてもらいますよ?」<br> 「あ~、う~……はい。ど、どうぞ……。」<br> みくるさんが目を瞑る。<br> 俺のイタズラ心、発動。<br> ゆっくりと…唇を重ねる。<br> 「ん………ん?んむぅっ!?んむっ………………ぷはぁっ!」<br> え~、はい。<br> 少し大人のキスをみくるさんに仕掛けてみました。<br></div> <br> <div>みくるさんは、目を潤ませて、こっちを見ている。<br> 「これも1回……ですよね?」<br> 俺は尋ねる。<br> 「うぅっ……。い、一回…です。」<br> 「ですよね。でも……いやぁ、ドキドキしましたよ。」<br> 「キョ、キョンくんが言わないでくださいっ!!……わ、わたしの方が…ドキドキ…して……。で、でも…き、気持ち……よかった、ですぅ。」<br> 「《幸せ》…ですか?」<br> 俺は尋ねた。<br> みくるさんは即答で、<br> 「し、《幸せ》……ですぅ。」<br> と答えた。<br></div> <br> <div>それから、俺達はいろいろな話しをした。<br> まず、未来からの仕送りが無くなったから、あと3ヶ月も持たないという問題や、<br> 一人暮らしは危ないから、うちに来てくれと伝えたりした。<br> 「そう、ですね……。でも、ほ、ほんとは迷惑、かけたくない……です。」<br> 「迷惑じゃないです。親は絶対に、説得しますから。」<br> 「は、はい……。じゃ、じゃあ、お願い…します。……キョンくん、か、かっこいい…です。」<br> そして、23時になったので、帰ることにした。<br> もちろん、玄関でもキスしましたが。<br></div> <br> <div>そして、一人きりの帰り道。<br> 俺は気付いた。<br> 「もしかして、俺、メチャクチャ大変なこと言わなかったか?」<br> </div> <br> <div>~8章・終~<br></div> <br> <br> <ul> <li><a href="http://www25.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/1345.html"><font color= "#666666">9章</font></a></li> </ul> </div> <!-- ad -->
<div class="main"> <div>『God knows』<br /></div> <br /> <div>~8章~<br /></div> <br /> <div>今、俺はエレベーターに乗っている。<br /> もち、隣りにはみくるさんがいる。<br /> 密室に二人きり。<br /> こんなに素晴らしいシチュエーションはないな……、<br /> などと考えられないくらい、俺は切羽詰まっている。<br /> 何故かって?<br /> それでは、5分前を思い出してみようか。<br /></div> <br /> <br /> <div>「キ、キキキ、キョンくん!あ、あ、上がって……いき、行きませんかぁっ!?」<br /> 「……………えぇっ!?」<br /> 「い、いや!そ、そ、そんなや、やましいことじゃ、な、な、ないですよっ!?た、ただ……ね?寂しい……から…。」<br /> 「で、でもっ!ほら……親とかもいますよね!?」<br /> 「か、家族とは……もう…連絡が…。」<br /> 「あ……、す、すいません……。」<br /> 「ううん、いいの。……しょうがない…こと、です。」<br /> 「…よし。わかりました、上がらせてください!」<br /> 「ふえっ?ほ、ほんとですかぁ?」<br /></div> <br /> <div>「はい。だけど……襲われても知りませんからね?」<br /> 「……はいっ!わ、わたし、キョンくんをし、信じてますっ!……じゃあ、つ、ついて来てくださいっ。」<br /></div> <br /> <br /> <div>というわけだ。<br /> よくよく考えると、異性の家で二人きりだな……。<br /> だが、『信じてますっ!』って言われたしなぁ……。<br /> あぁ、長門?<br /> あいつの家は別だ。<br /></div> <br /> <div>ドアの前に来た。<br /> 《802号・朝比奈みくる》と、可愛らしい字で手書きしてある。<br /> なるほど、確かに一人で住んでるようだな。<br /> 「あ、あの……ど、どうぞ?」<br /> 鍵を開けたみくるさんが、ドアを開け、俺に中に入るように促す。<br /> 俺は、一つ深呼吸をして答えた。<br /> 「……お邪魔します。」<br /> 「あ、……はい。」<br /> みくるさんは、メチャクチャ優しい微笑みで迎えてくれた。<br /></div> <br /> <div>入ると、そこからは、安らげる匂いが広がった。<br /> 「おぉ……みくるさんの匂いがしますね。」<br /> みくるさんの顔が、徐々に赤くなっていく。<br /> 「ふ、ふえ?ご、ごめんなさい!い、今から消臭して…来ますぅっ!」<br /> 「ち、違いますよっ!あれです、俺が一番安らぐ匂いだなぁって!!」<br /></div> <br /> <div>「ふぇ!?は、恥ずかしいですよぉっ!?あ~、お、お隣りさんにき、聞こえちゃいますっ…キ、キ、キョンくん、は、早く入ってくださいぃっ!!」<br /> と、この様に、とてもうるさいカップルを一通り演じた後、俺は奥に入った。<br /> 「きれいに片付いてますね~……あ、これってアルバムですか?」<br /> 俺がアルバムを手に取り、開こうとした瞬間、<br /> 「だめえぇぇ!!そ、それだけはだめ!ぜ、絶対だめですぅ!」<br /> と叫びながら強奪された。<br /> しかし、だめと言われると見たくなるのが人間の性である。……だよな?<br /></div> <br /> <br /> <div>しかし、意外にガードが堅かった。<br /> アルバムを抱きかかえて離さないのである。<br /> しょうがない、作戦を変えようか。<br /> 「みくる……さん。」<br /> 俺は【真面目な顔】を作り、みくるさんを真っ直ぐに見つめた。<br /> 「ふぇ?……ど、どうしたの?キョン…くん……?」<br /> よし、これなら……。<br /> 俺は正面から両肩を掴み、少し顔の距離を近くした。<br /> 「え、え?キョ、キョンくん?」<br /> オドオドしている隙を突き、俺はアルバムを奪った。<br /> 「へへへ、アルバム借りますよ!」<br /> 「あ、あぁっ…もう!………ひどい、です。…見ても、笑わないでね?」<br /></div> <br /> <div>「もちろんですよ、じゃあ、見させてもらいます。」<br /> アルバムを開く。<br /></div> <br /> <div>……まさかこんな光景とはな。<br /> そこにあったのは、主にSOS団の活動時の写真と……俺1人だけ写ってる写真だ。<br /></div> <br /> <div>もの凄い罪悪感が襲ってくる。俺がみくるさんにかける言葉を探っていると、みくるさんが話しかけてきた。<br /> 「ほ、ほらっ!い、いつもキョンくんって、撮ってばっかりで…だ、だからたまには…良いかなって……。」<br /> 「むう……。みくるさん、まだ何か理由隠してるでしょ?」<br /> 「ふえっ?……は、はい。こ、これはね、実は……わ、わたしへの《ご褒美》です。えへへ…。」<br /> めっちゃ嬉しいね。<br /> こんな事言ってもらえる俺は世界一の幸せ者だ。<br /></div> <br /> <div>その時、俺は棚の上に【ある物】を見つけた。<br /> 「なんだ、いい物があるじゃないですか。」<br /> 「あ、それ……。それにも、わたしの…あの……《ご褒美》が、は、入って…ます。」<br /> これ以上ないくらいに真っ赤な顔になっているみくるさん、食べたいくらいだ。<br /> ……冗談だが。<br /> 「まだ入ってますねぇ、《これ》。…あと少しか。」<br /></div> <br /> <div>俺は《それ》をおもむろに手に取り、みくるさんの横に腰掛けた。<br /></div> <br /> <div>まぁ、わかっているだろうが《それ》とは使い捨てカメラである。<br /> 残り回数は、3回。<br /> 「みくるさん……これ、使いましょうよ。たった3回分だし。」<br /> 「え!?…あ、うん。い、いいです、けどぉ……。」<br /> 「文句は無しです!いい顔してくださいね?」<br /> 俺はみくるさんの肩を抱き、引き寄せる。<br /> 「ひ、ひえぇっ!?キョ、キョンくん?か、顔近いですっ!」<br /> 「これくらいじゃないと入りませんよ。ほらっ、いきますよ……はい、チーズ!」<br /> パシャッ。<br /> 「うわあぁぁ……、ちゃ、ちゃんと笑えたかなぁ…?」<br /> 「いや、俺に聞かれても。」<br /> 「ですよねぇ……。あ、キョンくん!ちょ、ちょっと貸してくださいっ!」<br /> 俺はあっさりと、カメラをみくるさんに手渡した。<br /> パシャッ。<br /> 「はい?」<br /> 「えへへ~、キョンくんのマヌケな顔、もらいました!」<br /> しまった……。巻かずに渡すべきだったか。<br /> 「あ~あ……、もう…あと1回分、かぁ……。」<br /> みくるさんが、少し淋しそうな顔で、カメラを見つめる。<br /> 「いいじゃないですか、これでアルバムに入る《ご褒美》が増えますよ?」<br /></div> <br /> <div>「………うん、そう…ですねっ!…ねぇ、キョンくん。新しいカメラをね、買ったら……い、一緒にう、埋めていってください、ね?」<br /> 「もちろんですよ!あ、最後の一枚…俺に撮らせてくださいよ。」<br /> 「え?……ん~、わかりました!あ、あの……良い顔、してくださいね?」<br /> この時見せたみくるさんの笑顔、これで俺は完全に心を決めた。<br /></div> <br /> <div>再び、肩を寄せあった。<br /> さっきと同じように、俺たちは笑顔を作る。<br /> 「じゃ、いきますよ。……はい、チー…あ、みくるさん。」<br /> 「はい?」<br /> チュッ………パシャッ。<br /> 俺は、みくるさんに呼びかけ、こっちを向かせた隙に【キス】をし、シャッターを切った。<br /> 「あ……、え?……えぇぇっ!?」<br /> 「へへへ、ごめんなさい。俺、我慢出来なかったです。まぁ、これは俺の《ご褒美》と思ってください。」<br /></div> <br /> <div>みくるさんは、顔を赤らめて、俯いてしまった。<br /> 「あ~、怒っちゃい…ました?」<br /> 俺は俯いているみくるさんの顔を覗き込む。<br /> チュッ。<br /> 「へ?」<br /> キスされた。しかもマヌケな声を出してしまった。<br /> 「えへへへ……、1回は1回……ですよ?」<br /></div> <br /> <div>うわぁ……イタズラ天使、ここに光臨。<br /> って違うだろ、現実に戻れ、俺。<br /> 「わ、わたしにも《ご褒美》、です。……ダメ、ですか?」<br /> 俺はしばらくみくるさんを見つめた後、言葉を発した。<br /> 「まったく……。これじゃ、みくるさんの方が写真の分だけ《ご褒美》多いですよ?」<br /> 「ふぇ?……あ、ほ、ほんとですね…。」<br /> 「つ~わけで、もっかい、させてもらいますよ?」<br /> 「あ~、う~……はい。ど、どうぞ……。」<br /> みくるさんが目を瞑る。<br /> 俺のイタズラ心、発動。<br /> ゆっくりと…唇を重ねる。<br /> 「ん………ん?んむぅっ!?んむっ………………ぷはぁっ!」<br /> え~、はい。<br /> 少し大人のキスをみくるさんに仕掛けてみました。<br /></div> <br /> <div>みくるさんは、目を潤ませて、こっちを見ている。<br /> 「これも1回……ですよね?」<br /> 俺は尋ねる。<br /> 「うぅっ……。い、一回…です。」<br /> 「ですよね。でも……いやぁ、ドキドキしましたよ。」<br /> 「キョ、キョンくんが言わないでくださいっ!!……わ、わたしの方が…ドキドキ…して……。で、でも…き、気持ち……よかった、ですぅ。」<br /> 「《幸せ》…ですか?」<br /> 俺は尋ねた。<br /> みくるさんは即答で、<br /> 「し、《幸せ》……ですぅ。」<br /> と答えた。<br /></div> <br /> <div>それから、俺達はいろいろな話しをした。<br /> まず、未来からの仕送りが無くなったから、あと3ヶ月も持たないという問題や、<br /> 一人暮らしは危ないから、うちに来てくれと伝えたりした。<br /> 「そう、ですね……。でも、ほ、ほんとは迷惑、かけたくない……です。」<br /> 「迷惑じゃないです。親は絶対に、説得しますから。」<br /> 「は、はい……。じゃ、じゃあ、お願い…します。……キョンくん、か、かっこいい…です。」<br /> そして、23時になったので、帰ることにした。<br /> もちろん、玄関でもキスしましたが。<br /></div> <br /> <div>そして、一人きりの帰り道。<br /> 俺は気付いた。<br /> 「もしかして、俺、メチャクチャ大変なこと言わなかったか?」<br /></div> <br /> <div>~8章・終~<br /></div> <br /> <br /> <ul> <li><a href="//www25.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/1345.html"><font color="#666666">9章</font></a></li> </ul> </div>

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