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「長門とシャミセン」(2020/03/15 (日) 18:29:37) の最新版変更点
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日曜日、特にすることもないので自室でゴロゴロと雑誌なんかを読んでいた。<br>
クシャ<br>
そんな擬音と共にシャミが雑誌の上に乗りニャアと鳴く。猫を飼ったことがある人ならなんとなくわかるだろうがこの行為は“遊んで”のサインか“ご飯催促”のサインなのだが…<br>
うちの駄猫に限りそれはないと断言しよう。何故ならシャミは我が家の家族となってからというもの妹にシッポを捕まれたりドアに挟まれた時以外には鳴いたことがないからだ。<br>
「にゃんだよ?お前が鳴くなんて珍しいじゃないか」ついつい猫言葉が出てしまうのはご愛敬だ。<br>
「暇だから遊びに来た」<br>
ぬあぁっ!しゃべ、喋った!?また喋っちゃったよコイツ!<br>
お前まだ喋れたんかい!というツッコミにシャミは以前とは比べものにならないほど高い声でとつとつ語り始めた…………この声は長門?<br>
<br>
「そう」<br>
つまり要約するとシャミこと長門は暇だから遊びに来たらしい。<br>
これじゃ要約しすぎか。つまりだな、えっとぉ……俺と同じように休日を持て余していた長門は例の宇宙的パワーでシャミセンの体を間借りさせてもらい俺のところに遊びに来たらしい。普通に遊びに来いよ………<br>
「しかしなんでまたシャミに?」<br>
「以前から興味があった。こたつはどこ?」<br>
「ここ最近寒くなったとはいえ今はまだ9月だしまだ出してないな」それに年柄年中こたつを出しっぱなしにしてるのはお前の家くらいのもんだぞ?<br>
「そう。なら出して」<br>
めんどいです。<br>
こ、こらっ!腕を噛むな雑誌で爪を研ぐな!髪の毛を食むなっ!<br>
「ならこたつを出して」<br>
「遊びに来たんじゃなかったのかよ?」<br>
「そうだった。遊んで」<br>
ぶっちゃけ今両さんを探すので忙しいんだけどなぁ、やれやれ…こんな時に妹がいればシャミを無理矢理拉致ってシャミが悲鳴をあげるまで猫っ可愛がりしてくれるのだが…<br>
いや駄目か、シャミはすぐに俺の部屋に避難してくるからな。結局妹まで俺の部屋に入り浸ることになってしまう。居なくてよかった…<br>
<br>
「遊ぶって何をするんだ?」<br>
「…………………」<br>
このタイミングで大量三点リーダーってことは何も考えてなかったな?<br>
「遊んで」<br>
またそれか、やれやれ…<br>
とりあえずネコジャラシで長門の鼻先を攻撃してみる。<br>
「クシュッ」<br>
成果は無し。あたりまえか。じゃあこれならどうだと言わんばかりに長門を抱えあげての喉元を撫でたり背中を擦ったりするが反応無し。<br>
「私は猫ではない」どこか不服そうに言う。撫でる手が止まる。<br>
「どこからどう見ても猫だぞ?」<br>
「でも撫でられるのはやぶさかではない」<br>
長門の目が俺の手のひらをじっと見ていたので撫でくりまわすのを再開。そのまま長門と両さんを一緒に探していた。<br>
長門なら速攻で発見するかと思いきや「猫の目は見づらい」んだそうで結局俺が半分以上見つけてしまった。<br>
長門は飽きたのか帰ったのか今は俺の背中で眠っている。<br>
<br>
「お腹空いた」<br>
不意に背中からそんな声が聞こえた。<br>
「もうこんな時間か…」外を見るとすでに小焼けといった感じだ。妹もいつの間にか帰って来てたらしい、階下で元気な声が響いてる。<br>
「お腹空いた」<br>
「キャットフードとかでいいのか?」<br>
「いや」<br>
いや。って…その体じゃキャットフード以外食べられなくないか?今夜はカレーだし猫には無理だろ。<br>
何に反応したのだろう……長門は俺の言葉に耳をピクリと動かすと「一旦帰る」と言葉を残し本当に帰っていった。<br>
どうでもいいが猫の時の方が感情表現豊かなのはどういう事なんだろうね?<br>
………<br>
……<br>
…<br>
<br>
で、現在。いつもより一人多いい我が家の食卓ではマイスプーン持参の長門がモリモリとカレーを食べている訳だが。<br>
「有希ちゃん今日は泊まっていくのぉ~?」<br>
妹よ、お前は来年最高学年になるんだからもう少し空気を読んだ発言をしてくれ。長門もスプーンを止めて俺の目をじっと見るなよ。また母さんの質問攻めにあいたいのかお前は?<br>
「迷惑?」<br>
「いやそんなことはないぞ?」<br>
そんなこんなで夕食を終え、夜も遅いので長門を送ることになった。<br>
別れ際に「明日も遊びに行っていい?」とか言ってくれるなら可愛いのだが、<br>
「明日も遊びに行く」<br>
一方的に断言したよこの人。まったく、誰の影響だろうね?<br>
「来るなら普通に来いよ?」<br>
「保証しかねる」<br>
余程シャミの体が気に入ったらしい長門はそう言い残しマンションの中に消えて行った。<br>
<br>
<br>
ちなみにその後風呂上がりの親父に「良い大学に入って給料の良い会社に就職しないとな。三流企業じゃあんな大喰らいの子養っていけんぞ」と茶化された。下着くらい着ろよ馬鹿親父………<br>
<br>
完<br></p>
<p>日曜日、特にすることもないので自室でゴロゴロと雑誌なんかを読んでいた。<br />
クシャ<br />
そんな擬音と共にシャミが雑誌の上に乗りニャアと鳴く。猫を飼ったことがある人ならなんとなくわかるだろうがこの行為は“遊んで”のサインか“ご飯催促”のサインなのだが…<br />
うちの駄猫に限りそれはないと断言しよう。何故ならシャミは我が家の家族となってからというもの妹にシッポを捕まれたりドアに挟まれた時以外には鳴いたことがないからだ。<br />
「にゃんだよ?お前が鳴くなんて珍しいじゃないか」ついつい猫言葉が出てしまうのはご愛敬だ。<br />
「暇だから遊びに来た」<br />
ぬあぁっ!しゃべ、喋った!?また喋っちゃったよコイツ!<br />
お前まだ喋れたんかい!というツッコミにシャミは以前とは比べものにならないほど高い声でとつとつ語り始めた…………この声は長門?<br />
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「そう」<br />
つまり要約するとシャミこと長門は暇だから遊びに来たらしい。<br />
これじゃ要約しすぎか。つまりだな、えっとぉ……俺と同じように休日を持て余していた長門は例の宇宙的パワーでシャミセンの体を間借りさせてもらい俺のところに遊びに来たらしい。普通に遊びに来いよ………<br />
「しかしなんでまたシャミに?」<br />
「以前から興味があった。こたつはどこ?」<br />
「ここ最近寒くなったとはいえ今はまだ9月だしまだ出してないな」それに年柄年中こたつを出しっぱなしにしてるのはお前の家くらいのもんだぞ?<br />
「そう。なら出して」<br />
めんどいです。<br />
こ、こらっ!腕を噛むな雑誌で爪を研ぐな!髪の毛を食むなっ!<br />
「ならこたつを出して」<br />
「遊びに来たんじゃなかったのかよ?」<br />
「そうだった。遊んで」<br />
ぶっちゃけ今両さんを探すので忙しいんだけどなぁ、やれやれ…こんな時に妹がいればシャミを無理矢理拉致ってシャミが悲鳴をあげるまで猫っ可愛がりしてくれるのだが…<br />
いや駄目か、シャミはすぐに俺の部屋に避難してくるからな。結局妹まで俺の部屋に入り浸ることになってしまう。居なくてよかった…<br />
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「遊ぶって何をするんだ?」<br />
「…………………」<br />
このタイミングで大量三点リーダーってことは何も考えてなかったな?<br />
「遊んで」<br />
またそれか、やれやれ…<br />
とりあえずネコジャラシで長門の鼻先を攻撃してみる。<br />
「クシュッ」<br />
成果は無し。あたりまえか。じゃあこれならどうだと言わんばかりに長門を抱えあげての喉元を撫でたり背中を擦ったりするが反応無し。<br />
「私は猫ではない」どこか不服そうに言う。撫でる手が止まる。<br />
「どこからどう見ても猫だぞ?」<br />
「でも撫でられるのはやぶさかではない」<br />
長門の目が俺の手のひらをじっと見ていたので撫でくりまわすのを再開。そのまま長門と両さんを一緒に探していた。<br />
長門なら速攻で発見するかと思いきや「猫の目は見づらい」んだそうで結局俺が半分以上見つけてしまった。<br />
長門は飽きたのか帰ったのか今は俺の背中で眠っている。<br />
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「お腹空いた」<br />
不意に背中からそんな声が聞こえた。<br />
「もうこんな時間か…」外を見るとすでに小焼けといった感じだ。妹もいつの間にか帰って来てたらしい、階下で元気な声が響いてる。<br />
「お腹空いた」<br />
「キャットフードとかでいいのか?」<br />
「いや」<br />
いや。って…その体じゃキャットフード以外食べられなくないか?今夜はカレーだし猫には無理だろ。<br />
何に反応したのだろう……長門は俺の言葉に耳をピクリと動かすと「一旦帰る」と言葉を残し本当に帰っていった。<br />
どうでもいいが猫の時の方が感情表現豊かなのはどういう事なんだろうね?<br />
………<br />
……<br />
…<br />
<br />
で、現在。いつもより一人多いい我が家の食卓ではマイスプーン持参の長門がモリモリとカレーを食べている訳だが。<br />
「有希ちゃん今日は泊まっていくのぉ~?」<br />
妹よ、お前は来年最高学年になるんだからもう少し空気を読んだ発言をしてくれ。長門もスプーンを止めて俺の目をじっと見るなよ。また母さんの質問攻めにあいたいのかお前は?<br />
「迷惑?」<br />
「いやそんなことはないぞ?」<br />
そんなこんなで夕食を終え、夜も遅いので長門を送ることになった。<br />
別れ際に「明日も遊びに行っていい?」とか言ってくれるなら可愛いのだが、<br />
「明日も遊びに行く」<br />
一方的に断言したよこの人。まったく、誰の影響だろうね?<br />
「来るなら普通に来いよ?」<br />
「保証しかねる」<br />
余程シャミの体が気に入ったらしい長門はそう言い残しマンションの中に消えて行った。<br />
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ちなみにその後風呂上がりの親父に「良い大学に入って給料の良い会社に就職しないとな。三流企業じゃあんな大喰らいの子養っていけんぞ」と茶化された。下着くらい着ろよ馬鹿親父………<br />
<br />
完</p>