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わんちょぺから見た食糧増産命令



食料増産風景綴り


戦争が始まる・・・、プリンセス・ぽち・ハートガードへの戦闘動員が発令されたあと、ジェントルラット藩国はいきなり存亡の危機に瀕していた。

「なに!?食料を15万トン以上確保しろ!?」

二夜連続の吏族のお勤めを果たしたあと、政庁にて爆睡という名の魂の休息をとっていた吏族・わんちょぺは飛び起きた。

「そうか・・・、戦争するのだから食料が必要になるのは当たり前か・・・。」

自分の見通しの甘さを痛感するわんちょぺ、今までもくるくるしていた藩国の雰囲気がさらにくるくる、・・・くるくるくるくる状態に陥っている。

藩王(代理)の執務室への廊下を疾走しながら、頭の中で準備可能な食料を考える。

「西南農村部の小麦を保存してた分と、北部の漁村からの干物類で・・・だいたい今の保有食料は8万トンほどか。」

足りない、・・・どうしよう?とか考えてる間に執務室に到着、ノックする。

「藩王(代理)!いらっしゃいますか?」

「います、入って下さい。」

ドアを開けると、我が藩王(代理)は机上に広げた書類とにらめっこをしていた。

「失礼します、早速ですが食料増産命令のことでお伺いしました!・・・どうしましょ?」

わんちょぺ、色々考えたがよい考えは出てこなかったらしい。

「まあ、落ち着きなさい。焦ってもよい考えが浮かぶわけではありません。」

この、わんわん帝国騎士たる雨中 正人なる人物は、ほぼどのような危急の状況であろうとも、狼狽する姿を周囲の人物にみせることなく、かなりの数の修羅場を経験してきたらしいとの噂はあったが、事実を知るものはなかった。

「手持ちの食料では足りないのです、心苦しいことではありますが、国民のみなさんに協力をお願いしましょう。」

「西南部の農民と北部の漁民の方々にですか?・・・、確かに現在のままではほぼ、打つ手がないわけですが・・・」

「市場での購入も予定していますが、全く足りないのです。」

「・・・、みなさん納得してくれるでしょうか?」

「・・・、わんちょぺさん、この藩国が承認された時にプリンセス・ぽちから賜ったお言葉、覚えてらっしゃいますか?」

「確か、<私の帝國に忠節を求めぬが、正義には忠節を誓いなさい>・・・です。」

「そうです、現在我が藩国の近隣の国に危機が迫っているのです、これを見過ごすことをこの藩国に住むものがよしとするとは思えません。安心しなさい。」

「・・・、わかりました!では、早速食料の調達に行ってまいります!」

「はい、よろしくお願いします。」

わんちょぺは執務室を出たあと、

「はぁー、やっぱり国を率いる人物はちがうなぁー」

とぼんやり思いつつ、政庁出口へと急ぐ。

「あ、わんちょぺさん!おはようございまーす!」

振り返ると、同じ吏族にして星見司のたらら、文族の吉沢 葉月、大族のキルリアナがロビーでなにやら相談している模様。

「おはようございますー、みんな集まってどうしたんですか?」

と尋ねると、吉沢

「食料増産の件で相談してたんですよ、この藩国、どうなるのかなって・・・」

続いて、キルリアナ

「15万トンないと藩国がなくなっちゃいますよー、ヤバイ、やばいですっ!」

最後に、たらら

「ピー様が来たのに・・・、ピー様がせっかく来たのにー!!」

      • 、くるくるくるくる、そんな擬音がロビーに響き渡る。

「落ち着きなさい、焦ってもしょうがないでしょう?」

わんちょぺは、先程まで自分もくるくるくるくるしてたことを悟られぬよう、藩王(代理)から言われたことを、さも自分の言葉のように話す。

「心苦しいですが、国民の皆さんに協力をお願いしましょう。」(以下略)

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先程の執務室でのやりとりがロビーで再現されたあと、キルリアナは

「はぁー、わんちょぺさんはすごいですね、そうですよね!正義に忠節を誓う国の人々なら、協力してくれますよね!」

どうやら感動したようだ、わんちょぺは心の中でにやりと笑う、しかし、吉沢・たららの両名からすぐ突っ込みが入った。

「キルリアナさん、どう考えてもこれは藩王(代理)の言葉だよ・・・」

「そうそう、わんちょぺさん、さっき執務室から出て来たし。」

これを聞いたキルリアナは、

「えー!、ひどいですよ、わんちょぺさん!!見直して損した!!!」

わんちょぺは狼狽しながら、

「あ、いや、その、まー、なんだ・・・、その通りです、ごめんなさい。」

深々と頭をさげる。

「もう・・・、いいですよ、緊急事態なのだから早速動きましょう!」

「・・・はい・・。」

苦笑しながら見ていたたららは、

「では、俺は貯蔵済みの食料をチェックして来ます。」

次に吉沢

「それでは、私は漁村の方に行ってみましょうか」

で、キルリアナ

「私は、小麦畑の方に行きまーす!」

「って待てーい!!」

ハモる声、三人同時に止めに入る。

「き、きるりあなさんはたららさんと一緒に貯蔵庫チェックがいいと思うよ、ね、たららさん!?」

吉沢、あせりながらたららへ

「そ、そうだね、一人では時間がかかるから、二人の方がいいよ!そうしよう!!」

で、わんちょぺ

「そうそう!!農村の方にはワタシが行くから!!!」

      • 、三人とも力入りすぎ・・・。

実は、キルリアナという人物はかなりの方向音痴。

「極度の方向音痴、一本道で迷う事ができる。」(本人談)

つい2ヶ月前も

「お店でねぎ買ってきまーす!」

と言い残したまま、なぜか一ヶ月の大冒険、針葉樹林を彷徨っているところを農村の人々に保護されるという事件があったばかり。

商店街に行くのにこれでは、とても農村部まで行かせられない。

「そうですかぁ?つまらないなー」

キルリアナは不満そうだ。

「まあまあ、そう言わずに、さぁ!ではいきましょー!!」

たららが声をかけると

「そうですね!!では、いってきまーす!!」

走りだすキルリアナ。

「あぁ!!そっちは厨房ですよー!!!!」

追いかけていく、たらら。

「・・・、大丈夫でしょうか?」

わんちょぺが問うと、吉沢

「・・・多分・・・」

「それでは、我々もいきましょうか。」

「そうですね、では後ほど。」

二人もそれぞれ、漁村、農村へと出発する。

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数刻後、農村へわんちょぺは到着していた。

「あぁー、気持ちいいなぁー」

空は晴れ渡っており、気温は低いものの日の光はあたり一面の小麦畑を照らしている。

「しかし、よくもまぁー、これだけ実ったものだ。」

ぱんぱんに膨れた穂の重さで、どの小麦も頭をたれていた。

「よし!では村長のとこにいってみるかな。」

道ですれ違う人々に挨拶しながら、農村の中央部にある、周りの家より少々大きめの村長の家を目指す。

そもそも人口とか呼べるほどの人数がいる村ではないのだが、村の大通りにあたる道にも人が数えるほどしかいない。

「・・・、なんか村の中にあまり人がいないな、どうしたんだろ?」

頭を捻りながら歩いていき、村長の家の前に着いた。

「こんにちはー!政庁から来ました、吏族のわんちょぺですがー」

      • 、しーん。

返事がない。

「?こんにちは!!!!」

どうやら、留守のようだ。

「どこに行ったんだろう?」

と、そこに村の人であろう女性が声をかけてくる。

「あの、政庁の方ですか?」

「あ、はい、そうですが。」

「村長・・・、というか村の人はほとんど脱穀所のほうにいますよ、案内しましょうか?」

と申し出てくれた。わんちょぺは

「ありがとうございます!おねがいしますね。」

村長の家から小麦畑の方へ歩き出すと、畑に程近い小屋の周りにたくさんの人々が集まっていた。

「なんか、今日はお祭りでしたっけ?・・いや、ちがうよなー?」

女性は笑いながら

「いえいえ、違いますよ。ちょっと村長呼んで来ますね。」

と言って小屋の中へ入って行く、すぐに村長が出てきてくれた。

「いやいや、すいません、村の中に人がおらんで、驚きなされたようですな。」

にこにこ笑いながら、村長が話しかけてくる、内心、

「あーぁ、食料の徴収って言ったら、やっぱり怒るんだろうな・・・。」

と思っていたところ、

「少々おまちいただいて宜しいですかな?お預けする小麦はただいま脱穀中でしてな、量も相当あるので、おそらく、今日一日中かかりそうなのでなぁ」

「え?」

「ん?食料増産命令がでておったろ?それでここに来たのではないのかね?」

「あ、いや、そうなんですが・・・」

「ふむ、では夕刻まで待ってもらえるかな?」

少々呆けていたわんちょぺ。

「・・、すいません村長、一つお尋ねして宜しいですか?」

「なんじゃね?」

「あ、その、国の命令とはいえ、自分達の蓄えを徴収されて、なんで笑っていられるのかと・・・」

「なんじゃ、そんなことか、ぽち王女が仰られた言葉は藩王(代理)様からわしらのところにも伝えられておる、隣国の危機には手を貸すのが当然じゃ。」

わんちょぺは、思った。

小さいが、本当に良い国だと。

この人達の為に、これからもがんばろうと。

「それになぁ、この畑を見てみぃ、豊作じゃ!ちょっとやそこらでは、村は大丈夫じゃよ。」

と舌をだし、笑う村長、一緒にわんちょぺも笑う。

「待ってるだけでは時間がもったいない!ワタシも手伝います!!」

「ふむ、それではお願いしようかのー。」

小屋に入っていくわんちょぺ、作業は夕刻を過ぎ、五つ目の星が空に輝く頃まで続いた。

ー・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・--・-・-・-・-・-・-・

夜、執務室に集まった者達の報告によると、漁村の方も過剰なほどの協力を得ることができ、大量の食料を政庁に集めることができた。

「はい、皆さんおつかれさまでした、それでは、正義への忠節を果たすとしましょうか。」

藩王(代理)の言葉を受け、戦争の準備にまた、皆動き出す。

くるくるくるくるくるくるくるくる・・・・

今夜も政庁内ではこの音が響き渡る。(のか?)

(文章:わんちょぺ)