トルクとジャイロ効果



レシプロ機は全て、 プロペラの回転 に依って推力を得、前進している。
ここで特に問題になるのは「プロペラトルク」と呼ばれる機体が偏向する特性と「ジャイロ効果」と呼ばれる機体が回転しようとする特性で、レシプロ機特有の現象であり、特に単発機にその傾向は強い。
その理由は、機首に存在するプロペラが生む推力の方向と、ジャイロ効果にある。
プロペラが操縦者から見て右に回転するとき、その推力となる空気の流れは機首から発生し機体の後方へ向かって回転する渦となって流れる。
その結果、機体の右の翼には下から上向きの風が、左の翼には上から下向きの風が、垂直尾翼には右から左の風が当たることになる。
また、ジャイロ効果と云う回転物を支える物体は回転物と90度逆方向に回転しようとする働きも加わって、機体は常に左に回転しようとする力と、右に機首を向けようとする力が加わることになる。
従って機首を前方にまっすぐに向けていても機体は斜めにしか進めない。これを回避するにはラダーを操作してヨーイングに依る当て舵を行うか、トリムを調整して機体を水平直進状態に安定させる操作が不可欠である。
無論、推力はスロットルでエンジン出力を増減することに依って操作に比例して増減するので、この偏向力もそれに伴って増減する。
推力が増減すれば揚力も増減するので機体のピッチアップ動作もそれに伴って変化する。また、推力だけでなく揚力は機体の速度の増減に依っても変化する。
通常、機体の垂直・水平方向のトリムはある程度この偏向力を打ち消すために調整してあるが、機体の姿勢変更を行った場合はこの限りではないので滑り計を確認し必要ならばラダー操作を行わなければならない。
なお、FA3でLevel5以上のアリーナでは「T」キーを押すことで半自動的に機体が3軸のトリムを合わせてくれるが、上記の理由に依り機体の速度の増減で機体に掛かる力は変化する為、一度押したら終わり、では無く機体の状態に合わせて何度でも押さなければならない。
Level5以下のアリーナではこのトルク作用は反映されないので全く関係が無い。つまりFA3でLevel5以下のアリーナは基本的な物理法則を無視した機体でしか遊べないと云うことだ。


Last update:2003/06/07



(C) JAS_SDR

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最終更新:2008年01月21日 02:00