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魔法少女理利
作者 ID:7IcD7Q/Q,ID:MMMaV15U,ID:efKt+TXE,ID:bzqw7uhv,ID:OH3wyy8o
取得元 オリジナル魔法少女陵辱スレ,http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1156666135/
取得日 2007年11月15日
タグ 魔法少女
概要&あらすじ ある魔法少女の誕生。スレ住民のアイデアで設定が発展していった作品です。
ページ 1-2
ご注意:以後の作品の著作権は、作者(書き込み主)にあります。
283 :名無しさん@ピンキー:2007/06/02(土) 21:26:40 ID:7IcD7Q/Q
 黄昏時の道を一人の少女がテクテクと歩いている。背中の中ほどまでかかる髪と
活発そうな顔立ち、整った鼻梁をした少女の名は北条理利といった。
「ウーン最近この辺も不審者が出るって言うし日の暮れる前に帰りたいけど
部活もサボるわけにはいかないしどうしよう」
彼女の所属する剣道部はさほど厳しい訳でもないが、彼女は部長・副部長以外で
唯一の有段者なので先輩方は次期部長としての振る舞いを無言のうちに
要求することが多いのだった。
「あら?」
 彼女は歩みを止めた、視界の端に何かが煌いたのだ。そちらに足を運ぶとなにやら
宝石のようなものが落ちていた。“ような”と付いたのはそれがあまりに
大きかったからだ、赤子の握りこぶしほどもあるそれは博物館でもめったに見られない
大きさだった。じっくりと見つめようと思わず手にとった、指紋が付くとか
そんなことはまったく考えもしなかった。ところが、宝石は指先が触れた瞬間に
まるで魔法のように消えうせてしまっのだ。信じられない光景に彼女は
狐につままれたように瞬きしたがすぐに白昼夢を――時刻は夕暮れを過ぎていたが――
見たのだと結論付けた。あんな凄い宝石が道端に転がってるはずが無いのだ、うん。
(夢じゃあないんだけどね)
「え? 誰」
 突然頭の中に響いた声に驚いて周囲を見回したものの人影は無かった。
誰かに見られたらこのご時世いささか肩身が狭くなったかもしれない
(さっき君の拾った宝石だよ)
「どこ? どこから話しかけてるの」
 そもそも何で宝石が語りかけてくるのかということには頭が回らなかった。
(君の体の中からだよ)
 君 の 体 の 中その言葉が耳に入った瞬間あまりの展開に混乱気味だった
彼女の頭のなかはとうとう収拾が付かなくなった。
ああ、あの宝石は疑似餌でうっかり手に取った愚かな獲物の体に入ると
中で増殖してR-15指定な展開に何で私こんな馬鹿な真似をくぁwせdrftgyふじこlp
(あのーもしもし人をウイルスや寄生虫みたいに言わないんで欲しいんですけど)
 彼女が会話が可能なレベルまで落ち着きを取り戻すまでに人が
通りかからなかったのは僥倖であったといえるだろう。
 この宝石――便宜上彼と呼称する――が語るには彼は莫大なエネルギーを秘めた
鉱石で、ある特殊な用途の為精錬する工程の最中起こったトラブルで意志を持ち、
動力炉に放り込まれるのは勘弁とばかりに逃げ出して“こちらの世界”に
やってきたのだそうだ。
(意思を持った上に異次元移動をする鉱石って何なのよ……)
そう思ったが口には出さず彼女は違うことばを口にした
「それはそうとあなたの名前はなんていうのかしら」
(うーんずっと元素名や化合物の名前で呼ばれてたんだけどこれって君のことを
人間だのホモだのと言うみたいな物だからやめて欲しいんだ。これも何かの縁だし
君に名前をつけてもらおうかな。それと君と僕とは念じるだけで意思の疎通
が出来るから何も無い虚空に話しかける必要は無いよ)
(そうね……元素名がだめなら異世界からの客人ということでジュチ……はちょっと
問題があるか。じゃあ客人の雅語のまろうどをもじってマロードにしましょうか)
(いい名前だと思うよそれじゃあ僕はこれからマロードだ)
 適当に考えた名前もそれなりに気に入ってもらって一安心したところで少女は
あることに気が付いた。言葉に出さずとも意思の疎通が出来るということはさっきの
パニックになったときの心の中も見られてしまったのだろうか、というか考えただけで
伝わってしまうとは私にもいろいろと生理的欲求とかあるのにプライバシーとか
どうなるのだろう?そう思うとカッと血が上って来るのを感じた。
(ああそれなら事前に伝えてくれればこちらで遮断できるから君の方からも遮断できる
ように後でやり方を教えてあげるよ)
(本当に?)
(もちろん!)
その言葉に安心した少女は家路を急いだ。体内に間借りする許可を出した
覚えなど無いとか、分離するにはどうしたらよいかとか、追っ手が来たらどうするのか、
そもそも鉱石がどうやって体内に入っているのかとか訊いておくのを忘れたことに
気づいたのはそれから随分経ってからのことである。

289 :1/4:2007/06/07(木) 21:33:42 ID:MMMaV15U
さすが俺だ姉に書いてるのを見られてもなんとも無いぜorz
魔法少女理利投下します

「……とこのようにノルマン朝シチリア王国は当時の先進地域であった
イスラム世界の強い影響を受けており、優れた官僚機構を備えていました」
4時間目の体育での疲労と昼食で膨らんだ胃を抱えて世界史の教師が延々と
垂れ流す雑談を聞くのは苦行に等しい。北条理利も例外ではなくとろんとした目
をして机に突っ伏していた。奇妙な同居人たるマロードとの生活が始まろうと
学校はいつも通り出席する必要があるのだ。
(理利、寝ちゃだめだよ昨日読んでた本にも少年老い易く学成り難しって書いて
あったじゃないか)
(この先生雑談はテストに出さないから大丈夫だよ、
大体私少年じゃなくて少女だし)
口を酸っぱくして忠告をするマロードに辟易した理利は
理屈になってないことを言った。マロード曰く意思の疎通を遮断するには
或る程度精神を集中して何かを切断することを
イメージする――理利は糸電話をイメージしている――のがコツらしいのだが
こうも眠いととても出来そうに無かった。
教師が歴代シチリア王――引きこもりとかマッドなアンチキリストとか――の話
からマフィア映画の話に移った頃話を聞いているものはほとんどいなかった。
例外の一人であるマロードが言うには鉱物である自分は睡眠欲は存在しない
――休眠状態にはなれる――そうで理利が眠っている間は暇をもてあましている
とこぼしていた。理利は自分が眠っている間マロードが彼女の体を勝手に
動かせないことを感謝すべきであるかもしれない。

290 :2/4:2007/06/07(木) 21:36:26 ID:MMMaV15U
部活を終えた理利は家路についていた。
(ねえ理利この間不審者が出没するっていって無かった?人気の無い公園を
つっきるのはどうかと思うんだけど)
(週末に友達と出かけるから早めに課題をかたずけたいのよ。土日に部活が
無いなんてめったに無いんだから)
(五分や十分じゃそう変わらないと思うけどなあ)
言葉こそ無いがにぎやかに会話を繰り広げる二人。案外これが原因で
一人で歩いているという意識が薄いのかもしれない。
唐突に少女の歩みが止まり夜道を歩く際のセオリーを無視して物陰に隠れた。
少女の緊張した視線の先には何者かが立っておりそれは夜目にも
明らかなほどに尋常ではなかった。直立こそしているものの、
全体のシルエットはむしろ節足動物のものだこの世のものとも思えない。
(ねえマロードアレって)
(うん、おそらく僕のいた世界のものだ気付かれない内に早く離れよう)
少女に異存のあろうはずも無くそろそろと離れようとする、
だがその動きが再び止まった。位置を変えたことで、何者かに遮られ
死角になっていた場所に自分と同じ年頃の少女が
へたり込んでいたのが見えたのだ。
(理利!何してるんだ早く!)
叱咤を受けてわれに返った。そうだ、急いで離れて携帯で警察を呼ぶなり
近所の人に大声で助けを求めるなりすれば少女を助けられる……かもしれない。
だがいかなる偶然か運命のいたずらか次の瞬間理利は気づいた
、気づいてしまったのだ。その少女が彼女の友人であることに。
もう何も考えることなどできはしなかった。

291 :3/4:2007/06/07(木) 21:40:19 ID:MMMaV15U
いたい、イタイ、痛い、理利は激痛で意識を取り戻した。口の中を切ったのか
血の味がじわじわと広がっていく打ち身や擦り傷があちこちにある。
そんな中で彼女は自分の身に何が起こったのかおぼろげながら思い出した。
友人の危機に逆上した彼女は通学鞄――辞書が二冊入っている――
を投げつけて注意を引き付けたあと友人から引き離そうとした
が逃げ切れずに殴り飛ばされたのだ。
(理利立ち上がって!早く逃げるんだ!)
マロードの声に立ち上がろうとするが何者か――蟷螂のような顔だ――
は目前に迫っている。気を失っている間に止めを刺されなかったのが
不思議なぐらいだ。痛みで体が思うように動かないもしかしたら骨が
折れているのだろうか?とても逃げ切れそうに無い。
このままでは殺される!死ぬ?死んでしまう!
「そんなの嫌!」
絶望に包まれる彼女の目の前でいわゆる走馬灯なのだろうか、不思議な光景
が流れていく。周囲が巨大な奔流の渦になりその中心にたたずむ
彼女の目の前には不思議なとても暖かい何かがある。
溺れる者は藁をもつかむという、彼女はその何かに手を伸ばした。
何かに指先が触れると周囲が光に包まれ徐々に全身から痛みが引いていった。
光が収まると彼女はもといたところに立っていた。火照った体に触れる夜
気が心地よく、熱に浮かされたようにぼんやりした意識が元に戻り、
思考能力が回復すると彼女は己の服装が一変していることに気が付いた。
青と白を基調にした服と靴を身に纏い、肘の下まで覆う白い籠手と
膝を守るプロテクターのようなものを装着している。
彼女の戸惑いを打ち切ったのはやはりマロードの声だった。
(理利やつが来る!)
その声に反応して後方に跳躍する体が軽い、まるで羽毛のようだ一息に
数メートルを移動し着地の際体の勝手の違いにたたらを踏んだ。

292 :4/4:2007/06/07(木) 21:45:44 ID:MMMaV15U
(信じられない……装置も無しに僕からエネルギーを抽出するなんて)
マロードの呟きからして今の力の源は彼のなかに眠るエネルギーのようだ。
五感とは異なる何かが自身の肉体の中を莫大なエネルギーが
駆け巡っているのをおぼろげながら知らせ彼女は蟷螂顔を見据えた
今ならやつを倒せる気がする。しかし、素手では不安だ武器が欲しい
それも扱いの比較的楽な打撃武器か、もしくは初歩とはいえ心得の有る剣が。
その意思に反応してか右手が灼熱する、理利は直感的に剣をイメージし、
それに反応して剣の形をしたエネルギーが右手に形成された。
「はぁ!」
必殺の突きを繰り出す小学生では禁止される技なだけはあって一撃で胴を穿った。
だが蟷螂顔はそれにかまわず右手を振るう、少女が武器に執着せずに
腕を使ってブロックしたのは賞賛に値するだろう。さっきまでなら腕をへし折られて
吹き飛ばされる打撃だったが飛躍的に強化された肉体は僅かな後退で凌ぎきった。
少女の手から離れた剣が虚空に霧散して消える、その直後の光景に彼女は目を
疑った。
「傷が、消える?」
(さっき君もやったじゃないか)
マロードの茶々に気を取り直した彼女は再び剣を形成すると今度は
足の関節を切り落とした。点の一撃がだめなら線の一撃を加えようというのだ。
目論見通り今度の再生には少々時間がかかるようだ、そして彼女は
あることに気が付いた。今までは自身の莫大なエネルギーに隠れ
蟷螂顔のエネルギーの流れに気が付かなかったのだが、
蟷螂顔に二箇所エネルギーが集中してる場所がありそれは傷口と
人間で言う鳩尾の部分であった。
(多分そこが動力源だ傷の修復の為に出力を上げたんだろう)
彼女の思考に反応して助言をするマロード。蟷螂顔は足の修復が終わっておらず
身動きが取れないようだ。やるなら今しかない!
少女の剣が蟷螂顔の動力源を貫き動きを停止させるとほど無く蟷螂顔の動き
も止まった。理利は危地を脱したのだ。
(ふう、じゃあ帰りましょうか)
(えー普通はここで変身解除するとかしてから帰るでしょう)
(あのね、私はこの格好を見られてコスプレ娘と思われるリスクと変身解いたら
なぜか全裸でストリーキングを敢行するはめになるリスクとでは
前者を選ぶ人間なの)
(エネルギー供給するの僕なんだけど……)
こうして二人は家路に着いた。携帯で友人の無事を確認したことと、
自室で変身を解いたらちゃんと制服を着ていたことを追記しておく。

307 :魔法少女理利1/3:2007/06/11(月) 19:54:37 ID:efKt+TXE
男が椅子にどっかと座って手持ち無沙汰にしている。男の屈強な肉体には
質素な椅子が少々窮屈に見え、男から漂う風格と身形は彼がそれなりの地位
にいることをうかがわせた。半時ほどして
「お待たせいたしましたスランゴール将軍」
と背後から声がしたので男が振り向くと部屋の入り口にもう一人の人物が
入ってくるところであった。こちらは男とは対照的な痩身である
「いや、イグシャム長官も多忙な中、こちらの尻拭いをしていただいて
こちらの方こそ申し訳なく思っている。ところで……」
二人の会話からさっするに双方かなりの地位にいるようだ。
「ええ、その件ですが所在が不明になっていた実験体の所在が判明しました」
「さすが情報部は精鋭ぞろいだな」
「ですがその場所が問題で……。実験体は破壊された状態でアレが転移した
先の世界で発見されたのです」
スランゴールの表情が驚きで僅かに変化した。
「実験体には空間転移の能力は無かったぞ」
「ええ、つまりただの脱走ではなく何者かの介在があったと言う事になります。
さらに実験体が戦闘で破壊されたとすればその騒ぎに気づいたアレが
逃亡するかもしれません。空間転移なら痕跡がはっきり残るので追跡は
容易ですがそれ以外の方法でなされた場合、伝の一切無い異世界での
捜索は困難を極めるでしょう」
「まるで何者かとやらが“計画”を妨害する為に仕組んだようではないか
“計画”なくして我らの繁栄は無いというのに」

308 :魔法少女理利2/3:2007/06/11(月) 19:56:07 ID:efKt+TXE
「“計画”の為にわれらも全力を尽くすつもりです。ところで将軍
異世界へ送り込める人員は諸般の事情でそれほど多くありませんが、
荒事が発生した際の用心に将軍の配下で何人かをすぐに送り込めるように
していただけ無いでしょうか」
「うむ、協力は惜しまぬつもりだ。心利きたる者を選抜しておこう」
力強く請け負うと将軍は長官の下を辞去した。

さて、問題のマロード達はといえば……

散々焦らされた挙句に目の前に差し出された“それ”はあまりにも大きく
少女はごくりと唾を飲み込んだ。貪る様に口に運び硬いものを舌で舐めまわす。
嚥下したものが食道を蹂躙する感覚に少女は陶然とした表情を浮かべた。
そんな少女の口元をつつっと指がなぞった。
「本当に理利はこれが大好きよねえ」
そう揶揄すると声の主は理利の口元を汚していた白いものが付着した指先を
見せつけるように理利の目の前にかざすとぺろりと舐め取った。
遅まきながら自分の狂態に気が付いた理利は俯くと耳まで赤くなって、
「だって、ここのパフェ大好きなんだもん」
とか細い声でつぶやいた。

309 :魔法少女理利3/3:2007/06/11(月) 19:57:00 ID:efKt+TXE
約束どおり友人たちと遊びにでかけて喫茶店に立ち寄ったのだ。
「まあ理利が甘党なのは今に始まったことじゃないけどね」
(僕は理利の欲求に忠実なところ好きだよ)
かけられる言葉にますます縮こまる理利。と、そこへ救いの手が差し伸べられた。
「ねえ理利~、私の体験がほんとだって吉美に理利のほうからも言って頂戴よ」
そういった少女は本庄繁子といって先日蟷螂頭に襲われていた少女だ。
理利はうなずくと
「自分でもいまだに信じられないけど繁子が怪物に襲われたのは確かよ」
と、理利をからかった人物、藤田吉美に事実であると証言して見せた。
「ふーんそれで颯爽と繁子の危機を救ったのよね。かっこいいなー惚れそうだわ」
「そうそう、腰が抜けた私のために自分がおとりになってくれたのよ」
盛り上がる友人達に控えめにうなずいて見せた。
一歩間違えたらというより何かの間違いで変身した為助かったものの、
普通は助からなかったのではあるまいか。
(ところで理利)
(なに?マロード)
(あの蟷螂頭次の日影も形もなくなってたけどどうしてだろう)
(警察か何かが回収したんじゃないの?)
(あんな君達から見て正体不明の怪物回収するにも異臭騒ぎがおきたとのように
避難勧告が出てもおかしくないよ防疫部隊とかが動けばニュースになりそうだし)
理利にはマロードの意見が当を得ているかどうかわからなかった。
しかし、心に不安が雲の如く広がるのを感じた。

324 :魔法少女理利1/4:2007/06/24(日) 07:34:35 ID:bzqw7uhv
意思を持ってまもなく逃亡者となったマロードは知らないことであるが
彼の生まれた国――名前を日本語に直訳すると楽園の国――の歴史について
ここで少し述べておくと、かつては名前とは裏腹の過酷な環境の小国
であった。それが一変したのはある一人の人物の出現による。
その人物カウナスは人間の生命エネルギー――ここでは魔力と呼称する――
とほぼ同じ性質のものを無生物から抽出することに成功したのだ。
才能と技術に左右される人間の魔力に比べ条件をそろえやすい無生物の魔力は
大量生産に最適だった。彼はその卓越した技術力でさまざまな魔導具
を開発し、かつそれを普及させた。どうやら彼は技術者のみならず経営者
としての手腕を有していたようだ。誰でも使える魔導具の普及によって
力をつけた魔力の弱い人々――それまで下層階級であった――の支持と
経済力によって彼はついに国を動かす立場となる。
ある種の産業革命によって他を圧する力をつけたこの国は飛躍的に
発展し文字通りの楽園となったかに思えた。民衆は彼を国父と讃え終身執政官
の地位につけた。
だが若き天才と呼ばれた彼も老いるときが来た。彼の余命が残り少ない
と知った彼の崇拝者――と彼の威を借りて後ろ暗いことをしていた連中――
は恐慌をきたし、ついでとんでもないことを考えた。魔法生物と自動人形
の技術を使い彼に不死の肉体を与えようと考えたのだ。
これにはさすがに内心多くの反対者がいた。あの方は本当に望んでいるのか、
不死の統治者なんて寒気がする、ポストがひとつ減るじゃないか等等。
そんな声なき声を無視して彼の新たな体は着々と作られていった。
アダマントの内骨格オリハルコンの表皮……。ところが彼の新たな肉体
にほぼ無制限の魔力を与える奇跡の石
――あまりに凄いのでこれまで使用されず博物館に展示されていた――
が行方不明になってしまったのだった。
現在奇跡の石無しでも動く為の改良と奇跡の石の捜索が行われている。

325 :魔法少女理利2/4:2007/06/24(日) 07:36:40 ID:bzqw7uhv
「よしっ!書類は完璧だ」
執務室でそう声を漏らした人物は大兵肥満という表現が似合う人物で
名をバムといい、一応将校である。彼は権力に興味は無いが物欲はあった。
宝石のような外観の奇跡の石を捜索するという名目で向こうの宝石を
略奪してしまおうと考え、必要なものを準備する為の書類を製作していたのだ。
書類は無事通過し準備を整えると彼は部下の魔法生物を送り込んだ。
もちろん失敗など考えられない。魔法を基準として物事を考える彼にとって
空間移動の技術を確立していない理利の世界など野蛮な世界なのだ。
彼の考えには略奪した財産で引退後酒池肉林の生活を送ることしかなかった。
――余談だがマロードの生まれた世界にも若い女性の瑞々しい生命力
に溢れた肉体と触れ合うことで長寿を保つという思想が存在する――

さて、部活動を終え帰途に着く理利の耳に怒号と悲鳴が聞こえてきた。
無鉄砲というべきかそんな事態を見過ごせる彼女ではなかったので
自然とそちらに足が動く。そして彼女は宝石店の入り口から袋を担いだ
二足歩行のアリをおもわせる怪物が二匹出て行くのを目撃した。
とりあえず怪物は後回しにして店内に向かうと店員や客と思しき
人が倒れていた。幸いなことに命に別状は無いようだ。
比較的軽症の人物――通報もこの人が既にしたそうだ――
がほかの人に応急処置をするのを手伝っているうちになにやら沸沸と
怪物への怒りがわくのを理利は押さえきれそうに無かった。
(このあいだ死にかけた気もするけどそれでも行くの?)
(ごめん、マロードには迷惑なのはわかってるんだけど……)
(ううん灰色の永遠より虹色の一瞬って言うでしょ理利の好きにしなよ)
(一瞬ってどういう意味よ)

326 :魔法少女理利3/4:2007/06/24(日) 07:37:58 ID:bzqw7uhv
基本的に接続を切らない限り理利の強く思ったことはマロードにも伝わる
友人の危機を目撃した際の焦燥、食事の際の満足感、傷つけられた人を
見ての加害者への怒り、そんなものが文豪の書いた小説に匹敵あるいは
凌ぐほどの臨場感を持って伝わってくるのだ。意識を持って以来理利と
出会うまでずっと孤独だった彼は彼女の感情にすっかり魅了されている。
だから彼はたいていのわがままは聞きとどけてみるつもりなのだ。
人気の無いところへ駆け込むと呼吸を整え精神を集中する。無我夢中で
変身した前回の感覚は良く覚えていないが力の源がマロードである
と知っているので何とかなるはずだ。
(お願いマロード力を貸して)
(任せて!)
体内をエネルギーが駆け巡る感覚とともに
身に纏う衣服が前回と同じく青と白を基調としたものに変わった。
体が軽く火照って意識が恍惚となるがすぐに収まる。
(ところでずいぶん距離が離れたと思うけれど探す当てはあるの)
いわれて当てが無いことに気が付いたがどうしたものだろう。
思案する彼女は何とはなしに奇妙な感覚に気づき、当ても無いので
その感覚に意識を集中しようと目を閉じた。
どうやら自分たちと近い存在が二つ移動しているような気がする
追いかける価値はあるかもしれない。
足に回すエネルギーを増やすと一気に加速。
二足歩行は高速移動には適さない、そんな厳然たる事実を覆す
かのように少女の肉体は躍動する。信じられない物を見たかのように
呆然とする道行く人をはねないように、そして車にぶつからないように
走るのは少々骨が折れたがまもなく先ほど探知した場所に着いた。
そしてもう一度感覚を集中し、位置を探った。
先ほどの二体のほかにもう一つ大きな反応があるがなんなんだろう?
(たぶん転移装置だ。僕がこっちに来たときと似た感覚がある)
二体は転移装置と思しき場所に向かっているようで急げばギリギリで
間に合いそうだ。
そう判断すると少女は再び駆け出した。アリの怪物を視認すると
さらに足を速める。怪物が振り向いた、気づかれたようだ。だが、
追いつくのは時間の問題……。

327 :魔法少女理利4/4:2007/06/24(日) 07:43:03 ID:bzqw7uhv
「キッキキー (訳ここはオレが食い止める。お前は先に行くんだ)」
「キー (訳そっそんな~)」
怪物の片割れが方向を変え少女に向かって突進する。
そして手に持った宝石の入っているだろう袋を投げつけてきた!
「え?」
それは油断か、それとも貧乏性か少女はそれを反射的に受け止めてしまった。
必然的に生じた隙を見逃さず怪物は猛然と地を這うような低く鋭い
タックルをぶちかました。手のふさがっている少女を見事転倒させると
勢いのまま二転三転する。
理利は声にならないうめき声を漏らすと袋を手放した。完全な失態だ
怪物がもし毒を塗った短剣でも持っていたらすでに勝負は付いている。
剣道にも組打ちは存在するがレスリングなどに比べその練習の
比率は少ない。それでも彼女は力任せに右腕の自由を取り戻すと
右手に短剣を形成させ強引に怪物に突き刺した。
耳をつんざくような絶叫とともに滅茶苦茶に暴れだす怪物に
さらに深く突き刺しえぐるようにねじ込む。怪物の力が徐々に弱まり
ついに動かなくなった。やっと動かなくなった怪物から離れ
よろめきながら身を起こすと気息を整えあたりを探る。
(理利、もう一匹には逃げられちゃったね)
(うん……)
周囲にはもう何者もいなかった。陰鬱な気持ちで理利は変身を
解くと乱れた髪を手櫛で整え袋を手に取った。せめてこれだけでも
返しておかないと。そう考えたのだがここではたと気づいた
どうやって事情を説明しよう?事実をありのまま言うわけにも
いかないだろうと思った。結局、不審な袋をみつけた通行人が
不安に思って警察に通報するという体裁をとることにした。
毒ガスの恐れがあると判断され避難勧告一歩手前の騒ぎになり内心
大いにあせったり、事情聴取で怪物の死体について聞かれ、通りかかった時には
すでに死んでいたの一点張りでごまかしたりで家に帰ったとき
にはかなり遅くなってしまったのだった。

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