Pottaの錬金術バンザイ

バナジウム白書

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バナジウム白書

話題のバナジウム水について考える

最近世の中に出回りつつあるバナジウム水。
インシュリンに似た働きがあり、血糖値を下げ、血をさらさらにするらしい。
バナジウムは健康食品添加剤として有用なのか?
有用ならばなぜなのか?
それとも、”あるある話” 的なものなのか?
この手の話は1/4で聞くpottaの独断と偏見で考察してみた。
(信頼度:10年前の天気予報程度です。)


1、健康食品添加剤としてのバナジウムの効用

  ・血糖値を下げる:インシュリンに似た性質がある。
  ・脂質、コレステロールの代謝を促す。
  ・中性脂肪値を正常に保つ
  ・動脈硬化を防ぐ

これらの効果はラットを用いた実験によって1970年代に確かめられていますが、その生理作用についてはまだ研究段階であります(Ⅳ、Ⅴ価について)。
また、健康増進法で定める栄養素のミネラルにバナジウムは含まれていません(Ca、P、K、Na、Mg、Fe、Zn、Cu、Mn、I、Se、Crの12種類)が、身体に必要な微量元素として各方面で研究されています。

ちなみに、金属元素としてのバナジジウムには毒性があり、吸気すると呼吸器系疾患
(気管支炎、気管支痙攣、喘息など)を引き起こす場合があるので注意しましょう。
。。。って金属単体をそのまま使うことはないでしょうが。


2、バナジウムを多く含む食品(100gあたり)

  干しひじき:520μg
  味付け海苔:270μg
  焼き海苔:130μg
  アサリ:110μg
  ウニ:63μg
  ホタテ:32μg

  →ある種のキノコやホヤの中にはバナジウムを多く含む種類があります。特にホヤはバナジウムを濃縮する能力を持っているようで、その辺りの研究を行っている方もいます。

これに対し、現在市販されているバナジウム水に含まれる濃度は5〜8μg(100mL中)です。


3、所見
最近、静かにブームになっているバナジウム水の効果については、ある程度の期待が持てそうです。しかし、バナジウムは貝や海藻に多く含まれ、昔ながらの日本食で充分に摂取できる物と思います。
高級な食材でなくともアサリ、シジミ、ひじきなどを普段の食卓に一品入れるだけでも十分効果が期待できるのではないでしょうか。
昔ながらの日本食では不足がちと言われているのはカルシウムのみと言いますが、これはあながち否定できないことであると改めて思いました。


○その他(産業利用ほか)
元素記号:V
主な用途
○バナジウム鋼
 鉄に少量固溶させることで結晶粒が小さくなり、耐摩耗性、耐食性、靭性が向上する。
○酸化触媒(五酸化バナジウム:V2O5
  ・脱硫・硫酸の製造
  ・プロピレンの製造
○セラミックスの上薬
  ターコイズブルー(ZrSiO4にVが固溶したもの。青色)

この金属は日本において産業上有用性が高いが、地殻存在率が低い(クラーク数0.015%)ため供給体制として輸入(南アフリカ、中国)に頼っている。万一の国際情勢の急変に対する安全保障策として国内消費量の最低60日分を国家備蓄している。


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