Pottaの錬金術バンザイ

みんな蛍の光

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chem-ota

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みんなご存知ですか。
みんな蛍の光をとっても見ていることを。
蛍光灯だけでなく、皆さんが今見ているディスプレイも、TVも蛍光物質をうまく利用して色を表現しています。
つまり、ほとんどの人が毎日見ているんですねー
でも、意外とその原理を知っている人は少なかったり。。。?

蛍光は、太陽光、紫外線などの光エネルギーや電子エネルギーに含まれる特定の波長のエネルギーを吸収し、その後、たまったエネルギーを放出することで発光します。この発光色は物質(蛍光物質)の種類によって決まっています。また、電子線は電子回路で制御できますので、結果として電気で色をコントロールすることができます。
原理を可能な限り簡単に書くと、下の図の様になります。



さて、皆さんが利用しているディスプレイは大きく分けて
下記の3種類になると思います。

1、ブラウン管
2、プラズマディスプレイ(PDP)
3、液晶ディスプレイ

まず、ブラウン管ディスプレイの場合、
電子銃からの電子エネルギーを吸収することで発光しています。
三原色の材料には発光体として

赤:Y2O2S:Eu
青:ZnS:Ag
緑:ZnS:Cu,Au,Al

が使われており、約10μm(10/1000ミリ)で膜状に塗布されています。
電子銃からの電子線は1種類なのですが、場所によってこれらの材料が異なるため、
上図の「決まった色を出しながら興奮が冷める」時にそれぞれ赤、青、緑の光がそれぞれでます。
これらの光の三原色(赤青緑)を発光する物質を一組にした物を数珠つなぎにした列が
アナログ放送で525本、ハイビジョン放送で1125本使われています。

つまり、非常に「細かい仕事」がなされているのです。

(もっと言うと、より良く映像を映し出すために、シャドーマスク管の採用や、飛び越し走査などの工夫などがなされていますが、材料化学から話題が離れるのでこの辺で。詳しくはここで出てきたキーワードで調べてみてください。)



プラズマディスプレイ(PDP)の場合、
蛍光物質を用いた発光の原理は同じなのですが、電子銃を使わず、各素子自体が発光するため薄型化が可能です。
画面の表面は、約0.1mm程度に2枚の電極ガラスを挟んだ後、これを無数に仕切った非常に小さな空間(セル)に、ガス(Ne、Xeなど)を充填した構造になっていて、それぞれの小さなセル一つ一つに数百ボルトの電圧を自由にかけれるようになっています。
そのセルに電圧をかけるとガスは「プラズマ」状態になり、中性の原子と衝突したりして紫外線を出します。この紫外線をあらかじめセルに塗布されている蛍光物質が吸収し発光するのです。

また、PDPの発光素子は自らが発光するタイプのディスプレイ
であるため、

視野角が広い(斜めからでも画面がぼけない)
応答が速い
色純度が良い
大画面化が容易(液晶と比較して)

と言われています。
また、構造は無数の小さな蛍光灯があるような物なので消費電力が大きいと言われてきましたが、原理的に「黒」は消灯していることと同じであり、また他の技術革新に伴って平均的な動画像については、バックライトを常時点灯している液晶TVより小さいと言われています。
しかし、明るい所でのコントラストがとりにくい、疑似輪郭の発生、画面の焼き付け、セルの構造が複雑なので小さく出来にくいため、高精細化が困難な点が問題点となっています。



液晶ディスプレイの場合(ようやく(_ _,)/~~ )、
発光はバックライトの光を利用しています。
ご存知の通り、電子銃を使わないので薄型化が可能。
光源は冷陰極管と導光板(エッジライト方式)が主に用いられており、
発光原理は蛍光灯とよく似ています。

じゃ、液晶って何のために使うのでしょう。

実は光のシャッターをつくっているのです。
液晶とは、粒子の方向に何らかの秩序(繰り返しの構造)を持ちながら、流動性を持つ物で、液体と結晶の中間状態とされています。
液晶には電圧が印加されると一定の方向の振幅を持つ光(偏光)の向きを変える性質があります。
液晶ディスプレイでは、液晶を透過した偏光をさらに偏光フィルターを通して人間の目に映し出します。
この偏光フィルターはある一定方向の偏光のみを透過させる物質で出来ているため、電圧が印加された液晶によって曲げられた光は、このフィルターを通過できなくなります。
つまり、これらを組み合わせることにより、電気でコントロールできる光のシャッターをつくることができます。
液晶ディスプレイは、この光のシャッターの開閉で画像を表現するので、バックライトは常時つけっ放しになっています。
(ちょっと違うけれど、窓に使うブラインドをイメージしていただければわかりやすかな。)


この様に現在、いろいろな方式のディスプレイが出回っており、その特徴も様々ですが
色に関しては基本的にはみんな蛍光(蛍の光)を利用しているのです。

ちなみに発光素子の材料としてはCd(カドミウム)を用いた物などもっと高輝度で多彩な発色材料があるのですが環境への負荷(公害)を考慮して学術研究以外の開発は難しいのが現状の様です。


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