【ソング】調声入門




<基本的な感覚>


CeVIOの音声合成方式では、人間が声を出す過程をシミュレートして音声を作っています。
楽譜情報だけ(いわゆるベタうち)の段階から、音符の並び方を自動解析し、中の人の歌い方を反映して、ある程度自然な歌声で歌ってくれます。
ですので、調声の際も、一から歌声を作るというよりは、「自主的な歌い方を補正していく」という感覚になります。

「CeVIOは、さとうささらというバーチャルシンガーがいて、彼女に楽譜を渡して歌ってもらうようなもの」

MIDI情報に基づいて波形をつなげていくVOCALOIDは、楽器に近い。
CeVIOの調整機能は 「スタジオで歌手に、そこは少しためて歌って、と指示するようなイメージ」 という。(出典




<CeVIOのソング機能が得意なこと、不得意なこと>

調声の説明に入る前に、VOCALOIDやUTAUと比較した特徴を簡単に見てみます。
CeVIOが不得意なことは不得意と割り切って、得意なことで表現するほうが楽しいかなと思います。
(他方で、工夫次第でツールの限界を突破できちゃうこともありますが。)

得意なこと

  • ベタ打ちでも比較的自然に歌う。自動でブレスを入れてくれる。
  • 音符間のつなぎが滑らか。子音の発音がはっきり明瞭。
  • ピッチ編集や音量編集が直感的で容易。
  • 発音のタイミングを細かく操作できる(子音の溜めや、歯切れの良し悪しなどを表現できる)。
  • 声全体の成熟度を調整できる。
  • 音符ごとに裏声を指定できる(ただしボイスによって効き目に差がある)。

不得意なこと

  • 音符ごとに音色を変えられない(とはいえピッチ操作である程度は変わる。また、トラック分けと声質パラメータ調整である程度変えることは可能)。
  • 曲調とボイスによっては、発声がはきはきしすぎてしまう(ただしタイミング調整で修正可能)。
  • 人間が歌えないような、極端な高音・低音や極端な早口だと、不自然になりやすい。
  • VOCALOIDやUTAUで音質の良いものと比べると、音質が粗め(ミックス時にリバーブなどで滑らかにはできますが)。
  • DAW連携に未対応。

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<基本的な調声方法>

  • 以下の説明では、音符と歌詞は打ち込み済のものとして扱わせていただきます。
  • 音符や歌詞を打ち込んでいない方は →「基本的な使い方
  • 調整画面の操作方法については →公式のユーザーズガイド

1. 音符、歌詞などの調整(NOR)

楽譜情報(音符と歌詞)をCeVIOにとって歌いやすいよう微調整することで、ベタうちでもぐっと自然になります。
ボイス(キャラクター)や音符や歌詞を修正すると、他のパラメータも影響されて動きますので、これらはなるべく他のパラメータより前に調整を完了しておきましょう。
ついでに、声の成熟度(声質パラメータ)も早いうちに決めたほうが無難な気がします。

歌詞の入れ方について

  • ひとつの音符に、2文字でも3文字以上でも、複数の文字を入れることができます。
  • 「っ」を表現するときは、音符と音符の間を空けるのではなく、音符の間を詰めて、前の音符の歌詞に「っ」を付け加えましょう。
    (音符と音符の間を空けると、そこで息を吸おうとしてしまいます。)
  • 発音を歯切れ良くしたい箇所で、前の音符に「っ」を付け加えるといい効果になることがあります。なお、「っ」の空き具合は、TMGパラメータで調整できます。
  • 「ん」などの歌詞を前の音符に含めてしまうことで、自然な歌い方になることがあります。
    例:「あめふりの歌」で、[ぴっ][ち][ぴっ][ち][ちゃっ][ぷ][ちゃっ][ぷ][らん][らん][らん]

音符の長さについて

  • 音符と音符の間を空けると、CeVIOはそこで息を吸おうとします。間が狭いと前後の音符の発音タイミングが狂うこともありますので、音符と音符の間が少ししか空いていない場合は、詰めてしまったほうが無難です。
  • なお、VOCALOIDの調声でよく行われる母音分割は、CeVIOには不向きです。
    (細かい音符ごとに分けて歌ってしまいます。)

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2. 音符、歌詞などの調整(NOR、声質)

声質パラメータについて

  • 画面右端の「声質」バーを上下に動かすと、声を全体的に大人っぽくしたり、子供っぽくしたりすることができます。
  • そのトラック全体に効果が生じます。個別の音符だけに設定することはできません。
  • 表現の使用例としては、AメロBメロとサビとでトラックを分けて、AメロBメロのトラックは声質を少し低めに、サビのトラックは声質を少し高めにすると、AメロBメロは静かめに、サビで盛り上がるという歌い方を自然に出すことができます。

裏声機能(ファルセット記号)について

  • 音符の歌詞に「※」を付け加えると、その音符の歌い方が裏声になります。
  • ボイスや音符の高さなどによって、効果の出方には差があります。高めの音のほうが自然な裏声になります。また、効果の出やすいボイスは黄咲愛里やONEなど、効果の出にくいボイスはさとうささらや緑咲香澄などです。

スラー機能について

  • CeVIOで「スラー」を設定すると、前の音符の母音と同じ歌詞(または「ー」)が続くとき、ボリュームのつながり方がなめらかになります。子音や違う母音が挟まると効果が出ませんので、いわゆる音楽記号のスラーとは意味が異なります。
  • 表現の使用例としては、例えば「あーーー」と音程を変えながら長く伸ばす表現の際に便利です。VOCALOIDの母音分割に少し似た表現ができます。
  • 音符を右クリック→「音符のプロパティ」で「スラー開始」などにチェックをつけると、「スラー開始」の音符から「スラー終了」の音符までに「スラー」を設定できます。ショートカットキーとして、NOR画面で「スラー」を設定したい音符を複数選択してから「Ctrl+R」キーを押すという方法もあります。
  • スラー機能を使ったうえで、TMGの最後の青線を次の音符の線にくっつける、PITを滑らかにするなどすると、音符どうしの繋がりはさらに滑らかになります。

強弱記号機能について

  • 強弱記号を設定すると、その位置以降の発声を自然に強めたり、弱めたりできます。
  • 指定した位置から次の強弱記号まで効果は継続します。
  • 主に母音部分のVOLが増減するようです。
  • 表現の使用例としては、大まかな音量調節のほか、1音や1フレーズだけ音量を変化させるのにも便利です。VOLやDAW上の音量調節と、適宜使い分けましょう。
  • 一部分だけ音量を変化させてもとに戻す場合には、まずもとに戻る部分で強弱記号を設定し、それから変化させたい部分で強弱記号を設定すると、再計算によるパソコンへの負担が小さく便利です。

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3. 発声タイミングの調整(TMG)

「TMG」(タイミング編集画面)を開いてみましょう。ここでは発音のタイミングを細かく調整できます。
ピンクの線は、歌詞の音素(母音・子音)が切り変わるタイミングを、青色の線は、各音素の中で、発音の状態(口の開き方)が変わるタイミングを示しています。
この線を左右に動かすことで、歌い方のタイミングを細かく調整できます。
TMGを動かすと、VOL・PIT・VIA・VIFも動きますので、これらのパラメータより前に調整したほうが無難です(とはいえある程度は行き来することになります)。

操作方法について

  • 画面下部の灰色の帯の中で線を左右にドラッグすると、ピンクの線を中心に、前後の青色の線も動きます。線の1本1本を独立に動かしたい場合は、灰色の帯の外(上)で線を左右にドラッグします。
  • 「VOL」の文字部分をクリックして、音量も同時に表示させると、操作の効果が分かりやすくなります(おすすめ!)。
  • ピアノロールの横の縮尺を少し拡大したほうが、操作の効果が分かりやすくなります。
song_nyumon_01.png

こんな表現ができます

  • リズム感を調整
    ベタ打ちでは歌のリズムが拍からずれると感じられる部分について、母音のピンクの線を拍の線に合わせると、リズム通りの発声になります(緑咲香澄・金咲小春・銀咲大和などで特に有効)。ただし、ボイスの持ち味を消すことにもなるので、様子を見て。
  • 母音と母音のつながりを滑らかに
    母音が続く場合、1つ目の母音の最後の青線を次の母音の線に近づけると、母音と母音のつながりがなめらかになります(さとうささらなどで特に有効)。
  • 子音を溜める
    子音のピンク線を少し前倒しにすると、子音を溜めて強調する感じになります。
  • 長く伸ばす音の発音を調声
    フレーズの最後などの長く伸ばす音の中に気になる発音がある場合、青線を動かしてその部分を詰めると消せます。ただし、あまりやるとボイスの持ち味が(以下略)
  • TMG調整は、慣れないうちはあまりいじらないほうが無難ですが、慣れてくると、工夫次第でこれ以外にも様々なことができます。詳しくは「調声応用編」で扱います。

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4. 音量の調整(VOL)

「VOL」(音量編集画面)を開いてみましょう。
青色の線が音量を表しています。
なお、音符の前にある音量部分は、ブレス音です。

操作方法について

  • 選択ツール(矢印カーソル)で範囲選択して、選択部分を上下にドラッグして丸ごと音量を上げ下げする使い方も便利です。

こんな表現ができます

音量の調整は、例えば以下のような用途に使えます。
(Aメロ・Bメロ・サビごとなどの大まかな音量の調整は、DAWソフト上で行ったほうが修正が楽だと思います。)
  • ブレス音が必要ない部分でブレス音を消す、ブレス音を強調したいところでブレスの音量を上げる
  • 子音が鋭すぎる箇所を少し削ってマイルドにする、子音を強調するために子音部分の音量を上げる
  • ロングトーンの音量の変化の仕方を調整する(ただしまずはTMGでの調整がおすすめ)
  • リズム感を強調するために、2拍目・4拍目の音の音量を少し下げる

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5. 音程の調整(PIT)

「PIT」(ピッチ編集画面)を開いてみましょう。ここではピッチ(音の高さの細かい変化)を調整できます。
緑色の線が、ベタうち段階のピッチです。
ペンツールでピッチを手描きすることができます。手描きして修正した後のピッチは黄色の線で表示されます。

操作方法について

  • ピアノロールの横・縦の縮尺を思い切って拡大したほうが、繊細な調声ができておすすめです。

こんな表現ができます

実例:CeVIOで歌わせる時に考えていること――oovさんOИE(ONE)っちとの個人レッスン報告書――CHI-TAさん
ピッチ編集は、VOCALOIDやUTAUと同じ要領でOKです。
もっといろいろ見たい方は、動画サイトの「調声晒し」などで具体例を検索してみてください。

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6. ビブラートの調整(VIA、VIF)

「VIA」(ビブラート振幅編集画面)を開いてみましょう。
青色の線がビブラートの振幅(振れ方の最大値)を表しています。
「VIF」(ビブラート周期編集画面)を開いてみましょう。
青色の線がビブラートの周期(細かさ)を表しています。

パラメータの意味について

2016年3月のアップデート(バージョン4.1)で、PIT画面にビブラートの形が表示されるようになり、パラメータの効果が直感的に分かるようになりました。
VIAやVIFの操作画面にしてから、PIT情報を重ねて表示させて(PITの文字部分をクリックします)、PIT情報に反映されているビブラートの形を見ながらVIAやVIFをぐりぐり描いてみると分かりやすいですよ。
  • VIA画面の線にカーソルをかざすと、「29.18Cent」などの文字が現れます。100Cent=半音ずつの幅で上下に揺れる、ということのようです。
  • VIF画面の線にカーソルをかざすと、「4.44Hz」などの文字が現れます。これは1秒間ごとの揺れの数(周期)を表しています。

操作方法について

  • 基本的に、あまりいじる必要はありません(特にVIFは)。
  • 操作する場合、大ざっぱな操作で大丈夫だと思います。
  • VIAは、語頭のピッチ変化が終わったあたりで線を引き始め、おおむね平坦にするか最後を少し下げる感じが良さそうです。
  • VIFの線がない部分は、VIAの線を描いてもビブラートが発生しません。その部分でVIFの線も適当に描くと、ビブラートが発生します。

こんな表現ができます

  • ビブラートを強調したい箇所で、VIAの上の方で線を引きます。
  • 高音域で長く伸ばす音を力強くしたい場合は、ビブラートを強めに(VIAを上の方に)します。得意音域の上から5音くらいまでがおすすめ。お腹から張り出したような歌声になって迫力が出ます。
  • 全体的にビブラートが強すぎると感じられる場合(金咲小春など)、VIA画面で「Ctrl」+「A」キーを押してVIA全体を選択してから、線を少し下にドラッグするといいです。

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<調声の際の便利機能>

オケ・コーラス・トークを同時に流す(マルチトラック機能)

同時再生について

  • CeVIOでは、複数のトラックを同時に再生することができます。
  • 各トラックのソロ再生・ミュートも可能です。トラックの頭の「S」「M」キーをクリックするか、目的のトラックを選択してからキーボードで「Shift+S」「Shift+M」キーを押します。
  • しばらく編集しない予定のトラックを「固定(フリーズ)」することで、再生の際のパソコンへの負荷を減らすことができます。トラックの頭の「*」ボタンをクリックします。そのトラックを編集する場合は、もう一度クリックして固定を解除します。

トラックの操作について

  • 任意のトラックを右クリックして、「トラックを追加」すると、すぐ下に新しいトラックができます。「トラックを複製」すると、すぐ下に同じトラックができます。
  • 音符やパラメータ調整をコピー&ペーストすることができます(各パラメータごとに範囲選択→コピペできます)。
  • トラック上で範囲選択するときに、Altキーを押しながら範囲選択すると、拍にきっちり合った範囲選択ができます。
  • 任意のトラックを右クリックして、「外部オーディオトラックを追加」すると、すぐ下に緑色の空白トラックができます。ここに任意のWAVEファイルをドラッグすると、オケなどを読み込むことができます。
    ただし、完成版のミキシングは外部のDAWソフトなどで行ったほうが良いので、あくまで作業中の試聴用と考えたほうが良いです。
  • ccsファイルからトラックをエクスポートして、それを他のccsファイルにインポートしてまとめることができます。トラックを右クリック→「エクスポート」→「トラック単位の保存」でエクスポートし、別のccsファイルを開いてから、「ファイル」→「インポート」→「トラック単位の読み込み」で読み込めます。トラックのファイルは拡張子が「.ccst」で、読み込み完了後は削除して大丈夫です。


編集位置・再生位置について

画面上部で全体像をつかむ

画面上部の赤・青・緑のトラックが並んでいる部分がありますよね。
ここの横幅を縮小して曲全体の横幅が1画面に収まるようにすると、曲全体の中で編集している箇所の位置づけがつかみやすくなったり、ルーラー(時間が表示されている黒帯)をクリックして曲の別の部分にさっと移ることができるので、便利です。

停止後に再生開始位置に戻す

  • 停止中に、停止ボタンをクリックするか、テンキーの「0」を押すと、ポジションカーソルが再生開始位置に戻ります。
  • その状態でもう一度、停止ボタンをクリックまたは「0」を押すと、ポジションカーソルは0小節目に戻ります(この0小節に戻る反応は、設定でなくすことも可能です。「ツール」→「オプション」→「環境」タブ→「停止ボタンで開始位置に留まる」にチェックマークを付けてOKします)。

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※その他全般的に何かあれば↓
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