SS暫定まとめwiki~みんなでSSを作ろうぜ~バキスレ
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SS暫定まとめwiki~みんなでSSを作ろうぜ~バキスレ
ja
2014-03-08T13:55:09+09:00
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第098話 (4-6)
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鐶。
Dブレーンの果てより現れた暗斑帝國・ネプツガレ! 突如侵攻してきた彼らに人類は成す術なく追いつめられた!
唯一の希望は葦嶽アマツが父の命と引き換えに受け継いだ可塑型次元城砦……その名も爆燃砦ヴァクストゥーム!
父の仇を探し闘う彼は次々と各都市を奪還するが、ネプツガレ四棺原譚の1人、ルヴェリエの卑劣な策謀に嵌り絶対
絶命の危機に陥る。消えるアマツの意識。傷つき、動けなくなるヴァクストゥーム。
危機を救ったのは政府防備軍「瓜生」の道祖神ロボ小隊であった。
思わぬ邪魔に激昂したルヴェリエは専用機・十元弩リーベスクンマーの力で破願滅黯の大雨を降らせ洪水を起こす。
呑まれゆく街の中、道祖神ロボ小隊隊長、黒又山キシタ(28)は、直ちに部下たちに撤収を命令。
自らはいまだ動かぬヴァクストゥームを抱え飛び立った。
黄土色の濁り水が轟々と流れる大河川。その中央を土偶が飛んでいく。ブースターで白い波を蹴立て進んでいく。
薄く黄ばんだ灰色の彼方で稲妻が走った。時おり遠くの空が薄く明滅するのは遠い戦地の砲火のせいか。
長くも短くもない黒髪を無造作に分けた無精ヒゲの男……黒又山は別れた仲間の無事を祈った。
(大事な新型とパイロットだ。回収は俺1機でいい。俺の大仙稜は隊長機。一般機より87分早く避難できる。本部に着ける)
瓜生の主力たる道祖神は土偶ソックリで評判は悪い。
(あとは新型との接触。さっきから連絡送っているが)
ビコビコとアラームが鳴り、コクピット前面のインターフェイスの一点にノイズ交じりの長方形が現れた。
「ここは……?」
「気付いたか。交信成功」
映像は乱れがちだが顔は分かった。短髪でやや神経質そうな少年にこれまでの経緯を説明する。
ひとまず状況説明と自己紹介が終わると少年──葦嶽アマツは唇を尖らせた。
「離せ。瓜生の手など借りれるか」
「1人で親父さんの仇討ちたいのは分かるけどよ。現状見ろよ」
ヴァクストゥーム。細身で、白鳥を思わせるフォルムの機体には右手と左足がない。先ほどの戦いで根元から破断した。
パイプやコードが剥き出しで火花をバチバチ放ってもいる。とても単独行動できる状態ではなかった。
「だが──…」
言葉を遮るようにけたたましい警報が鳴り響いた。真赤な非常灯に染めら
2014-03-08T13:55:09+09:00
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第098話 (4-5)
https://w.atwiki.jp/bakiss/pages/1356.html
──「ブラボー。これもそれなりの修練はいるが目指すところは単純だ。『相手に攻撃を察知させない』。たったそれだけを
実現するため俺は体を鍛えた。いいか。鍛錬そのものが目的じゃない。武術的な機微で相手より優位に立つため鍛えるんだ」
──「突き詰めれば中村。キミと武術の相性は案外いい。最終的には智謀や精神がモノをいう世界なんだ」
(……これだ。2人は武術を通じて俺の頭を鍛えようとしている。ケッ。乗せられるのは癪だが──…)
来るべき決戦で斗貴子の力になれるなら。
「来いよニンジャ小僧。今度は俺がいろいろ試す番だ」
無銘めがけ親指以外で手招きする。挑発的な行為に「何を!」と無銘は憤りそして構えた。
(よし。中村。やっと俺と戦士長の意図を分かってくれたか)
「フ。同時に秋水をも鍛える、か」
「彼に必要なのは人と交わるコトだからな。アイツ自身それを望むようになった。お前との戦いを通して……な」
防人衛。総角主税。戦士と音楽隊。2つの会派の首魁格はただ静かに部下を見守る。
一方、千里の部屋では演劇の脚本がいまだ難航していた。
「文章って難しいね」
「読むのは好きだけど書くとなると……」
のほほんとしたまひろとは対照的に千里は困り果てていた。
いま書き上がっている台本については集結した女性人全員の感想を貰いいろいろ見直したのだが、どうもしっくり来るものがこない。
「締め切りは明日の正午だよ」
時刻は現在そろそろ23時を回ろうかという頃だ。斗貴子としてはそろそろ管理人室地下の特訓に戻りたいのだが……。
(だが演劇発表で負ければ部はパピヨンの天下になる)
台本の出来が悪ければ斗貴子はパピヨンのコスプレでレティクル勢との決戦に挑まなくてはならない。
(それだけは絶対嫌だ!)
顔が青ざめ汗が流れる。ココまで気付かなかったのが不思議なぐらい、当然でおぞましい理屈だった。
「なんとしても書きましょう」
いつにもなく神妙な面持ちで呟いたのは桜花だ。彼女の慧眼は斗貴子の動揺ひとつで台本の重要性を見抜いたらしい。
「書くといっても千里だいぶ疲れてるわよ」
ヴィクトリアとしてはどっちに転んでも構わない。恐ろしい話だが彼女はパピヨンのコス
2014-03-03T18:17:03+09:00
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第098話 (4-4)
https://w.atwiki.jp/bakiss/pages/1355.html
8本目。
「古人に云う! ごがあぶりてんりしっていしっていしってい!」
「打ち込みが弾かれた!?」
剛太の面が弾かれ咽喉もとに竹刀が突きつけられる。勝負あり。
14本目
「古人に云う! おんあにちまりしえいそわか!」
「ぶごっ!?」
剛太はみぞおちに膝蹴りを入れられた。悶絶したところで面を打たれ勝負あり。
22本目
「古人に云う! かんまんほろほん!」
「え……? あ!」
剛太は竹刀を奪われたうえ投げられ頭を打たれた。勝負あり。
「後半剣道じゃねえ!!」
剛太の怒号が響いた。
「なんだよアイツ! 蹴りとか投げとか平気で使いやがる!!」
まったくひどい戦いだった。
「打ち込んでもアイツ跳ぶし! ピョンピョン跳んで竹刀避けるし! くそう! 今度こそ!
剛太は無銘めがけ突っ込んだ。そうしてしばらく切り結んで押し合いになったが突然無銘はスピンしつつ数歩後退。着地
と同時に手裏剣を剛太の額に投げて勝利。
「だから剣道しろと!! 何! なんなの! お前は何をやってんの!?」
無銘は腕組みしニヤニヤするばかりで答えない。流石にキレかけた剛太を救ったのは秋水。
「タイ捨流」
「たいしゃりゅう? 何だよソレ」
「タイ捨流とは剣聖・上泉伊勢守信綱に師事した肥後の人間、丸目蔵人佐(まるめ・くろんどのすけ)が新陰流を元に発展
させた流派だ。特徴はいま鳩尾が見せたような跳躍、回転といった荒々しくも迅速な動きだ」
「解説どうも。この剣術オタクめ」
「総角との闘いに前後して俺は古流について少し調べた。最初は研究目的だったが今は様々な流派の奥深さに目を見張る
ばかりだ」
「貶したのにしみじみ語ってやがる……」
目を閉じ様々な特色を述べる秋水は心地良さげだった。
「真田十勇士の根津甚八も確かタイ捨流だ」
「十勇士ったら忍者だよな。……道理で」
少年無銘が好むわけだと納得する剛太は
「字はこうだ」
秋水がどこからか取り出したメモに眉を顰めた。
「タイだけカタカナなのは何でだ?」
「教えによると『心広く達するため』だという。「体」「太」「対」「待」……伝書には様々な文字があるがどれか1つのみに絞る
とそのたった1つだけ”捨てる”流派となり幅が狭まる。そもコレ
2014-03-03T17:54:15+09:00
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式波・アスカ・ラングレー「そのうちテグスも持たなくてすむ」
https://w.atwiki.jp/bakiss/pages/1354.html
愚地独歩「まずい!第12の使徒がまだ生き残ってる!コメガネ!3番コンテナ!」
渋川剛気「あいよー!」
愚地独歩「サードインパクトの続きが始まる前に・・・こいつを片づける!」
★相手はモハメド・アライ Jr.★
愚地独歩「でやあああああああああ!!」
渋川剛気「姫ー、無駄玉はやめときなよ。あれ全部コア(※体幹)だから。あたしらじゃ手の打ちようがにゃいよ」
渋川剛気「それに、最後の使徒を倒したところで鬼が出るか蛇が出るか・・・気になるジャ?」
★出るのはアライパパで、アホどもはドゴッと殴られる★
後日、アライ Jr.の指の負傷の件で渋川宅に内容証明が届く。
独歩はお咎めなし(アライの打撲は全て軽傷だったため)。
―――ピクル空港
愚地独歩「こいつ!疑似進化形態を超えている!」
渋川剛気「覚醒したみたいね・・・アダムスの生き残りが!」
―――徳川邸内の大広間(照明弱)
徳川光成「宿願たる人類補完計画と、諦観された神殺し油地獄は私が行います。ご安心を」
謝男「我らの願いは既にかなった。良い。すべてこれで良い。人類の補完。やすらかな魂の浄化を願う」
謝男「・・・・・・・・・(さっき、ボソッと『油地獄』って言わなかったか!?)」
2014-03-02T08:28:41+09:00
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電脳☆新大宮さま
https://w.atwiki.jp/bakiss/pages/1353.html
短編
[[光優会OB >http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1352.html]]
[[式波・アスカ・ラングレー「そのうちテグスも持たなくてすむ」>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1354.html]]
2014-03-02T08:33:07+09:00
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光優会OB
https://w.atwiki.jp/bakiss/pages/1352.html
帝愛グループ主催の「ブレイブ・メン・ロード」のパドックが開いた。
山下勝嗣は、パドックが開くや否や「な・・・なんだこれっ」と叫んだ。
歯を食いしばって両目を見開き、勝嗣は眼下を眺めた。
唖然・・・・・・!
3階ほどの高さ、そして下には体育用らしきマットが敷き詰めてある。
(あんなマットで大丈夫なのかよ!?)
(・・・あの黒ずんでるの、血痕みたいな感じだ!!)
帝拳高校時代、ケンカに明け暮れた勝嗣は人間馬たちの中で一番早く事態を察した。
反射的に身構える。
しかし勝嗣と同じコースに居合わせた、冴えない男たち2名はキョトンとするのみ。
そのとき、勝嗣の耳朶を懐かしい声が打つ。
「勝嗣、勝嗣だろ。どーしたー!?」
「ま、前田さん・・・・!」
勝嗣は今一度、眼下を見下ろした。
コース半ば辺りの客席の方、テーブルを離れてこちらを見上げる顔があった。
その顔は紛れもなく、プロボクシング世界チャンピオンの前田太尊。
勝嗣を呼ぶ声、その先には帝拳高校時代とほとんど変わらない前田がいた。
髪型も、黒が基調の洋服(昔は学ランだったが)も、熱くなったら右拳を突き上げる癖も・・・
「前田さん!!」
前田は本当に、変わっていなかった。
「勝嗣、グズグズするな!」
ゴクッ。勝嗣は前田の次の声を待った。
前田の声はまるで帝拳高校の一日のようで、勝嗣は前田の舎弟の日々に戻った心持ちだった。
勝嗣はササッと辺りを見渡す。
奥に衝立が一つ、その向こうは他の鉄骨が渡ってる。越えられない高さじゃない。
勝嗣たちのパドックは3列、戸袋は開け放されたまま。
冴えない男たち2名は、いまだキョトンとするのみ。
勝嗣は辺りを見渡す一刹那の間も、前田を信頼していた。
どんな荒れた高校(他校)の生徒たちと集団どうしのケンカになっても、前田は最強だった。
それ以上に、前田は「愛の戦士」そのものだった。
「走れーーーッ!! このぐらい、根性で走り抜けろ!」
勝嗣は反射的に鉄骨の先を見た。
そして有らん限りの声で叫んだ。
「無茶いうなよ!」
「俺はお前を控室のモニターで見た!! お前に今月の遊興費八百万円全賭けしたぜ!」
「・・・・・・!!」
あまりの現実に、勝嗣は歯を食いしばって両目を見開く。
(これは夢だ)(あいつは、新手のものまね芸人で、世界チャ
2014-02-28T18:41:39+09:00
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番外編 バレンタイン・デー
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・武藤カズキ&津村斗貴子
「やっぱさ。斗貴子さんってチョコ切る時バルスカ使うの?」
「使わん!! というかのっけから何言ってるんだ」
怒鳴る斗貴子にカズキはキョトリとした。
「え、狩るんでしょ?」
「何をだ!!」
「チョコレート型ホムンクルス」
「そんなおかしなバケモノ居るわけないだろ!!」
カズキはハッとした。白くなり電流を飛ばした。
「そうだった……」
「分かってくれたか」
「斗貴子さんは拘り派! ならまずは原材料から!」
「言っとくがカカオ型も居ないからな」
居そうだけど居ない。斗貴子はジト目で断言した。
・早坂秋水&武藤まひろ。
「カカオ型ホムンクルス……。まさか実在したとは」
倒れ付す敵の前で。
暗褐色の液体滴る愛刀片手に早坂秋水は呟いた。息は荒く汗も多い。総角並の強敵だった。
「秋水せんぱーーい」
向こうからまひろが走ってきた。敵の消滅を確認すると秋水は武装解除した。
「どうした?」
「あのね。もし手が空いてたら探し物手伝って欲しいの」
「分かった。手伝おう。探し物は何だ?」
えーとね。まひろはあどけなく呟いた。
「カカオ豆なんだけど下ごしらえして動けるようにした途端いなくなっちゃって……」
(ま さ か ! !)
先ほど倒した敵の出自を思い早坂秋水は戦慄した。
・中村剛太&早坂桜花
「どうしたの剛太クン。顔の右半分萎れてるのに左はひどく嬉しそう」
「先輩からチョコ貰ったけど……どうせ義理なんだよなぁ。くそう。嬉しいけどくそう」
机に上体横向きで突っ伏す剛太。その感情は込み入っているらしい。歓喜と落胆。両方に見舞われている。
「あら可哀想。そんな剛太クンに私からプレゼント」
「どうせ義理だろ。つーか言っとくけどエンゼル御前型のハートマークチョコとかそんなベタな代物じゃないよな」
氷にヒビの言ったような嫌な音が笑顔の桜花から漏れた。その手は包みを差し出したまま固まっている。
「そ、そもそもバレンタインデーって聖人の命日なのよ? チョコあげる必要なんてないと思うの」
「何必死になってんだよ。ひょっとして図星?」
「ち、違うわよ。これはただの既製品だし……」
「じゃあ問
2014-02-16T07:08:08+09:00
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第098話 (4-3)
https://w.atwiki.jp/bakiss/pages/1350.html
「えーと」
「んーみゅ」
その本を閉じると斗貴子は面をあげた。横の香美が正面のテーブルめがけ一瞬雪崩れ込みかけたが不自然に硬直し
背筋を正す。貴信が躾けたらしいが今の斗貴子にツッコむ余裕はない。テーブルの向こうに座る作務衣姿の少女への
応対で手一杯だ。
彼女は問う。神妙な、様子で。
「どうでしょうか斗貴子先輩」
「どうって言われても」
難しい顔でテーブルに本を置く。
「予め断ったと思うが、私は文芸にそれほど詳しくないぞ? 意見を述べたとしてもそれがキミのためになるかどうか……」
作務衣の少女……若宮千里はちょっと考え込む仕草をした。
彼女と斗貴子の親交はさほど深くない。カズキの妹の友達の1人……程度だ。
カズキという共通の知人あらばこそ何度か顔を合わせているが、結局それは知り合いの知り合い程度の間柄。
マンツーマンでいきなり親しく話せる関係ではない。
しかも千里という少女は、おかっぱ頭にメガネといういかにもな外観通りの優等生でおとなしい。しかも対する斗貴子は
あらゆる日常、ホムンクルスなど知らず平和に暮らす生徒たちと必要以上に距離をとる。そんな両者が差し向かったのだ、
会話はまったく弾まない。
「やっぱ難しいね。台本」
千里の傍らで困ったように微笑むのは河合沙織。ヒヨコのように柔らかそうな黄色い髪を両端で縛った少女である。丸い
髪留めと言いいささか童女趣味の抜けない彼女が千里と並ぶと同学年にも関わらず姉妹のように見えてくる。むろん沙織
は妹だ。そして良くできたしっかり者の姉は無造作に台本を手に取りパラパラめくる。
「そうですよね。いきなり言われても分かりませんよね。私自身これでいいか分かりませんし……」
誰からともなくため息が漏れた。
(つーかあたし眠い。眠いじゃんご主人。そろそろ寝たいのに何でおっかないのとモソモソやってるじゃん?
(忘れたのか香美! 河合氏の要件を!)
先ほど廊下でバッタリあった沙織は香美たちにこういった。
「演劇の話なんですけど。文芸担当のちーちんがいま困ってて」
(聞けば若宮氏! ひとまず話を書き上げたはいいがそれでいいかどうか迷ってる! だから僕……厳密にいえば香美たち
に! 本読みしてもらいたいと! 意見を聞きたいと!!)
2014-02-02T09:29:54+09:00
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第098話 (4-1)
https://w.atwiki.jp/bakiss/pages/1349.html
「とにかくだ。武術に筋量は必要ない」
「本当にそうなんスか? キャプテンブラボー」
手を挙げたのは中村剛太。武術……というか鍛錬とは無縁そうな人物である。
「剣術はなんとなく分かりますけど、殴ったり蹴ったりするのはけっこう力要りますよ? そうでもしなきゃナックルダスターや
スカイウォーカー通りませんってホム相手に」
前半耳にした瞬間わずかに目の色変えた男がふたり。
(……フ。剣士でもマッチョな奴は居たけどな)
(飛天御剣流。総角の振るう流派の何代目かの継承者が確か……)
最近思うところあり古流について調べている秋水だから思い当たる。平生バネの付いたひどく重い外套で力を押さえていた
男の話を。
「ブラボー。流石は戦士・剛太。なかなか鋭い質問だ」
話の腰を折られた形だが防人は涼しい顔だ。むしろ質問大歓迎という風でこう述べる。
「じゃあとりあえず順を追って説明する。ああ戦士・斗貴子たちも必要と思ったらメモしなさい」
普段の剛太ならば面倒くさそうに後頭部をかくところだが、今回は違う。目下講義を受けているのは斗貴子のためだ。来る
戦いのため僅かでも強くなろうとしている。のでメモを取りたいのだがそこは平素の無精癖、「俺けっこう記憶力いいしいいや」
とばかり携帯してない。
「はい」
「かじったのあるじゃん。やる。垂れ目」
助け舟は女性陣だ。桜花が手持ちから数枚破り差し出した。筆記用具は歯型だらけの茶色い鉛筆が香美から供出された。
「フ。お前意外にモテるな」
「うっせえよ」
総角の茶々は無視。用紙を核鉄に当て──ボード代わりだ。臨機応変だが少々だらしないのが剛太流──筆記開始。
「要するに筋力って奴は縮む力と速度だ。まぁ一口に縮むと言っても色々あるが今日は省く。分かりやすくいえば──…
縮む速度 × 縮む力
だな」
「ふんふん」
武術と無縁な剛太でも大変分かりやすい説明だった。なまじ頭のいい彼だから長話は嫌いである。一般常識の講義に対し
「で、結論なんだよ?」と居眠りこいて後でググってそれでよい点採っていたのが研修時代。防人の説明はそんな性格を
踏まえた速成即席の単純授業だった。数多くの戦士を育ててきた年季を感じ秋水はますます敬意を深めた。
「なお細かい説明がご入用でしたら後ほど不肖が解説する所存!
2014-01-04T17:25:08+09:00
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第098話 (4-2)
https://w.atwiki.jp/bakiss/pages/1348.html
『という訳で寮内に戻った訳だけど! 困ったな!! 自由時間といえど門限は近い! 従って外には出辛い!!』
「えー外出たいじゃん外!! なんでダメな訳よ? 垂れ目さっきチチーって外行ってたんじゃん」
「あれはあまり感心しないな。というか誰がお前らホムンクルスを夜の街に放り出すか。危なっかしいにも程がある」
廊下。並んで歩く影2つ。
『む!! 特訓終わったのに僕らの監視とかお疲れ様だなセーラー服美少女戦士!!』
「じゃあさじゃあさじゃあさ! あんたでもいいじゃんこのさい! 遊ぶ! ヒマだしフサフサぴょこぴょこして遊ぶ!!」
「うっさい!! 誰が貴様らなんかと馴れ合うか!」
一喝をくれると2人は黙った。それを幸い斗貴子は眉を釣り上げ距離を詰める。
「忘れているようだが本来お前たちは始末されても仕方ない立場だからな。ヴィクター討伐で疲弊した戦団が、大戦士長救
出まではと仕方なく共闘を認めたからこうして殺されずにいる。じゃなきゃ私がとっくに始末──…」
「ところで垂れ目どこさ? アイツなんか好きじゃんあたし!」
「ほう。いい度胸だな。私の言うコトを無視する、か」
ドス黒い青紫の影が斗貴子の顔の上半分を塗りつぶした。前髪に隠れて瞳は見えないが兇悪な一等星のギラつきが
圧倒的殺意を振りまいている。
『わわわ悪かったセーラー服美少女戦士!! こ、香美は悪気があった訳じゃなくてだな!! もともとこういう性格だし!
そもそもが猫だし! 人の機微が良く分からないだけで!!』
「だいたい貴様らは特訓のときから不真面目すぎる」
「だってあの銀ピカ(防人)のゆーこと難しすぎるじゃん。やれん」
香美は頬を膨らませた。
──「栴檀香美には……そうだな。武装錬金を発動してもらう」
──「分かっているがキミは動物型(ネコ)。本来核鉄を扱うコトはできない」
──「だが同じくレティクル謹製の小札(ロバ型)、鳩尾無銘(イヌ型)、鐶(ニワトリ型)は使えている」
──「キミにも可能性はあるはずだ。武装錬金が使えれば戦力大幅アップだぞ」
「と戦士長が言ったにも関わらずずっと出来ない出来ないと言い通し最後には核鉄を放り投げる始末! 真先に休憩選ん
だしな!! まったくマジメにやるコトはできないのか!!」
『わわわわわ!! ご! ご
2014-01-04T17:25:03+09:00
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