SS暫定まとめwiki~みんなでSSを作ろうぜ~バキスレ
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永遠の扉 第090話 ~ 第099話
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第091話 「剛太と桜花、残党に挑む」 [[(1)>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1082.html]] [[(2)>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1085.html]] [[(3)>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1090.html]] [[(4)>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1091.html]] [[(5)>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1098.html]] [[(6)>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1102.html]] [[(7)>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1103.html]]
[[第092話 「斗貴子が防人に報告。そして影、遂に過去より来(きた)る!」>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1149.html]]
第093話 「パピヨンvsヴィクトリア&音楽隊の帰還」前編 [[(1)>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1152.html]] [[(2)>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1154.html]] [[(3)>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1159.html]] [[(4)>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1160.html]]
第094話 「パピヨンvsヴィクトリア&音楽隊の帰還」後編 [[(1)>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1165.html]] [[(2)>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1166.html]] [[(3)>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1168.html]] [[(4)>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1169.html]] [[(5)>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1172.html]] [[(6)>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1175.html]] [[(7)>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1178.html]] [[(8)>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1180.html]] [[(9)>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1186.html]] [[(10)>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1192.html]] [[(11)>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1193.html]]
第095話 「演劇をしよう!! (前編)」 [[(1)>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1205.html]] [[(2)>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1207.html]] [[(3)>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1209.html]] [[(4)>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1210.html]] [[(5)>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1213.html]] [[(6)>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1213.html]] [[(7)>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1217.html]] [[(8)>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1219.html]] [[(9)>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1221.html]] [[(10)>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1233.html]] [[(11)>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1236.html]] [[(12-1)>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1237.html]] [[(12-2)>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1238.html]]
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第096話 「演劇をしよう!!」(中編) [[(1)>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1265.html]] [[(2)>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1277.html]] [[(3)>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1286.html]] [[(4)>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1289.html]] [[(5)>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1298.html]] [[(6)>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1301.html]]
第097話 「演劇をしよう!!」(後編) [[(1)>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1336.html]] [[(2)>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1337.html]] [[(3)>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1338.html]] [[(4)>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1339.html]] [[(5)>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1340.html]] [[(6)>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1341.html]] [[(7)>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1343.html]] [[(8)>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1344.html]]
第098話 [[(1)>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1345.html]] [[(2)>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1346.html]] [[(3)>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1347.html]] [[(4-1)>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1349.html]] [[(4-2)>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1348.html]] [[(4-3)>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1350.html]] [[(4-4)>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1355.html]] [[(4-5)>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1356.html]] [[(4-6)>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1357.html]]
番外編 [[「毒島華花、音楽隊を引率する」>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1268.html]]
[[登場人物一覧>http://grandcrossdan.hp.infoseek.co.jp/long/tobira/character.htm]]
偽キャラクターファイル(※ 一部ネタバレを含みますので閲覧注意)
[[№1 総角主税 >http://grandcrossdan.hp.infoseek.co.jp/long/tobira/agemaki.jpg]]
[[№2 小札零 >http://grandcrossdan.hp.infoseek.co.jp/long/tobira/kozane.jpg]]
[[№3 栴檀香美 >http://grandcrossdan.hp.infoseek.co.jp/long/tobira/koumi.jpg]]
[[№4 栴檀貴信 >http://grandcrossdan.hp.infoseek.co.jp/long/tobira/kisin.jpg]]
[[№5 鳩尾無銘 >http://grandcrossdan.hp.infoseek.co.jp/long/tobira/mumei.jpg]]
[[№6 鐶光 >http://grandcrossdan.hp.infoseek.co.jp/long/tobira/tamaki.jpg]]
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第098話 (4-6)
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鐶。
Dブレーンの果てより現れた暗斑帝國・ネプツガレ! 突如侵攻してきた彼らに人類は成す術なく追いつめられた!
唯一の希望は葦嶽アマツが父の命と引き換えに受け継いだ可塑型次元城砦……その名も爆燃砦ヴァクストゥーム!
父の仇を探し闘う彼は次々と各都市を奪還するが、ネプツガレ四棺原譚の1人、ルヴェリエの卑劣な策謀に嵌り絶対
絶命の危機に陥る。消えるアマツの意識。傷つき、動けなくなるヴァクストゥーム。
危機を救ったのは政府防備軍「瓜生」の道祖神ロボ小隊であった。
思わぬ邪魔に激昂したルヴェリエは専用機・十元弩リーベスクンマーの力で破願滅黯の大雨を降らせ洪水を起こす。
呑まれゆく街の中、道祖神ロボ小隊隊長、黒又山キシタ(28)は、直ちに部下たちに撤収を命令。
自らはいまだ動かぬヴァクストゥームを抱え飛び立った。
黄土色の濁り水が轟々と流れる大河川。その中央を土偶が飛んでいく。ブースターで白い波を蹴立て進んでいく。
薄く黄ばんだ灰色の彼方で稲妻が走った。時おり遠くの空が薄く明滅するのは遠い戦地の砲火のせいか。
長くも短くもない黒髪を無造作に分けた無精ヒゲの男……黒又山は別れた仲間の無事を祈った。
(大事な新型とパイロットだ。回収は俺1機でいい。俺の大仙稜は隊長機。一般機より87分早く避難できる。本部に着ける)
瓜生の主力たる道祖神は土偶ソックリで評判は悪い。
(あとは新型との接触。さっきから連絡送っているが)
ビコビコとアラームが鳴り、コクピット前面のインターフェイスの一点にノイズ交じりの長方形が現れた。
「ここは……?」
「気付いたか。交信成功」
映像は乱れがちだが顔は分かった。短髪でやや神経質そうな少年にこれまでの経緯を説明する。
ひとまず状況説明と自己紹介が終わると少年──葦嶽アマツは唇を尖らせた。
「離せ。瓜生の手など借りれるか」
「1人で親父さんの仇討ちたいのは分かるけどよ。現状見ろよ」
ヴァクストゥーム。細身で、白鳥を思わせるフォルムの機体には右手と左足がない。先ほどの戦いで根元から破断した。
パイプやコードが剥き出しで火花をバチバチ放ってもいる。とても単独行動できる状態ではなかった。
「だが──…」
言葉を遮るようにけたたましい警報が鳴り響いた。真赤な非常灯に染められるコクピットの中で黒又山は左右の操縦桿を
手早く動かしペダルを踏んだ。壊れた白鳥を右手に抱えたまま急加速し蛇行する土偶の周りで、白い水柱が立て続けに数
十本まき起こった。機雷源に迷い込んだような有様に画面の向こうのアマツは不満顔。
「追ってきたし追いつかれた。これだからショボ推力の道祖神は」
「上空7km後方に十元弩リーベスクンマー! 矢ヲタのルヴェリエちゃんござい!」
黒又山が妙に嬉しそうに呟くのと同時に土偶は各所のバーニアを青白く吹かし反転、
左手をガトリングに換装すると高々と掲げ撃ち始めた。
「撃ちながら下がるぜ!」
「下がるったって振り切れるのかよ! ショボ推力の土偶が、ヴァクス抱えて!」
「撒けねえから戦うんだろうが!!」
怒号。ささくれた白い柱の間を猛然と下がる土偶。やがて弾が尽きたと見え銃身は回転はやめる。
「せめて一発ぐらい掠っててくれよ」
「残念。外れよん」
不意の声。緊迫の黒又山が後部モニター越しに見たのは巨大な光の弩弓を構える人馬。
「一気に後ろ取りますか。さすがだが参ったねえ」
明らかに破滅的な力を蓄えた矢が放たれ──…
彼方あらぬ方へ着弾。水のドームを跳ね上げた。
「外……れた?」
ルヴェリエは驚愕した。
「な? ショボ推力だから詰めてきただろ?」
「うるさい。極秘通信などなくても俺はちゃんとやっていた」
ケタケタ笑う黒又山にアマツは仏頂面だ。その愛機ヴァクストゥームの辛うじて残った左手に輝くものがあった。
それは碧い光波のファルシオン。
「終結の型・破断塵還剣! まさか! 接近を見越し発射直前!」
「そ。斬ったのさ。どうするルヴェリエちゃん? その傷でまだやるかい?」
「なんでお前が偉そうなんだよ。やったの俺だぞ」
「囮は俺だしー」
人馬の胸は大きく切り裂かれていた。焼け焦げ火花を上げるコクピットの中で地団駄踏むトリプルテールの少女が見えた。
「きぃー! 両腕もやられてるし! 矢ぁ撃てないし今日はここまで! 宮崎でリベンジするから来なさいよ!」
敵は去った!! そしてこれがネプツガレ戦役を駆け抜ける無敵のコンビの誕生であった! 続く!
「続き物!?」
「オイ。短編だぞこれは。ちゃんと決着させろ」
「今回は決着しましたし、1000文字……削ってます……よ? 四天王1人……とか黒又山先輩の部下4人……とかも」
読み終えた桜花は絶叫する。斗貴子は怒る。鐶は涼しい顔である。
「……短編でキャラ8人は多いでしょ」
ヴィクトリアは呆れた。
「ちなみに……次回第4話の舞台は宮崎……2機目の可塑型次元城砦……と……ヒロイン…………出てきます」
「知るか!!」
「じゃあ3話目なんだコレ!!」
「全25話……きょうび珍しい……2クール……です。タイトルは……爆燃砦ヴァクストゥーム……です……」
まひろめがけ無表情でブイサインするニワトリ少女。どこまでもマイペースだった。
「物語って表に出ない部分まで作るべきっていうけど。情報量はかなり多い……たった2000文字なのに」
口に手を当て考えこむ千里。何か思うところがあったようだ。
「ちなみに、ご主人言ってるけど……敵は、カイオウセイとかゆートコが、モトネタらしーじゃん。ルヴェリエとか暗斑とか色々」
香美の発言にすかさず反応したのは沙織で
「貴信さんと話できるの? じゃあ聞いて聞いて。四棺原譚だっけ? 四天王っぽい単語はなーに?」
「えーと。メタンとかいう奴らしーじゃん」
「? 携帯電話使ってないのになんで連絡できるの? それにメタン? なんで?」
微かな疑念と思わぬ言葉に目を丸くした。桜花と斗貴子の18歳コンビが講義した。
「海王星が青いのはメタンの影響なのよ」
「そしてメタンは還元端。これ以上還元しない物質だ。化学で習わなかったのか?」
「おー。だから四棺原譚(よん・かんげんたん)」
感心する沙織だが、香美を見る目が不思議に満ちた。貴信とどう連絡しているか気になり始めたようだ。
「ちなみに味方の名前は日本の古代遺跡縛り……です」
「ひかるん物知り!」
まひろは感動した。千里も同じらしくどうすればコレだけ描けるか質問した。
「ロボットアニメ……沢山……みる……コト……です。参戦した作品は…………必ず……チェック……これ基本……です」
「そ、そう。(参戦って何?)」
ぼうっとした顔と返答。眼鏡少女の顔が引き攣った。
「ヴィクトリアさん。何をメモしてるんですか?」
「な、なんでもないわよ!」
毒島の問いに欧州の偏屈ネコかぶりが慌てて何か背中に回した。
こそーっと背後に回ったまひろと沙織は見た。メモ帳を。何かのタイトルと思しきやたら濁点の多い文字列を。
(チェックするんだロボアニメ)
(びっきーてばあのゲームに夢中)
「ヴィクトリアはともかく、課題は短編なんだ。描くなら完結しうる題材を選べ」
「おお。さすが斗貴子さん。愛のある厳しさ!」
「だよねー。何だかんだでやめろとは言わないもんねー。
メモを巡りヴィクトリアと揉みあっていた2人が顔を見合わせて笑うと斗貴子はやや赤面した。
「うるさい! か、描く以上は与えられたリソースの中結果を出すのが責任……って! なに真剣になってるんだ私は!!」
「まぁまぁ津村さん。光ちゃんこういうの好きそうだし、千里さんと一緒に頑張ればきっと台本もできるわよ」
「そう……です……何年かけても…………完結……させます」
「締め切りは半日後ですが」
(((そ う だ っ た ! ! )))
毒島のツッコミに全員が……桜花さえ愕然とした。
「じゃあ……じゃあ…………優勝…………できません……か?」
暗鬱たる碧い瞳の淵に涙がじんわり滲み出た。
「厳しいコトいうけどムリだよひかるん。文章舐めないで。完結は最低条件。優勝するにはそれ以上の努力が必要だよ」
「いや私の見るところ結構……じゃなくて! そもそも優勝自体ないコトにいい加減気付け!」
やや本性を出し棘を刺すヴィクトリアに、斗貴子(そろそろ場の雰囲気に毒されつつある)は言うが誰も聞かない。
「あるよ! 優勝はある! きっとある!」
(ないから。まひろちゃん、絶対ないから)
「無銘くんが見てみたいといっていたロボットアニメの草案ですね! 以前から不肖完結を楽しみにしております!」
「……前から考えてたんだ」
千里は微苦笑した。
「ん」
「次は香美さんね。どれどれ……」
香美。
「ねむい」
「書けェーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」」
斗貴子の怒号が轟いた。しかし期待する鐶と桜花。
(ある意味おいしい材料……です)
(さあどう評価するの小札さん! あなたならできる! きっと上手く実況できる!)
他の者の視線を浴びながら小札はゆっくりと立ち上がった。生唾を飲む一同。話す小札。
「……ふ、不肖少しノドが乾きました故ちょっとコンビニへ…………」
「小札さんさえ投げるレベル!!!」
沙織は白目で叫んだ。横隔膜の震える心からの叫びだった。
小札が退室したので執筆一時中断。
「ここで……再攻撃……です」
鐶。
・爆燃砦ヴァクストゥーム
全長22m。重量31t。
Dブレーンの果てより現れた暗斑国家・ネプツガレに対抗するため、葦嶽カツトキ博士が創り上げた可塑型次元城砦。
ネプツガレの急襲により命を落としたカツトキ博士の想いを受け継いだ養子・葦嶽アマツが乗り込み操縦する。
必殺技は概念をAdS空間方面から崩壊させる「終結の型・破断塵還剣」。
さいとばる
西都原マナミの操る劈頭楼ベフライウングとはカールピアソンシステムにより合体が可能。
合体後の例外群像ヴァクストゥーム・ベフライウングは常時量子化しておりその実態は把握不可能。
不確定性原理により実質的に宇宙全域に充満しているためあらゆる物質は勝てない。
ケイサルエフェスも一目置いてるしジ・エーデルさえ見たら泣いて悔い改める。超悔い改める。その改心ぶりたるやモジャ
モジャ金髪のちっちゃい天使たち6体が周囲に現れラッパ吹いて祝福するレベル。だもんで体中から虹色の光の帯が溢
れ出しマザーテレサに転生し西宮あたりで炊き出しして橋元に褒められる。
ペルフェクティオなんぞスナック感覚ですわ。昼下がりに頬杖づいて寝っころがって尻掻いて相棒の再放送みながらサク
サクぅ~~サクっ! ですわ。そのサクサクぅ~~サクっ! が怖いんで奴は次元の向こうに逃げ去り引き篭もった。もうね、
逃げてからは毎晩毎晩「明日くるんじゃないか、夜中くるんじゃないか」って掛け布団頭まで被ってガタガタ震えてたんで、
手違いでこっち戻ってしまったとき追い返してくれたトレーズやらウェントスやらにはね、もう感謝ですよ。言葉には出せな
いけど毎日感謝ですよ。
だから戻ってから彼らを祀るため日光東照宮ぐらいでっかい寺作って朝夕必ずお百度参りしてる。
冬場は水かぶってやる。吹雪だろうと3m雪積もってようとインフルだろうとやる。凍った石畳の上、裸足でやる。
年喰って孫やら長男の嫁やらが「おじいちゃんそろそろ年だしやめようよ」とか健康気遣ってくれても「いいやここでやめ
たら散っていった恩人たちに申し訳が立たん!」とか生き残った日本軍の老兵みたく頑固に言い張ってケンカして家族会
議になって主治医からドクターストップかかったりもするけど結局家族の目ぇ盗んでやりつづけて皆もうそれが生きる道なん
だって諦めるけど理解してくれて、いつも朝夕帰った時テーブルの上にホッカホカの湯気あげてるお茶と好物の沢庵数切れ
置いてくれてて、そういう暖かな家族を得たのはやっぱトレーズとかウェントスとかが命繋いでくれたお陰だって布団の中で
泣きじゃくって、そんである日、そろそろ梅のつぼみが膨らんできた初春のころ、屋根から、前日の晩珍しく積もった雪が、
暖かい朝日に溶かされ綺麗な雫としてポタポタ落ちてる寺の軒下で冷たくなって横たわってんの。でも死に顔には微笑浮
かんでんの。
それぐらいヴァクストゥーム・ベフライウングは怖いしトレーズとウェントスに感謝ですよ。
(↓イデオンと同じ作品に参戦したときのための裏設定)
まだネプツリブに掌握(ディス・コントロール)されていた頃のヴァクステゥーム・ベフライウングが破願滅黯の雨を降らして
惑黄昏の極洪水(ラグナロック・シンパシー)が起こったとき第六文明人は大事な人を連れて避難するためイデオンを作った。
「イデオンと同じ作品に参戦したときのためって何!?」
桜花の美しい声が珍しく裏返った。
「念のため……ですよ。念のため……。フフフ……」
紙を差し出しながらドヤ顔し、右コメカミ近くに一等星を浮かべる鐶。
「よく分からないけどまだ完結もしてないのに他の作品とのコラボ考えるの痛いよひかるん」
「というか何だこの文章……。普段と違いすぎる。……ディプレスとかいう師匠の影響か?」
沙織のツッコミ。斗貴子の愕然。死せる両目の自由を!
「四話と思いきや四話じゃなかった……」
(もうファンができてるし)
続きが読めず心から残念そうなまひろに桜花は少し噴き出した。
ババーン! 鐶は控え目な胸を張った。
「そして課題もクリア……です。……大事な人を……連れて……避難……して……ます……!」
「あの、光さん」
「光……で……いいです……よ? 私……いまは……年下……ですし……」
「じゃあ呼び捨てにするけど、光。これじゃお題が申し訳程度よ。ダメだと思う」
諭すような優しい千里の声に鐶は獲物を探すゾンビがごとく両目をうろうろさせた。
「…………。そ……それでも…………二作品描いた……心意気を…………ですね……」
「買えと!? フザけるな! そもそもコレは作品じゃない! 羅列だ! おかしな設定の羅列だ!」
斗貴子がバシバシと原稿を叩くと鐶は今にも泣きそうな、庇護欲をそそる桃色の表情でトテトテ走り桜花の後ろに隠れた。
「あらあらダメよ津村さん。そんな強く言ったら」
「くそう。この場で一番の権力者にすり寄りやがった! 見た目に反して厚かましい!」
ニヤリ。戯画的だが悪い顔で笑う鐶が桜花の背中から一瞬はみ出すのを斗貴子は見逃さなかった。
ヴィクトリアはいうとちょっと瞳が潤んでいた。
「あ、びっきーが泣いてる」
「な! 泣いてないわよ! こんなヘンな話で泣いたりなんかしないわよ!!」
悪友の指摘に顔を真赤にして怒鳴る少女は恥ずかしげである。
(ちょっと本性出てるがいいのか?)
(後半のおじいさんの下りでグッと来たんでしょうか?)
(まぁ、家庭環境が家庭環境だし、家族ネタには弱いのよきっと)
戦士側の女子たちはうんうん頷いた。
(家族、か)
ヴィクトリアでさえホロリとくる話にまったく反応できなかった自分に気付き斗貴子は陰を落とす。
(彼女がしんみりできるのはきっと日常を知っているからだろうな。覚えているからこそ奪った戦団を憎んでもいる)
覚えていないにも関わらずホムンクルスを憎むコトのちぐはぐさ。
斗貴子の煩悶は尽きない。
管理人室・地下。
剛太と無銘。
竹刀を正眼に構えた両者、一足一刀の間合いに入ったまま動きを止めた。
剛太は防具フル着用。無銘は相変わらず素肌。ホムンクルスのため必要ない。
ここまで勝ち続け波に乗っている無銘は、相手が人間というコトもあり、余裕があった。
(我のタイ捨……まだまだ発展途上だが新米戦士程度なら十分翻弄できると分かった。だが彼奴は先ほど何やら早坂秋水
に知恵つけられていたようだ)
ネコ型の香美には劣るが、無銘の耳もまたいい。忍びという自負もあり鍛えたチワワの耳は幸い人間への形状変更を経ても
さほど劣化しておらず(おそらく感覚野の神経的なものが発達したのであろう)、秋水たちの会話は総て耳に入っている。
であるから目論みにも薄々だが気付いている。
(流れから察するに奴らは我に勝とうとするだろう。この立ち会いを仕組んだ人のうちブラボーさんは戦士側。早坂秋水に
教導をさせそれによって術理への理解、朋輩との連携を深めるつもりだ)
出方を見るように切っ先で軽くく打ち合いながら考える。
(実際に干戈を交えた栴檀どもが言っていたが、あの新米は外観に似合わず切れる男。となればブラボーさんや早坂秋水
の教導の意味するところもまた気付いた筈。鍛えるべきは武技ではなく頭脳面だと。武術の機微……我との読みあいを制す
コトが勝利であり強化だと)
叩きのめすコト自体は容易い。意表を突くタイ捨の技など幾らでも知っている。
兵馬俑からフィードバックしつつある忍法を忍法らしく密かに使えばまず勝てる。
(だが……それをやれば師父の面目は潰れる。母上は悲しまれる。『不肖が両断されたゆえ遺恨を……』と気にされる。
栴檀どもは怒る。鐶に至っては偉そうに説教するだろう)
飛び込んできた剛太の竹刀を軽く払う。それだけで剛太の体は面白いようにつんのめった。
人とホムンクルス。馬力は元より違う。小細工など使わずとも剣道において叩きのめすのも可能だった。
(だが)
茫洋たる影が胸に浮かぶ。
(我には何としても果たしたい望みがある!)
打とうと思えば打てる剛太を敢えて見逃し後ずさる。面の奥から怪訝そうな瞳が見えた。
(いま打っても糧にはならん)
以前繰り広げられた戦士と音楽隊の戦いは結局総角による後者の力の底上げが目的だった。
それは彼らの旅における原則だった。共に旅する総角は何かにつけて部下たちに課題を出し超えさせた。
(いま師父がこの立会いに意義を唱えぬのは原則に反さぬからだ。我が向上しうる機会と見たからだ)
忍びにとって主の命令は絶対である。まだ若輩の無銘ではあるが、それだけに純粋な忠誠心がある。イヌ型なのも作用
しているだろう。目先の、個人的な勝利の陶酔より、総角という主君の利益を第一に考えている。で、あるから勝ち戦でも
深追いはしない。好きな古代中国の軍記ものでは深追いした者は必ず負ける。
(……ココは真っ当な剣道で戦うのが吉。古人に云う。腹八分目に医者いらず。タイ捨の肩慣らしは十分やった。問題点
も洗い出した。これ以上の勝ち星は無意味どころか気を緩める。敗亡覚悟で読み合いの基礎を固めるが後のため)
両者再び一足一刀の間合い。剛太の動きはやや悪い。
「ブラボー。鳩尾無銘は真向勝負で行くらしいな」
「ええ。ですがそれが却って中村の読みを潰しています」
「……だな。フ」
遠巻きに様子を見ていた秋水たちが口々に感想を述べる。
「読みには蓄積が必要です。タイ捨流に限って言えば先ほどまでの立ち会いで型や呼吸、癖といった様々な情報を得た筈です」
「フ。だがそれが白紙になった」
「正々堂々を選んだからこそ、手の内が読み辛くなった。皮肉な話だがある意味恩恵だな」
荒唐無稽な剣法から一転まっとうな剣道へ。
(今の無銘は手ごわい。だが君ならきっと……勝てる)
秋水は無言のエールを、固まり気味な剛太の背中にそっと贈った。
剛太は仕掛けた。前進しながら右から左から面を打ち下ろすが悉く捌かれる。
(なら小手だ!)
面を見せかけ身長差ゆえ上がりがちな手首を狙って振り下ろすが無銘はスルスルと左開き足で後退。空を切る竹刀。
「剣道でも動けるのか彼は」
「フ。それはもう。俺が手ほどきしましたからね防人戦士長」
「中村は更に踏み込み胴を狙うが」
硬く小気味いい音とともに裏鎬で半ば打ち落とすよう回避する無銘。
一足一刀の間合いから2歩ずつ後ずさったぐらいの距離で両者いったん制止。
ここまでで剛太の方は息が上がり始めている。無銘は平然と正眼に構え待つ姿勢。
「攻めあぐねてる訳じゃなく」
「そうだな。フ。律儀な奴。新人戦士の駆け引きを待っている」
「彼もまた武術的な機微の勝負を望んでいる、か」
一同の思惑は無論わかっている剛太だが、体はそれについていかない。
(駆け引きやろうったって仕掛けるたび軽くあしらわれているんだぜ? そんなんでどうにかできるのか?)
一瞬弱い考えが掠めたが、それを振り払うのはやはり斗貴子だ。
(弱気になんな俺。ずいぶん負けちまったがそれが斗貴子先輩助ける土台にならないって決まった訳じゃねぇ。武術の機微
とやらが先輩守る術になるなら俺はやる。何度負けようが齧りついてモノにしてやる)
力量差はこのさい言い訳にもならなかった。むしろ駆け引きとは圧倒的な差を埋めるためのものである。ある意味温情的
な──もっとも彼は彼の打算のうえ蹂躙を選ばなかったのだが──無銘さえ知略で出し抜くコトができないならきたる決戦で
剛太はついぞ斗貴子のためになれないだろう。
(剣道型に切り替えやがったお陰でさっきまでの観察がパーだ。読み辛くはあるが、相手の手の内なんざ見えない方が当然
だ。それでも俺は色んな戦いに勝ってきた。ゼロから僅かな手がかりを頼りに見抜いて)
気を静めるべく原点に立ち返る。数々の戦闘で行った駆け引き。それは何故奏功したか考える。
そうしていると、最近闘った、無銘と系統を同じくする相手が浮かんだ。
(……そういやああの出歯亀ニンジャも忍びだったな。忍びってのは任務遂行のため恐ろしく合理的で冷徹だ)
文に起こせば長いが、漠然とした、概念的な考えが剛太の頭を駆け抜けたのは刹那である。
(コイツは読み合いで勝つためにさっきから正攻法で攻めてこない訳だが)
剣の攻めには2つある。有形と無形。体を攻めるものと……心を攻めるもの。
秋水と防人が剛太をして武術向きだと評したのは後者に即しているからだろう。
むろん当人は気付かないが、体術で勝てないという事実が自動的に心理戦を組み立て始めた。
(なぜあのニンジャ小僧は読み合いで勝ちたいのか? ひっくり返して考えてみよう。まず俺が読み合いやろうとしてるのは
斗貴子先輩のためだ。不慣れで負けの多いコトを敢えて選んだのは、そうしてでも先々に役立てたいもんがあるからだ。
となればこのニンジャ小僧にもそういう戦略的な目的がある筈。それは何だ? 小札や鐶を守るためか? 違う)
小札には総角がいる。鐶に至っては戦士6人相手にしてようやく僅差で負けたほどだ。
(目先の勝利を逃してでも読み合いを望む理由。それは昨日聞いたコイツの前歴と繋ぎ合わせれば自ずと見える)
イオイソゴ=キシャク。無銘を犬の体に押し込めた仇敵。
老獪きわまる忍びの大家(たいか)。
(レティクル木星の幹部。恐らく鳩尾にとって俺との戦いは仮想戦。頭使うタイプだがまだ新人でしかも不慣れな剣道をして
いる俺すら出し抜けないようではイオイソゴにも勝てないと……そう思ってやがるな)
そこまで考えたところで剛太は無銘との決定的な差に気付く。
(アイツとじゃ目的の質が違う。俺は別に勝ちたい敵はいねえ。斗貴子先輩守れさえすればいい。もちろん敵斃せりゃそれ
に越したコトねぇけど、どうしても勝てそうになけりゃ身を挺して先輩守ればいいだけだ。先輩は強いからな。俺が楯になって
隙作りゃ絶対勝てる)
斗貴子さえ守れれば個人的な勝利は別に要らないと思う剛太と。
(絶対に仇敵を斃したいと願うニンジャ小僧)
この局面での読み合いにおける”負け”の重みは必然的に違ってくる。
(俺は別に負けようがいい。掴めるまで繰り返すだけだ。そう決めてる)
けれど無銘は違う。イオイソゴに遥か劣るルーキーへの敗北は確実に自信を揺るがせる。
(つまりだ。俺の動きに敏感なんじゃないか? 過剰といえるぐらい警戒してくる。裏を読む。だからこそ仕掛けるときは内
心疑う。フェイントだと見抜かれるのではないか、と)
忍術とタイ捨。剣道での力押し。剛太に勝ちうるあらゆるカードを捨ててまでイオイソゴに備える無銘だから読み合いには
全力だろう。
(だったら)
(……来る!)
剛太の踏み込みにようやく読み合いの始まりを察知した無銘は平凡きわまる正面を敢えて受け止め鍔迫り合いを挑む。
剛太もそれは読んでいたらしく両者は激しく押し合いだした。もっともそこは人とホムンクルス、馬力の少ない方が面白い
ように押されていく。
そこで剛太が初めて変則的な行為を見せた。後退しつつあった右足を大きく跳ね上げたのだ。
「スカイウォーカーの蹴り!?」
「タイ捨を真似たか!?」
先ほどの特訓を見ていた秋水と防人が驚く中、身を引く無銘は竹刀を返す。頭よりやや高い箇所に柄を引きつけ左半身
を庇った。そこに蹴りが炸裂するかと思いきや、剛太はヘソの辺りまで上げた右膝を急速に下げ倒れこむよう突きを見舞う。
(フェイント!)
(フ。蹴りを使うがゆえ蹴りを疑う無銘をハメる魂胆か)
術理上あまり好ましくない踏み込みを選んでまでした引っ掛けにしかし無銘は掛からない。流れるような手つきで正眼に
構えなおすと、迫りくる突きを緩やかにすり上げた。
「ブラボー。読んでいたか」
「無銘は面に移るようだ
「正攻法だな。フ」
滑らかに剛太の中心めがけ竹刀を戻した無銘が面を振り下ろし──…
決定的な乾いた音が訓練場に響く。
「……」
「予定より遅れた……やっぱ鍛錬必要だわこーいうの」
(読まれるコトを読んでいた、か。さすが中村)
震える剛太。無銘の竹刀はその面に届いていない。あと30cmという所で剛太の竹刀の鍔元に阻まれたのは一瞬のコト、
剛太はまるで無銘を迎えるようにアキレス腱から全身のバネをアップに解放、無銘の打突をすり上げるや面に転ずる。
「表鎬で受けた!」
「フ。面すりあげ面。相手が小柄なほどやりやすい技」
「足のバネ……重力も存分に使っている! ブラボーだ!」
(スカイウォーカー特訓で疲弊した足は核鉄で治療済み! 特にアキレス腱は念入りにやった! 弾性上げるために!)
人間が術理でホムンクルスの高出力を上回る奇跡のような瞬間だが
(だがそれも読んでいた!)
(手ごたえが来ない……? 避けられた? いや!!」
予想に反し会心の打撃を得られない剛太は目を剥いた。
「身長差か」
「同年代なら問題なく当たっただろう。だが小兵である無銘には若干の猶予が与えられる」
「彼もまた俺の教えを活かしたか」
──『相手に攻撃を察知させない』。たったそれだけを実現するため俺は体を鍛えた。いいか。鍛錬そのものが目的じゃな
い。武術的な機微で相手より優位に立つため鍛えるんだ」
(しまった! そういう優位、小さい奴なりのアドバンテージを忘れていた!)
面すりあげ面が有効なほど小さい相手なのだ。面が届き辛いというコトまで考慮に入れるべきだった……。
剣道初心者ならではのつまらない不覚を悔いる剛太に対し
(見られているからこそ気にも留められぬ要素! それを活かす! 古人に云う、これすなわち陽忍なり!!)
素早く腕を引き突きに移行する無銘。
その顎が上がっているのを見た剛太は咄嗟に竹刀を正眼に下げた。
「小手を取られかねない動きだが」
「フ。突きに全霊込めた無銘は打てないし止まれない」
無謀にも剛太、突きに対し鍔迫り合いを敢行!
(俺なら避けるか小手を取る)
(フ。同じく)
熟練者2人が目を丸くする常識外れだが剛太そのまま突きで浮き足立つ無銘を右後方へ追いやり面を決めた。
「表崩し!」
「無銘……。だから顎を上げるなと…………」
「フ。勝負ありだ」
竹刀を取り落とした剛太は毟るように面を取り激しく息をつき始めた。
「ああクソ疲れた! あちこち痛いし! ホム相手に武術とか二度とやりたくねえ!」
大声で不満を漏らす。だがひとしきり叫ぶと気分は段々落ち着いてきた。
(でも、まあ、アレだな)
様々な読み合いと咄嗟の機転で初めて打てた無銘の面。
(ヤッベ。すっげえ気持ちよかった)
そもそも無銘はかつて斗貴子に敵対特性で以て重傷を負わせた男なのだ。
怨恨を晴らせたという点でも爽快だし、剛太自身先ほど散々痛めつけられた経緯がある。
(そんな生意気なニンジャ小僧に一撃かませたのは悪くねえな。うん)
カズキも一時期秋水ともども剣道に勤しんでいたと言うが、その道でボコボコに出来たら尚いいだろう。
「分かっただろう。剣術とは駆け引きだ」
「早坂……」
座り込む剛太を上から覗きこむ秋水は淡々と呟く。
「君達がやったように、敢えて隙を作る場合もある。敵に攻撃させるんだ。いかな堅牢な構えでも攻めた途端……崩れる。
ほころびが生じるんだ」
「だから敵に仕掛けさせこれを打つ……だな。打たれるコトもある。ソレだけは身に染みて分かったって。今度こそ、な」
垂れ目を覗き込んだ美丈夫は無言で力強く頷いた。それは何よりの太鼓判だった。理解を理解した印だった。
「ところでどうだった中村。剣道は楽しかったか?」
剛太はちょっと目を泳がせた。頭だけはいい少年である。楽しいといえば秋水はそれをネタにグングン来るだろう。聞きた
くもない剣術の話を生真面目な様子で延々と、かつマジメすぎてつまらない様子でやるだろう。
「心底楽しい訳じゃねえよ。いまの戦いでマメできたし足だってまた限界。防具も臭いし相手は厄介だし……なんでお前こん
なのが好きな訳?」
「厳しくない津村に君は魅力を感じるか?」
からかうような、しかし見事すぎる返しに剛太の脳髄は稲妻に撃たれた。
「お前分かってるし俺も分かった!!」
「だろう」
微笑する秋水と拳を打ち付けあう。お互いの理解が深まった気がした。
「でも俺にぞっこんでいつも優しい先輩もそれはそれで」
「……あ、ああ」
とろんとする剛太に秋水はちょっと引き気味だった。
「負 け た ! !」
無銘はがくりと膝をついた。
「イオイソゴどころか新人戦士に負けた! 読み合いで負けた!!」
顔は真青、絶望にガタガタ震えている。
「フ。気にするな。勝敗は兵家の常だ。忍びが竹刀でよくやった」
「師父……」
しゃがみこみ頭を撫でる総角に無銘の瞳が潤んだのは嬉しさよりも報えなかった悔しさゆえか。
「そうだ。君は君で十分考えて闘っていた。ブラボーだ。勝ち星の方が多いし負けたのだって僅差。可能性はまだあるさ」
「ブラボーさん…………」
後ろで仁王立ちする防人に少しはにかみながらも無銘はまだ俯いたままだ。
「これで顎さえ上げてなければ勝てたのにな……フ」
(そうだ……。顎。…………早坂秋水の忠告受け入れていれば…………)
四つん這いで落ち込む無銘を防人も総角もそっとしておくコトにした。
(フ、根は素直な奴だ。すぐ立ち直るだろう)
(忍びの本質は正心。俺たちの意を汲み敢えて専門外の剣道で勝負した時点で忍者としても成長している)
石川五右衛門……。風摩小太郎……。
歴史上、悪心を催した忍びはどれほど術技が優れていても滅ぼされた。
無銘が仇敵と狙うイオイソゴ=キシャクもまた悪心の忍びである。
「ナックルダスターでシルバースキン破れ!? 無茶でしょそれ!」
防人の訓練は厳しい。やっと無銘に勝ったと思ったら次なる課題が出された。
「理論上は可能だぞ。硬化再生より早く第二撃を叩き込めば行ける」
「理屈の上ではそうですけど! 仮にアッパー後の密着状態でモーターギア回転させても破壊力は低いんです。シルバー
スキン爆ぜさせるコト自体まず無理ですって」
「ん? 別に殴ってもいいんだぞ?」
「殴るって……。アッパーしてからすぐにですか?」
「その通りだ。そもそも如何なる攻撃であれ一撃で決着するコトは稀だ。仮に致命傷を与えたとしても、最後の悪あがきで
思わぬ反撃が来たりもする」
「剣道でいうところの残心……拳打後に何か攻撃を打てるよう訓練すべきだ」
「俺はどっちかというと遠距離戦向きなんだけどな……」
とはいえ先ほどの戦い、体が思惑通り動かなかった局面が何度かある。
人間形態になって間がなく、剣道にも不慣れで、しかも蹂躙は自重していた無銘相手でさえああである。
接近戦に持ち込まれるや守るより早く斗貴子が傷つけられては意味がない。
「分かったよ。やるよそれも」
大儀そうに目を瞑りながら剛太は答えた。
(フ。つくづく動かしやすい奴)
総角は静かに笑った。
2014-03-08T13:55:09+09:00
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第098話 (4-5)
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──「ブラボー。これもそれなりの修練はいるが目指すところは単純だ。『相手に攻撃を察知させない』。たったそれだけを
実現するため俺は体を鍛えた。いいか。鍛錬そのものが目的じゃない。武術的な機微で相手より優位に立つため鍛えるんだ」
──「突き詰めれば中村。キミと武術の相性は案外いい。最終的には智謀や精神がモノをいう世界なんだ」
(……これだ。2人は武術を通じて俺の頭を鍛えようとしている。ケッ。乗せられるのは癪だが──…)
来るべき決戦で斗貴子の力になれるなら。
「来いよニンジャ小僧。今度は俺がいろいろ試す番だ」
無銘めがけ親指以外で手招きする。挑発的な行為に「何を!」と無銘は憤りそして構えた。
(よし。中村。やっと俺と戦士長の意図を分かってくれたか)
「フ。同時に秋水をも鍛える、か」
「彼に必要なのは人と交わるコトだからな。アイツ自身それを望むようになった。お前との戦いを通して……な」
防人衛。総角主税。戦士と音楽隊。2つの会派の首魁格はただ静かに部下を見守る。
一方、千里の部屋では演劇の脚本がいまだ難航していた。
「文章って難しいね」
「読むのは好きだけど書くとなると……」
のほほんとしたまひろとは対照的に千里は困り果てていた。
いま書き上がっている台本については集結した女性人全員の感想を貰いいろいろ見直したのだが、どうもしっくり来るものがこない。
「締め切りは明日の正午だよ」
時刻は現在そろそろ23時を回ろうかという頃だ。斗貴子としてはそろそろ管理人室地下の特訓に戻りたいのだが……。
(だが演劇発表で負ければ部はパピヨンの天下になる)
台本の出来が悪ければ斗貴子はパピヨンのコスプレでレティクル勢との決戦に挑まなくてはならない。
(それだけは絶対嫌だ!)
顔が青ざめ汗が流れる。ココまで気付かなかったのが不思議なぐらい、当然でおぞましい理屈だった。
「なんとしても書きましょう」
いつにもなく神妙な面持ちで呟いたのは桜花だ。彼女の慧眼は斗貴子の動揺ひとつで台本の重要性を見抜いたらしい。
「書くといっても千里だいぶ疲れてるわよ」
ヴィクトリアとしてはどっちに転んでも構わない。恐ろしい話だが彼女はパピヨンのコスチュームに抵抗がない。ニュートン
アップル女学院の生徒たちを思い出してみよ。みな彼を妖精と思っていたではないか。朱に交われば何とやら、しかもパピ
ヨンを憎からず思っているのだから(負けたら……その……ペアルックってコト?)と内心ドキドキしている。
とはいえ勝てるに越したコトはない。難物な共同研究者の喜ぶカオは見てみたいし、演劇部の全権を任された以上は
矜持にかけて勝利に導きたくもある。
ただ、台本執筆が千里である以上無理はさせたくない。母の面影を持つひどく可憐な少女に無理強いはしたくない。
これがまひろなら壊れたテレビを治すように3発はブッ叩く。叩いた方が却って正常になると冗談交じりに信じている。
桜花は、ヴィクトリアの機微は分かったが、しかしだいぶ追いつめられていた。
(負ければパピヨンの服……。嫌よそんなの!)
表情こそ笑っているが微妙な引きつりが浮かんでいる。
しかしそこは生徒会長。人間ぞろぞろ(※一部ホム)揃った空間の使い方を心得ている。
「全員で、書きましょう」
みな、息を呑んだ。誰も想像だにしなかった提案だった。
斗貴子だけは呆れたように呟いた。
「桜花。キミひょっとして焦ってないか? 普段のキミならまず創作経験のある者を探すだろ。なのに……全員で描く?」
斗貴子の方がまだ冷静だった。彼女が経験のあるなしを一団に問うと千里の手だけが上がった。
「ほら見ろ。誰も未経験じゃないか。こんな状況で全員に描かすなんて」
「描くのよ」
「オイ」
桜花は斗貴子に詰め寄った。心なしか息が上がり、瞳の奥がグルグル渦巻いていた。
「津村さん。負ければどうなるか分かってるの。津村さん。負ければどうなるか分かってるの」
「分かったから離れろ! というかキミは疲れてる! 落ち着け!」
極度のプレッシャーと特訓の疲れのせいか。桜花は珍しく混線した。
「大丈夫よ! 文章なんてのは、弾みが大事なの。描くときは大作描くつもりで挑んじゃダメなの。『今日は2~3行でいいか』
ぐらいの軽い気持ちでいくべきなの。そしたらいつの間にか没頭してて40KBぐらい描きあがっちゃってるものなの。昔は
長編基準の60KBが『スゴい量だなあ。自分には決して描けないなあ』とか思ってたのに今じゃたった1回の投稿でその
7割ぐらい軽々フッ飛ばせるの」
「よし分かった桜花! 寝ろ!」
レバーにいいのが入った。桜花メルヘンの世界へ。
「くそう! 腹黒とはいえそこそこ有能な奴が消えた!」
「消した……の……間違い……では」
鐶の突っ込みを涼しい顔で黙殺し斗貴子は一団に意見を求めるべく向き直るが
「そうだね。自分で描こうよ」
「え!?」
頷くまひろに斗貴子驚愕。
「んー。ちーちんばかりに負担かけるの良くなかったね」
「日本語よく分からないけど千里のために頑張るよ」
「ビジネス文書の作成でしたら経験あります」
「物語は分かりませぬが戦いをば妄想すれば実況的側面から或いは何とか!!」
「…………ふふふ……。遂に『わたしのかんがえたさいきょうのすぱろぼ』を解き放つときが……」
「よー分からんけどご主人はやってみるって。つーか……いつになったら眠れんのさ。眠い」
「なんだかヤバいコトになってきた……」
沙織、ヴィクトリア、毒島、小札、鐶、香美……ほか全員の賛成により執筆開始!!
「とりあえずまだみんな描くの慣れていないと思うの。短編から始めましょう」
過酷な現実世界に帰還した桜花は平然たる面持ちだ。いろいろ動揺しているが表面上はいつも通りの生徒会長。
「で、何を描くんだ?」
「お題に沿って描きましょう。いまネットで小説について調べていたらちょうどいいお題があったの」
「ほうほう」
まひろは身を乗り出した。ベレー帽を被りGペンを持っている。斗貴子は(明らかに間違ってる。このコ居る時点で詰んで
るんじゃ)と思った。得体の知れぬ笑みを浮かべる鐶、文字って何じゃんという問題外の香美、既に脳にニトロを充填しいろ
いろ出来上がっているご様子の小札。他にもまひろ寄りの沙織や鬱屈を抱えたヴィクトリア。
(ああ。そうか。なんか見たコトあると思ったら)
斗貴子はむかし目撃した。
ヴィクター討伐がひと段落した頃、錬金力研究所の食堂で戦部やら火渡やら円山やらがアレコレ持ち寄り食卓を囲んで
いるのを。数時間後そこは爆発現場の中心となった。KEEP OUTのテープと野次馬越しに見た食堂……だった空間には
ヒグマの前足やらアーケードゲームの基盤の破片やらゴム手袋、クイックルワイパー、照星の焦げた、黒い額縁つきの遺影、
高笑いを上げる生前の故人にマウントを取られ殴られまくる火渡といったおおよそ食用に適さないものが散らばっていた。
その一角たる暗い赤みのかかった紫の謎粘液は最初食堂の一部分のみ群生していたが、日を重ねるごとに生息範囲を
広げていき、いまでは元食堂から半径400mが立ち入り禁止区域である。
部屋にいる女子たちを見て思う。
(そうだ。思い出した。そっくりなんだ)
(あのとき戦部たちが囲んでいた闇鍋と)
もう斗貴子は笑うしかなかった。極限まで溜まったストレスが、脳の狭まった区域から膿のようにスルスル抜けるカタルシ
スだった。
「だ、大丈夫よ津村さん。描いてもらった作品は、私と、千里さんと、毒島さんでチェックして纏めるから」
「そうか……。桜花と、若宮千里と、毒島が……。良かった。桜花がいなければもっと良かった」
斗貴子はまなじりを拭った。人間の正の部分を垣間見た気がした。
「え? あの、私さりげなく仕事ふられてませんか?」
一番とばっちりを受けたのは毒島だった。
「大丈夫よ。銀成学園に入学した暁には生徒会役員の座を用意するから。会計にしてあげるから」
「仰る意味が分かりませんが」
「桜の花言葉を知ってる? 豊かな教養、高貴、清純よ」
「お。またおかしくなったな桜花」
腰を浮かした斗貴子に桜花は引き攣った笑みを浮かべ進行する。
「と! とにかくまずは慣らし運転! お題はこれよ!」
大雨で洪水になったとき、自分の大切な人を守って避難する
「字数は2000字以内! スタート!」
斗貴子。
洪水、か。私たちが斃すべき敵たちは人を喰う。しかも痕跡は必ず消す。
洪水に紛れての食事は正に打ってつけという訳だ。
それだけに、夏ともなると仲間達は洪水区域へ飛び出していく。
中でも欠かせない人は艦長と呼ばれる老年の男性だ。
有能なんだか無能なんだかよく分からない人だが、潜水艦を操る能力を持っていてな。
大河川の洪水区域という、学校など比べものにならない広い区域の住民達を救助するコトにかけては組織一信用できる。
その艦長がある時、あわや死に掛けた。
律儀な人でな。住民達を潜水艦に入れる時は必ず甲板に上り声を掛けていた。
それが仇となったのは風まで強い難儀な日だ。乗り込もうとしていたまだ幼い少女が突風で大きく転び看板から落ちた。
幸い艦長が反射的にキャッチし仲間の乗組員に投げ渡したが、代わりに自分が河の中へ……。
詳しくは話せないが、そのとき使っていた潜水艦は艦長なしでは成立しないものだった。
動かない、どころではない。まぁなんだ。艦長が溺死した場合、乗ってる人たちは確実に全滅する。
迷うヒマはなかった。同じく看板で避難誘導していた私も川に飛び込んだ。
幸い艦長は落ちた場所にいた。ジタバタ平泳ぎして激流に逆らい留まっていた。お陰で救助は容易かった。
しかも上流から流木だの車だの障害物がどんどん流れてくる。
普通なら絶望的だが、私は違う。『武器』さえ使えばどれも即席の足場……30秒とかからず陸に戻った。
ただ計算外だったのは、潜水艦の近くに敵がぞろぞろ現れ始めたコトだ。
洪水を狙うだけあっていずれも水棲型。足ヒレが水溜りにベチャベチャ叩き付けられ不快な音を奏でた。
侵入されたらおしまいだ。一刻も早く知らせなければ……焦る私をよそに潜水艦は潜り始めた。
艦長曰く水中で平泳ぎしている間に出航命令を下していたという。女のコの回収ならびにハッチ閉鎖も。
本当、有能なんだか無能なんだか。敵の侵入もなかったというから安心したが……危機がまた来た。
敵が艦長の顔と能力を知っていたんだ。まぁ台風が来ればまるで祭りを追って北上するテキ屋のように連
日被災地に詰めてる人だ、敵に知れ渡らない方がおかしい。
上陸するや何体かの敵が艦長めがけて飛んできた。何しろ殺せば潜水艦というエサの檻が壊れるからな。
そうすれば水棲型どもが溺れる人たちを生きたまま喰らうのは目に見えている。
そういう意味でこの瞬間、彼は大事な人だった。
当然私は迎撃。飛び掛ってきた敵どもをブチ撒けるとすぐさま艦長の手をとり走り始めた。
敵はおよそ60体。殲滅できない数ではないが雨の中の乱戦となると守るどころか逆に殺めかねない。
私の武器はそういう物……避難するしかないだろう。敵は水棲型でもある。洪水区域で闘うのは得策ではない。
300mは走っただろうか。私ひとりなら武器を使って高速移動できるのだが、艦長を連れている以上無茶はできない。雨で
視界が悪く強風が時おり思わぬ物体を飛ばしてくる環境下であちこち跳ねて回るのは危険すぎた。艦長が死ねば潜水艦
の人たちも死ぬ。だから手を繋ぎ走る他なかった。
そうやって焦れている私に艦長が一言。
「お腹冷えた。トイレに行きたい」
…………フザけるな!!
理屈としては分かる。洪水まっさかりの河に落ちたのだからな。腹部が冷えるのは仕方ない。
だがココでいうか! 私だって敵をブチ撒けたいのを我慢してるんだ!
くそう。潜水艦への影響さえなければ殴れたものを。怒りをこらえ彼を窘める。再び走る。
そこであの艦長よりにもよって転びやがって!
少女か!! いやまあお年寄りだから足腰弱いのかも知れないが状況を考えろ! しっかり走れ! 逃げろ!!
しかもそういう時に限って敵が来る! 前から後ろから左右からゾロゾロと!
やきもきしていると艦長が私の肩に手を置いた。厳かな手つきだった。皺が刻まれ節くれだった手の感触に、沸騰しかけ
た私の心は落ち着いた。さすが年配の人……窘めるのが上手いなと感心していたら彼が一言。
「お腹冷えた。トイレに行きたい」
まだ言うか! とりあえず1時間後仲間たちと合流して安全を確保したが二度と彼とは組みたくない。
「あらあら。びっくりするほどオーソドックス」
「悪かったな。こんなモノしか書けなくて」
口に手を当て品よく驚く桜花に一抹の棘を感じたのか斗貴子は嫌そうな顔をした。
(というかコレ)
(斗貴子さんの実体験だよね。絶対)
千里と沙織は内心気付いたが口には出さない。
「あ……取られました」
「取られたって何よ……」
がっくりうなだれる毒島にヴィクトリアは呆れた。
「そういえば毒島もあのとき艦内に居たな。すまない。キミの居ない任務を選ぶべきだった」
(認めちゃって……ます)
(波乱に富んだ人生だ!!)
(つーか……眠い…………)
「おお! これはのっけから凄まじい迫真のリアル! 果てして優勝は誰の手に!?」
「優勝って何!? 競う奴なのコレ!?」
沙織は仰天した。肩の輪郭が逆立った。
「ぐ。流石は斗貴子さん! けど優勝は渡さない!」
「なんでそんなノリノリなんだ!」
意気込み戯画的な顔でむふうと鼻息を出すまひろに斗貴子は叫ぶほかない。
まひろ。
ぽてと「大変だ! 大雨で洪水だよ!」
かぼす「むぅ。大雨で洪水だなんて大変だね!」
ぽてと「避難しよう!」
かぼす「そうだよ! 避難は大事だよ! でもあの川の水おいしいよ!!」
ぽてと「わー。みんな避難してるね」
かぼす「みんな考えるコトは一緒だね。早起きすれば良かったよ」
えほん「来たな。遅れると思って整理券貰っておいたぜ」
ぽてと「ありがとう! 見ず知らずの人!」
かぼす「でも今は大変なときだよ。気持ちだけで十分! 私は順番を守る!!」
「え! 終わり!?」
桜花は原稿を取り落とした。まひろはというと憔悴した様子でふぅーふぅー息をついている。
目も全開で血走っている。よほど全力で書いたのだろう。斗貴子は思わず気圧された。
「いま私に描ける最高の作品よ! これなら斗貴子さんにも……」
「無理だと思う。絶対ムリだと思うまっぴー」
沙織は顔をくしゃくしゃにして笑う。
「大雨という極限状態の中でも守られる人間の絆そして倫理! 短いながらも啓蒙に富んだ優しき作品!」
「小札さん。そこまで全力にならなくていいです。まひろたぶん何も考えず描いてます」
千里も困惑気味だがまひろを見る目は優しい。
「思わぬ優勝候補ね」
「な!」
「ええ」
ヴィクトリアに追従する毒島に斗貴子はただただ驚愕した。
香美はというと鼻ちょうちんを収縮させている。それが弾けたのでビックリして起きてボンヤリ辺りを見回した。
「次は…………私…………です」
鐶光、推参。
2014-03-03T18:17:03+09:00
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第098話 (4-4)
https://w.atwiki.jp/bakiss/pages/1355.html
8本目。
「古人に云う! ごがあぶりてんりしっていしっていしってい!」
「打ち込みが弾かれた!?」
剛太の面が弾かれ咽喉もとに竹刀が突きつけられる。勝負あり。
14本目
「古人に云う! おんあにちまりしえいそわか!」
「ぶごっ!?」
剛太はみぞおちに膝蹴りを入れられた。悶絶したところで面を打たれ勝負あり。
22本目
「古人に云う! かんまんほろほん!」
「え……? あ!」
剛太は竹刀を奪われたうえ投げられ頭を打たれた。勝負あり。
「後半剣道じゃねえ!!」
剛太の怒号が響いた。
「なんだよアイツ! 蹴りとか投げとか平気で使いやがる!!」
まったくひどい戦いだった。
「打ち込んでもアイツ跳ぶし! ピョンピョン跳んで竹刀避けるし! くそう! 今度こそ!
剛太は無銘めがけ突っ込んだ。そうしてしばらく切り結んで押し合いになったが突然無銘はスピンしつつ数歩後退。着地
と同時に手裏剣を剛太の額に投げて勝利。
「だから剣道しろと!! 何! なんなの! お前は何をやってんの!?」
無銘は腕組みしニヤニヤするばかりで答えない。流石にキレかけた剛太を救ったのは秋水。
「タイ捨流」
「たいしゃりゅう? 何だよソレ」
「タイ捨流とは剣聖・上泉伊勢守信綱に師事した肥後の人間、丸目蔵人佐(まるめ・くろんどのすけ)が新陰流を元に発展
させた流派だ。特徴はいま鳩尾が見せたような跳躍、回転といった荒々しくも迅速な動きだ」
「解説どうも。この剣術オタクめ」
「総角との闘いに前後して俺は古流について少し調べた。最初は研究目的だったが今は様々な流派の奥深さに目を見張る
ばかりだ」
「貶したのにしみじみ語ってやがる……」
目を閉じ様々な特色を述べる秋水は心地良さげだった。
「真田十勇士の根津甚八も確かタイ捨流だ」
「十勇士ったら忍者だよな。……道理で」
少年無銘が好むわけだと納得する剛太は
「字はこうだ」
秋水がどこからか取り出したメモに眉を顰めた。
「タイだけカタカナなのは何でだ?」
「教えによると『心広く達するため』だという。「体」「太」「対」「待」……伝書には様々な文字があるがどれか1つのみに絞る
とそのたった1つだけ”捨てる”流派となり幅が狭まる。そもコレは天神合一、変幻自在を旨とする流派で」
「ああもういい。いいから。細かい説明は」
「そうか」
秋水はちょっと残念そうなカオをした。
「だが蹴りや投げは柔術の流れを汲む正当なもので……!」
「なんでちょっと必死なんだよ…………」
思いつめたように弁護する秋水にほとほと呆れる剛太であった。
「8本目で君の刀を弾いたのは石厭(せきあつ)。14本目の膝蹴りは足蹴(そくしゅう)。投げ……22本目で使われたのは
奪刀(ばいとう)だな」
とりあえず秋水の分かる範囲で無銘の技を聞く。(剣術オタクめ)、内心詰りつつも形だけ礼を言う。
「で、さっきのスピンやら手裏剣は?」
「猿廻(えんかい)。といっても『形』(かた)では最後投げない」
だろうな、と剛太は思った。手裏剣を投げる剣術はとても想像しがたいものだった。
「むしろ最後(無銘側)が投げられる。そして弾く」
「結局組み込まれてた!!!」
正式にはスピンして後退したもの(仕手)の相手が投げる仕草をする。それを払う動きで締めくくるのだ。
「手裏剣までアリとか……アグレッシブすぎだろタイ捨流」
「実戦用だから当然だろう。ちなみに蹴りや投げといった無刀の技は柔術のみならず中国武術の流れをも」
「だからもういいって」
秋水は寂しそうだった。
「で、さっきからアイツがブツブツ言ってるの何?」
「何の話だ?」
ほら技かける前の。古人に云う~なんちゃらかんちゃらのよく分からない言葉。と剛太がいうと。
「摩利支天だな。真言。一種の呪文だ」
「なんでそんな訳の分からないコト言ってんだよ。忍者だろ。臨兵闘者~にしろよ。言えよ」
「タイ捨流の慣わしだ。組太刀の前に唱える」
宗教色も濃い神秘的な流派。美貌の青年が憧憬を浮かべると一種陶酔した雰囲気が漂う。
それを蹴散らすように飛び込んできたのは少年忍者。趣味となると男はうるさい。誰もがうるさい。
「厳密に言えば忍びと摩利支天にも関係はあるのだ!」
「成程」
「何しろ陽炎の神様だからな。信じて念ずれば隠形は容易い。あ! というか念じたので我の剣が不可視になりスパスパ
当たってるに違いない」
場を沈黙が占めた。この犬畜生は何バカな事を言ってるのだろうと剛太は思った。秋水もまた黙りこくったと思いきや
「そうか。すごいな摩利支天は」
真顔で言った。コイツも何いってんだと剛太が振り仰ぐと、秋水、口の前で人差し指を立てるではないか。
(あー。流してるのね。つかそれ大人が幼児あやす文法じゃねえか)
「フ」
遠くで総角が笑った。経験者の笑みだった。色々な年上の思惑は無銘には伝わらないらしく、
「そうだろう。スゴイのだぞ!」
相手が秋水にも関わらず、楽しげに応じた。ハイになったせいで行き掛かりのモロモロを忘れているようだ。
(子供か。いや子供だけど)
よく見ると竹刀にシールが張ってある。印刷されているのは絵とも模様ともつかない面妖な図案だ。
「仏号だ。梵字と要領は一緒なのだ。いつか刀にも刻むのだ。カッコいいのだ」
(いやお前ソレ刻んだというか貼っただけだからな)
内心ツッコむ剛太とは裏腹に、無銘はひどく上機嫌だ。「一生懸命手で描いて一生懸命手で貼ったのだ」と聞かれも
しないのに胸そらして得意げに説明した。
「いま貼ったっていったよコイツ。刻むんじゃないのかよ」
その追求が不服だったらしく無銘は一瞬露骨にムっとしたが、総角の咳払いを聞くと急にしおらしくなった。
「だって師父が学校の備品壊したらダメって云うし……」
(子供か。いや子供だけど)
「で、でもシールぐらいならいいぞってブラボーさん云ったし貼ったのだ! いいだろうコレ。いいだろう」
とにかくシール。剥がれないよう竹刀に撫で付ける手つきは小生意気な態度がウソのように優しい。
「本当は忍者刀にも彫りたいのだ。でも特注するとお金かかるのだ。今月は忍者刀買ったばかりで母上の財布が厳しい
からガマンしてるのだ」
言葉を継ぐたび無銘の頬は震え、とうとう目を白く真白にして涙を零した。うううとブルった。
「というか、龕灯の映像付与でどうにかならないのか?」
「っさい早坂秋水! 大事な問題に干渉するn……ム! どういうコトだ! 話せ!」
怒りながらも急に首を傾げて問う。(ああコイツ根は結構アホだな)剛太は思ったが口には出さない。
「だから、例えば刀身を石膏のような性質にして何かの判で仏号を捺す、とか」
「それだあーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!」
鳩尾無銘、大興奮。
『天下鳴弦雲上帰命頂来』
忍者刀の刀身いっぱいに刻まれた文字に剛太と秋水は思った。
(族か。暴走族か)
(こんな旗かかげているのをよく見る……)
服部家伝来の秘伝書、その名も「忍秘傳」にも記載のある由緒正しい言葉(所定の手続きのうえ唱えると行路の難を打
破できるという)なのだが、忍者マニアでない2人には意味不明かつ悪趣味な装飾だ。
「サツマイモに字ぃ彫って捺した!」
「図工!?」
恐らく失敗作だろう。足元に転がる無数の芋のなか鳩尾無銘は直立して腕を組み大口開けて哄笑した。
(一文字一文字捺してたな)
その時の模様を思い出した秋水はちょっと和んだ。
──「ぐ、文字ずれたら一巻の終わりだぞマズイぞ……」
──「い! いま話しかけたら殺すからな! 集中乱したら時よどみだからな!!」
──「ぎゃああああ!! ちゃんと逆さにしてない判子押してしま……アレ? あ、性質付与まだだった。良かったぁ(ホッ」
──「芋に文字彫るのしんどそう……だと。別に。楽しいし。面倒くさいけど手使えるだけいいし」
「おお」
無銘は忍者刀を眺めた。
「おおっ」
裏表ひっくり返した。そこにも同じ文字がある。
「おおー」
ひらひらと両面見比べる無銘の顔は驚きと感動に満ちている。
(あのネコといい音楽隊はこんなんばっかか)
(まぁ子供らしくていいじゃないか。俺は彼ぐらいの時そろそろ心が死んでいた)
(サラっと重いコト言うんじゃねェ。返し辛いぞ)
秋水の顔もまた綻んでいて、剛太は思う。「コイツのコト語ってる姉と同じ表情(カオ)だな」と。
秋水が、小札の件でアレコレと突っかかってくる無銘を弟のように思っているのが見て取れた。
(今は死んでねえってコトか。心)
よく分からない男でまったく真逆の秋水だが、剛太はさほど不快ではない。
(アイツの影響か。コレも)
論評は瑞々しさを取り戻した秋水に対してか、それとも彼に友誼を感じつつある自らの変化にか。
剛太はまだ分からない。
「クク……! 手でいろいろできるというのは実に気分がいい! フハハどうだ鐶! いいだろこの刀!」
「鐶なら姉さんたちと移動したが」
無銘は竹刀を縦に持ったまましばらく固まり
「何ィーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!」
と目を剥きそして怒った。
「おのれ鐶め! 我の活躍見てろといったのに! 約束したのに!」
八つ当たり、だろうか。刀を片手でブンブン振り出した少年忍者はむくれ面だ。
剛太は意地悪く笑った。
「つーか何。いいトコ見せたかったのお前? あれカノジョな訳?」
「な…………!!」
無銘の顔がみるみる赤黒くなった。瞳孔は露骨に開き色も変化。
「ばばばば馬鹿を抜かすな! あ! あのような者に焦がれる訳なかろうが!! 我はただ、我はただだな! 普段妙に
偉ぶってる鐶めを見返してやりたかっただけなのだ!!」
あからさまに動揺する無銘に剛太は「ふーん」と意味ありげな笑みを浮かべる。
「でもお前あのロバより先に鐶呼んだよな。母上……だっけ? その母上より優先してたじゃねえか」
「ぐ……!!」
「それとも何? まさか母上様のコト忘れてたんじゃないよな?」
(フ。セーラー服美少女戦士を敵対特性で倒された遺恨、か)
煽ってくスタイルの剛太がさらに舌鋒を加えんとしたときその肩に手が乗る。振り返る剛太。
「やめるんだ中村」
「早坂」
神妙な顔つきの秋水に少々やりすぎたのかと剛太は思いそして黙る。
「鳩尾はただ苦難の人生を歩んできた鐶に真先に面白い物を見せて元気付けたいだけだ」
空気が明らかに凍った。秋水を振り向く剛太は頭の後ろで小さな影が、爛々と両目光らせ立ち上がるのを察知した。
「オイ」
青ざめる。修羅場を予期し青ざめる。
秋水が言った程度のコトなど剛太はすぐ見抜いていた。見抜いた上で触れぬよう逆鱗に触れぬようしょうもない煽りで細
かな怒りを引き出していたのだ。だが秋水は触れた。心底生真面目に庇うつもりで……触れた。
皮肉にもそれが無銘をブチ切れさせた。
「貴っ様あーーーーーーーーー!!」
ひゅるりという冷たい風が鼻先を通り過ぎた瞬間剛太は慄然とした。舞い散る何本かの髪は切断の証。
「ちょ! その忍者刀斬れる奴だろ! 振り回すなって!」
「黙れ! 貴様が余計なコトいうからこやつが調子づいたのだ!」
「君は顎が上がり気味だな。身長差を気にするせいか……。顎は締めた方がいい」
「お前は冷静に指導してんじゃねえ!!」
「だが体を崩されたとき転倒の恐れが……咽喉だって打たれかねない」
「だから何で今いう!! おのれ馬鹿にしおって!!」
「やーめーろ! 実質真剣だぞそれは!」
やかましい叫びと足音のなか総角に湯飲み差し出す防人衛。
「粗茶だが」
「あ、どうも。お構いなく」
「ぐぬぅ! 一発足りと当たらん!」
無銘の攻撃は悉く外れた。彼がバテるコトで騒乱は終わった。
剛太は見栄えよく佇む秋水に愕然とした。
「結構激しく動いてたのに汗一つかいてねえ……」
とにかく剛太。無銘に勝つまで続けるコトに。
「つってもなあ。あいつホムンクルスだぞ? さっき先輩が言ってたけど身体能力だけなら全盛期のブラボー並。そりゃあ
確かに最近人間形態になったばかりだから、剣の方はあちこち拙さが見えるけど……タイ捨流だぜ? 跳ねるわ投げる
わ蹴るわ手裏剣使うわで手に負えねえ」
ニトロエンジンとミサイル搭載のF1カーに乗ったルーキー。とでも形容すべきか。無銘は手ごわい。
「しかし君は先ほど防人戦士長に重力の使い方を教わっただろう」
「そうだけどなあ」
いざ実戦となるとそれどころではないというのが実情だ。そもそも実際に練習し体感したのはナックルダスターとスカイウォー
カー……アッパーとハイキックのみである。
と、手札を探っていた剛太の脳細胞がめまぐるしい収縮を見せたのは秋水の表情に微妙な変化を認めたからだ。
相変わらず生真面目が服をきたような、美麗だが面白みのない、予算だけは潤沢な大コケ映画を思わせる面持ちの男
が一瞬くすりと笑ったように見えた。
(笑う? 笑うってコトは裏がある、だよな。ただコイツは姉と違って策謀は苦手だ。となると既に何か予想していて
現に俺がその通りになってるってコトか。しかもまだ俺は解決策を見つけていない……と)
さらに思い出す。無銘との試合前、秋水がいろいろ口にしていた忠言を。
──「君は頭がいい。だからこそ、教えられた技術に固執しがちだ」
──「あっそ。でも要するにブラボーの教えはアレだろ。筋肉連動させりゃ攻撃力あがる。重力上手く使って相手の虚をつ
けば勝てる。それだけでいいじゃねェか。時間ないし体術に限っちゃ単純単純、何も考えねェ方がうまくいくって絶対」
──「攻めて崩れるのは相手だけじゃない。自分もだ。攻勢に転じた瞬間隙が生まれる。巧者はむしろそれを突く。体術だけじゃ
ない。知略も同じだ。戦いの本質はみな同じだ」
(…………)
やっと気付く。『簡単にできる』。そう嘯いていた筋肉の連動や重力の利用がまったく出来ていなかったコトに。
変幻自在かつ既存の剣道の枠に収まらぬ無銘のタイ捨流にただ翻弄されていた……。
(やっべえ。よくよく考えてみりゃあちょっと剣術齧った程度のホムンクルスにだ、俺、全然歯が立ってなかったじゃねェか)
無論剣道という不慣れな競技だったせいでもあるが、にしても実践できると断言していたブラボーの教えを何ひとつ活か
せていなかった事実はまったく反省を促すのに十分だ。斗貴子を助けるための特訓で何の進歩も出来ていないのは、
まったく剛太にとって屈辱的である。カズキとの差が微塵も縮まっていない。
「あーー。なんだ」
ぼるりぼるりと後頭部を掻きながら秋水に言う。
「分ぁったよ。武術ってのは積み重ねが必要なんだな」
「……そうだ」
秋水は頷いた。
「防人戦士長は重心を時速6.5キロで16センチ落とした。それだけで気配が察知されなくなるが」
「それだけで神業だけど」
嘆息する。
「言い換えればアレだよな。時速6.5キロで16センチ落とすのにさえ長年の修練が必要なんだな。武術っていうのは、数値
だけ聞きゃあショボいコトでも、おっそろしく沢山考えて特訓しなきゃできないコト……か」
「ああ」
「悪かったよ。大口叩いて。確かに特訓は必要だ。ちょっと齧った程度じゃできそうにない」
それを分からせるため剛太に剣道をさせたのだろう。秋水は。
(ただそれは半分だ。もう半分は、恐らく)
記憶を探る。無銘に乱されていた頭の中の歯車が整序され1つまた1つと噛み合っていく。
2014-03-03T17:54:15+09:00
1393836855
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電脳☆新大宮さま
https://w.atwiki.jp/bakiss/pages/1353.html
短編
[[光優会OB >http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1352.html]]
[[式波・アスカ・ラングレー「そのうちテグスも持たなくてすむ」>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1354.html]]
2014-03-02T08:33:07+09:00
1393716787
-
式波・アスカ・ラングレー「そのうちテグスも持たなくてすむ」
https://w.atwiki.jp/bakiss/pages/1354.html
愚地独歩「まずい!第12の使徒がまだ生き残ってる!コメガネ!3番コンテナ!」
渋川剛気「あいよー!」
愚地独歩「サードインパクトの続きが始まる前に・・・こいつを片づける!」
★相手はモハメド・アライ Jr.★
愚地独歩「でやあああああああああ!!」
渋川剛気「姫ー、無駄玉はやめときなよ。あれ全部コア(※体幹)だから。あたしらじゃ手の打ちようがにゃいよ」
渋川剛気「それに、最後の使徒を倒したところで鬼が出るか蛇が出るか・・・気になるジャ?」
★出るのはアライパパで、アホどもはドゴッと殴られる★
後日、アライ Jr.の指の負傷の件で渋川宅に内容証明が届く。
独歩はお咎めなし(アライの打撲は全て軽傷だったため)。
―――ピクル空港
愚地独歩「こいつ!疑似進化形態を超えている!」
渋川剛気「覚醒したみたいね・・・アダムスの生き残りが!」
―――徳川邸内の大広間(照明弱)
徳川光成「宿願たる人類補完計画と、諦観された神殺し油地獄は私が行います。ご安心を」
謝男「我らの願いは既にかなった。良い。すべてこれで良い。人類の補完。やすらかな魂の浄化を願う」
謝男「・・・・・・・・・(さっき、ボソッと『油地獄』って言わなかったか!?)」
2014-03-02T08:28:41+09:00
1393716521
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職人さん別 Index
https://w.atwiki.jp/bakiss/pages/537.html
複数の作品を掲載している職人さんをまとめたものです。
漏れがあるかも知れません。気がついたらスレにてご一報を。
(五十音順)
[[エニアさま>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/829.html]]
[[NBさま>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/765.html]]
[[鬼平さま>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/532.html]]
[[ガモンさま>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/904.html]]
[[カイカイさま>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1108.html]]
[[銀杏丸さま>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/533.html]]
[[金鹿さま>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1248.html]]
[[急襲さま>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1303.html]]
[[クリキントンさま>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/534.html]]
[[顕正さま>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/966.html]]
[[さいさま>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/538.html]]
[[サナダムシさま>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/528.html]]
[[サマサさま>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/531.html]]
[[しぇきさま>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/539.html]]
[[邪神?さま>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/529.html]]
[[涼宮ハルヒの正義作者さま>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/540.html]]
[[スターダストさま>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/530.html]]
[[電車魚さま(旧名:腐った百合の人さま)>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/623.html]]
[[電脳☆新大宮さま>>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1353.html]]
[[DBさま>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1184.html]]
[[店長さま>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/535.html]]
[[ハガレン作者さま>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1135.html]]
[[ハシさま>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/592.html]]
[[ハロイさま>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/536.html]]
[[ふら~りさま>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/527.html]]
[[VSさま>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/541.html]]
[[フルフズさま>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/936.html]]
[[ぽんさま>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/691.html]]
[[流花さま>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/655.html]]
2014-03-02T08:24:14+09:00
1393716254
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短編SS
https://w.atwiki.jp/bakiss/pages/6.html
60kb以下の短編達です。
[[【職人さん別 Index】>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/537.html]]
[[完結した短編達>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/101.html]]
[[サナダムシさま短編集>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/125.html]]
バキスレにサナダムシさまが投稿された短編の数々です。
連載中の短編
[[ドラえもん のび太と真夜中のバンパイア(店長さま)>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/21.html]]
[[『絶対、大丈夫』(白書さま)>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/31.html]]
[[鬼と人のワルツ(鬼平さま)>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/60.html]]
[[よつばと虎眼流(鬼平さま)>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/133.html]]
[[野比のび太(仮} (店長さま)>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/78.html]]
[[ドラえもん のび太の新説桃太郎伝 (サマサさま)>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/100.html]]
[[無題(銀杏丸さま): >http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/163.html]]
[[狂った世界で(proxyさま) >http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/198.html]]
[[カイジ外伝、やさぐれ獅子番外編(名無しさま)>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/219.html]]
[[カシオスの冒険(名無しさま)>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/221.html]]
[[ブルーグラード外伝(名無しさま)>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/231.html]]
[[ドラゴンボール 恐怖!新たなる敵>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/288.html]]
[[DBIF(クリキントンさま)>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/304.html]]
[[再会(クリキントンさま)>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/314.html]]
[[Dioの奇妙な放浪記(◆HY8PJcqPrY さま)>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/371.html]]
[[るろうに剣心ー死狂い編ー(こがん☆さま)>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/385.html]]
[[“涼宮ハルヒ”の憂鬱 アル晴レタ七夕ノ日ノコト(hiiさま)>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/398.html]]
[[VP (銀杏丸さま) >http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/568.html]]
[[武装錬金_ストレンジ・デイズ(ハロイさま)>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/427.html]]
[[「BAMBOO 電王」 (名無しさま)>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/585.html]]
[[HAPPINESS IS A WARM GUN(さいさま)>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/609.html]]
[[カルマ(銀杏丸さま)>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/862.html]]
[[Hell's angel(ガモンさま)>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1009.html]]
[[チルノのパーフェクトさいきょー教室(ハシさま)>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1020.html]]
[[未来のイヴの消失(ハシさま)>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1057.html]]<連載中>
[[闘りゃんせ(銀杏丸さま)>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1062.html]]
[[のび太の更正(カイカイさま)>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1059.html]]
[[のび太 IN バキ(カイカイさま)>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1063.html]]
[[邪神に魅入られて(ガモンさま)>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1065.html]] <連載中>
[[東方聖誕祭(サマサさま)>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1068.html]]
[[ドラえもん ギガゾンビの逆襲・2chの特別編(カイカイさま)>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1071.html]]
[[番外編(カイカイさま)>>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1072.html]]
[[杉本家の悲劇(ガモンさま)>>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1158.html]]
[[男と『彼女』(ガモンさま)>>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1176.html]]
[[汝は罪人なりや? (金鹿さま)>>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1248.html]]<連載中>
[[The Times They Are a-Changin' (銀杏丸さま)>>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1264.html]]
[[ヘヴィー・アーマー (銀杏丸さま)>>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1284.html]]
[[光優会OB (電脳☆新大宮さま)>>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1352.html]]
2014-03-02T08:22:34+09:00
1393716154
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光優会OB
https://w.atwiki.jp/bakiss/pages/1352.html
帝愛グループ主催の「ブレイブ・メン・ロード」のパドックが開いた。
山下勝嗣は、パドックが開くや否や「な・・・なんだこれっ」と叫んだ。
歯を食いしばって両目を見開き、勝嗣は眼下を眺めた。
唖然・・・・・・!
3階ほどの高さ、そして下には体育用らしきマットが敷き詰めてある。
(あんなマットで大丈夫なのかよ!?)
(・・・あの黒ずんでるの、血痕みたいな感じだ!!)
帝拳高校時代、ケンカに明け暮れた勝嗣は人間馬たちの中で一番早く事態を察した。
反射的に身構える。
しかし勝嗣と同じコースに居合わせた、冴えない男たち2名はキョトンとするのみ。
そのとき、勝嗣の耳朶を懐かしい声が打つ。
「勝嗣、勝嗣だろ。どーしたー!?」
「ま、前田さん・・・・!」
勝嗣は今一度、眼下を見下ろした。
コース半ば辺りの客席の方、テーブルを離れてこちらを見上げる顔があった。
その顔は紛れもなく、プロボクシング世界チャンピオンの前田太尊。
勝嗣を呼ぶ声、その先には帝拳高校時代とほとんど変わらない前田がいた。
髪型も、黒が基調の洋服(昔は学ランだったが)も、熱くなったら右拳を突き上げる癖も・・・
「前田さん!!」
前田は本当に、変わっていなかった。
「勝嗣、グズグズするな!」
ゴクッ。勝嗣は前田の次の声を待った。
前田の声はまるで帝拳高校の一日のようで、勝嗣は前田の舎弟の日々に戻った心持ちだった。
勝嗣はササッと辺りを見渡す。
奥に衝立が一つ、その向こうは他の鉄骨が渡ってる。越えられない高さじゃない。
勝嗣たちのパドックは3列、戸袋は開け放されたまま。
冴えない男たち2名は、いまだキョトンとするのみ。
勝嗣は辺りを見渡す一刹那の間も、前田を信頼していた。
どんな荒れた高校(他校)の生徒たちと集団どうしのケンカになっても、前田は最強だった。
それ以上に、前田は「愛の戦士」そのものだった。
「走れーーーッ!! このぐらい、根性で走り抜けろ!」
勝嗣は反射的に鉄骨の先を見た。
そして有らん限りの声で叫んだ。
「無茶いうなよ!」
「俺はお前を控室のモニターで見た!! お前に今月の遊興費八百万円全賭けしたぜ!」
「・・・・・・!!」
あまりの現実に、勝嗣は歯を食いしばって両目を見開く。
(これは夢だ)(あいつは、新手のものまね芸人で、世界チャンプのまねをしてるんだ)
勝嗣は現実を否定したかった、でも聞き慣れた前田の声が勝嗣を狂気の端から引き戻す。
「落ちたって死ぬと決まったわけじゃねえ!」
勝嗣の借金は、バイク屋を守るために増やした600万円余りの負債と同意義だった。
バイク屋を守る事は、家族・・・和美や子どもたちを守る事でもあった。
それを、前田も、親友の沢村米示も、ほかのみんなも知らないはずは無かった。
勝嗣はまだ、前田を信頼していた。
(そうか・・・そんな大金恵んでもらったら、一生、みんなとタメを張れなくなる・・・)
ぎゅっと、勝嗣は右拳を握りしめる。
(ようし・・・・・・・)
ドフッ。「うおっ」。
「根性なしがーーっ、さっさと始めねぇか!」
「落ちたって死ぬこたーない!」
「どんといけ、どんとーーっ!!」
何を「どん」と行けというのだろう。
観客の金持ちたちが、勝嗣たちにオレンジだのローストチキンだのを投げつける。
投げつけられたオレンジを齧って、「ハァハァ」と息を荒げ、決意を新たにする勝嗣。
「もっとも、一生車イスだろーがなー、それはそれで福祉の世話になれるぜ」
鬼畜たちの怒号の中でも、勝嗣は前田の声だけはハッキリと聞き分ける事ができた。
それは肺活量や腹筋の強さにもよるのだが、何より、前田と過ごした日々が勝嗣の認知能力をそういうふうに組み立てていた。
コースの半ばの遥か下で口唇を動かす前田の表情全てと、聴こえてきた声が重なった。
(福祉の世話・・・)
(和美・・・)
前田の方を向いて棒立ちになった勝嗣の背中を、同じコースの男の一人が押した。
勝嗣の視界から前田の顔が、縦にブレて消えた。
前田はその顔の下で、以下の事をフッと想っていた。
(これ、トップ2が勝ち残るようなもんだな)
「ねぇあんた、これって『新婚さんいらっしゃい』みたいにできねーかな?」
「・・・2位と1位は賞金に倍の差がありますよ?」
「やっぱりダメか・・・あ~あ、俺、来月10日まで吉原にも行けやしねーぜっ」
「勝嗣のやつ、全然ダメぢゃねぇか」
2014-02-28T18:41:39+09:00
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永遠の扉 by スターダストさま
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[[過去編 >http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1267.html]]
[[番外編 バレンタイン・デー>http://www25.atwiki.jp/bakiss/pages/1351.html]]
[[登場人物一覧>http://grandcrossdan.hp.infoseek.co.jp/long/tobira/character.htm]]
偽キャラクターファイル
[[№2 小札零 >http://grandcrossdan.hp.infoseek.co.jp/long/tobira/kozane.jpg]]
[[№3 栴檀香美 >http://grandcrossdan.hp.infoseek.co.jp/long/tobira/koumi.jpg]]
2014-02-16T07:08:23+09:00
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