「まさかあそこでヒュンケルとやらがグランドクルスを使うとはな。
だが地上の戦闘力はバーンとの戦いで大分崩れた。叩くのは今だ。」
ヴェルザーが重い腰を上げる。冥竜王は空高く舞い上がった。
「カンクロウ、貴様は魔界に来た雑魚を殺しておけ。あの中にダイはいないようなのでな。」
「仰せのままに。」
一方ダイの死を頑なに拒み続けてはいても立ち直れていない四人がいた。
いつもならばダイは生きていると信じているポップ、ラーハルトもエスタークの説明を聞いたあとでは下を向いたままだった。
「まだ死んだと決まったわけではありませんよ。きっとどこかにいる筈です。」
今ではアバンの説得も虚しく聞こえる程である。
その二人に喝を入れたのはヒムだった。
「情けねえ、アバンの使徒ってのはこんなに簡単に諦めるモンなのかよ!!?
こんな姿、ハドラー様が命を懸けて闘った奴らがここで立ち止まるのか!!俺はこんな醜い姿を晒すくらいなら、
死んだ方がいいと思ってるぜ!!!ヒュンケルには違うと言われたが、こんな体たらくじゃあよ。」
「分かってる、分かってるよ。」
ポップが答える。その声には少し力が入っている。
「そうだよな、ここで立ち止まったら決死の覚悟でダイと闘ってきたハドラーに笑われちまう。
あいつがあの時自分の体を擲って俺を救ってくれたこの命、こんなんで諦めたら俺達は例えダイが生きてても二度と会えねえ。
ここで諦めたら、駄目なんだ!!!」
消えかけていたポップの心の中の炎が燃え上がった。
「そうだよ、これが俺の好きになったアバンの使徒だ。」
ヒムも笑顔を浮かべていた。
「そうだ、まだ諦めるのは早い。」
「さあ、行きましょう。ダイ君とレオナ姫を探しに!!」
四人は先程とは全く違う表情を浮かべ、歩き出した。
その四人の前に一人の男が立っていた。おそらくポップは見たくない顔だっただろう。
「ヴェルザー様の言っていた人間共はこいつらか。人間じゃないのもいるが。
お?お前は城であった魔道士じゃん。」
カンクロウは四人に近づく。
「な、なんでお前がこんなとこにいるんだよ?」
ポップは内心怯えていた。
「ヴェルザー様が地上から来た雑魚の掃除をしろと言われてここに来てんじゃん。」
「そう簡単に殺される訳にもいきませんね。ここは全員で・・・」
その時アバンをポップが止める。
「先生、皆を連れて先に行ってください。こいつは俺がやる。」
「馬鹿言うな!お前こいつにやられたらしいじゃねえか、お前一人で勝てる相手じゃなさそうだぞ?」
ヒムの言葉に耳を傾けないポップ。その表情を見てラーハルトが呟く。
「行こう、こいつは何を言っても闘う気だ。」
ポップの決意を読んだアバンも無言で頷く。
「必ず、付いてきなさい。」
「はい!!」
三人は素早くその場を去った。
「随分優しいんだな俺達の事を待って、攻撃してこないなんて。それとも余裕を見せてるのか?」
「いや、こっちとしても一人ずつ殺した方が確実だからな。」
二人が向かい合った。
カンクロウは傀儡人形カラスを出し、攻撃態勢に入る。
対するポップには武器がなく、未だに無防備の状態である。
「お互い、中距離、遠距離の戦いが得意じゃん。」
とはいえブラックロッドの無いポップは明らかに不利であった。
『こうなったら呪文とこの頭をフル回転させて闘うしかねえ。』
「早速いくじゃん!」
カラスの頭がポップに目掛けて飛ぶ。中には毒の塗られた針が入っていた。
「くそ!」
「この毒は少しでも触れれば肉体が動かなくなるじゃん。発動まで一秒程掛かるが。」
ポップは右腕の部分に針が当たってしまった。
『今、何かしたような気が・・・』
不審な気持ちを張り巡らせつつもカンクロウは追撃に出る。
対してポップは右腕を使えないという事態に陥っていた。
「メラゾーマ!!」
ポップが攻撃したものは傀儡人形の糸、これでカンクロウとカラスが離れた。
「よし、傀儡さえなきゃこっちのもんだ!!」
もう一度メラゾーマを唱えようとしたその瞬間、ポップはカラスの顔の針に左腕を貫かれていた。
「油断したな、一流の傀儡師は魔力の糸で傀儡を操る事もできる。
これでお前の体で動く箇所は大分無くなったじゃん。」
カラスを自分の元へ戻し、ポップに止めを刺そうと近づいた。
「このカラスにはいたる所に仕込みをしていてな、この腹部にも毒ガスを仕込んである。
もう両腕が動かないお前に勝ち目はないじゃん。」
毒ガスがポップの周辺に充満していく。
「そろそろ息も出来なくなるじゃん。」
しばらくするとポップは白い眼を向いて倒れていた。
「さて、次行こうか・・・」
カンクロウはその時死んだ祖父を見た様な顔をしてポップを見た。
「化かし合いは、俺の勝ちだ。」
「な、何でお前立って、いや、その前に腕を・・・」
ポップは笑いながら答える。
「最初の攻撃でお前は優越感に浸って毒の発動まで時間がある事をわざわざ俺に教えてくれた。
だから俺は自分から右腕を出したんだ。最初から麻痺性の毒を使うと分かったから俺も対策を取りやすかった。
魔力を集中させながら右腕をわざと差し出し、一秒足らずでキアリク、ギリギリだったが、間に合ってよかった。」
カンクロウは最初の異変がどういうことだったのかを思い知らされた。
「あの一瞬の間にそんなことが出来る筈が・・・お前普通の魔道士じゃねえじゃん?」
「おう、俺の事は、大魔道士ポップとでも呼んでくれ!」
「後は右腕が使い物にならないフリをして逃げながらチャンスを待っていたってことか。
だが、俺の技は他にもあるじゃん!」
カンクロウはカラスの手足を伸ばし、ポップを縛ろうとしたが、ポップのヒャダルコによって阻止された。
「く、くそ。」
「メラゾーマ!!」
ポップはカラスを燃焼した。
「こ、こんなはずじゃ!!?」
「あんたの敗因は自分の能力を敵にばらしちまった事だ。一度勝った油断から来た・・・」
ポップはメドローアの形を作る。
「確かに俺が自分で自分の首を絞めた形になったじゃん。納得いかねえけど、しかたない、か。」
「メドローア!!!!」
ポップのメドローアがカンクロウを包み込む。
だが地上の戦闘力はバーンとの戦いで大分崩れた。叩くのは今だ。」
ヴェルザーが重い腰を上げる。冥竜王は空高く舞い上がった。
「カンクロウ、貴様は魔界に来た雑魚を殺しておけ。あの中にダイはいないようなのでな。」
「仰せのままに。」
一方ダイの死を頑なに拒み続けてはいても立ち直れていない四人がいた。
いつもならばダイは生きていると信じているポップ、ラーハルトもエスタークの説明を聞いたあとでは下を向いたままだった。
「まだ死んだと決まったわけではありませんよ。きっとどこかにいる筈です。」
今ではアバンの説得も虚しく聞こえる程である。
その二人に喝を入れたのはヒムだった。
「情けねえ、アバンの使徒ってのはこんなに簡単に諦めるモンなのかよ!!?
こんな姿、ハドラー様が命を懸けて闘った奴らがここで立ち止まるのか!!俺はこんな醜い姿を晒すくらいなら、
死んだ方がいいと思ってるぜ!!!ヒュンケルには違うと言われたが、こんな体たらくじゃあよ。」
「分かってる、分かってるよ。」
ポップが答える。その声には少し力が入っている。
「そうだよな、ここで立ち止まったら決死の覚悟でダイと闘ってきたハドラーに笑われちまう。
あいつがあの時自分の体を擲って俺を救ってくれたこの命、こんなんで諦めたら俺達は例えダイが生きてても二度と会えねえ。
ここで諦めたら、駄目なんだ!!!」
消えかけていたポップの心の中の炎が燃え上がった。
「そうだよ、これが俺の好きになったアバンの使徒だ。」
ヒムも笑顔を浮かべていた。
「そうだ、まだ諦めるのは早い。」
「さあ、行きましょう。ダイ君とレオナ姫を探しに!!」
四人は先程とは全く違う表情を浮かべ、歩き出した。
その四人の前に一人の男が立っていた。おそらくポップは見たくない顔だっただろう。
「ヴェルザー様の言っていた人間共はこいつらか。人間じゃないのもいるが。
お?お前は城であった魔道士じゃん。」
カンクロウは四人に近づく。
「な、なんでお前がこんなとこにいるんだよ?」
ポップは内心怯えていた。
「ヴェルザー様が地上から来た雑魚の掃除をしろと言われてここに来てんじゃん。」
「そう簡単に殺される訳にもいきませんね。ここは全員で・・・」
その時アバンをポップが止める。
「先生、皆を連れて先に行ってください。こいつは俺がやる。」
「馬鹿言うな!お前こいつにやられたらしいじゃねえか、お前一人で勝てる相手じゃなさそうだぞ?」
ヒムの言葉に耳を傾けないポップ。その表情を見てラーハルトが呟く。
「行こう、こいつは何を言っても闘う気だ。」
ポップの決意を読んだアバンも無言で頷く。
「必ず、付いてきなさい。」
「はい!!」
三人は素早くその場を去った。
「随分優しいんだな俺達の事を待って、攻撃してこないなんて。それとも余裕を見せてるのか?」
「いや、こっちとしても一人ずつ殺した方が確実だからな。」
二人が向かい合った。
カンクロウは傀儡人形カラスを出し、攻撃態勢に入る。
対するポップには武器がなく、未だに無防備の状態である。
「お互い、中距離、遠距離の戦いが得意じゃん。」
とはいえブラックロッドの無いポップは明らかに不利であった。
『こうなったら呪文とこの頭をフル回転させて闘うしかねえ。』
「早速いくじゃん!」
カラスの頭がポップに目掛けて飛ぶ。中には毒の塗られた針が入っていた。
「くそ!」
「この毒は少しでも触れれば肉体が動かなくなるじゃん。発動まで一秒程掛かるが。」
ポップは右腕の部分に針が当たってしまった。
『今、何かしたような気が・・・』
不審な気持ちを張り巡らせつつもカンクロウは追撃に出る。
対してポップは右腕を使えないという事態に陥っていた。
「メラゾーマ!!」
ポップが攻撃したものは傀儡人形の糸、これでカンクロウとカラスが離れた。
「よし、傀儡さえなきゃこっちのもんだ!!」
もう一度メラゾーマを唱えようとしたその瞬間、ポップはカラスの顔の針に左腕を貫かれていた。
「油断したな、一流の傀儡師は魔力の糸で傀儡を操る事もできる。
これでお前の体で動く箇所は大分無くなったじゃん。」
カラスを自分の元へ戻し、ポップに止めを刺そうと近づいた。
「このカラスにはいたる所に仕込みをしていてな、この腹部にも毒ガスを仕込んである。
もう両腕が動かないお前に勝ち目はないじゃん。」
毒ガスがポップの周辺に充満していく。
「そろそろ息も出来なくなるじゃん。」
しばらくするとポップは白い眼を向いて倒れていた。
「さて、次行こうか・・・」
カンクロウはその時死んだ祖父を見た様な顔をしてポップを見た。
「化かし合いは、俺の勝ちだ。」
「な、何でお前立って、いや、その前に腕を・・・」
ポップは笑いながら答える。
「最初の攻撃でお前は優越感に浸って毒の発動まで時間がある事をわざわざ俺に教えてくれた。
だから俺は自分から右腕を出したんだ。最初から麻痺性の毒を使うと分かったから俺も対策を取りやすかった。
魔力を集中させながら右腕をわざと差し出し、一秒足らずでキアリク、ギリギリだったが、間に合ってよかった。」
カンクロウは最初の異変がどういうことだったのかを思い知らされた。
「あの一瞬の間にそんなことが出来る筈が・・・お前普通の魔道士じゃねえじゃん?」
「おう、俺の事は、大魔道士ポップとでも呼んでくれ!」
「後は右腕が使い物にならないフリをして逃げながらチャンスを待っていたってことか。
だが、俺の技は他にもあるじゃん!」
カンクロウはカラスの手足を伸ばし、ポップを縛ろうとしたが、ポップのヒャダルコによって阻止された。
「く、くそ。」
「メラゾーマ!!」
ポップはカラスを燃焼した。
「こ、こんなはずじゃ!!?」
「あんたの敗因は自分の能力を敵にばらしちまった事だ。一度勝った油断から来た・・・」
ポップはメドローアの形を作る。
「確かに俺が自分で自分の首を絞めた形になったじゃん。納得いかねえけど、しかたない、か。」
「メドローア!!!!」
ポップのメドローアがカンクロウを包み込む。