「はっはははは、これが地上か。ヴェルザー様が欲する理由もわかるじゃん。」
傀儡師カンクロウは例の次元の穴で地上に出現した。
「カンクロウ様、当初は勇者一行を殺すと言っておりましたがここで彼らに死なれては困るのでは?」
カンクロウにつき従っているアークデーモンがカンクロウに忠告した。
「確かに、何人かは残さないと勇者は出てこないかもな。だがそれは一人人質を取ればすむ・・・」
ふとカンクロウは考え込んだ。
「よし、こうしよう。俺達だけで戦っても勝利よりも敗北の色が濃い気がしてきた。
だったら一人を人質にして全員魔界に呼び寄せる。勇者一行は全て死亡するじゃん。」
こうして、カンクロウは勇者一行がいるであろうパプニカとカールを攻め込んだ。
その頃パプニカでは黒の核晶の始末について話し合っていた。
爆発のチャンスがいくらでもあったのに爆発を起こさなかったので当面はアバンのいるカール王国が見張ることになり、全員の意見が一致した。
ポップ、マァム、メルルは宿に泊まりヒュンケルとラーハルトはアバン達と共にカールに向かった。
その日の夜、二大国は魔界のモンスター達に襲撃されることになった。
傀儡師カンクロウは例の次元の穴で地上に出現した。
「カンクロウ様、当初は勇者一行を殺すと言っておりましたがここで彼らに死なれては困るのでは?」
カンクロウにつき従っているアークデーモンがカンクロウに忠告した。
「確かに、何人かは残さないと勇者は出てこないかもな。だがそれは一人人質を取ればすむ・・・」
ふとカンクロウは考え込んだ。
「よし、こうしよう。俺達だけで戦っても勝利よりも敗北の色が濃い気がしてきた。
だったら一人を人質にして全員魔界に呼び寄せる。勇者一行は全て死亡するじゃん。」
こうして、カンクロウは勇者一行がいるであろうパプニカとカールを攻め込んだ。
その頃パプニカでは黒の核晶の始末について話し合っていた。
爆発のチャンスがいくらでもあったのに爆発を起こさなかったので当面はアバンのいるカール王国が見張ることになり、全員の意見が一致した。
ポップ、マァム、メルルは宿に泊まりヒュンケルとラーハルトはアバン達と共にカールに向かった。
その日の夜、二大国は魔界のモンスター達に襲撃されることになった。
「モンスター達が~!!!」
カール王国の国民達は突如として襲い掛かってくるモンスター達から逃げ回っていた。
「なんてことだ・・・こうしてはいられない!」
アバンは剣を持ち王宮から城下町に出た。
「待ってアバン。私も一緒に戦うわ。」
フローラ姫はアバンの後を追ったが彼に止められた。
「姫、貴女はもう貴女だけの命ではないのです。私の様な騎士団の代わりはいるでしょうが、
この国を引き上げていくあなたの代わりは利きません。」
「待ってアバン。私は、私は貴方を・・・」
アバンはフローラ姫にラリホーマをかけた。
「ア・・・バ・・・・ン。」
フローラ姫は愛する男の名を呼びながら深い眠りに堕ちた。
「すみません、私は貴女をを幸せにすることが出来なかった人間です。」
師と弟子は似通う点が幾つかあるという話もあるがこの時のアバンはかつてパプニカの三賢者、エイミに告白されたヒュンケルと同じだった。
アバンは既に炎が蔓延した城下町でヒュンケルを見つけた。
アバンは背にフローラ姫を背負っていて動きが鈍っていた。
「ヒュンケル、フローラ姫をパプニカへ連れて行ってください。」
「・・・わかった。」
ヒュンケルは多くを語らず、すぐにカールを脱出した。
『死ぬな、アバン。』
ヒュンケルは心の奥で師の無事を願った。本来ならアバンと共にモンスターと戦う筈の彼だが、
幾度の戦いを経て、戦うことが出来なくなった体ではかえって足手まといになり自分の所為でアバンを殺しかねないという思いがヒュンケルを戦場から引き離した。
アバンはモンスター達の軍勢に飛び込んで行った。
カール王国の国民達は突如として襲い掛かってくるモンスター達から逃げ回っていた。
「なんてことだ・・・こうしてはいられない!」
アバンは剣を持ち王宮から城下町に出た。
「待ってアバン。私も一緒に戦うわ。」
フローラ姫はアバンの後を追ったが彼に止められた。
「姫、貴女はもう貴女だけの命ではないのです。私の様な騎士団の代わりはいるでしょうが、
この国を引き上げていくあなたの代わりは利きません。」
「待ってアバン。私は、私は貴方を・・・」
アバンはフローラ姫にラリホーマをかけた。
「ア・・・バ・・・・ン。」
フローラ姫は愛する男の名を呼びながら深い眠りに堕ちた。
「すみません、私は貴女をを幸せにすることが出来なかった人間です。」
師と弟子は似通う点が幾つかあるという話もあるがこの時のアバンはかつてパプニカの三賢者、エイミに告白されたヒュンケルと同じだった。
アバンは既に炎が蔓延した城下町でヒュンケルを見つけた。
アバンは背にフローラ姫を背負っていて動きが鈍っていた。
「ヒュンケル、フローラ姫をパプニカへ連れて行ってください。」
「・・・わかった。」
ヒュンケルは多くを語らず、すぐにカールを脱出した。
『死ぬな、アバン。』
ヒュンケルは心の奥で師の無事を願った。本来ならアバンと共にモンスターと戦う筈の彼だが、
幾度の戦いを経て、戦うことが出来なくなった体ではかえって足手まといになり自分の所為でアバンを殺しかねないという思いがヒュンケルを戦場から引き離した。
アバンはモンスター達の軍勢に飛び込んで行った。
アバンはモンスターの軍勢に全くひけをとっていなかった。
しかしそれでも多勢に無勢、アバンの体はすでに傷だらけであった。
「これだけの軍勢を相手に一人で戦うなんて馬鹿を通り越して哀れだぜお前。」
モンスター達の嘲笑がカール全域に渡った。
既に国民の死者は数千人を超えていたがそれでもアバンの勝利を信じて疑わなかった国民達はその笑い声に絶望した。
「どんなに、笑われようとも、蔑まれようとも私は倒れるわけにはいかない。
こんなことで私が倒れたら、それこそ世界を救った私の弟子に笑われてしまう。私は人々を守る為にも、ここで死ぬわけには・・・」
アバンへの攻撃は尚も続いた。しかしどんなに拳を叩きこんでも、切り刻まれても、呪文で攻撃されても、アバンはモンスター達を討伐し続けた。
もはや、かれを支えているのは肉体ではなく、真の勇者のみが持つ精神に支えられて立ち続けた。
それでも、アバンに限界は来た。愛用のダテ眼鏡も壊れ、アバンの肉体は切り傷に重度の火傷等で立つのも一苦労だった。
「へへへへへ、偉そうな事を言った割には手ごたえがなかったな。」
一人で立ち向かうことも出来ない低級の魔族達は一斉にアバンに襲い掛かった。
アバンは抵抗することもできず魔族達にタコ殴りにされていた。
一方パプニカにはモンスターは一体も出没せず、代わりに一人の黒服をきた男が現れた。
「さてと、カールのほうはテマリが上手くやってるだろう、そろそろおれも作戦を決行じゃん。」
カンクロウはパプニカ王宮に一人で入って行った。
「ま、待ってください。」
お供のアークデーモンも主の後を追って王宮に入った。
カール国民は絶望の淵に立たされた。
アバンは今モンスター達の手によって抹殺されかかっていた。
しかしモンスター達はわざと手を抜き、ぎりぎりアバンが死なない程度にいたぶり、楽しんでいた。
アバンはもはや声すら出せなかった。それでも立っていた。
「アバン様ーー。」
一人の子供がアバンの名前を呼んでも彼は応えることが出来なかった。
次第にモンスター達も飽きはじめ、一人のアンクルホーンが止めを刺そうとした瞬間だった。
「ハーケンディストール。」
突然、そう突然だった。
アンクルホーンが手を振り上げた瞬間にアンクルホーンの四肢、胴体が細切れになったのである。
「あな・・・た・・・は?」
既に疲弊し尽くしたアバンが傍にいる男にしか聞こえぬ様な声を出した。
そこにいた男は間違いなくヒュンケルの盟友、ラーハルトであった。
「ヒュンケルの頼みでここに来た。カール王国の国境を出た所でヒュンケルに会い、『アバンを助けてくれ。』
とな。」
ラーハルトはモンスターの襲来にいち早く気づきモンスターの討伐のため、カールから出ていた。
「ヒュンケルに決して殺させるなと訴えさせた男だ、俺もあんたの事を評価している。」
ラーハルトはアバンに世界樹の雫を飲ませた。
「ふう、楽になりました。ラーハルトさんでしたね、この恩はいつか必ず。」
体力が回復したアバンの眼を見てラーハルトは思った。
『幾ら世界樹の雫を使ったとはいえ、これが先程まで生死を彷徨っていた男か?それにあの眼は全てを見透かしているような・・・』
ラーハルトもアバンの底知れぬ器を垣間見た気がした。
「あんたもバラン様やダイ様と同じような物を感じる。竜の騎士でもないのに。」
「そんな、私にそんな大きな力はありませんよ。」
アバンのこの謙虚そうな性格も彼の一つの魅力なのだろう。
「おらおら、てめえらさっきから何をごちゃごちゃいってやが、」
アバンとラーハルトの怒涛の逆襲が始まった。
そしてこの争いは十分足らずで終わった。
しかし二人の戦いは終わっていなかった。
しかしそれでも多勢に無勢、アバンの体はすでに傷だらけであった。
「これだけの軍勢を相手に一人で戦うなんて馬鹿を通り越して哀れだぜお前。」
モンスター達の嘲笑がカール全域に渡った。
既に国民の死者は数千人を超えていたがそれでもアバンの勝利を信じて疑わなかった国民達はその笑い声に絶望した。
「どんなに、笑われようとも、蔑まれようとも私は倒れるわけにはいかない。
こんなことで私が倒れたら、それこそ世界を救った私の弟子に笑われてしまう。私は人々を守る為にも、ここで死ぬわけには・・・」
アバンへの攻撃は尚も続いた。しかしどんなに拳を叩きこんでも、切り刻まれても、呪文で攻撃されても、アバンはモンスター達を討伐し続けた。
もはや、かれを支えているのは肉体ではなく、真の勇者のみが持つ精神に支えられて立ち続けた。
それでも、アバンに限界は来た。愛用のダテ眼鏡も壊れ、アバンの肉体は切り傷に重度の火傷等で立つのも一苦労だった。
「へへへへへ、偉そうな事を言った割には手ごたえがなかったな。」
一人で立ち向かうことも出来ない低級の魔族達は一斉にアバンに襲い掛かった。
アバンは抵抗することもできず魔族達にタコ殴りにされていた。
一方パプニカにはモンスターは一体も出没せず、代わりに一人の黒服をきた男が現れた。
「さてと、カールのほうはテマリが上手くやってるだろう、そろそろおれも作戦を決行じゃん。」
カンクロウはパプニカ王宮に一人で入って行った。
「ま、待ってください。」
お供のアークデーモンも主の後を追って王宮に入った。
カール国民は絶望の淵に立たされた。
アバンは今モンスター達の手によって抹殺されかかっていた。
しかしモンスター達はわざと手を抜き、ぎりぎりアバンが死なない程度にいたぶり、楽しんでいた。
アバンはもはや声すら出せなかった。それでも立っていた。
「アバン様ーー。」
一人の子供がアバンの名前を呼んでも彼は応えることが出来なかった。
次第にモンスター達も飽きはじめ、一人のアンクルホーンが止めを刺そうとした瞬間だった。
「ハーケンディストール。」
突然、そう突然だった。
アンクルホーンが手を振り上げた瞬間にアンクルホーンの四肢、胴体が細切れになったのである。
「あな・・・た・・・は?」
既に疲弊し尽くしたアバンが傍にいる男にしか聞こえぬ様な声を出した。
そこにいた男は間違いなくヒュンケルの盟友、ラーハルトであった。
「ヒュンケルの頼みでここに来た。カール王国の国境を出た所でヒュンケルに会い、『アバンを助けてくれ。』
とな。」
ラーハルトはモンスターの襲来にいち早く気づきモンスターの討伐のため、カールから出ていた。
「ヒュンケルに決して殺させるなと訴えさせた男だ、俺もあんたの事を評価している。」
ラーハルトはアバンに世界樹の雫を飲ませた。
「ふう、楽になりました。ラーハルトさんでしたね、この恩はいつか必ず。」
体力が回復したアバンの眼を見てラーハルトは思った。
『幾ら世界樹の雫を使ったとはいえ、これが先程まで生死を彷徨っていた男か?それにあの眼は全てを見透かしているような・・・』
ラーハルトもアバンの底知れぬ器を垣間見た気がした。
「あんたもバラン様やダイ様と同じような物を感じる。竜の騎士でもないのに。」
「そんな、私にそんな大きな力はありませんよ。」
アバンのこの謙虚そうな性格も彼の一つの魅力なのだろう。
「おらおら、てめえらさっきから何をごちゃごちゃいってやが、」
アバンとラーハルトの怒涛の逆襲が始まった。
そしてこの争いは十分足らずで終わった。
しかし二人の戦いは終わっていなかった。
「感じます。今まで感じていた邪悪な気配が王宮に向かっています。」
メルルが宿でポップ達に話していた頃にはもうカンクロウは王宮の玉座の前に立っていた。
「あなたは何者なの?まさか城の皆に危害を加えてないでしょうね?」
「御立派御立派。自分の身よりも家臣の心配をする所はさすが一国を王女といったところじゃん。」
カンクロウとアークデーモンはレオナに近づいていた。
「安心しな。城の連中にバレちまうような隠密行動やってたら今頃大騒ぎだろう?
だれも傷一つついてないよ。」
城の者達の心配は一応無くなったがカンクロウの素性が知れないレオナは警戒を解かなかった。
「単刀直入に言う。魔界に来い。ヴェルザー様が温かく迎えてくれるだろう。」
ヴェルザー、その言葉を聞いてレオナは警戒心を強くした。
大魔王バーンとの決戦において闇から姿を現した龍の石像、冥竜王ヴェルザーを知っていたレオナにとってカンクロウは、
危険な存在にちがいはなかったのだ。
「キルバーンの言ったとおり、まだ地上を諦めてなかったのね。黒の核晶を地上に送ったのもあなた達の仕業ね。誰が行くもんですか!」
「あんたは人間共の指導者で泳がせておくには危険すぎるんだよな。
折角話し合いで解決しようと思ってたのに仕方がない、腕ずくででも連れて行くじゃん。」
カンクロウがレオナに手を差し向けたその時、天井から三人の人間が落ちてきた。
「おい、この顔中ペイントヤロー、女に、姫さんに手を上げようとするなんて最低のクズだな。」
声の主はポップであった。さらにマァム、メルルの二人もいた。
「もうあんた達はにげられないわ、観念しなさい。」
マァムの声に恐れたのかアークデーモンは逃げようとしていた。
しかし、それを見逃す筈もなくマァムの閃華裂光拳でアークデーモンを倒した。
「あらら、俺の付き人がこうもあっさり。」
「次はお前の番だぜ。」
ポップは既にメドローアの構えを取っていた。
しかしカンクロウはポップの想像以上に速く動き、レオナの胸倉を掴んだ。
「くくく、この姫が死んでもいいならそれを撃ちな。まあ、出きればだけどな。」
「く、くそ。」
「そんな、レオナさんが。」
メルルの予言は最悪の形で実現してしまった。
「誰があんたなんかと、心中するもんですか。」
レオナは忍ばせておいたナイフでカンクロウの腕を斬った。
「この小娘が!やってくれるじゃんよ。」
カンクロウは作戦を忘れレオナを殺そうとした。しかしその一瞬の隙にレオナはカンクロウの魔の手から逃れた。
「畜生がーー!!」
我を忘れてカンクロウはポップ目掛けて走り出した。
「今しかねえ、メドローア!!!」
メドローアはカンクロウに近づいて行った。その瞬間カンクロウの背負っていた荷物の包帯が解けた。
「フン、こんなもの当たるかよ。」
カンクロウは突如として二人に別れ包帯から解かれた方のカンクロウはポップの後ろへ回りもう一方のカンクロウはポップの体に巻きついた。
「ジャアコンドハボクノバン。」
ポップの体に巻きついた方のカンクロウはメッキを剥がすように外郭が剥がれおち、
出てきたのは傀儡人形だった。
「な、なんだこりゃあ!?」
カンクロウは指についている紐を手繰り寄せながら言った。
「地上じゃ相当ばかし合いが上手いと聞いていたが俺の敵じゃねえじゃん。」
「ポップさーん!!!」
「ポップーー!!!」
「ポップ君ー!!!」
三人の叫び声も虚しくポップは体中の骨を破壊された。
「骨まで砕けばグニャグニャになれるじゃん。ただし、首以外にしといてやるよ。くくく。
さてと、レオナ姫、貴女は俺について来い。」
カンクロウはレオナの胸倉を掴み次元の穴を作り、入っていった。
メルルが宿でポップ達に話していた頃にはもうカンクロウは王宮の玉座の前に立っていた。
「あなたは何者なの?まさか城の皆に危害を加えてないでしょうね?」
「御立派御立派。自分の身よりも家臣の心配をする所はさすが一国を王女といったところじゃん。」
カンクロウとアークデーモンはレオナに近づいていた。
「安心しな。城の連中にバレちまうような隠密行動やってたら今頃大騒ぎだろう?
だれも傷一つついてないよ。」
城の者達の心配は一応無くなったがカンクロウの素性が知れないレオナは警戒を解かなかった。
「単刀直入に言う。魔界に来い。ヴェルザー様が温かく迎えてくれるだろう。」
ヴェルザー、その言葉を聞いてレオナは警戒心を強くした。
大魔王バーンとの決戦において闇から姿を現した龍の石像、冥竜王ヴェルザーを知っていたレオナにとってカンクロウは、
危険な存在にちがいはなかったのだ。
「キルバーンの言ったとおり、まだ地上を諦めてなかったのね。黒の核晶を地上に送ったのもあなた達の仕業ね。誰が行くもんですか!」
「あんたは人間共の指導者で泳がせておくには危険すぎるんだよな。
折角話し合いで解決しようと思ってたのに仕方がない、腕ずくででも連れて行くじゃん。」
カンクロウがレオナに手を差し向けたその時、天井から三人の人間が落ちてきた。
「おい、この顔中ペイントヤロー、女に、姫さんに手を上げようとするなんて最低のクズだな。」
声の主はポップであった。さらにマァム、メルルの二人もいた。
「もうあんた達はにげられないわ、観念しなさい。」
マァムの声に恐れたのかアークデーモンは逃げようとしていた。
しかし、それを見逃す筈もなくマァムの閃華裂光拳でアークデーモンを倒した。
「あらら、俺の付き人がこうもあっさり。」
「次はお前の番だぜ。」
ポップは既にメドローアの構えを取っていた。
しかしカンクロウはポップの想像以上に速く動き、レオナの胸倉を掴んだ。
「くくく、この姫が死んでもいいならそれを撃ちな。まあ、出きればだけどな。」
「く、くそ。」
「そんな、レオナさんが。」
メルルの予言は最悪の形で実現してしまった。
「誰があんたなんかと、心中するもんですか。」
レオナは忍ばせておいたナイフでカンクロウの腕を斬った。
「この小娘が!やってくれるじゃんよ。」
カンクロウは作戦を忘れレオナを殺そうとした。しかしその一瞬の隙にレオナはカンクロウの魔の手から逃れた。
「畜生がーー!!」
我を忘れてカンクロウはポップ目掛けて走り出した。
「今しかねえ、メドローア!!!」
メドローアはカンクロウに近づいて行った。その瞬間カンクロウの背負っていた荷物の包帯が解けた。
「フン、こんなもの当たるかよ。」
カンクロウは突如として二人に別れ包帯から解かれた方のカンクロウはポップの後ろへ回りもう一方のカンクロウはポップの体に巻きついた。
「ジャアコンドハボクノバン。」
ポップの体に巻きついた方のカンクロウはメッキを剥がすように外郭が剥がれおち、
出てきたのは傀儡人形だった。
「な、なんだこりゃあ!?」
カンクロウは指についている紐を手繰り寄せながら言った。
「地上じゃ相当ばかし合いが上手いと聞いていたが俺の敵じゃねえじゃん。」
「ポップさーん!!!」
「ポップーー!!!」
「ポップ君ー!!!」
三人の叫び声も虚しくポップは体中の骨を破壊された。
「骨まで砕けばグニャグニャになれるじゃん。ただし、首以外にしといてやるよ。くくく。
さてと、レオナ姫、貴女は俺について来い。」
カンクロウはレオナの胸倉を掴み次元の穴を作り、入っていった。