ドラゴンボールを集めると、どんな願いでもかなうらしい。ヤムチャは世界の
あらゆる場所を探し回って、ついにドラゴンボールを全部集めた。
「これで願い事がかなうぞー!」
ヤムチャはものすごく嬉しそうに叫んだ。ヤムチャの足元にはドラゴンボール
が2個ころがっている。
「数が全然足りないです!」
召使いのプーアルがケチをつけた。いやケチではなく、プーアルはとても物知
りなのでドラゴンボールの事ならなんでも分かる。
「ドラゴンボールは全部で7つなのに、ヤムチャ様は2個しか持ってないです!
あと5個集めないと願い事はダメです!」
「うそつけ。戸棚とか便所のタンクとか全部探したけどこれしかなかったもん」
プーアルはヤムチャの言葉の意味を考えた。そしてヤムチャに聞いた。
「ヤムチャ様、全部ってどこを探したんですか?」
「だから世界中って言ってんだろネコバカ」
「世界ってどこですか?」
「オレんち」
プーアルはヤムチャの髪の毛をつかんで、窓から外に放り投げた。ヤムチャに
とっては数年ぶりの外の世界だった。
「あっちの海もそっちの山もぜーんぶ世界です! ヤムチャ様の家だけが世界と
か、本気で言ってるなら即入院レベルの世間知らずです!」
ヤムチャはぼんやりと辺りを見回して、海に向かって石ころを投げてみた。数
時間ぐらいして、地球の裏側からボチャンという音が聞こえた。
「うおー! 世界でっけー!」
そういえば天下一武道会の会場も、バスで1時間ぐらいの距離だった。世界は
それよりもずっと広いのを思い出した。
「という事は、この世界のどこかからドラゴンボールをあと5個探すの?」
「そうです! 願い事をかなえたかったら、そのぐらいの苦労は我慢するです!」
ぜってームリ。
「シェンロンでてこーい!」
ムリなのでとりあえず神龍を呼んでみたら、雲の切れ間から神龍が半分だけ顔
を出した。
「ドラゴンボール2個でワシを呼んだバカは貴様か」
言い方が明らかに怒っている。しかしヤムチャだって怒っている。
「せっかく呼んでやったのにその態度はなんだー! 顔だけじゃなくて全部出て
こーい!」
「ダメ。ドラゴンボール2個ぽっちじゃこれが限界」
「じゃあそれでもいいから願い事かなえろー!」
「ムリ。体が雲に挟まって痛くてそんな余裕ない」
雲に体が挟まる理屈が、ヤムチャにはよく分からない。分からないと面倒くさ
いはヤムチャにとって同じ意味だった。
「面倒くさいからもう帰っていいよ、マジで」
「体が挟まっているから全然動かない。親切心でちょっと出てきてやったのに、
あー損した。あー損した」
神龍のくせにとても愚痴っぽい。2回目のあー損したぐらいで、神龍の緑色の
体が怒りで真っ赤になった。怒った神が何をするかというと、こういう事をする。
「貴様、なんとかしろ。1時間でなんともならなかったら貴様を殺す」
「殺すぐらいの元気があるなら願い事かなえろ」
「もはやそんな次元の話ではない。神の怒りは頂点に達した」
自分の事を神とか抜かすヤツはキチガイの場合が多い。さすがのヤムチャも身
の危険を感じて、それ以上言い返すのをやめた。
「プーアール! 家の中のヌルヌルしてるヤツ全部持ってこーい!」
「もう持ってきてるです!」
プーアルはヤムチャの考えていることが全部分かる。ヤムチャは石鹸や山芋な
ど、ヌルヌルしているものを片っ端から神龍に投げた。はさまっているのがぬめ
りで抜けるかと思ったが、神龍はピクリとも動かなかった。
「雲のギザギザが食い込んでるから、そんなんじゃ取れん。痛い痛い痛い。あと
30分で取れなかったらこーろーすーぞー」
万策尽きた。願いをかなえるために神龍を呼んだのに、その神龍に脅迫されて
いるとか訳が分からない。訳が分からないのと殺すはヤムチャにとって同じ意味
だった。
「おいプーアル、神龍を殺すにはどうしたらいい」
「ドラゴンボールを壊すです!」
「でやー!」
狼牙風風拳でドラゴンボールを2個とも粉々にした。神龍はピンピンしている。
「死なんぞ!」
「7個全部壊すです!」
「世界ひろーい! 5個ムリー!」
「大丈夫、ここにあるです!」
こんな事もあろうかと、プーアルはすでに残りのドラゴンボールを集めていた。
「でかしたプーアル! あちょー!」
ドラゴンボールを全部壊した。神龍はバラバラになって地上に落ちて死んだ。
はさまってるのが取れたという意味ではヤムチャお手柄!
「つまり最初からドラゴンボールが7個あったという事だねプーアル」
ヤムチャは大事な点に気がついた。ヤムチャかしこい!
「そうですヤムチャ様! でも願い事は自分で努力してかなえるものです!」
「よーし! これからは外の世界で仕事を探してお金を貯めるぞー!」
ヤムチャは引きこもりをやめて、大きな一歩を踏み出した。ヤムチャえらい!
「ところで、ヤムチャ様の願い事ってなんだったんですか?」
「世界の支配者になることだ!」
「世界ってどこですか?」
「オレんちー!」
ヤムチャは家に引き返して中から鍵をかけた。ヤムチャおかえり!
あらゆる場所を探し回って、ついにドラゴンボールを全部集めた。
「これで願い事がかなうぞー!」
ヤムチャはものすごく嬉しそうに叫んだ。ヤムチャの足元にはドラゴンボール
が2個ころがっている。
「数が全然足りないです!」
召使いのプーアルがケチをつけた。いやケチではなく、プーアルはとても物知
りなのでドラゴンボールの事ならなんでも分かる。
「ドラゴンボールは全部で7つなのに、ヤムチャ様は2個しか持ってないです!
あと5個集めないと願い事はダメです!」
「うそつけ。戸棚とか便所のタンクとか全部探したけどこれしかなかったもん」
プーアルはヤムチャの言葉の意味を考えた。そしてヤムチャに聞いた。
「ヤムチャ様、全部ってどこを探したんですか?」
「だから世界中って言ってんだろネコバカ」
「世界ってどこですか?」
「オレんち」
プーアルはヤムチャの髪の毛をつかんで、窓から外に放り投げた。ヤムチャに
とっては数年ぶりの外の世界だった。
「あっちの海もそっちの山もぜーんぶ世界です! ヤムチャ様の家だけが世界と
か、本気で言ってるなら即入院レベルの世間知らずです!」
ヤムチャはぼんやりと辺りを見回して、海に向かって石ころを投げてみた。数
時間ぐらいして、地球の裏側からボチャンという音が聞こえた。
「うおー! 世界でっけー!」
そういえば天下一武道会の会場も、バスで1時間ぐらいの距離だった。世界は
それよりもずっと広いのを思い出した。
「という事は、この世界のどこかからドラゴンボールをあと5個探すの?」
「そうです! 願い事をかなえたかったら、そのぐらいの苦労は我慢するです!」
ぜってームリ。
「シェンロンでてこーい!」
ムリなのでとりあえず神龍を呼んでみたら、雲の切れ間から神龍が半分だけ顔
を出した。
「ドラゴンボール2個でワシを呼んだバカは貴様か」
言い方が明らかに怒っている。しかしヤムチャだって怒っている。
「せっかく呼んでやったのにその態度はなんだー! 顔だけじゃなくて全部出て
こーい!」
「ダメ。ドラゴンボール2個ぽっちじゃこれが限界」
「じゃあそれでもいいから願い事かなえろー!」
「ムリ。体が雲に挟まって痛くてそんな余裕ない」
雲に体が挟まる理屈が、ヤムチャにはよく分からない。分からないと面倒くさ
いはヤムチャにとって同じ意味だった。
「面倒くさいからもう帰っていいよ、マジで」
「体が挟まっているから全然動かない。親切心でちょっと出てきてやったのに、
あー損した。あー損した」
神龍のくせにとても愚痴っぽい。2回目のあー損したぐらいで、神龍の緑色の
体が怒りで真っ赤になった。怒った神が何をするかというと、こういう事をする。
「貴様、なんとかしろ。1時間でなんともならなかったら貴様を殺す」
「殺すぐらいの元気があるなら願い事かなえろ」
「もはやそんな次元の話ではない。神の怒りは頂点に達した」
自分の事を神とか抜かすヤツはキチガイの場合が多い。さすがのヤムチャも身
の危険を感じて、それ以上言い返すのをやめた。
「プーアール! 家の中のヌルヌルしてるヤツ全部持ってこーい!」
「もう持ってきてるです!」
プーアルはヤムチャの考えていることが全部分かる。ヤムチャは石鹸や山芋な
ど、ヌルヌルしているものを片っ端から神龍に投げた。はさまっているのがぬめ
りで抜けるかと思ったが、神龍はピクリとも動かなかった。
「雲のギザギザが食い込んでるから、そんなんじゃ取れん。痛い痛い痛い。あと
30分で取れなかったらこーろーすーぞー」
万策尽きた。願いをかなえるために神龍を呼んだのに、その神龍に脅迫されて
いるとか訳が分からない。訳が分からないのと殺すはヤムチャにとって同じ意味
だった。
「おいプーアル、神龍を殺すにはどうしたらいい」
「ドラゴンボールを壊すです!」
「でやー!」
狼牙風風拳でドラゴンボールを2個とも粉々にした。神龍はピンピンしている。
「死なんぞ!」
「7個全部壊すです!」
「世界ひろーい! 5個ムリー!」
「大丈夫、ここにあるです!」
こんな事もあろうかと、プーアルはすでに残りのドラゴンボールを集めていた。
「でかしたプーアル! あちょー!」
ドラゴンボールを全部壊した。神龍はバラバラになって地上に落ちて死んだ。
はさまってるのが取れたという意味ではヤムチャお手柄!
「つまり最初からドラゴンボールが7個あったという事だねプーアル」
ヤムチャは大事な点に気がついた。ヤムチャかしこい!
「そうですヤムチャ様! でも願い事は自分で努力してかなえるものです!」
「よーし! これからは外の世界で仕事を探してお金を貯めるぞー!」
ヤムチャは引きこもりをやめて、大きな一歩を踏み出した。ヤムチャえらい!
「ところで、ヤムチャ様の願い事ってなんだったんですか?」
「世界の支配者になることだ!」
「世界ってどこですか?」
「オレんちー!」
ヤムチャは家に引き返して中から鍵をかけた。ヤムチャおかえり!
おしまい。