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遊☆戯☆王 ~超古代決闘神話~ 第三十三話「死せる英雄達の戦い―――御子は星屑の矢で龍を射る」
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furari
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陽は傾き、黄昏が世界を包む。その輝きを反射し、光の龍は静かに佇んでいた。
「シャイニング・ドラゴン…!」
闇遊戯達の肉体と精神を貫くのは未だかつてない戦慄と威圧感。
「そう…究極竜が攻撃に特化した姿ならば、光龍は万能型だ。破壊力こそはやや落ちるが―――」
その瞬間、煌きだけを残して光龍の姿が消えた。
「―――スピードはその比ではないぞ!」
「―――!」
本能に突き刺さるような恐怖に、オリオンは素早く後ろに飛び退く。次の一瞬で胸元が真一文字に切り裂かれ、血が
吹き出す。鋭利な翼を血で濡らした光龍が、頭上で嘲笑うように牙を剥いていた。
「ほお…首を落としてやるつもりだったが、上手く避けたものだ」
「ちっ…!あの図体で、なんつー速さだ!」
怪我や出血そのものは大したことはないが、光龍の動きを捉え切れなかった事実にオリオンは慄然とする。
(こりゃあ…やべえぞ!)
「フ―――ならばこれはどうだ!」
光龍が天高く舞い上がり、全身が熱を帯びて発光する。そして放たれる、聖なる息吹―――
「光の中に消えろ!白熱の閃光―――シャイニング・バースト!」
「うお、まぶしっ…!」
白く輝く吐息が、大地を灼く。寸前で空中に飛び上がり、それを逃れたオリオンだったが、その眼前には既に光龍が
迫っていた。
「ガハァっ!」
翼から発生した衝撃波で地に叩き伏せられ、苦痛に呻く。光龍は這い蹲ったその姿を見下ろし、咆哮する。あの一撃
を、もう一度見舞うつもりなのだ。
「まずいぜ、遊戯!このままじゃオリオンがやられちまう!」
「くっ…確かに、奴は強すぎる!」
その闘いを見守る闇遊戯と城之内も、焦りを隠しきれない。
「あのスピードで、自由に空を飛び回れるなんざ反則だぜ…せめて、こっちにも翼がありゃあ…!」
「翼…?そうか!」
闇遊戯は素早くカードを抜き出し、即座にその効果を発動させる。そして光龍がその吐息を以って、大地を再び鳴動
させた時、オリオンの姿はそこにはなかった。
「ワハハハハハ!あの世で誇るがいい―――このオレの栄光のロード、その礎となれたことをな!」
「誰がんなことで誇るか、バカ野郎!」
勝ち誇る海馬に対し、今しがた跡形もなく消し飛ばしたはずのオリオンの声が響く。
「むっ!?」
天を仰いだ海馬の目に映ったのは、黒き竜に跨って弓を構えるオリオン。その姿はまさしく、竜を駆りて戦場を舞う
流麗にして苛烈なる騎士―――
「バカな…あれは、レッドアイズ!」
「そう―――<死者蘇生>でレッドアイズを蘇生させて、オリオンと<融合>させた!名付けて―――
<黒竜騎士オリオン>!」
「へへ…助かったぜ、遊戯!」
黒竜の背からVサインを送るオリオンに、闇遊戯も親指を立て返す。
「なに!?…そうか、遊戯。貴様の仕業か!」
忌々しげに闇遊戯を睨み付ける海馬だったが、すぐさまオリオンに向き直る。
「まあいい。貴様がどれだけ小細工してやったところで、あの軽薄など我がブルーアイズの敵ではないわ!すぐさま
教えてやろう―――奴はただ、苦しむ時間が増えただけだということをな!」
「減らず口ばっか叩きやがって…このオリオン様があんな下等生命体に負けてたまるかっつーの!」
ガウ、とレッドアイズが抗議する。竜に対して下等生命体とは何事だと言いたいようだった。
「あ、いや、お前は違うよレッドアイズ。オレが言ったのはつまりほら、敵に対する挑発というか…」
言い訳しようとするオリオンの頬を烈風が掠める。光龍が翼をはためかせ、目にも止まらぬ―――否、目にも映らぬ
速度で突進してくる。
「くそっ…レッドアイズ、頼むぜ!」
任せろと言わんばかりに一声鳴いて、レッドアイズが空を舞う。光龍の突進をかわして、その背に向けてオリオンが
矢を放つが、硬質の肉体に阻まれて表皮一枚を貫くだけに終わる。
「何を喰ったらあんな身体になるんだよ…」
呆れつつ、オリオンは懐から一本の矢を取り出す。星の光を宿したかのようにうっすらと発光する<星屑の矢>。
星女神(アストラ)より授かりし、神の力が秘められし聖具。
「頼むぜ、星女神様…くっ!」
再び光龍の攻撃がオリオンとレッドアイズを襲う。苛烈な攻めに、完全に防戦一方に追い込まれていた。
「ダメか…全く隙がねえ!」
このまま闇雲に撃ったところで、そうそう当たってくれるとは思えない。星屑の矢が四本しかない以上、無駄射ちは
できない。
「どうにか、あいつの気を逸らすことができれば…ん?」
ふと気付くと、レッドアイズが首をもたげてオリオンを見つめていた。その真紅の瞳に、確かな決意が見えた。
―――後は任せた。
そう言っているようだった。
「レッドアイズ、お前…うわっ!」
勢いよく翼を広げてオリオンを振り落とし、レッドアイズは光龍に真正面からぶつかっていく。
「レッドアイズ!」
地上から、城之内が痛切に叫ぶ。余りにも無謀すぎる特攻―――その意味するところは一つ。
「あいつ…オリオンのために、捨て駒になるつもりなのか!」
そして、誰もがそれを見た。光の龍の吐息の前に、黒き竜が塵と化して朽ち果てる瞬間を―――
それは即ち、光龍が完全に無防備になる一瞬!
(すまねえ、レッドアイズ…お前の覚悟、無駄にはしねえ!)
オリオンはぐっと奥歯を噛み締め、宙に投げ出されながらも器用に弓を引き絞った。そして今放たれる、白銀に輝く
星屑の矢―――
「フ…残念だったなぁ!罠カード発動!<闇の呪縛>!」
虚空より次々に現れる、黒く輝く鎖。それはオリオンの身体に蛇のように巻きつき、食い込む。
「う…なんだ、こりゃあ!」
「クク…<闇の呪縛>は、暗黒の鎖によって敵の動きを完全に封じる!」
海馬の声と共に、態勢を立て直した光龍がその翼を大きく広げる。その全身がパチパチと火花を散らし、周囲の大気
すらも蒸発させていく。
「全てを焼き尽くせ!灼熱の閃光―――シャイニング・フレア!」
放たれた吐息は、地獄の爆炎。その炎は赤く、紅く、緋く―――
彼の全てを焼き尽くすまで、消えはしない。
「うあぁぁぁぁーーーーーっ!」
断末魔の悲鳴を残し、オリオンが炎の中に呑み込まれていく。
「オ…オリオン…!オリオーーーーーーーーーーン!」
(そんな…オリオンが…!)
絶叫する闇遊戯。その裡で、茫然とする遊戯。
「ワハハハハハ―――!」
高笑いする海馬。そして―――
「…まだだぜ」
そう呟く城之内。その手に握られた、一枚のカード。
「罠カード発動―――<時の機械・タイムマシーン>!」
「!そのカードは!?」
驚愕する海馬。そして灼熱の炎が消え去った時、そこにはカプセルのような形をした、奇妙な機械があった。
「このカードはモンスターがやられた時に発動させることでそいつを過去から呼び戻し、復活させることができる。
つまり…」
カプセルの扉がギ・ギ・ギと音を立てて開いていく。そこから現れたのは黒き竜と、それに乗った美しき射手。
「―――完全な姿で<黒竜騎士オリオン>が蘇るぜ!」
言い終わると同時に、レッドアイズが黒炎弾を放つ。完全に虚を突かれ、光龍は火球をまともに受けて吹っ飛ぶ。
「…全く、苦労させられたぜ…だが、これで終わりだ!」
オリオンが再び、弓を引き絞り。
「オリオン流弓術・新必殺―――<月を抱いた十字の焔・茨(いばら)を巻きつけて>射ち!」
そして放たれた星屑の矢は一際眩く輝き、世界は銀色に染められた。
矢はそのまま光龍の喉元に突き立ち、更に強く煌く。
それはまさに、超新星の生誕の如く。
光より生まれし龍は、より強き光の中で、静かに消えていった―――
「シャイニング・ドラゴン…!」
闇遊戯達の肉体と精神を貫くのは未だかつてない戦慄と威圧感。
「そう…究極竜が攻撃に特化した姿ならば、光龍は万能型だ。破壊力こそはやや落ちるが―――」
その瞬間、煌きだけを残して光龍の姿が消えた。
「―――スピードはその比ではないぞ!」
「―――!」
本能に突き刺さるような恐怖に、オリオンは素早く後ろに飛び退く。次の一瞬で胸元が真一文字に切り裂かれ、血が
吹き出す。鋭利な翼を血で濡らした光龍が、頭上で嘲笑うように牙を剥いていた。
「ほお…首を落としてやるつもりだったが、上手く避けたものだ」
「ちっ…!あの図体で、なんつー速さだ!」
怪我や出血そのものは大したことはないが、光龍の動きを捉え切れなかった事実にオリオンは慄然とする。
(こりゃあ…やべえぞ!)
「フ―――ならばこれはどうだ!」
光龍が天高く舞い上がり、全身が熱を帯びて発光する。そして放たれる、聖なる息吹―――
「光の中に消えろ!白熱の閃光―――シャイニング・バースト!」
「うお、まぶしっ…!」
白く輝く吐息が、大地を灼く。寸前で空中に飛び上がり、それを逃れたオリオンだったが、その眼前には既に光龍が
迫っていた。
「ガハァっ!」
翼から発生した衝撃波で地に叩き伏せられ、苦痛に呻く。光龍は這い蹲ったその姿を見下ろし、咆哮する。あの一撃
を、もう一度見舞うつもりなのだ。
「まずいぜ、遊戯!このままじゃオリオンがやられちまう!」
「くっ…確かに、奴は強すぎる!」
その闘いを見守る闇遊戯と城之内も、焦りを隠しきれない。
「あのスピードで、自由に空を飛び回れるなんざ反則だぜ…せめて、こっちにも翼がありゃあ…!」
「翼…?そうか!」
闇遊戯は素早くカードを抜き出し、即座にその効果を発動させる。そして光龍がその吐息を以って、大地を再び鳴動
させた時、オリオンの姿はそこにはなかった。
「ワハハハハハ!あの世で誇るがいい―――このオレの栄光のロード、その礎となれたことをな!」
「誰がんなことで誇るか、バカ野郎!」
勝ち誇る海馬に対し、今しがた跡形もなく消し飛ばしたはずのオリオンの声が響く。
「むっ!?」
天を仰いだ海馬の目に映ったのは、黒き竜に跨って弓を構えるオリオン。その姿はまさしく、竜を駆りて戦場を舞う
流麗にして苛烈なる騎士―――
「バカな…あれは、レッドアイズ!」
「そう―――<死者蘇生>でレッドアイズを蘇生させて、オリオンと<融合>させた!名付けて―――
<黒竜騎士オリオン>!」
「へへ…助かったぜ、遊戯!」
黒竜の背からVサインを送るオリオンに、闇遊戯も親指を立て返す。
「なに!?…そうか、遊戯。貴様の仕業か!」
忌々しげに闇遊戯を睨み付ける海馬だったが、すぐさまオリオンに向き直る。
「まあいい。貴様がどれだけ小細工してやったところで、あの軽薄など我がブルーアイズの敵ではないわ!すぐさま
教えてやろう―――奴はただ、苦しむ時間が増えただけだということをな!」
「減らず口ばっか叩きやがって…このオリオン様があんな下等生命体に負けてたまるかっつーの!」
ガウ、とレッドアイズが抗議する。竜に対して下等生命体とは何事だと言いたいようだった。
「あ、いや、お前は違うよレッドアイズ。オレが言ったのはつまりほら、敵に対する挑発というか…」
言い訳しようとするオリオンの頬を烈風が掠める。光龍が翼をはためかせ、目にも止まらぬ―――否、目にも映らぬ
速度で突進してくる。
「くそっ…レッドアイズ、頼むぜ!」
任せろと言わんばかりに一声鳴いて、レッドアイズが空を舞う。光龍の突進をかわして、その背に向けてオリオンが
矢を放つが、硬質の肉体に阻まれて表皮一枚を貫くだけに終わる。
「何を喰ったらあんな身体になるんだよ…」
呆れつつ、オリオンは懐から一本の矢を取り出す。星の光を宿したかのようにうっすらと発光する<星屑の矢>。
星女神(アストラ)より授かりし、神の力が秘められし聖具。
「頼むぜ、星女神様…くっ!」
再び光龍の攻撃がオリオンとレッドアイズを襲う。苛烈な攻めに、完全に防戦一方に追い込まれていた。
「ダメか…全く隙がねえ!」
このまま闇雲に撃ったところで、そうそう当たってくれるとは思えない。星屑の矢が四本しかない以上、無駄射ちは
できない。
「どうにか、あいつの気を逸らすことができれば…ん?」
ふと気付くと、レッドアイズが首をもたげてオリオンを見つめていた。その真紅の瞳に、確かな決意が見えた。
―――後は任せた。
そう言っているようだった。
「レッドアイズ、お前…うわっ!」
勢いよく翼を広げてオリオンを振り落とし、レッドアイズは光龍に真正面からぶつかっていく。
「レッドアイズ!」
地上から、城之内が痛切に叫ぶ。余りにも無謀すぎる特攻―――その意味するところは一つ。
「あいつ…オリオンのために、捨て駒になるつもりなのか!」
そして、誰もがそれを見た。光の龍の吐息の前に、黒き竜が塵と化して朽ち果てる瞬間を―――
それは即ち、光龍が完全に無防備になる一瞬!
(すまねえ、レッドアイズ…お前の覚悟、無駄にはしねえ!)
オリオンはぐっと奥歯を噛み締め、宙に投げ出されながらも器用に弓を引き絞った。そして今放たれる、白銀に輝く
星屑の矢―――
「フ…残念だったなぁ!罠カード発動!<闇の呪縛>!」
虚空より次々に現れる、黒く輝く鎖。それはオリオンの身体に蛇のように巻きつき、食い込む。
「う…なんだ、こりゃあ!」
「クク…<闇の呪縛>は、暗黒の鎖によって敵の動きを完全に封じる!」
海馬の声と共に、態勢を立て直した光龍がその翼を大きく広げる。その全身がパチパチと火花を散らし、周囲の大気
すらも蒸発させていく。
「全てを焼き尽くせ!灼熱の閃光―――シャイニング・フレア!」
放たれた吐息は、地獄の爆炎。その炎は赤く、紅く、緋く―――
彼の全てを焼き尽くすまで、消えはしない。
「うあぁぁぁぁーーーーーっ!」
断末魔の悲鳴を残し、オリオンが炎の中に呑み込まれていく。
「オ…オリオン…!オリオーーーーーーーーーーン!」
(そんな…オリオンが…!)
絶叫する闇遊戯。その裡で、茫然とする遊戯。
「ワハハハハハ―――!」
高笑いする海馬。そして―――
「…まだだぜ」
そう呟く城之内。その手に握られた、一枚のカード。
「罠カード発動―――<時の機械・タイムマシーン>!」
「!そのカードは!?」
驚愕する海馬。そして灼熱の炎が消え去った時、そこにはカプセルのような形をした、奇妙な機械があった。
「このカードはモンスターがやられた時に発動させることでそいつを過去から呼び戻し、復活させることができる。
つまり…」
カプセルの扉がギ・ギ・ギと音を立てて開いていく。そこから現れたのは黒き竜と、それに乗った美しき射手。
「―――完全な姿で<黒竜騎士オリオン>が蘇るぜ!」
言い終わると同時に、レッドアイズが黒炎弾を放つ。完全に虚を突かれ、光龍は火球をまともに受けて吹っ飛ぶ。
「…全く、苦労させられたぜ…だが、これで終わりだ!」
オリオンが再び、弓を引き絞り。
「オリオン流弓術・新必殺―――<月を抱いた十字の焔・茨(いばら)を巻きつけて>射ち!」
そして放たれた星屑の矢は一際眩く輝き、世界は銀色に染められた。
矢はそのまま光龍の喉元に突き立ち、更に強く煌く。
それはまさに、超新星の生誕の如く。
光より生まれし龍は、より強き光の中で、静かに消えていった―――