最近、神龍がよく死ぬ。
殺されているのではない。屋内で呼び出されたため頭を打って死に、願いを叶える時に
力みすぎて死に、近くの農夫が撃った流れ弾が当たって死に、雷が直撃して死に、寒くて
死に、暑くて死に、呼び出したらすでに死んでいたこともあった。
神には原因が分かっていた。
龍の模型を作るポポの仕事がやっつけになっているためだ。
ある日、神はポポに注意した。
「ミスターポポ、神龍のことだが、もう少し丈夫に作らんか」
うなずくポポ。ポポはナメック星人の聴力で捉えられるかギリギリの音量で舌打ちする
と、作業を開始した。
「おい、今、舌打ちしたじゃろ」
「してません」
「いや聞こえたぞ、したじゃろ」
「してません」
「いやいやたしかに聞いた」
「してません。……ちっ」
「あっ、今したじゃろ!」
こうしてポポのニュー神龍は完成を迎えた。
殺されているのではない。屋内で呼び出されたため頭を打って死に、願いを叶える時に
力みすぎて死に、近くの農夫が撃った流れ弾が当たって死に、雷が直撃して死に、寒くて
死に、暑くて死に、呼び出したらすでに死んでいたこともあった。
神には原因が分かっていた。
龍の模型を作るポポの仕事がやっつけになっているためだ。
ある日、神はポポに注意した。
「ミスターポポ、神龍のことだが、もう少し丈夫に作らんか」
うなずくポポ。ポポはナメック星人の聴力で捉えられるかギリギリの音量で舌打ちする
と、作業を開始した。
「おい、今、舌打ちしたじゃろ」
「してません」
「いや聞こえたぞ、したじゃろ」
「してません」
「いやいやたしかに聞いた」
「してません。……ちっ」
「あっ、今したじゃろ!」
こうしてポポのニュー神龍は完成を迎えた。
あとは神がニュー神龍に命を吹き込み、ドラゴンボールを地上に散らせば作業は完了す
る。
「ポポ、今度は大丈夫じゃろうな?」
「はい、とても頑丈に作りました」
すると──。
「早く命を吹き込めッ! 無事に球を地上に散らせッ!」
突然の怒号に、あわてふためく二人。
「え、今のはおぬしか?」
「いえ、神様じゃなかったんですか?」
「失敗は許さんッ! 必ず成功させろッ!」
またもや同じ声。神でもなければ、ポポでもない。となれば、もはや疑うべきはニュー
神龍しかいない。
「ま、まさか……ッ!」
「神様……!」
「何をモタついている、さっさと命を吹き込むのだッ!」
模型に過ぎない龍から発せられる、強烈な雄度。創造主である神とポポですら、持て余
すほどだ。
神は従うしかなかった。
る。
「ポポ、今度は大丈夫じゃろうな?」
「はい、とても頑丈に作りました」
すると──。
「早く命を吹き込めッ! 無事に球を地上に散らせッ!」
突然の怒号に、あわてふためく二人。
「え、今のはおぬしか?」
「いえ、神様じゃなかったんですか?」
「失敗は許さんッ! 必ず成功させろッ!」
またもや同じ声。神でもなければ、ポポでもない。となれば、もはや疑うべきはニュー
神龍しかいない。
「ま、まさか……ッ!」
「神様……!」
「何をモタついている、さっさと命を吹き込むのだッ!」
模型に過ぎない龍から発せられる、強烈な雄度。創造主である神とポポですら、持て余
すほどだ。
神は従うしかなかった。
──しもべに生命供給を強要される神。
ニュー神龍の快進撃が始まった。
ギャルのパンティを要求した、いやしき豚に一喝する。
「色を知る年齢(とし)か!」
噴火間近の火山の近くに住む村民が、藁をも掴む心境でドラゴンボールを集め、ニュー
神龍に祈りを捧げる。
「どうか噴火を鎮めて下され……」
神龍は地面にパンチを入れると、にこやかに笑った。
「もう、心配ねぇ」
直後、噴火した。
恋人と死別した若者が蘇生を頼むと、
「邪魔だな、この舌ベロ……。お、ひ、さ、し、ぶ、り、ね」
亡骸を手で操って腹話術を披露する。
ひどい時になると呼び出されてもいないのに天下一武道会に乱入し、実力がさほどでな
い選手の背骨を折り曲げることさえあった。
しかも都合が悪くなると、「邪ッ」「シャッ」「エフッ」「しゃべりすぎた、帰るぜ」
などでごまかす。
ギャルのパンティを要求した、いやしき豚に一喝する。
「色を知る年齢(とし)か!」
噴火間近の火山の近くに住む村民が、藁をも掴む心境でドラゴンボールを集め、ニュー
神龍に祈りを捧げる。
「どうか噴火を鎮めて下され……」
神龍は地面にパンチを入れると、にこやかに笑った。
「もう、心配ねぇ」
直後、噴火した。
恋人と死別した若者が蘇生を頼むと、
「邪魔だな、この舌ベロ……。お、ひ、さ、し、ぶ、り、ね」
亡骸を手で操って腹話術を披露する。
ひどい時になると呼び出されてもいないのに天下一武道会に乱入し、実力がさほどでな
い選手の背骨を折り曲げることさえあった。
しかも都合が悪くなると、「邪ッ」「シャッ」「エフッ」「しゃべりすぎた、帰るぜ」
などでごまかす。
ある意味では、ピッコロ大魔王以上の脅威を地上に解き放ってしまった格好となった神。
ポポとともに模型の破壊を試みるが、ビクともしない。
「こうなったら、我々で神龍を殺すしか……」
「ダメじゃ、わしらでは勝てん」
「では、どうしましょう」
「うむむ……。カリンに相談してみるか」
ある日、ニュー神龍はいつものように蛮勇を極めていた。周囲には幾人もの怪我人が転
がっている。
「せっかく神龍に会えたんだ。チョッと遊んでったらいいや……」
「何をするだァーッ!」
「ヒイィィィィッ!」
「鬼ッ!」
暇だったので、自分を呼び出した人間たちに暴行を加えることにしたらしい。今、彼ら
が願いを告げるとするなら、まちがいなく「神龍をどうにかしてくれ」だろう。
ニュー神龍の巨拳が人間たちに振り下ろされようとした瞬間、
「なにィ! 俺の拳が消えていく……いや拳だけじゃない、全身が……! まさか神のヤ
ロウ、老衰にでもなりやがったかッ!」
さすがのニュー神龍も創造主が死んでしまっては生きてはゆけない。
まもなく巨大な龍は跡形もなく地上から姿を消した。
ポポとともに模型の破壊を試みるが、ビクともしない。
「こうなったら、我々で神龍を殺すしか……」
「ダメじゃ、わしらでは勝てん」
「では、どうしましょう」
「うむむ……。カリンに相談してみるか」
ある日、ニュー神龍はいつものように蛮勇を極めていた。周囲には幾人もの怪我人が転
がっている。
「せっかく神龍に会えたんだ。チョッと遊んでったらいいや……」
「何をするだァーッ!」
「ヒイィィィィッ!」
「鬼ッ!」
暇だったので、自分を呼び出した人間たちに暴行を加えることにしたらしい。今、彼ら
が願いを告げるとするなら、まちがいなく「神龍をどうにかしてくれ」だろう。
ニュー神龍の巨拳が人間たちに振り下ろされようとした瞬間、
「なにィ! 俺の拳が消えていく……いや拳だけじゃない、全身が……! まさか神のヤ
ロウ、老衰にでもなりやがったかッ!」
さすがのニュー神龍も創造主が死んでしまっては生きてはゆけない。
まもなく巨大な龍は跡形もなく地上から姿を消した。
同時刻、神殿では死んだはずの神が息を吹き返していた。神、ポポ、そしてこの方法を
教えた武神カリンが笑った。
「武術の勝ち」
教えた武神カリンが笑った。
「武術の勝ち」