「それでは知得留先生、ご挨拶をお願いします」
校長に促された“知得留先生”は青みがかったショートヘアを揺らし、彼と入れ替わるようにして
マイクの前に立つ。
全校生徒及び全職員を向こうに、眼鏡の奥の青い瞳は細められ、唇は緩やかな曲線を描いた。
その笑顔は可憐な十代の少女のようにも優雅な大人の女性のようにも見えた。
マイクの前に立つ。
全校生徒及び全職員を向こうに、眼鏡の奥の青い瞳は細められ、唇は緩やかな曲線を描いた。
その笑顔は可憐な十代の少女のようにも優雅な大人の女性のようにも見えた。
「皆さん、おはようございます。今日からこの学園で働く事となりました知得留です。よろしくお願い致します。
出身は先程ありましたようにフランス、年齢は企業秘密という事で。得意な料理も好きな食べ物もカレーです。
ちなみに私の名前は『知を得て留める』と書いて“シエル”と読みます。“ちえる”ではないですよー?
担当教科は英語ですが、それ以外の場面でも交流を深めたいですね。あと、好きな食べ物はカレーで――」
出身は先程ありましたようにフランス、年齢は企業秘密という事で。得意な料理も好きな食べ物もカレーです。
ちなみに私の名前は『知を得て留める』と書いて“シエル”と読みます。“ちえる”ではないですよー?
担当教科は英語ですが、それ以外の場面でも交流を深めたいですね。あと、好きな食べ物はカレーで――」
男子生徒達の私語は増え、校長を始めとした男性教師達の顔は弛みに弛んでいる。
しかし、ブラボーと火渡の二人だけは、眼光鋭く彼女の顔を凝視していた。
七年前。青いカソック。三本の短剣。忘れはしない。
火渡はシエルから眼を離さずに呟く。
「ここまでやる連中かよ、クソッタレ。俺ァもうキレたぜ……」
一方の防人は無言のまま、何事か思慮を巡らせている。
体育館内を行き交うはしゃぎ気味のざわつきはまだまだ収まりそうにないようだ。
しかし、ブラボーと火渡の二人だけは、眼光鋭く彼女の顔を凝視していた。
七年前。青いカソック。三本の短剣。忘れはしない。
火渡はシエルから眼を離さずに呟く。
「ここまでやる連中かよ、クソッタレ。俺ァもうキレたぜ……」
一方の防人は無言のまま、何事か思慮を巡らせている。
体育館内を行き交うはしゃぎ気味のざわつきはまだまだ収まりそうにないようだ。
四時間目の授業が終わって昼休みに入っても、男子生徒達の間では知得留先生の話題は止まる事を知らなかった。
好事家な一部の男子生徒などは一目その姿を見に、わざわざ彼女の担当クラスの教室や職員室に足を運ぶ始末だ。
若くて可愛い女性教師。外国人なのに日本語がペラペラ。明るくフランクな物腰で接しやすい雰囲気。
これだけのスペックを揃えられると大抵の男子のテンションが上がってしまうのは仕方の無い事なのかもしれない。
好事家な一部の男子生徒などは一目その姿を見に、わざわざ彼女の担当クラスの教室や職員室に足を運ぶ始末だ。
若くて可愛い女性教師。外国人なのに日本語がペラペラ。明るくフランクな物腰で接しやすい雰囲気。
これだけのスペックを揃えられると大抵の男子のテンションが上がってしまうのは仕方の無い事なのかもしれない。
勿論、ある程度の興味は湧いても然程行動が左右されない生徒もいる。例えば――
「ねえねえ、柴田さん! お昼ご飯、一緒に食べない? みんなで食べればおいしいよ!!」
教師が退室するとほぼ同時に、まひろは瑠架の席へ飛んできた。しかも自分の机と椅子と鞄を抱えて。
まひろの意図するところは、教室内のあちらこちらでよく見られる光景、仲の良い者同士の机と机を
くっつけての昼食なのだろう。
まひろの突然の提案に瑠架はただ慌てるしかない。
「えっ!? で、でも、私……」
確かに嬉しいには違いないのだが、あまりにも突然で自分の性格上、どうしても受け入れ難い。
一体にこの武藤まひろは諸事“思い立ったら吉日”が過ぎるのである。
まひろの意図するところは、教室内のあちらこちらでよく見られる光景、仲の良い者同士の机と机を
くっつけての昼食なのだろう。
まひろの突然の提案に瑠架はただ慌てるしかない。
「えっ!? で、でも、私……」
確かに嬉しいには違いないのだが、あまりにも突然で自分の性格上、どうしても受け入れ難い。
一体にこの武藤まひろは諸事“思い立ったら吉日”が過ぎるのである。
そこへ若宮千里と河合沙織が並んだ。二人がまひろの親友、とは瑠架も知っている。
「いいじゃーん!」
「今まで柴田さんとお話する機会が無かったし、良かったら一緒にどう?」
千里と沙織がそれぞれ言葉を添える。
二人共、まひろと瑠架を繋いだ先週末の出来事を未だ聞かされてはいないが、この唐突な交流に
反対する筈も無かった。
何にせよ仲良しな友達が増えるのは良い事だと思っていたし、クラスの中で一人孤立している瑠架が
気になってもいたからだ。
「いいじゃーん!」
「今まで柴田さんとお話する機会が無かったし、良かったら一緒にどう?」
千里と沙織がそれぞれ言葉を添える。
二人共、まひろと瑠架を繋いだ先週末の出来事を未だ聞かされてはいないが、この唐突な交流に
反対する筈も無かった。
何にせよ仲良しな友達が増えるのは良い事だと思っていたし、クラスの中で一人孤立している瑠架が
気になってもいたからだ。
こうして三つの笑顔が眼前に並んだところで、瑠架はようやく勇気を出して小さい声を返す。
「う、うん…… ありがとう……」
瑠架の返事に喜びつつ千里と沙織が机を移動させる中、またもまひろが目敏く“彼女”を見つけてしまった。
誰もが“別に見つけなくてもいいのに”と思うに違いない。
まひろはポケットに両手を突っ込んで眠たげに歩く“彼女”へ大声で呼びかけた。
「あ! 棚橋さーん! 棚橋さんも一緒に食べようよ!」
晶はまひろの方など振り向きもせず、ただ中指を立てたファックサインだけを示し、そのまま教室から
出て行ってしまった。
「……? これってどういう意味かな?」
不思議そうに小首を傾げながら、まひろは瑠架に向かって中指を立てて尋ねる。
尋ねられた瑠架は閉口するしかない。何故そんな事も知らないの? 意味を教えても良いものなの?
「そ、それはね、えーと…… つまり…… “お断りします”って意味……」
「へー、そうなんだぁ」
一粒の錠剤がソフトボール大になるくらいオブラートに包みまくった回答を受けて、まひろはさも感心したような
顔で己の中指を見つめている。
千里はまひろの手をグイと下ろさせると、ひどく恐い顔で叱りつけた。
「絶っっっ対マネしちゃダメよ! まひろ!」
「う、うん…… ありがとう……」
瑠架の返事に喜びつつ千里と沙織が机を移動させる中、またもまひろが目敏く“彼女”を見つけてしまった。
誰もが“別に見つけなくてもいいのに”と思うに違いない。
まひろはポケットに両手を突っ込んで眠たげに歩く“彼女”へ大声で呼びかけた。
「あ! 棚橋さーん! 棚橋さんも一緒に食べようよ!」
晶はまひろの方など振り向きもせず、ただ中指を立てたファックサインだけを示し、そのまま教室から
出て行ってしまった。
「……? これってどういう意味かな?」
不思議そうに小首を傾げながら、まひろは瑠架に向かって中指を立てて尋ねる。
尋ねられた瑠架は閉口するしかない。何故そんな事も知らないの? 意味を教えても良いものなの?
「そ、それはね、えーと…… つまり…… “お断りします”って意味……」
「へー、そうなんだぁ」
一粒の錠剤がソフトボール大になるくらいオブラートに包みまくった回答を受けて、まひろはさも感心したような
顔で己の中指を見つめている。
千里はまひろの手をグイと下ろさせると、ひどく恐い顔で叱りつけた。
「絶っっっ対マネしちゃダメよ! まひろ!」
くっつけられた四つの机の上には、複数のおにぎりやパン、カップサラダやお菓子、ランチョンクロスに
包まれた弁当箱が並べられている。
まひろ、千里、沙織の寄宿舎組は購買で昼食を購入し、通学組である瑠架は家から持ってきた弁当だ。
楽しいランチタイムの始まりなのだが、いきなり千里が溜め息を吐く。
「まひろったら、またおかしなものばかり買ってきて……」
彼女の机の上には“三時のおやつのおいなりさん”だの“石井さんのリンゴコーヒー”だのといった、
普通はあまり見かけない怪しげな食べ物が並んでいた。
しかもそれらは何かとのタイアップ商品なのか、極端に筋肉質の白人男性が描かれ、フキダシの中には
『あぁん? 最近だらしねえ』とセリフが書かれている。
「だってー、今日は新製品がいっぱいあったんだもん。ホラホラ、この“最強トンガリコーン”なんて
普通のより美味しそうな名前だし!」
「何なの、ここの購買…… あのね、昼食にスナックや甘いものばかり食べたらダメよ? キチンと栄養バランスを
考えて食べないと身体に悪いし、太る原因にもなるんだから」
思いがけない千里のお説教に、まひろは「でーもー……」と頬を膨らませている。
それを見た沙織がケラケラと笑い、おどけて囃し立てた。
「ちーちん、お母さんみたーい! 怖いよぉ~」
「もう! 沙織まで!」
“いつもの”三人組。1-Aの華でもある。
しかし、“今日から”の瑠架はこの雰囲気になかなか溶け込めない。少し楽しそうに、少し羨ましそうに、
三人のやり取りを眺めているだけ。
それに気づいたまひろが、おいなりさんを口に放り込みながら彼女に話しかける。
「棚橋さんも一緒に食べれば良かったのにねー。人数は多い方が楽しいのに。恥ずかしがり屋さんなのかな?」
その言葉を聞いて千里が眉をひそめた。
瑠架に振られた話題だが、千里が真剣な表情でまひろに苦言を呈する。
包まれた弁当箱が並べられている。
まひろ、千里、沙織の寄宿舎組は購買で昼食を購入し、通学組である瑠架は家から持ってきた弁当だ。
楽しいランチタイムの始まりなのだが、いきなり千里が溜め息を吐く。
「まひろったら、またおかしなものばかり買ってきて……」
彼女の机の上には“三時のおやつのおいなりさん”だの“石井さんのリンゴコーヒー”だのといった、
普通はあまり見かけない怪しげな食べ物が並んでいた。
しかもそれらは何かとのタイアップ商品なのか、極端に筋肉質の白人男性が描かれ、フキダシの中には
『あぁん? 最近だらしねえ』とセリフが書かれている。
「だってー、今日は新製品がいっぱいあったんだもん。ホラホラ、この“最強トンガリコーン”なんて
普通のより美味しそうな名前だし!」
「何なの、ここの購買…… あのね、昼食にスナックや甘いものばかり食べたらダメよ? キチンと栄養バランスを
考えて食べないと身体に悪いし、太る原因にもなるんだから」
思いがけない千里のお説教に、まひろは「でーもー……」と頬を膨らませている。
それを見た沙織がケラケラと笑い、おどけて囃し立てた。
「ちーちん、お母さんみたーい! 怖いよぉ~」
「もう! 沙織まで!」
“いつもの”三人組。1-Aの華でもある。
しかし、“今日から”の瑠架はこの雰囲気になかなか溶け込めない。少し楽しそうに、少し羨ましそうに、
三人のやり取りを眺めているだけ。
それに気づいたまひろが、おいなりさんを口に放り込みながら彼女に話しかける。
「棚橋さんも一緒に食べれば良かったのにねー。人数は多い方が楽しいのに。恥ずかしがり屋さんなのかな?」
その言葉を聞いて千里が眉をひそめた。
瑠架に振られた話題だが、千里が真剣な表情でまひろに苦言を呈する。
「ねえ、まひろ。こんな事は言いたくないけど、棚橋さんとはあまり関わらない方がいいと思うの。
何だか悪い噂ばかり聞くし、不良みたいな格好してるし……」
何だか悪い噂ばかり聞くし、不良みたいな格好してるし……」
若宮千里の名誉の為に言っておくが、決して彼女は軽々しく他者の悪口を言う人間ではない。
あくまで暴走しがちなまひろを心配しての言葉であり、実際に晶が学園内で評判の良い生徒とは
とても言えなかったからだ。
何しろあの濃いメイクとギャル風アレンジの制服である。それに授業態度も不真面目極まりなく、
教師達の目の敵にされている。
加えて、千里が言ったような所謂“悪い噂”も絶えない。
ある女子生徒曰く「オジサン相手に援助交際をしている」
ある男子生徒曰く「他の学校のギャルっぽい奴をボコボコにしてた」
晶と同じ中学校出身の生徒曰く「警察が学校に来て、棚橋をパトカーで連れていった」
これら噂と事実がない交ぜになった偏見と軽蔑と畏怖の視線に常時晒されているのが棚橋晶という生徒だった。
あくまで暴走しがちなまひろを心配しての言葉であり、実際に晶が学園内で評判の良い生徒とは
とても言えなかったからだ。
何しろあの濃いメイクとギャル風アレンジの制服である。それに授業態度も不真面目極まりなく、
教師達の目の敵にされている。
加えて、千里が言ったような所謂“悪い噂”も絶えない。
ある女子生徒曰く「オジサン相手に援助交際をしている」
ある男子生徒曰く「他の学校のギャルっぽい奴をボコボコにしてた」
晶と同じ中学校出身の生徒曰く「警察が学校に来て、棚橋をパトカーで連れていった」
これら噂と事実がない交ぜになった偏見と軽蔑と畏怖の視線に常時晒されているのが棚橋晶という生徒だった。
以上の事を考えれば千里の言葉は至極正論なのだが、まひろには納得いかない。
抗弁しようと身を前に乗り出しかけたその時、先んじて瑠架が口を開いた。
「そ、そんな事を言わないで……! 晶ちゃんは、本当は、いい子なのに……」
だんだんと声が小さくなり、語尾は尻つぼみなものの、彼女には珍しい確固たる意志に基づいた主張だった。
それに励まされ、まひろも声を上げる。
「そうだよ! 棚橋さんは私と柴田さんを助け―― あ、ええ、うー……」
瑠架の「余計な事を言うな」という視線を浴び、途中で濁りに濁ってしまったが。
千里は二人の強い弁護に、キョトンと眼を丸くして尋ねた。
「柴田さんは棚橋さんと友達なの?」
「う、うん…… 家が近所だから、物心ついた時からの幼馴染…… でも中学に入ってからは、
あまり話さなくなって……」
千里の胸中に反省の念が湧く。
我が身に置き換えれば瑠架の気持ちはよくわかる。
自分だって、誰かにまひろの奇行や性格を正面切って非難されれば面白くないし、弁護・反論したくなる。
「そうだったの…… ごめんなさい、友達の事を悪く言っちゃって」
やや沈痛な面持ちと素直な謝罪に、今度は瑠架が慌てた。
こうなると自分が悪い事をしたのではないかという気分になってくる。
「い、いいよ…… 晶ちゃんにも、しょうがないところがあるし……」
真面目な性格に分類される千里と暗い性格に分類される瑠架に同じタイミングで落ち込まれると、
場の雰囲気も一気に違ったものとなる。
流石のまひろと沙織でも、これを瞬時に沸かせるのは至難の業である。
瑠架は内心煩悶する。自分がせっかくの楽しい時間を壊してしまったと。自分のせいでと。
抗弁しようと身を前に乗り出しかけたその時、先んじて瑠架が口を開いた。
「そ、そんな事を言わないで……! 晶ちゃんは、本当は、いい子なのに……」
だんだんと声が小さくなり、語尾は尻つぼみなものの、彼女には珍しい確固たる意志に基づいた主張だった。
それに励まされ、まひろも声を上げる。
「そうだよ! 棚橋さんは私と柴田さんを助け―― あ、ええ、うー……」
瑠架の「余計な事を言うな」という視線を浴び、途中で濁りに濁ってしまったが。
千里は二人の強い弁護に、キョトンと眼を丸くして尋ねた。
「柴田さんは棚橋さんと友達なの?」
「う、うん…… 家が近所だから、物心ついた時からの幼馴染…… でも中学に入ってからは、
あまり話さなくなって……」
千里の胸中に反省の念が湧く。
我が身に置き換えれば瑠架の気持ちはよくわかる。
自分だって、誰かにまひろの奇行や性格を正面切って非難されれば面白くないし、弁護・反論したくなる。
「そうだったの…… ごめんなさい、友達の事を悪く言っちゃって」
やや沈痛な面持ちと素直な謝罪に、今度は瑠架が慌てた。
こうなると自分が悪い事をしたのではないかという気分になってくる。
「い、いいよ…… 晶ちゃんにも、しょうがないところがあるし……」
真面目な性格に分類される千里と暗い性格に分類される瑠架に同じタイミングで落ち込まれると、
場の雰囲気も一気に違ったものとなる。
流石のまひろと沙織でも、これを瞬時に沸かせるのは至難の業である。
瑠架は内心煩悶する。自分がせっかくの楽しい時間を壊してしまったと。自分のせいでと。
そこへ一人の人物が声を掛けた――
「おう、武藤」
誰かと思えば、1-Aの英語教科担の火渡先生である。何故か機嫌が悪そうだ。
「先月、陵桜学園と同県校間の交流学習あったろ。向こうの代表の泉って奴から礼の手紙来てるぞ。ホレ」
ポイと投げて寄越された手紙に眼を落とし、ミミズがのたくったような文字を見るや、まひろは歓声を上げた。
「わぁ! こなちゃんからだ!」
千里と沙織も顔を寄せて、手紙を覗き込む。
「私にも見せてー!」
「まひろ、あの子と仲良くなるの早かったものね」
先程の微妙な空気もどこへやら。
あっという間に元の姦しい雰囲気を取り戻し、学校行事の思い出を語り合う三人。
瑠架はやはり少し羨ましげな視線で彼女らを眺めているだけ。
頭の片隅に「私はここにいない方がいいのかな」というボンヤリとした不安を抱えながら。
「先月、陵桜学園と同県校間の交流学習あったろ。向こうの代表の泉って奴から礼の手紙来てるぞ。ホレ」
ポイと投げて寄越された手紙に眼を落とし、ミミズがのたくったような文字を見るや、まひろは歓声を上げた。
「わぁ! こなちゃんからだ!」
千里と沙織も顔を寄せて、手紙を覗き込む。
「私にも見せてー!」
「まひろ、あの子と仲良くなるの早かったものね」
先程の微妙な空気もどこへやら。
あっという間に元の姦しい雰囲気を取り戻し、学校行事の思い出を語り合う三人。
瑠架はやはり少し羨ましげな視線で彼女らを眺めているだけ。
頭の片隅に「私はここにいない方がいいのかな」というボンヤリとした不安を抱えながら。