星矢の朝は早い。
アパートの外で新聞配達のバイクが止まる音が聞こえるころにはすでに着替えを終え、
朝の鍛錬へと出かける。
肉体の錬度の維持というのは、戦う者にとっては非常に大事なことだ、
特に聖闘士ともなれば、その維持だけでも大変なのだ。
複雑な機械ほど維持に手間がかかる事に似て、現状を維持するのに膨大な時間がかかる。
それを面倒だと思うことは星矢にはない。
呼吸を面倒だと思う人間がいない事と同じなのだ。
アパートの外で新聞配達のバイクが止まる音が聞こえるころにはすでに着替えを終え、
朝の鍛錬へと出かける。
肉体の錬度の維持というのは、戦う者にとっては非常に大事なことだ、
特に聖闘士ともなれば、その維持だけでも大変なのだ。
複雑な機械ほど維持に手間がかかる事に似て、現状を維持するのに膨大な時間がかかる。
それを面倒だと思うことは星矢にはない。
呼吸を面倒だと思う人間がいない事と同じなのだ。
「おはよう!」
朝の鍛錬から戻ると、姉星華がすでにおきだしていた。
ちょっと寝癖がついていたりするのは、愛嬌だ。ということにしておこう。
ちょっと寝癖がついていたりするのは、愛嬌だ。ということにしておこう。
「おはよう、姉さん。
ところでなにこの朝が豪華な飯?」
ところでなにこの朝が豪華な飯?」
腕を組み、ふふんと胸をそらし、星華はちゃぶ台の上に広がった割と豪華な朝ごはんをみやる。
「お誕生日おめでとう!
今日は遅くなるんでしょ?
だから朝ごはん豪華にしてみたのよ~」
今日は遅くなるんでしょ?
だから朝ごはん豪華にしてみたのよ~」
朝からテンションが高いのはこの姉弟らしさといえるが、今朝の星華はどこか空回りするぐらいだ。
それを少しばかりいぶかしむ星矢だが、まぁ、朝早起きして作ってくれたんだしと思い出し、朝食とあいなった。
それを少しばかりいぶかしむ星矢だが、まぁ、朝早起きして作ってくれたんだしと思い出し、朝食とあいなった。
本日十二月一日は、星矢の誕生日なのだ。
ちなみにいろいろと因縁のあったカシオスは十二月十四日、奇しくも忠義の四十七士が討ち入りをした日であり、
愛と義に殉じた彼らしい誕生日だといえよう。
ギリシア人にはあまり縁のない日であるのだが。
さて、そんなカシオスの師であり、聖戦においては星矢を陰日向にサポートしてくれた戦友でもあるのが、
ご存知白銀聖闘士、蛇使い座・オピュクスのシャイナさん。
聖戦終結後減衰した戦力の増強、生き残った青銅聖闘士たちの実力の底上げのため、日々聖域にて忙しく働いている彼女が、
なんと出勤途中の星矢の前にあらわれた。
ちなみにいろいろと因縁のあったカシオスは十二月十四日、奇しくも忠義の四十七士が討ち入りをした日であり、
愛と義に殉じた彼らしい誕生日だといえよう。
ギリシア人にはあまり縁のない日であるのだが。
さて、そんなカシオスの師であり、聖戦においては星矢を陰日向にサポートしてくれた戦友でもあるのが、
ご存知白銀聖闘士、蛇使い座・オピュクスのシャイナさん。
聖戦終結後減衰した戦力の増強、生き残った青銅聖闘士たちの実力の底上げのため、日々聖域にて忙しく働いている彼女が、
なんと出勤途中の星矢の前にあらわれた。
当然星矢は驚いた。
「久しぶりだね、星矢」と声をかけるシャイナさん。
さすがに日本じゃあの白銀色のマスクをつけるわけにはいかないため、色の濃いサングラスをつけていた。
…よくよく見れば頬が赤いのがわかっただろうが、冬の朝焼けの中ではわかり辛い。
何より星矢は女性の顔をじろじろ見たりはしないのだ、魔鈴さんの調きょ、もとい、躾の賜物である。
さすがに日本じゃあの白銀色のマスクをつけるわけにはいかないため、色の濃いサングラスをつけていた。
…よくよく見れば頬が赤いのがわかっただろうが、冬の朝焼けの中ではわかり辛い。
何より星矢は女性の顔をじろじろ見たりはしないのだ、魔鈴さんの調きょ、もとい、躾の賜物である。
凛々しい声を少しばかり緊張で震わせ、「誕生日、おめでとう」と、ぽんと星矢に渡されたのはラッピングされたスニーカー。
実は星矢、スニーカーをよく履きつぶす。
ストップアンドゴーの激しい聖闘士に共通することでもあるのだが、特にフットワークを武器とする星矢には重要な話だ。
恋する乙女の嗅覚は鋭い。
実は星矢、スニーカーをよく履きつぶす。
ストップアンドゴーの激しい聖闘士に共通することでもあるのだが、特にフットワークを武器とする星矢には重要な話だ。
恋する乙女の嗅覚は鋭い。
「ありがとう!大事に履くよ!
ごめん、これから仕事なんだ!あとで連絡するよ」
ごめん、これから仕事なんだ!あとで連絡するよ」
しかし、受け取るほうは朴念仁。
敵意や害意にゃ過敏だが、男女の好意にゃとんと疎い事で密かに有名な星矢だ。
ありがとうと礼を言うと、そのまますたすたと歩き去っていった。
勿論、そんな星矢に声をかけられるシャイナさんではない、
愛しいあの人の笑顔が見れただけで満足するさ、と、ぐっと涙こらえる。そんないじらしい彼女に、幸あれ。
敵意や害意にゃ過敏だが、男女の好意にゃとんと疎い事で密かに有名な星矢だ。
ありがとうと礼を言うと、そのまますたすたと歩き去っていった。
勿論、そんな星矢に声をかけられるシャイナさんではない、
愛しいあの人の笑顔が見れただけで満足するさ、と、ぐっと涙こらえる。そんないじらしい彼女に、幸あれ。
そして、日が暮れ、人々が家路に着こうとするころ。
「誕生日おめでとう、星矢」
満面の笑みを浮かべた城戸沙織がそこにいた。
具体的にいうと、大きなリムジンが星矢の前に停まったかと思うと、中から出てきた紫龍と瞬に中へと放り込まれたわけだ。
二人は空気をよんでそのまま去ったが、瞬の思いっきりイイ笑顔にイラっときた星矢であった。
具体的にいうと、大きなリムジンが星矢の前に停まったかと思うと、中から出てきた紫龍と瞬に中へと放り込まれたわけだ。
二人は空気をよんでそのまま去ったが、瞬の思いっきりイイ笑顔にイラっときた星矢であった。
グラード財団の長ともなれば、多忙である。
そりゃもう超がつくほど多忙である。
だからこんな色気も何もあったもんじゃない、それが二人にはかなしくもあった。
そりゃもう超がつくほど多忙である。
だからこんな色気も何もあったもんじゃない、それが二人にはかなしくもあった。
「ありがとう、沙織さん」
取り留めのない話でも、世間話でも、電話越しではなくこうして直に会話できる事、
それこそが星矢にとっては最高のプレゼントだったのかもしれない。
女神と聖闘士ではなく、ただの恋人として、時空を超えても二人の心は触れ合う。
たとえ運命の女神であったとしても、二人の心の触れ合いをたつことはできないのだろう。
そんな二人に、幸あれ。
それこそが星矢にとっては最高のプレゼントだったのかもしれない。
女神と聖闘士ではなく、ただの恋人として、時空を超えても二人の心は触れ合う。
たとえ運命の女神であったとしても、二人の心の触れ合いをたつことはできないのだろう。
そんな二人に、幸あれ。