窓から差し込む、太陽の光。城之内はそれを浴びながら、重たい目を擦った。どうやら自分はベッドに寝かされて
いるようだ。どうしてなんだ?記憶がはっきりしない。
「あら、気が付いたかしら。気分はいかが?」
上品な女性の声。顔を横に向けると、声のイメージ通りの、清楚な妙齢の女性が微笑んでいた。
驚くほど美しいわけではないが、品よく整った顔立ち。深い知性を感じさせる物静かな笑みが、成熟した女性の
魅力を余すとこなく発揮している。丁寧に纏められた長い髪を、紅い薔薇の髪飾りが彩っている。
(はて、オレはこんな素敵なお姉様と一夜を過ごすほど甲斐性のある男だったのだろうか?)
―――そんなわきゃねー、と自分で納得し、なんか溜息とちょっとだけ涙が出てしまった。
「あの、オレ、なんでこんなところに?つーかあんた誰?そもそもここどこ?」
不躾にも程がある疑問文の連発にも、女性はただただにこやかに答えた。
「あなた、私の家のすぐ近くに倒れてたそうよ。それでここに運び込まれたの。全然目を覚まさないから心配した
けれど、その元気ならもう大丈夫ね」
「はあ、どういたしまして。で、あんたは…あ、オレは城之内っていいます。ヨロシク」
「私はソフィア―――<詩を詠む聖女>なんて呼んでくれる人もいるけど、そんな大層なものじゃないわ。ただの
しがない詩人よ」
「ははあ、詩人っすか。そりゃまたイメージぴったりっつーかなんつーか…」
城之内はうんうんと頷いた。確かにこの女性―――ソフィアには、詩人とか作家とか、そういう雰囲気がある。
「こちらこそよろしく。そしてようこそ、ここはレスボス。星女神の神域にして、海原と太陽の女神の加護篤き、
聖なる島…何もないところだけれど、光と水、そして愛は満ち足りてよ…」
女性―――ソフィアは、優雅に微笑んだ。なんというか、そう、マリアさまに見守られてそうな雰囲気の女だった。
これが漫画なら、背景には紅い薔薇が咲き乱れているところだろう。
「つかぬことをお聞きしますが、あんた、どっかの女学院でロサなんたらとか呼ばれてたり、癖っ毛タヌキ顔の妹
がいたりしませんか?」
「はい?」
「あ、いや、何でもないです。何でも」
潤滑な意思疎通に失敗してしまったらしい。城之内は肩をすくめた。そして、ふと思った。
(あれ?この人、今、レスボス島とか言ってた?オレ、そんな島なんかにいたっけ?)
しかし、よく言えば大らか、悪く言うと大雑把な彼は、特に気にしないことにした。ある意味大物だった。
「ま、よく分かんねーっすけど、助けてくれてありがとうございます」
「あら、私は何もしてないわ。部屋を貸しただけ。倒れていたあなたを見つけてくれたのは、ミーシャよ」
「ミーシャ…?」
どっかで聞いた名前だな、と思ったが、はっきりしない。その時コンコン、と控え目にドアがノックされた。
「お入りなさい」
「失礼します…」
ドアを開けて部屋に入ってきたのは、若い女性だった。城之内よりは年上だろうが、恐らく二十歳はまだ越えて
いないだろう。紫のメッシュが入った長い銀髪と、物悲しげな紫色の瞳が印象的だった。
(キレーな人だけど…なんか、寂しそうだな)
城之内は、そう思った。
「城之内くん。彼女がミーシャよ」
「あ、そうですか。どうも、助けていただいたようで、ありがとうござ…」
と―――そこで、思い至った。確か、あの胡散臭いオッサンから聞いた話。
「ミーシャ…アルテミシア?」
「あら?私、ミーシャの本名を教えたかしら」
ソフィアは、小首を傾げた。城之内は、慌てて誤魔化す。
「いやいや、テキトーに言ってみただけっすよ。ハハハ…」
わざとらしく笑いながら、城之内は心中穏やかではない。
(…まさか…いや、いくらなんでも、偶然だよな。ありゃ古代ギリシャの話なんだし…)
そう思いつつ、城之内は少し混乱していた。
(しかしどういうこった?さっきからなんか、おかしいことだらけだぜ…チクショー、海馬…はいらんけど、遊戯
がいてくれたらな…あ、そうだ!遊戯はどうなったんだ!?)
「あの…どうかしたの?」
ミーシャが、心配そうに尋ねた。
「えっと、ミーシャ…で、いいかな?オレの他に、誰かいなかったか?」
城之内は思わず身を乗り出し、質問を質問で返した。これがテストなら0点だ。しかし、返答は芳しくない。
「私が見たのは、キミだけだったけれど…誰かと一緒だったの?」
「ああ。オレの他に、二人―――ゲンミツに言うと三人だけどな。まあ、詳しく説明しづらいけどよ―――その内
一人はどうでもいいけど、もう一人は友達…いや、親友だ。なんてこった。あいつ、何処行っちまったんだ…」
城之内は頭を抱える。ミーシャとソフィアは居た堪れない表情で、顔を見合わせた。
「ん…?」
ふと、城之内は気付いた。自分の腕に、何かが嵌められていた。
「なんだ、デュエルディスクじゃねえか。確かに持ち歩いてはいたけど―――いつの間に嵌めたんだ?」
「あ、それ?倒れてた時にはもう腕に嵌めていたわよ。外し方も分からないから、そのままにしてたけれど…それ、
何に使う道具なの?見たこともないものだけれど」
不思議そうにデュエルディスクを眺めるミーシャに、城之内が解説する。
「デュエルモンスターズって知ってるか?それに使う道具だよ」
「デュエ…?ごめんなさい、よく分からないわ」
「そこからか…話すと長ぇな…」
日本やアメリカでは大人気だが、ギリシャの辺りじゃそうでもないのか?
「実際やってみた方が早いか。おっしゃ!じゃあちょっと外で見せてやるぜ!」
いるようだ。どうしてなんだ?記憶がはっきりしない。
「あら、気が付いたかしら。気分はいかが?」
上品な女性の声。顔を横に向けると、声のイメージ通りの、清楚な妙齢の女性が微笑んでいた。
驚くほど美しいわけではないが、品よく整った顔立ち。深い知性を感じさせる物静かな笑みが、成熟した女性の
魅力を余すとこなく発揮している。丁寧に纏められた長い髪を、紅い薔薇の髪飾りが彩っている。
(はて、オレはこんな素敵なお姉様と一夜を過ごすほど甲斐性のある男だったのだろうか?)
―――そんなわきゃねー、と自分で納得し、なんか溜息とちょっとだけ涙が出てしまった。
「あの、オレ、なんでこんなところに?つーかあんた誰?そもそもここどこ?」
不躾にも程がある疑問文の連発にも、女性はただただにこやかに答えた。
「あなた、私の家のすぐ近くに倒れてたそうよ。それでここに運び込まれたの。全然目を覚まさないから心配した
けれど、その元気ならもう大丈夫ね」
「はあ、どういたしまして。で、あんたは…あ、オレは城之内っていいます。ヨロシク」
「私はソフィア―――<詩を詠む聖女>なんて呼んでくれる人もいるけど、そんな大層なものじゃないわ。ただの
しがない詩人よ」
「ははあ、詩人っすか。そりゃまたイメージぴったりっつーかなんつーか…」
城之内はうんうんと頷いた。確かにこの女性―――ソフィアには、詩人とか作家とか、そういう雰囲気がある。
「こちらこそよろしく。そしてようこそ、ここはレスボス。星女神の神域にして、海原と太陽の女神の加護篤き、
聖なる島…何もないところだけれど、光と水、そして愛は満ち足りてよ…」
女性―――ソフィアは、優雅に微笑んだ。なんというか、そう、マリアさまに見守られてそうな雰囲気の女だった。
これが漫画なら、背景には紅い薔薇が咲き乱れているところだろう。
「つかぬことをお聞きしますが、あんた、どっかの女学院でロサなんたらとか呼ばれてたり、癖っ毛タヌキ顔の妹
がいたりしませんか?」
「はい?」
「あ、いや、何でもないです。何でも」
潤滑な意思疎通に失敗してしまったらしい。城之内は肩をすくめた。そして、ふと思った。
(あれ?この人、今、レスボス島とか言ってた?オレ、そんな島なんかにいたっけ?)
しかし、よく言えば大らか、悪く言うと大雑把な彼は、特に気にしないことにした。ある意味大物だった。
「ま、よく分かんねーっすけど、助けてくれてありがとうございます」
「あら、私は何もしてないわ。部屋を貸しただけ。倒れていたあなたを見つけてくれたのは、ミーシャよ」
「ミーシャ…?」
どっかで聞いた名前だな、と思ったが、はっきりしない。その時コンコン、と控え目にドアがノックされた。
「お入りなさい」
「失礼します…」
ドアを開けて部屋に入ってきたのは、若い女性だった。城之内よりは年上だろうが、恐らく二十歳はまだ越えて
いないだろう。紫のメッシュが入った長い銀髪と、物悲しげな紫色の瞳が印象的だった。
(キレーな人だけど…なんか、寂しそうだな)
城之内は、そう思った。
「城之内くん。彼女がミーシャよ」
「あ、そうですか。どうも、助けていただいたようで、ありがとうござ…」
と―――そこで、思い至った。確か、あの胡散臭いオッサンから聞いた話。
「ミーシャ…アルテミシア?」
「あら?私、ミーシャの本名を教えたかしら」
ソフィアは、小首を傾げた。城之内は、慌てて誤魔化す。
「いやいや、テキトーに言ってみただけっすよ。ハハハ…」
わざとらしく笑いながら、城之内は心中穏やかではない。
(…まさか…いや、いくらなんでも、偶然だよな。ありゃ古代ギリシャの話なんだし…)
そう思いつつ、城之内は少し混乱していた。
(しかしどういうこった?さっきからなんか、おかしいことだらけだぜ…チクショー、海馬…はいらんけど、遊戯
がいてくれたらな…あ、そうだ!遊戯はどうなったんだ!?)
「あの…どうかしたの?」
ミーシャが、心配そうに尋ねた。
「えっと、ミーシャ…で、いいかな?オレの他に、誰かいなかったか?」
城之内は思わず身を乗り出し、質問を質問で返した。これがテストなら0点だ。しかし、返答は芳しくない。
「私が見たのは、キミだけだったけれど…誰かと一緒だったの?」
「ああ。オレの他に、二人―――ゲンミツに言うと三人だけどな。まあ、詳しく説明しづらいけどよ―――その内
一人はどうでもいいけど、もう一人は友達…いや、親友だ。なんてこった。あいつ、何処行っちまったんだ…」
城之内は頭を抱える。ミーシャとソフィアは居た堪れない表情で、顔を見合わせた。
「ん…?」
ふと、城之内は気付いた。自分の腕に、何かが嵌められていた。
「なんだ、デュエルディスクじゃねえか。確かに持ち歩いてはいたけど―――いつの間に嵌めたんだ?」
「あ、それ?倒れてた時にはもう腕に嵌めていたわよ。外し方も分からないから、そのままにしてたけれど…それ、
何に使う道具なの?見たこともないものだけれど」
不思議そうにデュエルディスクを眺めるミーシャに、城之内が解説する。
「デュエルモンスターズって知ってるか?それに使う道具だよ」
「デュエ…?ごめんなさい、よく分からないわ」
「そこからか…話すと長ぇな…」
日本やアメリカでは大人気だが、ギリシャの辺りじゃそうでもないのか?
「実際やってみた方が早いか。おっしゃ!じゃあちょっと外で見せてやるぜ!」
―――外の空気は、清々しかった。
ソフィアの家のすぐ近くには海を見下ろせる丘があり、そこに立った三人の頬を、少し塩気を含んだ風が心地よく
撫でていく。
「ん~…日本のゴミゴミした空気とは大違いだぜ。ギリシャっていいなあ…」
城之内は鼻の穴を大きく膨らませて、胸一杯に吸い込んだ。そして、デュエルディスクに目をやる。
「デッキもちゃんとあるな…おし!」
デッキからカードを一枚引き抜き、ディスクにセットする。
「<真紅眼の黒竜(レッドアイズ・ブラックドラゴン)>を召喚!」
直後―――
「きゃ…!」
「まあ…!」
猛々しく巨体を震わせ、雄叫びを上げながら、その名の通りに真紅の眼を持つ黒竜が大地に降り立った。
真紅眼の黒竜―――通称レッドアイズ。実に数十万円もの値で取引されるほどの幻の超レアカードである。城之内
にとってかけがえのないカードにして相棒であり、なおかつ家宝にして全財産といっても過言でない。
「へへ、驚いた?」
「ええ。初めて見たわ、こんなの…」
「…この仔、暴れたりしない?触っても大丈夫?」
ソフィアとミーシャは恐る恐る、しかし興味津々でレッドアイズを見つめている。
「ん?まあ暴れやしねえけど」
立体映像だから触れないぜ、と言おうとして―――城之内は目を瞠った。
「あら、怖い顔してるけど、意外と大人しいわね」
「…可愛い」
女性二人はごく普通にレッドアイズの頭を撫でたり、顎をゴロゴロしてみたり。レッドアイズも暴れたりすること
もなく、紅い眼を細めて気持ちよさそうに小さな唸り声をあげている。
(あれ…最近のデュエルディスクは、質量を持った映像を映し出せるようになったのか?)
ガ○ダムじゃあるまいに、この装置はどこまでハイテクになっていくのか。城之内は腕組みしながら??マークを
頭上にいっぱい並べた。そして、出した結論は。
(もしかして…質量を持ったなんとやらじゃなくて、実体化してるのか!?そうだってんなら…)
城之内は、確かめてみることにした。
「ちょっと、二人とも離れててくれ!レッドアイズ、黒炎弾だ!」
グォォォォ!と咆哮しながら、レッドアイズがその顎を大きく開き、巨大な火球を吐き出す。それは眼前に広がる
大海原に向けて放たれ、海面に当たると同時に大爆発を起こす。その衝撃で巨大な水柱が吹き上がり、海水が雨の
ように、三人の身体に降り注ぐ。
「うお…!」
城之内は降り注ぐ海水から腕で顔を庇いながら、呻いた。やっとこそれが収まった時には、三人とも濡鼠になって
しまっていた。
「び…<吃驚し怖れ慄いた(ビビった)>わ…!」
「すごい…!」
流石のソフィアも腰を抜かしていた。ミーシャもぽかんと口を開けて呆けるばかりだ。
「や、やっぱりだ…実体化してる…!」
城之内は、汗をだらだら流していた。
(おかしい…よくよく考えてみれば、さっきから、おかしいぜ…!)
ことここに至り、城之内はついに一連の出来事に疑問を抱いた(遅すぎる)。
キョロキョロと周りを見てみる。とりあえず目に入ったのは、ミーシャとソフィア。その服装は、どう見ても現代の
ものではない。なんというか、古代風なのである。
建物にしても、現代であればギリシャといえど、あんな石造りだったりなんだったりばかりじゃないはず―――
つまり―――この世界は、自分がいた世界ではなく―――
「な、なんてこった…!」
城之内は、頭を抱えて叫んだ。
「ここは…ここは…古代ギリシャ神話の世界だってのかよ~~~っ!?」
碧い海と空、白い雲。その中を城之内の絶叫が、レスボス島全域に響き渡るのだった…。
ソフィアの家のすぐ近くには海を見下ろせる丘があり、そこに立った三人の頬を、少し塩気を含んだ風が心地よく
撫でていく。
「ん~…日本のゴミゴミした空気とは大違いだぜ。ギリシャっていいなあ…」
城之内は鼻の穴を大きく膨らませて、胸一杯に吸い込んだ。そして、デュエルディスクに目をやる。
「デッキもちゃんとあるな…おし!」
デッキからカードを一枚引き抜き、ディスクにセットする。
「<真紅眼の黒竜(レッドアイズ・ブラックドラゴン)>を召喚!」
直後―――
「きゃ…!」
「まあ…!」
猛々しく巨体を震わせ、雄叫びを上げながら、その名の通りに真紅の眼を持つ黒竜が大地に降り立った。
真紅眼の黒竜―――通称レッドアイズ。実に数十万円もの値で取引されるほどの幻の超レアカードである。城之内
にとってかけがえのないカードにして相棒であり、なおかつ家宝にして全財産といっても過言でない。
「へへ、驚いた?」
「ええ。初めて見たわ、こんなの…」
「…この仔、暴れたりしない?触っても大丈夫?」
ソフィアとミーシャは恐る恐る、しかし興味津々でレッドアイズを見つめている。
「ん?まあ暴れやしねえけど」
立体映像だから触れないぜ、と言おうとして―――城之内は目を瞠った。
「あら、怖い顔してるけど、意外と大人しいわね」
「…可愛い」
女性二人はごく普通にレッドアイズの頭を撫でたり、顎をゴロゴロしてみたり。レッドアイズも暴れたりすること
もなく、紅い眼を細めて気持ちよさそうに小さな唸り声をあげている。
(あれ…最近のデュエルディスクは、質量を持った映像を映し出せるようになったのか?)
ガ○ダムじゃあるまいに、この装置はどこまでハイテクになっていくのか。城之内は腕組みしながら??マークを
頭上にいっぱい並べた。そして、出した結論は。
(もしかして…質量を持ったなんとやらじゃなくて、実体化してるのか!?そうだってんなら…)
城之内は、確かめてみることにした。
「ちょっと、二人とも離れててくれ!レッドアイズ、黒炎弾だ!」
グォォォォ!と咆哮しながら、レッドアイズがその顎を大きく開き、巨大な火球を吐き出す。それは眼前に広がる
大海原に向けて放たれ、海面に当たると同時に大爆発を起こす。その衝撃で巨大な水柱が吹き上がり、海水が雨の
ように、三人の身体に降り注ぐ。
「うお…!」
城之内は降り注ぐ海水から腕で顔を庇いながら、呻いた。やっとこそれが収まった時には、三人とも濡鼠になって
しまっていた。
「び…<吃驚し怖れ慄いた(ビビった)>わ…!」
「すごい…!」
流石のソフィアも腰を抜かしていた。ミーシャもぽかんと口を開けて呆けるばかりだ。
「や、やっぱりだ…実体化してる…!」
城之内は、汗をだらだら流していた。
(おかしい…よくよく考えてみれば、さっきから、おかしいぜ…!)
ことここに至り、城之内はついに一連の出来事に疑問を抱いた(遅すぎる)。
キョロキョロと周りを見てみる。とりあえず目に入ったのは、ミーシャとソフィア。その服装は、どう見ても現代の
ものではない。なんというか、古代風なのである。
建物にしても、現代であればギリシャといえど、あんな石造りだったりなんだったりばかりじゃないはず―――
つまり―――この世界は、自分がいた世界ではなく―――
「な、なんてこった…!」
城之内は、頭を抱えて叫んだ。
「ここは…ここは…古代ギリシャ神話の世界だってのかよ~~~っ!?」
碧い海と空、白い雲。その中を城之内の絶叫が、レスボス島全域に響き渡るのだった…。