サイコロをテーブルへ転がし、説明を始める。
「サイコロを一人5つ使って行うゲームで何人でも出来る。
今回はさっさと決めたいんでサイコロは一人3つで行う。
全員が自分のカップにサイコロを振り、自分の分の出目を確認する。
そして順番に出目を予想するんだ、この場合サイコロ6つで考え「全部で6が5つ」と予想を宣言する。
次のプレイヤーはその予想を釣り上げるか、『ブラフ』を宣言することが出来る。
今回はさっさと決めたいんでサイコロは一人3つで行う。
全員が自分のカップにサイコロを振り、自分の分の出目を確認する。
そして順番に出目を予想するんだ、この場合サイコロ6つで考え「全部で6が5つ」と予想を宣言する。
次のプレイヤーはその予想を釣り上げるか、『ブラフ』を宣言することが出来る。
予想を上げるときは自分の手を振りなおすことも出来る、だが釣り上げた予想は変えられない。
『ブラフ』は宣言した時点で全員の出目を表示する。
宣言の個数以上だったらブラフ失敗となり、宣言の個数未満でブラフ成功になる。
そして敗者はサイコロを宣言と実際の個数の差分、ゲームから除外する。
『ブラフ』は宣言した時点で全員の出目を表示する。
宣言の個数以上だったらブラフ失敗となり、宣言の個数未満でブラフ成功になる。
そして敗者はサイコロを宣言と実際の個数の差分、ゲームから除外する。
さっきの「6が5つ」宣言に対してブラフを宣言し、実際の出目で『6が3つ』だったらブラフ成功。
2つサイコロを失い残りは全てのサイコロを失ったら負け、最後まで残ったやつの勝利」
2つサイコロを失い残りは全てのサイコロを失ったら負け、最後まで残ったやつの勝利」
ベアの説明を聞き終えた男は満面の笑みでサイコロを取った。
「ほぉ…面白そうじゃあないか、早速始めよう!」
「フフ…先攻は譲るぜ、先にピッタリ予想をキメられれば後攻はブラフもできないし釣り上げも失敗になる」
「お、経験者の余裕って奴かい?甘えさせてもらうぜ」
「フフ…先攻は譲るぜ、先にピッタリ予想をキメられれば後攻はブラフもできないし釣り上げも失敗になる」
「お、経験者の余裕って奴かい?甘えさせてもらうぜ」
男は意気揚々と、無邪気な子供のようにハシャいでサイコロをカップへと放り込んだ。
ベアは対照的に静かな笑みを浮かべたままそれを見つめていた。
ベアは対照的に静かな笑みを浮かべたままそれを見つめていた。
「チッ、勝負の世界で相手に情けを掛けるとは…」
「へっ…ベアがそんな奴な訳ねぇ、考えがある筈だぜ」
「へっ…ベアがそんな奴な訳ねぇ、考えがある筈だぜ」
カップを見つめるベア、出目は1,5,6となっていた。
(さぁて…騙すようで悪いが手を晒してもらおうか)
ベアは敢えて先攻を渡した訳はこうだ。
(さぁて…騙すようで悪いが手を晒してもらおうか)
ベアは敢えて先攻を渡した訳はこうだ。
相手はこの『ブラフ』の初心者である。
このゲーム、人数が多いうちは運が強く場を左右する。
しかし少人数となれば心理戦である。
このゲーム、人数が多いうちは運が強く場を左右する。
しかし少人数となれば心理戦である。
カップの中のダイスを出目を公開する際にカップに触れずに操作されでもしない限り、イカサマも問題ない。
どれだけ自分の手を操作できてもそれは予想にでてくる。
彼はまず、ゲームを掴むため自分の手に合わせた『確実』な出目を予想する筈だ。
どれだけ自分の手を操作できてもそれは予想にでてくる。
彼はまず、ゲームを掴むため自分の手に合わせた『確実』な出目を予想する筈だ。
そうなると彼が宣言する出目はかならず彼の場に1つ以上あるという事になる。
それがわかれば読み合いで有利になるのはこちらの方だ。
相手の手が一種類わかっているのだから。
それがわかれば読み合いで有利になるのはこちらの方だ。
相手の手が一種類わかっているのだから。
「俺の予想は…場に1は1つだ」
「予想を釣り上げるぜ、場に1は2つ。2人しかいないんでな、ここでオープンだ。」
「予想を釣り上げるぜ、場に1は2つ。2人しかいないんでな、ここでオープンだ。」
お互いカップには触れず、席を立って出目を確認する。
「俺の勝ちだね」
男の出目は、2,3,6…1は存在していなかった。
「…なるほど、甘く見すぎたみたいだな」
男の眼は獲物を狙う野獣の様に輝いていた。
先程の無邪気にサイコロを振っていた時の表情はもう見えない。
男の眼は獲物を狙う野獣の様に輝いていた。
先程の無邪気にサイコロを振っていた時の表情はもう見えない。
「ベアの裏をかくとは…汚いナリしちゃいるが、やり手みてぇだな」
初めてのゲームにも臆せず強気に賭け、相手の考えを読み取り自分の手ではなく相手の手で勝負を挑んだ。
ルールは単純、誰でも理解出来るが『戦術』はそうはいかない。
それが染みついてるということが、男は根っからのギャンブラーであることを証明していた。
「まぁ気にしてても仕方ねぇ!次いくぜぇ!」
サイコロを握りながら肩をほぐす様に右腕をグルグルと回す。
ガタンッ!男がテーブルに蹴りでも入れたのか大きめの衝撃音が広がる。
初めてのゲームにも臆せず強気に賭け、相手の考えを読み取り自分の手ではなく相手の手で勝負を挑んだ。
ルールは単純、誰でも理解出来るが『戦術』はそうはいかない。
それが染みついてるということが、男は根っからのギャンブラーであることを証明していた。
「まぁ気にしてても仕方ねぇ!次いくぜぇ!」
サイコロを握りながら肩をほぐす様に右腕をグルグルと回す。
ガタンッ!男がテーブルに蹴りでも入れたのか大きめの衝撃音が広がる。
「おおっと!悪いね、飲み物を頼もうとしただけなんだ。」
男はそう言って立ち上がるとウェイトレスを呼び寄せ何やら注文している。
男はそう言って立ち上がるとウェイトレスを呼び寄せ何やら注文している。
「…キャプテン」
「あぁ、今のを見抜きやがった…」
「あぁ、今のを見抜きやがった…」
ベアはサイコロを2つ持った右手を振りまわし注意を逸らし、
左手でゲームから除外された筈のもう一つのサイコロを見えないようそっと投げいれていた。
横に回転させ遠心力で体制を安定させたサイコロは出目を変えること無くカップに入る筈だった。
男の蹴りの衝撃さえなければ。
左手でゲームから除外された筈のもう一つのサイコロを見えないようそっと投げいれていた。
横に回転させ遠心力で体制を安定させたサイコロは出目を変えること無くカップに入る筈だった。
男の蹴りの衝撃さえなければ。
苦虫を噛み潰したような表情で右手からサイコロを一つカップへと滑らせる。
男は機嫌よさそうにグラスに残ったわずかな液体を飲み干しながらサイコロを投げ入れた。
男は機嫌よさそうにグラスに残ったわずかな液体を飲み干しながらサイコロを投げ入れた。
「さぁ、2回戦といこうか…4が2つ!」
「ブラフ!」
ベアの手は2,5…男は強気な勝負師だ、次もこちらの手を含めて読んでくる筈。
酔ってはいない様だが、酒で勘が鈍ってればここを外すということもある。
グラスの口は透き通っておらず、飲み物の着色料らしき物が乾いた跡が幾つか見える。
結構な量を飲んでいる筈だ。
「ブラフ!」
ベアの手は2,5…男は強気な勝負師だ、次もこちらの手を含めて読んでくる筈。
酔ってはいない様だが、酒で勘が鈍ってればここを外すということもある。
グラスの口は透き通っておらず、飲み物の着色料らしき物が乾いた跡が幾つか見える。
結構な量を飲んでいる筈だ。
「おっ、また俺の勝ちだね」
男の手は4,4,5、残るサイコロは1個。
こちらの手を含めて読んでくる、その予想は当たっていただろう。
男の顔には『2つで良かった』という安著感は無く、『当てて当然』という自信が見て取れた。
ウェイトレスが甘い香りのするグラスを持ってくる。
(このヤロォ…酒じゃなくてミルクセーキかよ……酒臭いのは先客でも居たからか?
残るサイコロは4つ…最初の一発目を俺が当てて精神的アドバンテージを取りたかったんだが…。
だが数が少ないってのはいいかな、相手がこっちの目を当てる確率は6分の1。
俺の目を読みづらくなった筈、うまく上乗せすれば勝機はある…だが当てられたら終わりだろうな…。)
男の手は4,4,5、残るサイコロは1個。
こちらの手を含めて読んでくる、その予想は当たっていただろう。
男の顔には『2つで良かった』という安著感は無く、『当てて当然』という自信が見て取れた。
ウェイトレスが甘い香りのするグラスを持ってくる。
(このヤロォ…酒じゃなくてミルクセーキかよ……酒臭いのは先客でも居たからか?
残るサイコロは4つ…最初の一発目を俺が当てて精神的アドバンテージを取りたかったんだが…。
だが数が少ないってのはいいかな、相手がこっちの目を当てる確率は6分の1。
俺の目を読みづらくなった筈、うまく上乗せすれば勝機はある…だが当てられたら終わりだろうな…。)
残ったサイコロを見つめながら、ベアを思考を巡らせていた。
多少の焦りを振りきるべく飲み物を注文しようと席を立ったその時。
「また勝たせてもらうよ」
多少の焦りを振りきるべく飲み物を注文しようと席を立ったその時。
「また勝たせてもらうよ」
普段のベアなら余裕ぶって言い返すなり茶化すなりしただろう。
だが今のベアは多少……頭に来ていたのだろう。
朝からホークに見下され、2連続でギャンブルに不覚を取った。
眼輪筋をピクリと動かし引き攣った笑顔を取り繕い、何も頼まず席に着いた。
椅子に腰かけたベアの顔からは、先程のような不自然な笑いは消え去っていた。
「何も頼まな…」
だが今のベアは多少……頭に来ていたのだろう。
朝からホークに見下され、2連続でギャンブルに不覚を取った。
眼輪筋をピクリと動かし引き攣った笑顔を取り繕い、何も頼まず席に着いた。
椅子に腰かけたベアの顔からは、先程のような不自然な笑いは消え去っていた。
「何も頼まな…」
カーン…乾いた音が周囲に響く、何時の間にかベアのカップに4の目を上にしたサイコロが佇んでいた。
目を操作したかしないかはこの場合問題ではない、男の目に見えぬよう投げ入れる。
それが重要だった、男の心には僅かばかりの動揺が走っただろう。
目を操作したかしないかはこの場合問題ではない、男の目に見えぬよう投げ入れる。
それが重要だった、男の心には僅かばかりの動揺が走っただろう。
(…挑発が裏目に出たな、キレて冷静になる奴だったか)
男が警戒心を顕わにする、グラスに注がれたミルクセーキを一口飲むと「2が1つ」と宣言した。
「ブラフ」
男が警戒心を顕わにする、グラスに注がれたミルクセーキを一口飲むと「2が1つ」と宣言した。
「ブラフ」
ベアの宣言と同時にお互いにカップを確認する、男の手は1,1,5…『2』は存在しなかった。
「やはりな…5で勝負しなかったのは俺が連続で5を出してたから警戒した上での事。
『1を2つ』と宣言すれば自分は1を2つ出したのを知らせるような物…この状況で1が3つ出るのは考えづらいが…
それでも自分の手が割れることを恐れたアンタは当てずっぽうで答えたって訳だ。」
「まぐれ当たりでえらく饒舌になったな…そんな深く考えちゃいないさ」
『1を2つ』と宣言すれば自分は1を2つ出したのを知らせるような物…この状況で1が3つ出るのは考えづらいが…
それでも自分の手が割れることを恐れたアンタは当てずっぽうで答えたって訳だ。」
「まぐれ当たりでえらく饒舌になったな…そんな深く考えちゃいないさ」