東1局2本場。クルクルチェンジが通用することが分かったので、江田島はすっか
り元気を取り戻した。元気になると手牌もよくなる。
「ケツでツモじゃー!」
3巡目江田島、ケツで三索ツモ。
り元気を取り戻した。元気になると手牌もよくなる。
「ケツでツモじゃー!」
3巡目江田島、ケツで三索ツモ。
六六六(444888)337東西
「のび太のチンコで捨て牌じゃー!」
のび太のチンコで打東。わずか3巡で四暗刻イーシャンテンだ。しかし自分の手が
いい時は、他の三人もみんないい、という事がよくある。
「ククク……」
4巡目アカギ、六索切りでリーチ。
「なにをさらすんじゃーい!」
江田島とのび太が同時に叫んだ。のび太は心を入れ替えて、この局はとても真面
目に打っていたのだ。
「ボクだって勝負手なのにー! でもアカギさんには負けないぞ! でや!」
のび太4巡目、発ツモ。
いい時は、他の三人もみんないい、という事がよくある。
「ククク……」
4巡目アカギ、六索切りでリーチ。
「なにをさらすんじゃーい!」
江田島とのび太が同時に叫んだ。のび太は心を入れ替えて、この局はとても真面
目に打っていたのだ。
「ボクだって勝負手なのにー! でもアカギさんには負けないぞ! でや!」
のび太4巡目、発ツモ。
一二三四白白白発発発中中中7
なんと本当に勝負手だった。いつもののび太なら発のアンコ落としでアカギの国
士にドカーンなどの結末だが、先にバラすと普通に七索を強打した。
「これが通ればボクの勝ちだー!」
のび太、打七索。アカギ動かず。通った!
「バンザーイ!」
のび太は小躍りしてベッドのドラミちゃんに抱きついた。これも先にバラすが、
のび太はこの局あがれないしドラミに半殺しの目に合う。
「そうか、七索は通しか」
江田島はとても静かに言った。4巡目のび太、ドラミに半殺し。同4巡目江田島、
西ツモ。
六六六(444888)337西西
士にドカーンなどの結末だが、先にバラすと普通に七索を強打した。
「これが通ればボクの勝ちだー!」
のび太、打七索。アカギ動かず。通った!
「バンザーイ!」
のび太は小躍りしてベッドのドラミちゃんに抱きついた。これも先にバラすが、
のび太はこの局あがれないしドラミに半殺しの目に合う。
「そうか、七索は通しか」
江田島はとても静かに言った。4巡目のび太、ドラミに半殺し。同4巡目江田島、
西ツモ。
六六六(444888)337西西
「リーチ」
江田島、七索切りで静かにリーチ。直前ののび太が七索を切っているので、江田
島の七索では誰もあがれない。あがれないったらあがれない。
「ロン」
「バッカじゃねーのー!」
江田島、七索切りで静かにリーチ。直前ののび太が七索を切っているので、江田
島の七索では誰もあがれない。あがれないったらあがれない。
「ロン」
「バッカじゃねーのー!」
アカギが手牌を倒す前に、江田島は背後の烈に日本刀を振り下ろした。烈は片手
で余裕で受け止めて、もう片方の手で鼻くそをほじってアカギに投げた。アカギは
鼻くそを間一髪でかわして命拾いした。まだ牌は倒していない。
「のび太の七索を見逃してワシの七索で当たったら、言い訳無用の大チョンボじゃ!
クルクルチェンジの必要もないわ! ククク以外の言語で何か言ってみい!」
「のび太の七索は当たりじゃない。お前の七索は当たりだ」
アカギは当然のように言い切って牌を伏せた。そして江田島とのび太の七索をそ
れぞれの手牌に戻した。
「まず、のび太が七索を切った時のオレの手牌だ」
で余裕で受け止めて、もう片方の手で鼻くそをほじってアカギに投げた。アカギは
鼻くそを間一髪でかわして命拾いした。まだ牌は倒していない。
「のび太の七索を見逃してワシの七索で当たったら、言い訳無用の大チョンボじゃ!
クルクルチェンジの必要もないわ! ククク以外の言語で何か言ってみい!」
「のび太の七索は当たりじゃない。お前の七索は当たりだ」
アカギは当然のように言い切って牌を伏せた。そして江田島とのび太の七索をそ
れぞれの手牌に戻した。
「まず、のび太が七索を切った時のオレの手牌だ」
一一二三五七(18)246南南
「ほう。バラバラじゃの」
江田島は落ち着いた声で言った。しかしハゲ頭からかすかに湯気が立っている。
目をつぶってゆっくりと席を立った。
「そして、江田島が七索を切った時のオレの手牌はこれだ」
「そんな訳があるかー!」
江田島は落ち着いた声で言った。しかしハゲ頭からかすかに湯気が立っている。
目をつぶってゆっくりと席を立った。
「そして、江田島が七索を切った時のオレの手牌はこれだ」
「そんな訳があるかー!」
七七八八九九(789)1189
アカギが手牌を倒すより早く、江田島は厨房に駆け込んでいた。さんざんアカギ
にコケにされたおかげで、アカギのやり口は完璧に予測できる江田島であった。
「ぎゃおー!」
厨房から深海魚のセックスみたいな雄叫びが聞こえて、江田島が戻ってきた。頭
にセワシがかじりついている。
「やられっぱなしのセワシ様じゃねーぞー!」
孤高のカレー職人の、精一杯の抵抗であった。江田島はセワシをものすごい勢い
でひっぺがして、そのセワシでチーンと鼻をかんで厨房に投げ捨てた。セワシをい
じめたので、さぞかしスッキリしたことだろう。ドラえもんは江田島に聞いた。
「落ち着いた?」
「落ち着くかー!」
江田島は阿修羅の形相で雀卓をぶっ叩いた。雀卓は床を突き抜けて下の階に落ち
て、しばらくして天井から落ちてきた。そしてまた穴に落ちて天井から落ちてきて、
の無限ループに突入した。
「アカギの牌がまるっきり入れ替わっとるやんけ! 貴様のけったいな道具のせい
に決まっとるじゃろがー!」
江田島はドラえもんの首根っこを締め上げて怒鳴りつけた。ドラえもんは別に苦
しむ様子もなく、とぼけた顔をしている。
「いやだなあ。ボクそんなことしてないよー」
言いながら独裁スイッチを押した。江田島はどこかへ消えて、しかしすぐに異空
間をねじ曲げて戻ってきた。
「違う。その道具じゃない」
「だからボク、なんにもしてないよー」
タイムふろしきを江田島にかけた。江田島は赤ん坊に戻った。さらにふろしきを
かけると巨大なバナナになって、皮をむいたら元の江田島が出てきた。
「その道具でもない。次やってみい」
「しつこいなー。ボクは無実だって言ってるのに」
タンマウォッチで時間を止めた。どこでもドアで江田島をアラスカに置いてきて、
時間を動かした。赤みを帯びてきた空の彼方で小さな点が光って、窓ガラスを突き
破って江田島が帰ってきた。
「そいつじゃー!」
体中から生えたツララを振り飛ばしながら叫んで、突然ドラえもんに土下座した。
「タンマウォッチで時間を止めて、その間にアカギの手牌をいじったんじゃろ!
頼むからそうだと言ってくれ!」
「じゃあそうでーす」
「やっとれるかー!」
江田島はハゲ頭から紅の蒸気を吹き上げて怒り狂った。咆吼で全部の窓ガラスが
割れて砂になった。
「一から百までぜーんぶイカサマイカサマイカサマ! もう貴様らのようなイカサ
マ軍団とは麻雀なんか打ってられませーん!」
「それはダメであります塾長!」
どこからか声がしたと思ったら、枠だけになった窓から黒い塊が飛び込んできた。
汚い学ランを着てダッサい丸眼鏡をかけたブサイクな男だった。
にコケにされたおかげで、アカギのやり口は完璧に予測できる江田島であった。
「ぎゃおー!」
厨房から深海魚のセックスみたいな雄叫びが聞こえて、江田島が戻ってきた。頭
にセワシがかじりついている。
「やられっぱなしのセワシ様じゃねーぞー!」
孤高のカレー職人の、精一杯の抵抗であった。江田島はセワシをものすごい勢い
でひっぺがして、そのセワシでチーンと鼻をかんで厨房に投げ捨てた。セワシをい
じめたので、さぞかしスッキリしたことだろう。ドラえもんは江田島に聞いた。
「落ち着いた?」
「落ち着くかー!」
江田島は阿修羅の形相で雀卓をぶっ叩いた。雀卓は床を突き抜けて下の階に落ち
て、しばらくして天井から落ちてきた。そしてまた穴に落ちて天井から落ちてきて、
の無限ループに突入した。
「アカギの牌がまるっきり入れ替わっとるやんけ! 貴様のけったいな道具のせい
に決まっとるじゃろがー!」
江田島はドラえもんの首根っこを締め上げて怒鳴りつけた。ドラえもんは別に苦
しむ様子もなく、とぼけた顔をしている。
「いやだなあ。ボクそんなことしてないよー」
言いながら独裁スイッチを押した。江田島はどこかへ消えて、しかしすぐに異空
間をねじ曲げて戻ってきた。
「違う。その道具じゃない」
「だからボク、なんにもしてないよー」
タイムふろしきを江田島にかけた。江田島は赤ん坊に戻った。さらにふろしきを
かけると巨大なバナナになって、皮をむいたら元の江田島が出てきた。
「その道具でもない。次やってみい」
「しつこいなー。ボクは無実だって言ってるのに」
タンマウォッチで時間を止めた。どこでもドアで江田島をアラスカに置いてきて、
時間を動かした。赤みを帯びてきた空の彼方で小さな点が光って、窓ガラスを突き
破って江田島が帰ってきた。
「そいつじゃー!」
体中から生えたツララを振り飛ばしながら叫んで、突然ドラえもんに土下座した。
「タンマウォッチで時間を止めて、その間にアカギの手牌をいじったんじゃろ!
頼むからそうだと言ってくれ!」
「じゃあそうでーす」
「やっとれるかー!」
江田島はハゲ頭から紅の蒸気を吹き上げて怒り狂った。咆吼で全部の窓ガラスが
割れて砂になった。
「一から百までぜーんぶイカサマイカサマイカサマ! もう貴様らのようなイカサ
マ軍団とは麻雀なんか打ってられませーん!」
「それはダメであります塾長!」
どこからか声がしたと思ったら、枠だけになった窓から黒い塊が飛び込んできた。
汚い学ランを着てダッサい丸眼鏡をかけたブサイクな男だった。