暗い暗い空間に時折光が走って轟音を響かせる。
遠雷が駆け巡っていた。
遠雷は過大の人民を擁してなおあり余る大地をつんざきながらやがて亀裂を刻みこみ、平原
を駆ける牛馬を奈落へと付き落とす。
遠雷が駆け巡っていた。
遠雷は過大の人民を擁してなおあり余る大地をつんざきながらやがて亀裂を刻みこみ、平原
を駆ける牛馬を奈落へと付き落とす。
その原因が二メートルにも満たない三つの光球であるコトを大地は知らなかった。
天も知らず人の多くを制する楚軍すらも知らず。
天も知らず人の多くを制する楚軍すらも知らず。
赤い光球が青と黄色のそれに追いたてられていた。
それまで成層圏で打ち合っていたそれは何かの拍子で地表に戻ったらしく、グンと低空で疾駆
しながら野や砂漠をソニックブームで滅茶苦茶に破壊し終えた後、雄大な黄河の水面に巨大
なさざなみを迸らせながら徐々に距離を詰めていき、やがて赤い光球に青と黄色のそれが接
触。
猛然と速度を上げた。
行く手には山があり、中腹を一塊の光球が貫いた瞬間大爆発を起こした。
現在のゴビ砂漠の誕生である。
それまで成層圏で打ち合っていたそれは何かの拍子で地表に戻ったらしく、グンと低空で疾駆
しながら野や砂漠をソニックブームで滅茶苦茶に破壊し終えた後、雄大な黄河の水面に巨大
なさざなみを迸らせながら徐々に距離を詰めていき、やがて赤い光球に青と黄色のそれが接
触。
猛然と速度を上げた。
行く手には山があり、中腹を一塊の光球が貫いた瞬間大爆発を起こした。
現在のゴビ砂漠の誕生である。
光球らはそれでもなお止まらず地平の彼方まで飛び去った。
「さて貴様の攻撃手段はすべて出尽くした」
『それでもなお我らは生きている。この意味の分らぬ貴様ではないだろう』
荒野だった。
もしも無数の瓦礫とドス黒く炭化した木々をなおも執拗になぶる轟然たる火の膜をひとからげ
にして荒野と呼ぶのなら、そこは間違いなく荒野であった。
その荒野で一輪の花が月を背負ってしなやかに佇んでいた。
肉感的な肢体に見合わぬ楚々とした顔立ちの少女がゆらりゆらりと。
『無言か。それでも構わんがな!』
張良が七節棍を地面に叩きつけると巨大な裂け目が発生し、マグマが間欠泉のような気楽さ
で噴き出した。
「はああああああ! 俺は火炎人間だぜ! 地球ナンバーV7のな!」
そして蕭何がマグマに身を投じると彼は蒸発するコトなく一体となり(ブレイズオブグローリー
を使った火渡ではありません。//のアレではありません。あくまで地球ナンバーV7に出てきた
火炎人間です)、龍の形で呂后に迫った。
だが。
「ちから、あわせ、ガオーとすすめ! ぼーくーはりょごーう まけるものか!」
呂后が手をかざすと龍はみるみると消滅し、後には唖然とする蕭何が残った。
敵もまた、遥か怪物。
マグマはそれでも地面の奥底から湧いてくる。
所詮蕭何の操ったモノなど地底に内蔵されるマグマの一部でしかないのだ。
なおもプロミネンスのように噴出するのだ。
されど間近にいる呂后は汗の一筋も流さず、ただぽつりとつぶやいた。
「マグマ出したら」
すわ攻撃かと飛びのいた蕭何張良を無視して、呂后は。
「マグマ出したら危ないでしょうがァーッ!」
地面の裂け目に駆け寄って、奇麗に揃えた両掌を下に突き出した。
それだけで地面はぐぐっと鳴動して、まぁ要するにふさがった。
「ぜぇぜぇ。なんでコトすんのよあんたたち」
待て、その口調をやると最近出番がめっきりないアイツと被……
「うるさいわね! そうならないようにするのが作者の義務でしょうが! だいたいサボってる
癖にあれこれ注文つけないで! きぃ! こんな口調なら被らないでしょっ!!」
おk。
「誰と話している?」
「こっちの話よ。それよりもね、ええと、その」
呂后は網タイツを履いた太ももをもじもじと内に向かってすり合わせながら、口調をしどろもどろ
にさせた。
「あのう、そのう」
その恥じらいを隙ととったか張良と蕭何は「うむ」と目線を交わし同時に大地を蹴った。
張良は剣を、蕭何は錫杖を。呂后の周辺視野の遥か外側、いわゆる死角より打ち下ろし……
ノールックで止められた。
ふくよかな胸の前で交差するその呂后の手を、四つの視線が傲然と睨みながら遠ざかる。
土煙を上げながら地面に叩きつけられる二人。
そんな彼らを呂后は涙にきらめく薄紅の瞳でにらみ返した。
太ももの横でもどかしそうな握り拳が震えていた。
薄く可憐な唇が半開きになり、だがすぐに口ごもった。
ひどくバツが悪そうに視線を外したのはなぜか。
ともかく彼女はひどく無理矢理に叫んだ。
「わ、私の部下になりなさいよっ! 」
「断る」
『死ね』
悪意に満ちた言葉に呂后の顔はくしゃくしゃになった。
流石に蕭何張良という忠臣が今さら寝返る道理はないのだ。
だが呂后は彼らとの戦いの中で殺すのが惜しくなった。
よって勧誘したのだが、元より勝気で素直に言葉が乗せられない気質だからうまく勧誘でき
なかった。
もし劉邦との問題のあれこれを解決し隷属するコトを誓えば或いは彼らも部下とまではいか
なくても、協力ぐらいはしてくれたかも知れない。
もっとも呂后にとってはそういう機微は分からなくて、だが分からないゆえに彼らへの敬意
表したつもりだったのに。
断られた。
だから怒るしかなかった。
「もう逃げ場なんてないんだからっ! ないんだからっ! ばかぁ!」
「りょ、呂后めの腹が…」
おおなんというコトか。きゅっと締まったウェストがでかくなっている。
呂后の足の付け根から、白いどろどろした液体が地面に落ちる。
最初はただの淫靡なる液体かと思えたそれは、次から次へと呂后の体内から溢れて出て、
ちょっとした水たまり位に広がった。
とみるや、上方向に向かいむくむくと体積を増していき、巨大な餅の塊のような姿へ変貌。
餅と違うのは、表面に緑色の斑点があり、蕭何と張良へ向かって動き始めた所だ。
呂后は態勢を戻し、涙をごしごしこすると歓喜の叫びをあげた。
「私はこいつを生むとき、日輪が腹に入る夢を見たんだから! だから名前は”日吉”ね!
さあ行くのよ日吉!」
ハリのある声とともに呂后の指が勢いよく敵を指差した。
「漢王どのを取り戻しなさいっ!」
この馬鹿げた事態に蕭何と張良は身構えた。
『それでもなお我らは生きている。この意味の分らぬ貴様ではないだろう』
荒野だった。
もしも無数の瓦礫とドス黒く炭化した木々をなおも執拗になぶる轟然たる火の膜をひとからげ
にして荒野と呼ぶのなら、そこは間違いなく荒野であった。
その荒野で一輪の花が月を背負ってしなやかに佇んでいた。
肉感的な肢体に見合わぬ楚々とした顔立ちの少女がゆらりゆらりと。
『無言か。それでも構わんがな!』
張良が七節棍を地面に叩きつけると巨大な裂け目が発生し、マグマが間欠泉のような気楽さ
で噴き出した。
「はああああああ! 俺は火炎人間だぜ! 地球ナンバーV7のな!」
そして蕭何がマグマに身を投じると彼は蒸発するコトなく一体となり(ブレイズオブグローリー
を使った火渡ではありません。//のアレではありません。あくまで地球ナンバーV7に出てきた
火炎人間です)、龍の形で呂后に迫った。
だが。
「ちから、あわせ、ガオーとすすめ! ぼーくーはりょごーう まけるものか!」
呂后が手をかざすと龍はみるみると消滅し、後には唖然とする蕭何が残った。
敵もまた、遥か怪物。
マグマはそれでも地面の奥底から湧いてくる。
所詮蕭何の操ったモノなど地底に内蔵されるマグマの一部でしかないのだ。
なおもプロミネンスのように噴出するのだ。
されど間近にいる呂后は汗の一筋も流さず、ただぽつりとつぶやいた。
「マグマ出したら」
すわ攻撃かと飛びのいた蕭何張良を無視して、呂后は。
「マグマ出したら危ないでしょうがァーッ!」
地面の裂け目に駆け寄って、奇麗に揃えた両掌を下に突き出した。
それだけで地面はぐぐっと鳴動して、まぁ要するにふさがった。
「ぜぇぜぇ。なんでコトすんのよあんたたち」
待て、その口調をやると最近出番がめっきりないアイツと被……
「うるさいわね! そうならないようにするのが作者の義務でしょうが! だいたいサボってる
癖にあれこれ注文つけないで! きぃ! こんな口調なら被らないでしょっ!!」
おk。
「誰と話している?」
「こっちの話よ。それよりもね、ええと、その」
呂后は網タイツを履いた太ももをもじもじと内に向かってすり合わせながら、口調をしどろもどろ
にさせた。
「あのう、そのう」
その恥じらいを隙ととったか張良と蕭何は「うむ」と目線を交わし同時に大地を蹴った。
張良は剣を、蕭何は錫杖を。呂后の周辺視野の遥か外側、いわゆる死角より打ち下ろし……
ノールックで止められた。
ふくよかな胸の前で交差するその呂后の手を、四つの視線が傲然と睨みながら遠ざかる。
土煙を上げながら地面に叩きつけられる二人。
そんな彼らを呂后は涙にきらめく薄紅の瞳でにらみ返した。
太ももの横でもどかしそうな握り拳が震えていた。
薄く可憐な唇が半開きになり、だがすぐに口ごもった。
ひどくバツが悪そうに視線を外したのはなぜか。
ともかく彼女はひどく無理矢理に叫んだ。
「わ、私の部下になりなさいよっ! 」
「断る」
『死ね』
悪意に満ちた言葉に呂后の顔はくしゃくしゃになった。
流石に蕭何張良という忠臣が今さら寝返る道理はないのだ。
だが呂后は彼らとの戦いの中で殺すのが惜しくなった。
よって勧誘したのだが、元より勝気で素直に言葉が乗せられない気質だからうまく勧誘でき
なかった。
もし劉邦との問題のあれこれを解決し隷属するコトを誓えば或いは彼らも部下とまではいか
なくても、協力ぐらいはしてくれたかも知れない。
もっとも呂后にとってはそういう機微は分からなくて、だが分からないゆえに彼らへの敬意
表したつもりだったのに。
断られた。
だから怒るしかなかった。
「もう逃げ場なんてないんだからっ! ないんだからっ! ばかぁ!」
「りょ、呂后めの腹が…」
おおなんというコトか。きゅっと締まったウェストがでかくなっている。
呂后の足の付け根から、白いどろどろした液体が地面に落ちる。
最初はただの淫靡なる液体かと思えたそれは、次から次へと呂后の体内から溢れて出て、
ちょっとした水たまり位に広がった。
とみるや、上方向に向かいむくむくと体積を増していき、巨大な餅の塊のような姿へ変貌。
餅と違うのは、表面に緑色の斑点があり、蕭何と張良へ向かって動き始めた所だ。
呂后は態勢を戻し、涙をごしごしこすると歓喜の叫びをあげた。
「私はこいつを生むとき、日輪が腹に入る夢を見たんだから! だから名前は”日吉”ね!
さあ行くのよ日吉!」
ハリのある声とともに呂后の指が勢いよく敵を指差した。
「漢王どのを取り戻しなさいっ!」
この馬鹿げた事態に蕭何と張良は身構えた。
同刻。
「まったくアイツらどこまで行っとるんじゃ!」
「中国は広いですからねー」
「つぅかなんだよ足のコレ」
大地をひた走る影があった。
「一日に八百里を走れる札です。蕭何殿の持ってる奴。元は水滸伝です」
「走れるのはいいが蕭何達と合流できるのか?」
「できますよ。気を探るコトができれば」
「お前そんなんできるのか?」
行者の誰何に韓信は首を横に振った。
「ははは。そんなんできるワケないじゃないですか。ここでそんな機能まで搭載したらオーバー
スペックにも程がありますよ。だから作者は自重しているのです。根来に山風忍法満載しすぎ
たのはやりすぎですよね。戦う相手がホムンクルス(忍法通じない)じゃなかったら厨キャラ
極まりないですよ。だから私は勘で蕭何どの達を探してます」
「……メタはやめろ。勘はもっともっとやめろ」
とにかくそんなこんなで地球を七周ばかりしたら運良く呂后に遭遇した。
というコトは別になかったので、韓信が思い出したように取りだした「六角形した楯のようなレー
ダー」の武……魔界衆の道具で呂后を探してワープした。え、移動できるのは100kgまで? 何それ?
「まったくアイツらどこまで行っとるんじゃ!」
「中国は広いですからねー」
「つぅかなんだよ足のコレ」
大地をひた走る影があった。
「一日に八百里を走れる札です。蕭何殿の持ってる奴。元は水滸伝です」
「走れるのはいいが蕭何達と合流できるのか?」
「できますよ。気を探るコトができれば」
「お前そんなんできるのか?」
行者の誰何に韓信は首を横に振った。
「ははは。そんなんできるワケないじゃないですか。ここでそんな機能まで搭載したらオーバー
スペックにも程がありますよ。だから作者は自重しているのです。根来に山風忍法満載しすぎ
たのはやりすぎですよね。戦う相手がホムンクルス(忍法通じない)じゃなかったら厨キャラ
極まりないですよ。だから私は勘で蕭何どの達を探してます」
「……メタはやめろ。勘はもっともっとやめろ」
とにかくそんなこんなで地球を七周ばかりしたら運良く呂后に遭遇した。
というコトは別になかったので、韓信が思い出したように取りだした「六角形した楯のようなレー
ダー」の武……魔界衆の道具で呂后を探してワープした。え、移動できるのは100kgまで? 何それ?
「はーい! ダーリン元気ぃ~……ってなんか疲れてるようね。大丈夫?」
「うるさい! 誰のせいじゃ誰の!」
「……なんだよ。くそ。地球七周とか……ふ、普通……死ぬだろ常識的に考えて」
「大変でしたねー。途中でドロちゃんとか轢いた時は作品的にどうしようかと」
「ヘルメスドライブ使っておいてそれかよ…… ちなみにドロちゃんは五郎の冒険の萌えキャラ」
などという行者と韓信のやり取りを聞きながら、劉邦は一つ異変に気づいた。
彼は首を左右に振って辺りを見渡した。
誰もいない。そう、いるべきはずの。
「のう呂后。張良と蕭何はどこじゃ」
可憐な美少女はとびきりの笑顔で親指を立てた。
「日吉が食べたわ!!」
「げえっ!!」
劉邦は目を剥いた。そして憤怒の形相をしながら片足で地面を乱雑に叩いた。
「日吉って何じゃ! この期に及んでまた新キャラ投入か! そーいう収集つくかどうか分から
んコトは力量考えてやれよ!! ブレミュすら持て余しておるというのに!!」
「突っ込むのがそっちなんですね」
「ちなみに日吉というのは豊臣秀吉の幼名だ。彼が生まれる前に母親が腹に太陽入る夢を
見たとかで付けられた」
「んー、大丈夫! 新キャラだけどセリフは特に設定されてないから!」
「いやそれはそれでマズかろう……」
「うぇるかむとぅーでぃすくれいじたいっ! ぴー!」
親指と人差し指を丸くしたナントカとかいう笛で呂后は日吉を呼んだ。
カビが生えた餅のような塊はのそのそと呂后の前にはせ参じて劉邦らを見た。
見たというが彼(?)には目に該当する器官は特に散見できない。
ただ白い粘膜的な体表に申し訳程度の斑点がついているだけで、果たして前後左右がある
のかすら分からない原生的な生物だ。
「ちなみに宇宙船レッドシャークに出てきたアメーバみたいな生物が元ネタ。宇宙船に忍び込
んで乗組員を次々殺したんだ。これを倒す時の五百木の劇的決断は神だぜ」
すでに本部と化している行者をよそに、韓信は果敢にも日吉に斬りこんだ。
「でええええいっ。うわ剣がはじかれたというかなんかのそって私に寄ってきました」
そして韓信は日吉に巻きつかれて半分食われている状態になった。
「無駄無駄。こうやって張良も蕭何も死んだんだから」
「なるほど。物理攻撃は一切通じないようだなリサ」
行者はダブついた白い法衣を持て余しながら呂后を睨んだ。
「やーねぇジュン。やっと気づいたの? 私がリサだって」
「何故だ。何故この時代にきて呂后になっている」
「んー、本当はね、エジプトでバステト女神の加護を受けて不死身になって、辺鄙な南蛮あた
りで細々と女王やって、少女マンガなのに空気読まないギャングのサバイバルを延々と連載
するKYな素敵展開をやりたかったんだけど、バステト女神ったら他にそんな人を選んじゃった
のよ! ヒドい話ねぇ」
「クイーンフェニックスなんて読者の誰も知らないよ!」
「でね。私思うの。バステト女神っていったらあの漫画じゃない? だからあまり触れてるとあの
漫画ネタ禁止っていう真赤な(バキスレPart48の>>352の)誓いが破られちゃう」
「そこで中国……か?」
「なかなか理解が早い! そう。呂后なら別に殺して成り変ってもいいじゃない。いろいろアレ
な女だし。で、ついでに地球を監視するおじさまがたに無性生殖人間に改造して貰ったのよ!」
「無性生殖人間?」
劉邦の疑問に行者はさらりと答えた。
「マーズが元ネタでいろいろ出来る。体の再生速かったり髪飛ばしたり」
「良く分からんが道理で強い筈じゃ……え!? 本物の呂后死んでたのかい!!」
「そうよ!! あのブタのようなマナー知らずの女は死んだわ! ギョーザやったら死んだわ!」
「ありがとうありがとう!」
劉邦は泣いた。鼻水を垂らして泣いた。
「感謝には及ばないわよ劉邦! だって私はあなたを利用したり殺したりして歴史変えるから!」
「げえ!」
「だってさー、私とジュン君(行者)の住んでる未来はひどいのよ! 過去の人たちが怠けたせ
いで辺り一面、さ・ば・く! で、何か自動操縦の戦車とかが攻めてくるし食べ物は缶詰だし、
そのせいでバスタードは完結してないし。嫌なのよ!」
「違う」
行者は唇を戦慄かせた。
「違うんだリサ! ブログの日誌にも書いたけど、歴史を変えて未来を変えようなんていう考え
は間違っているんだ! ブログにも書いた既出の文章だけどみんなそれぞれの時代で一生懸
命生きて、彼らなりの幸福を探していたんだ!」
呂后は鼻白んだ。
「何ソレ? ジュン君だけいい子ぶろうっていうの? そんな作者ごときのブログから転載した
文章で」
「違う! ちゃんとこの場で考えながら打っている! コピペはしていない!」
「ふーん。まぁどっちでもいいけど、私はもう結構な力を得たワケよ? 呂后だって殺した。
もう元には戻れないのよ!」
「完全に元に戻れなくても、償っていくコトはできる! 過ちを正していく努力はできる!
例え未来が荒廃していたとしても、僕は……僕は!」
行者の目に光が灯った。
「僕の時代にいる人と未来を正す! その為に!!」
彼が光線銃を引き抜くや韓信を食べていた日吉にビームが命中し、
「ちょ、出番コレだけ!? 二年ぐらい温めてたネタなのにというかセリフあったあーれー!」
一切の後塵も残さず消滅させた。
「そんな。確かにレッドシャークでは原子分解銃で死んでいたから光線銃で死ぬのは無理じゃ
ないけど! 無理じゃないけど! 何この多分に巻きが入った速度の展開!」
「君を連れ戻す! キャラも整理する! 多いとストーリー展開に弾みがつかないっ!」
「なんという火力じゃ! なんという勢い任せのキャラ整理じゃ!」
「外道忍法帖のようなキャラ整理振りで助かりました」
韓信はとろとろしながらぼけーと笑った。
目を見開いたのは呂后だ。(本当はリサだけど呂后でいいや。エーデルも偽だけどエーデルだし)
だが彼女は首を振ってさまざまな動揺を振り払うと、行者に歩み寄って手を掴んだ。
「覚悟が……あるワケね」
「ああ」
だから帰ろう。
行者はそういいたかったのだと韓信が推測せざるを得なかったのは
「だが断る」
冷たい口調とともに行者のドテっ腹がブチ抜かれたからだ。
「馬……鹿な」
「だってさぁ」
行者の腹から手を引き抜くと、呂后は俯きながら呟いた。
「やっぱさ、今さら戻れないよジュン君。いろいろな意味で。それにまぁキャラ整理キャラ整理~」
「リ、リサ、お前……」
行者はかすれた声で叫んだ。
「ジョジョネタ使ってんじゃねーか!!!」
「だってー、さっき言った誓いなんて実はずっと忘れたしみんなもきっと忘れてたし。それはともかく」
行者が取り落とした銃を拾い上げ、呂后は韓信につきつけた。
「いい銃だな。少し借りるぞ。……なぁーんてねえ♪」
目をドロドロに濁らせてドス黒い表情で舌を突き出しながら(要するに藤田顔)で呂后はおどけた。
「なんというピンチじゃ。SSの体裁破綻的な意味での」
劉邦は汗を流した。
だがまだ草を生やしていないだけマシというものであろう。
「うるさい! 誰のせいじゃ誰の!」
「……なんだよ。くそ。地球七周とか……ふ、普通……死ぬだろ常識的に考えて」
「大変でしたねー。途中でドロちゃんとか轢いた時は作品的にどうしようかと」
「ヘルメスドライブ使っておいてそれかよ…… ちなみにドロちゃんは五郎の冒険の萌えキャラ」
などという行者と韓信のやり取りを聞きながら、劉邦は一つ異変に気づいた。
彼は首を左右に振って辺りを見渡した。
誰もいない。そう、いるべきはずの。
「のう呂后。張良と蕭何はどこじゃ」
可憐な美少女はとびきりの笑顔で親指を立てた。
「日吉が食べたわ!!」
「げえっ!!」
劉邦は目を剥いた。そして憤怒の形相をしながら片足で地面を乱雑に叩いた。
「日吉って何じゃ! この期に及んでまた新キャラ投入か! そーいう収集つくかどうか分から
んコトは力量考えてやれよ!! ブレミュすら持て余しておるというのに!!」
「突っ込むのがそっちなんですね」
「ちなみに日吉というのは豊臣秀吉の幼名だ。彼が生まれる前に母親が腹に太陽入る夢を
見たとかで付けられた」
「んー、大丈夫! 新キャラだけどセリフは特に設定されてないから!」
「いやそれはそれでマズかろう……」
「うぇるかむとぅーでぃすくれいじたいっ! ぴー!」
親指と人差し指を丸くしたナントカとかいう笛で呂后は日吉を呼んだ。
カビが生えた餅のような塊はのそのそと呂后の前にはせ参じて劉邦らを見た。
見たというが彼(?)には目に該当する器官は特に散見できない。
ただ白い粘膜的な体表に申し訳程度の斑点がついているだけで、果たして前後左右がある
のかすら分からない原生的な生物だ。
「ちなみに宇宙船レッドシャークに出てきたアメーバみたいな生物が元ネタ。宇宙船に忍び込
んで乗組員を次々殺したんだ。これを倒す時の五百木の劇的決断は神だぜ」
すでに本部と化している行者をよそに、韓信は果敢にも日吉に斬りこんだ。
「でええええいっ。うわ剣がはじかれたというかなんかのそって私に寄ってきました」
そして韓信は日吉に巻きつかれて半分食われている状態になった。
「無駄無駄。こうやって張良も蕭何も死んだんだから」
「なるほど。物理攻撃は一切通じないようだなリサ」
行者はダブついた白い法衣を持て余しながら呂后を睨んだ。
「やーねぇジュン。やっと気づいたの? 私がリサだって」
「何故だ。何故この時代にきて呂后になっている」
「んー、本当はね、エジプトでバステト女神の加護を受けて不死身になって、辺鄙な南蛮あた
りで細々と女王やって、少女マンガなのに空気読まないギャングのサバイバルを延々と連載
するKYな素敵展開をやりたかったんだけど、バステト女神ったら他にそんな人を選んじゃった
のよ! ヒドい話ねぇ」
「クイーンフェニックスなんて読者の誰も知らないよ!」
「でね。私思うの。バステト女神っていったらあの漫画じゃない? だからあまり触れてるとあの
漫画ネタ禁止っていう真赤な(バキスレPart48の>>352の)誓いが破られちゃう」
「そこで中国……か?」
「なかなか理解が早い! そう。呂后なら別に殺して成り変ってもいいじゃない。いろいろアレ
な女だし。で、ついでに地球を監視するおじさまがたに無性生殖人間に改造して貰ったのよ!」
「無性生殖人間?」
劉邦の疑問に行者はさらりと答えた。
「マーズが元ネタでいろいろ出来る。体の再生速かったり髪飛ばしたり」
「良く分からんが道理で強い筈じゃ……え!? 本物の呂后死んでたのかい!!」
「そうよ!! あのブタのようなマナー知らずの女は死んだわ! ギョーザやったら死んだわ!」
「ありがとうありがとう!」
劉邦は泣いた。鼻水を垂らして泣いた。
「感謝には及ばないわよ劉邦! だって私はあなたを利用したり殺したりして歴史変えるから!」
「げえ!」
「だってさー、私とジュン君(行者)の住んでる未来はひどいのよ! 過去の人たちが怠けたせ
いで辺り一面、さ・ば・く! で、何か自動操縦の戦車とかが攻めてくるし食べ物は缶詰だし、
そのせいでバスタードは完結してないし。嫌なのよ!」
「違う」
行者は唇を戦慄かせた。
「違うんだリサ! ブログの日誌にも書いたけど、歴史を変えて未来を変えようなんていう考え
は間違っているんだ! ブログにも書いた既出の文章だけどみんなそれぞれの時代で一生懸
命生きて、彼らなりの幸福を探していたんだ!」
呂后は鼻白んだ。
「何ソレ? ジュン君だけいい子ぶろうっていうの? そんな作者ごときのブログから転載した
文章で」
「違う! ちゃんとこの場で考えながら打っている! コピペはしていない!」
「ふーん。まぁどっちでもいいけど、私はもう結構な力を得たワケよ? 呂后だって殺した。
もう元には戻れないのよ!」
「完全に元に戻れなくても、償っていくコトはできる! 過ちを正していく努力はできる!
例え未来が荒廃していたとしても、僕は……僕は!」
行者の目に光が灯った。
「僕の時代にいる人と未来を正す! その為に!!」
彼が光線銃を引き抜くや韓信を食べていた日吉にビームが命中し、
「ちょ、出番コレだけ!? 二年ぐらい温めてたネタなのにというかセリフあったあーれー!」
一切の後塵も残さず消滅させた。
「そんな。確かにレッドシャークでは原子分解銃で死んでいたから光線銃で死ぬのは無理じゃ
ないけど! 無理じゃないけど! 何この多分に巻きが入った速度の展開!」
「君を連れ戻す! キャラも整理する! 多いとストーリー展開に弾みがつかないっ!」
「なんという火力じゃ! なんという勢い任せのキャラ整理じゃ!」
「外道忍法帖のようなキャラ整理振りで助かりました」
韓信はとろとろしながらぼけーと笑った。
目を見開いたのは呂后だ。(本当はリサだけど呂后でいいや。エーデルも偽だけどエーデルだし)
だが彼女は首を振ってさまざまな動揺を振り払うと、行者に歩み寄って手を掴んだ。
「覚悟が……あるワケね」
「ああ」
だから帰ろう。
行者はそういいたかったのだと韓信が推測せざるを得なかったのは
「だが断る」
冷たい口調とともに行者のドテっ腹がブチ抜かれたからだ。
「馬……鹿な」
「だってさぁ」
行者の腹から手を引き抜くと、呂后は俯きながら呟いた。
「やっぱさ、今さら戻れないよジュン君。いろいろな意味で。それにまぁキャラ整理キャラ整理~」
「リ、リサ、お前……」
行者はかすれた声で叫んだ。
「ジョジョネタ使ってんじゃねーか!!!」
「だってー、さっき言った誓いなんて実はずっと忘れたしみんなもきっと忘れてたし。それはともかく」
行者が取り落とした銃を拾い上げ、呂后は韓信につきつけた。
「いい銃だな。少し借りるぞ。……なぁーんてねえ♪」
目をドロドロに濁らせてドス黒い表情で舌を突き出しながら(要するに藤田顔)で呂后はおどけた。
「なんというピンチじゃ。SSの体裁破綻的な意味での」
劉邦は汗を流した。
だがまだ草を生やしていないだけマシというものであろう。