~メルビル・宿の一室~
「明日には出発だ、心残りのないようにしとけぇ。」
「・・・キャプテン、どう思います?」
コーヒーを飲みながら新聞に目を通すホークに、
豆を挽いて追加分を作りながらゲラ=ハが尋ねる。
「明日には出発だ、心残りのないようにしとけぇ。」
「・・・キャプテン、どう思います?」
コーヒーを飲みながら新聞に目を通すホークに、
豆を挽いて追加分を作りながらゲラ=ハが尋ねる。
「シンか、あいつ無駄にプライド高そうだからな・・・連携とれるかどうか。」
「連携・・・本当に仲間になってくれると?」
「連携・・・本当に仲間になってくれると?」
ゲラ=ハの言葉に反応して新聞を下ろすと、光が目蓋を直撃する。
眩しさで眼をパチパチさせながら、時計を確かめる。
「ん、それの心配か・・・そろそろベアが解決する頃だな。
それ挽き終わったら水筒に入れて、あと昼飯も携帯できる奴用意しとけ。」
眩しさで眼をパチパチさせながら、時計を確かめる。
「ん、それの心配か・・・そろそろベアが解決する頃だな。
それ挽き終わったら水筒に入れて、あと昼飯も携帯できる奴用意しとけ。」
用意しとけ、と言って気がついたがゲラ=ハに調理させる訳にもいかない。
コロコロ虫を入れられでもしたら精神的にキツイ。
手にしていた新聞を投げ捨て厨房を借りに行くべく部屋の外へ出る。
コロコロ虫を入れられでもしたら精神的にキツイ。
手にしていた新聞を投げ捨て厨房を借りに行くべく部屋の外へ出る。
ドアを開けっぱらい、外へ出ても近所の迷惑は無視して大声で部屋に届くよう伝える。
「それが終わったら近所のガキにでかい鎧着たオッサンと、
目つきの悪いにいちゃんが一緒になって外に出なかったか聞いてこい。
言っとくが飯に虫だの持ってくるなよ!気持ち悪ぃからな。」
「それが終わったら近所のガキにでかい鎧着たオッサンと、
目つきの悪いにいちゃんが一緒になって外に出なかったか聞いてこい。
言っとくが飯に虫だの持ってくるなよ!気持ち悪ぃからな。」
ホークの意図が分からず、ゲラ=ハも眼をパチパチと瞬きさせキョトンと立ち尽くしていた。
扉が急に開き、ホークが顔だけ覗かせる。
「ほら、豆!」
「・・・ハァ。」
扉が急に開き、ホークが顔だけ覗かせる。
「ほら、豆!」
「・・・ハァ。」
今度はドアを閉めてから部屋を出る。
廊下を歩く音が階段を降りる音に切り替わる。
数十分もすると、やけに楽しそうなホークが戻ってきた。
廊下を歩く音が階段を降りる音に切り替わる。
数十分もすると、やけに楽しそうなホークが戻ってきた。
~メルビル付近の岩場~
崖の上からガラガラと小石が転がり落ちる。
普段、寂しくヒュウヒュウと吹き荒ぶ冷たい風。
それも今日は熱風とかしていた、二人の闘気を運んで。
崖の上からガラガラと小石が転がり落ちる。
普段、寂しくヒュウヒュウと吹き荒ぶ冷たい風。
それも今日は熱風とかしていた、二人の闘気を運んで。
「前も一度よぉ、この辺でケンとやり合ったんだが・・・。」
「御託はいい、一つ言っておくのは試されるのはお前だという事だけだ。」
「フッ、へへへ・・・ムカツク野郎だ!」
「御託はいい、一つ言っておくのは試されるのはお前だという事だけだ。」
「フッ、へへへ・・・ムカツク野郎だ!」
剣を抜かず、怒号と共に丹田へと力を注ぐ。
獣の様に荒々しい息使いになると共に、筋力が大幅に増強される。
ベルセルク、アバロン帝国には技術を伝え続けるべく技を記録する習慣がある。
だが、この技は資質ある者にしか身につかない為、記録することの出来ない幻の体術となっている。
乱暴に剣を抜き取ると構えも何もなく、剣を相手へ向けて立つ。
獣の様に荒々しい息使いになると共に、筋力が大幅に増強される。
ベルセルク、アバロン帝国には技術を伝え続けるべく技を記録する習慣がある。
だが、この技は資質ある者にしか身につかない為、記録することの出来ない幻の体術となっている。
乱暴に剣を抜き取ると構えも何もなく、剣を相手へ向けて立つ。
「獣の力を身に宿す闘法か、だが貴様如きでは獣どころか畜生にもなれぬ!大鷲の獲物となるのが関の山よぉ!」
「何が鷲だ!爪だろうがクチバシだろうがへし折ってやる!」
「何が鷲だ!爪だろうがクチバシだろうがへし折ってやる!」
ベアの剣が音の速度を超え、生じる真空波がシンを襲う。
だが正統派な剣術を用いるベアの剣は軌道の変化が乏しい。
まして音速で振り抜く最中に変化は取り入れられない。
瞬時に見切って回避するが、予想を上回る剣技がシンの頬を掠める。
だが正統派な剣術を用いるベアの剣は軌道の変化が乏しい。
まして音速で振り抜く最中に変化は取り入れられない。
瞬時に見切って回避するが、予想を上回る剣技がシンの頬を掠める。
「ぬうっ!」
「もう一丁!」
「もう一丁!」
続けて放たれる音速の剣、これをジャンプしてかわしベアの懐へと入る。
それを迎撃すべく再度剣を振る。
それを迎撃すべく再度剣を振る。
「空中なら身動きとれまい!」
「バカめ・・・貴様の常識で、この俺を謀れると思うな!」
「バカめ・・・貴様の常識で、この俺を謀れると思うな!」
空中で身を翻す事で、滞空時間を若干伸ばす。
剣を振るタイミングが微妙にズラした所で刀身、フラーに蹴りを入れベアの体勢を崩す。
こうしなければベアの連撃は止まなかっただろう、剛力を持ちながら軽く扱いやすい片手剣を用いた戦法。
盾と相まって防御能力は非常に高いが、姿勢が崩れた今は存分に撃ちこめる。
着地と同時にベアの足下へ強烈な手刀を繰り出す。
この行為に何の意味があるのか、シンが拳が抜いた瞬間に答えが出た。
剣を振るタイミングが微妙にズラした所で刀身、フラーに蹴りを入れベアの体勢を崩す。
こうしなければベアの連撃は止まなかっただろう、剛力を持ちながら軽く扱いやすい片手剣を用いた戦法。
盾と相まって防御能力は非常に高いが、姿勢が崩れた今は存分に撃ちこめる。
着地と同時にベアの足下へ強烈な手刀を繰り出す。
この行為に何の意味があるのか、シンが拳が抜いた瞬間に答えが出た。
「なにぃっ!?」
「南斗雷震掌!」
「南斗雷震掌!」
龍脈、大地に流れる氣の流れを己の闘気でコントロールし地面から放出する奥義。
電流が体中を駆け巡るかのような衝撃を受け、重い鎧ごと宙へ飛ばされる。
ベアへ向かって飛びあがると、渾身の力で右脚を撃ち出す。
電流が体中を駆け巡るかのような衝撃を受け、重い鎧ごと宙へ飛ばされる。
ベアへ向かって飛びあがると、渾身の力で右脚を撃ち出す。
「終わりにしてやる、南斗獄屠拳!」
「だありゃあ!」
「だありゃあ!」
超重量の鎧を身につけているとは思えない身のこなしでソバットを繰り出す。
だがベアにとっての体術とは、剣と応用して使う事を目的として身につけた程度。
生涯を素手による闘法に捧げたシンに敵う筈もなく、空中で更に吹き飛ばされる。
だがベアにとっての体術とは、剣と応用して使う事を目的として身につけた程度。
生涯を素手による闘法に捧げたシンに敵う筈もなく、空中で更に吹き飛ばされる。
「ぐぅおおっ!」
叫び声を上げながら地面を転がる、だがシンは追撃することはしなかった。
「魔物になら通じるかもしれんが、相手が悪かったな・・・防御に関してはまぁまぁ出来る様だ。」
叫び声を上げながら地面を転がる、だがシンは追撃することはしなかった。
「魔物になら通じるかもしれんが、相手が悪かったな・・・防御に関してはまぁまぁ出来る様だ。」
チッ、と舌打ちするとムックリと起き上がり息切れ一つ起こさず剣を構える。
「アンタこそ、鷲を自称するだけあっていい眼だな。だが拳はケンに比べりゃまだまだ・・・。」
「ほざくな、貴様の様な雑魚に本気を出す必要がなかっただけの事。」
「アンタこそ、鷲を自称するだけあっていい眼だな。だが拳はケンに比べりゃまだまだ・・・。」
「ほざくな、貴様の様な雑魚に本気を出す必要がなかっただけの事。」
お互い口元を引きつらせ、ニヤニヤと笑っている。
「「ハアッ!」」掛け声と同時に双雄、共に駆け出した。
「「ハアッ!」」掛け声と同時に双雄、共に駆け出した。
コポコポと音を立てながら、ぬるいコーヒーがカップに注がれる。
海鮮類や肉をレタスと組み合わせたサンドイッチにかじり付きながら崖の下を覗き込む。
「いい闘いしてんなあいつ等・・・俺はシンに100金賭けるぜ。」
「私はベアに200金ですね、でも止めなくていいんですか?」
「賭けてから言うんじゃねぇよ、ほれシンが攻めだしたぞ。」
海鮮類や肉をレタスと組み合わせたサンドイッチにかじり付きながら崖の下を覗き込む。
「いい闘いしてんなあいつ等・・・俺はシンに100金賭けるぜ。」
「私はベアに200金ですね、でも止めなくていいんですか?」
「賭けてから言うんじゃねぇよ、ほれシンが攻めだしたぞ。」
ホークが食事中なので、ゲラ=ハも気を使って同じようにサンドイッチをかじっている。
座り込んでくつろぎながら闘いを観戦する二人。
その時、突然スウッと物音一つ立てず影が後ろから延びてくる。
飛びのいて影の方向を振り向くと、見慣れた男が立っていた。
「なんだ・・・ケンか、驚かすんじゃねぇよ。」
「賭け試合か、俺も乗ろう。シンに500金」
「おいおい、俺と被ってるぜ。じゃあ大穴狙いで相打ちに300金だ。」
「レートはどうなりますかね?」
「シンとの付き合いは長い、ベアとも一度やりあった俺が決めよう。
有利なのはシンだな、剣を相手にするなど俺達には日常のことだった。
ベアも素手の魔物なら相手にした事があるだろうが、素手の人間との経験は少ないだろう。」
座り込んでくつろぎながら闘いを観戦する二人。
その時、突然スウッと物音一つ立てず影が後ろから延びてくる。
飛びのいて影の方向を振り向くと、見慣れた男が立っていた。
「なんだ・・・ケンか、驚かすんじゃねぇよ。」
「賭け試合か、俺も乗ろう。シンに500金」
「おいおい、俺と被ってるぜ。じゃあ大穴狙いで相打ちに300金だ。」
「レートはどうなりますかね?」
「シンとの付き合いは長い、ベアとも一度やりあった俺が決めよう。
有利なのはシンだな、剣を相手にするなど俺達には日常のことだった。
ベアも素手の魔物なら相手にした事があるだろうが、素手の人間との経験は少ないだろう。」
盛り上がる3人だったが、騒ぎ過ぎたのか下に居るベア達に声が届いた。
崖を見上げるベアとシン、お互いに視線を合わせると無言で頷いて構えを取った。
「南斗雷振掌!」
「空圧波!」
崖を見上げるベアとシン、お互いに視線を合わせると無言で頷いて構えを取った。
「南斗雷振掌!」
「空圧波!」
今回の相手は崖だった、先程と同じように龍脈を操る。
空圧波が崖を振動させ、ホーク達の体制を崩す。
空圧波が崖を振動させ、ホーク達の体制を崩す。
危険を察知して飛び退くケンシロウだったが、ホークが足を掴んで阻止する。
「はっ、離せっ!」「バカ・・・そのまま飛べっ!」
シンの一撃によって崖が崩壊すると、絶叫しながら岩の下敷きになる。
その残骸から白目をむいた3人を引きずりだすと、その間抜けな光景を前にベアとシンは大声で笑っていた。
「はっ、離せっ!」「バカ・・・そのまま飛べっ!」
シンの一撃によって崖が崩壊すると、絶叫しながら岩の下敷きになる。
その残骸から白目をむいた3人を引きずりだすと、その間抜けな光景を前にベアとシンは大声で笑っていた。