「へ、不良にゃ、酷なシーンだな」
「全くだ。砂漠なのに雨が降りやがる」
「……ふう、僕らの仕事もこれまでのようだね。ああ、なんだか日本が恋しくなってきたよ」
「……帰るか、クロマティー高校に」
「おう、そうだな」
「……お兄ちゃん達行っちゃうの?」
「うん、名残は惜しいけど、もうそろそろ帰らなきゃ」
「行かないでって言ったら?」
「君、そういう訳にも……」
「主君の命令でも?」
「全くだ。砂漠なのに雨が降りやがる」
「……ふう、僕らの仕事もこれまでのようだね。ああ、なんだか日本が恋しくなってきたよ」
「……帰るか、クロマティー高校に」
「おう、そうだな」
「……お兄ちゃん達行っちゃうの?」
「うん、名残は惜しいけど、もうそろそろ帰らなきゃ」
「行かないでって言ったら?」
「君、そういう訳にも……」
「主君の命令でも?」
「…………………………」
「……嬢ちゃん。サムライごっこはもうお終いなんだよ」
「……林田君」
「何だよ、神山、文句あるのかよ。元はと言えば、ただの暇つぶしだったじゃねえか。
俺はもう疲れちまったぞ」
「林田の言う通りだ。我らとていつまでもサムライごっこを続けるわけにもいくまい」
「……そうですね、北斗さん」
「まあ、俺らみたいな不良にサムライは荷が重過ぎたってことだな」
「フ、ちげえねえ、肩がこっていけねえや」
「……………………(@フレディー)」
「……林田君」
「何だよ、神山、文句あるのかよ。元はと言えば、ただの暇つぶしだったじゃねえか。
俺はもう疲れちまったぞ」
「林田の言う通りだ。我らとていつまでもサムライごっこを続けるわけにもいくまい」
「……そうですね、北斗さん」
「まあ、俺らみたいな不良にサムライは荷が重過ぎたってことだな」
「フ、ちげえねえ、肩がこっていけねえや」
「……………………(@フレディー)」
「でも、楽しかったぜ、お殿様」
「全く、みんな意地っ張りなんだから……」
「グスン、ごめんなさい、わがまま言って困らせて。でも、最後に一度だけ、お願い。
皆に是非見て欲しいものがあるの!」
「見て欲しいもの?」
「来て!」
「全く、みんな意地っ張りなんだから……」
「グスン、ごめんなさい、わがまま言って困らせて。でも、最後に一度だけ、お願い。
皆に是非見て欲しいものがあるの!」
「見て欲しいもの?」
「来て!」
~オアシス~
「へえ、これがオアシスかあ」
「戦ってばかりで見る暇が無かったけど、随分綺麗なところだね」
「うむ、これなら命がけで守った甲斐があったというものだ」
「来て、こっちよ」
「お……」
「へへ、綺麗でしょ。これがおじいちゃんの桜よ」
「ほお、これは凄い」
「確かに……」
「たまげたぜ。砂漠でこんな見事な桜を拝めるとは思わなかったな」
「まだ一本しか花開いてないけどね。でも、ほら、他の木にも蕾が膨らみ
はじめているのよ」
「へえ、本当だ……ん?」
「どうした、神山?」
「これは……桜じゃないね」
「え、まさか!どう見たって桜そのものじゃねえか」
「いや、確かに花はそっくりなんだけど、これは桜じゃなくてアーモンドの木だよ」
「アーモンド?チョコレートとかに入っているあれか?」
「うん、桜より乾燥に強い樹だから、砂漠でも育つらしいんだけど……」
「へへへ、ばれちゃった?その通り、これはアーモンドの花よ」
「へえ、こんなに似ているのに違う花なのか……」
「実はね、おじいちゃんは最後はぼけちゃってて、桜の木のつもりで
アーモンドの木を植えていたの。それで私もつい桜って……」
「そうだったのか……」
「おかしいよね。幾ら似ているからと言ってもアーモンドはあくまでアーモンドで
桜なんかにはなれないのに……ねえ、がっかりした?」
「まさか。そんなことねえさ。確かに砂漠じゃ桜は咲かないのかもしれんが、
綺麗な花であることに変わりはねえ」
「その通り、どっちだっていいじゃないか」
「へへへ、私ね、ここの花が満開になったら皆でお花見するつもりなの。
その時はお兄ちゃん達も見に来てよね」
「ああ、必ず来させてもらうよ」
「本当!きっとよ!」
「へえ、これがオアシスかあ」
「戦ってばかりで見る暇が無かったけど、随分綺麗なところだね」
「うむ、これなら命がけで守った甲斐があったというものだ」
「来て、こっちよ」
「お……」
「へへ、綺麗でしょ。これがおじいちゃんの桜よ」
「ほお、これは凄い」
「確かに……」
「たまげたぜ。砂漠でこんな見事な桜を拝めるとは思わなかったな」
「まだ一本しか花開いてないけどね。でも、ほら、他の木にも蕾が膨らみ
はじめているのよ」
「へえ、本当だ……ん?」
「どうした、神山?」
「これは……桜じゃないね」
「え、まさか!どう見たって桜そのものじゃねえか」
「いや、確かに花はそっくりなんだけど、これは桜じゃなくてアーモンドの木だよ」
「アーモンド?チョコレートとかに入っているあれか?」
「うん、桜より乾燥に強い樹だから、砂漠でも育つらしいんだけど……」
「へへへ、ばれちゃった?その通り、これはアーモンドの花よ」
「へえ、こんなに似ているのに違う花なのか……」
「実はね、おじいちゃんは最後はぼけちゃってて、桜の木のつもりで
アーモンドの木を植えていたの。それで私もつい桜って……」
「そうだったのか……」
「おかしいよね。幾ら似ているからと言ってもアーモンドはあくまでアーモンドで
桜なんかにはなれないのに……ねえ、がっかりした?」
「まさか。そんなことねえさ。確かに砂漠じゃ桜は咲かないのかもしれんが、
綺麗な花であることに変わりはねえ」
「その通り、どっちだっていいじゃないか」
「へへへ、私ね、ここの花が満開になったら皆でお花見するつもりなの。
その時はお兄ちゃん達も見に来てよね」
「ああ、必ず来させてもらうよ」
「本当!きっとよ!」
「……神山、そろそろ飛行機の時間だぜ。行かなきゃ」
「……あ、そうだ、忘れていた。私、こんなにお世話になったのに
まだ自己紹介もしてなかった」
「あ、名前ならもう知っているぜ」
「え?」
「なあ、神山」
「ああ、そうだね」
「そっか……じゃあ、お兄ちゃん達これでさよならだね」
「……うん」
「あばよ、姫様」
「……お兄ちゃん達、忘れないでね。ここ砂漠でも日本と同じ花が
咲くってことを」
「ああ、忘れないよ。じゃあね、サクラちゃん!!」
「……あ、そうだ、忘れていた。私、こんなにお世話になったのに
まだ自己紹介もしてなかった」
「あ、名前ならもう知っているぜ」
「え?」
「なあ、神山」
「ああ、そうだね」
「そっか……じゃあ、お兄ちゃん達これでさよならだね」
「……うん」
「あばよ、姫様」
「……お兄ちゃん達、忘れないでね。ここ砂漠でも日本と同じ花が
咲くってことを」
「ああ、忘れないよ。じゃあね、サクラちゃん!!」
~飛行機内~
前略、おふくろ様。こうして僕らの修学旅行は終わりました。
クロマティー高校にふさわしく波乱万丈な旅行でしたが、
僕らはかけがえのない何かを得たように思います。辺境の地に
根付いたあの一輪の花はこれからも砂漠で美しく咲き続ける
ことでしょう。まあ、そんなことはともかく……………ここ、何処?
前略、おふくろ様。こうして僕らの修学旅行は終わりました。
クロマティー高校にふさわしく波乱万丈な旅行でしたが、
僕らはかけがえのない何かを得たように思います。辺境の地に
根付いたあの一輪の花はこれからも砂漠で美しく咲き続ける
ことでしょう。まあ、そんなことはともかく……………ここ、何処?
「お~い、神山、何やってんだよ。飛行機はもうとっくのとうに到着しているんだぞ」
「あ、林田君。今、手紙を書いていたところなんだ」
「何だ、またかよ。本当に手紙書くのが好きな奴だな」
「いや、まあ、そういう訳でもないんだけど」
「ほら、ようやく日本に着いたんだから、さっさと帰ろうぜ」
「……うん……そうだね」
「いや~、久しぶりの故郷は空気が違うぜ。やっほ~」
「……ねえ、時に林田君。ここって本当に日本なのかな?」
「何言ってんだよ、神山。日本行きの飛行機に乗ったんだから、
日本に到着しているに決まっているだろ」
「まあ、それはそうなんだけどさ、だったら何で辺り一帯に砂と岩しか
見あたらないの?」
「……そういえばしばらく見ない間に随分と荒れ果てたものだな」
「いや、荒れると言っても限度ってものがあるでしょ。それに眼下に広がる
あの巨大なクレーターは一体、何?」
「クレーター?あのでっけえ穴ぼこのことか?」
「うん、東京にあんなものはなかったはずだよ」
「ふ~ん、じゃあここ伊豆?」
「……伊豆だったらクレーターがありそうという君の発想が全く分からないのだが」
「ああ、ああ、皆まで言うな。つまりお前はこう言いたいわけだ。『伊豆に空港は
無いよ、林田君』と」
「いや、違う。僕が言いたいのはここが一体、何処なのかってことだよ。
周囲には空港どころか、ビル一つだって見えないじゃない」
「お前も相変わらず心配性だな。あまり細かいことを気にするなよ。ほら、
空を見てみろ。青いお月様が浮かんでいるぞ。なんとも粋なものじゃねえか」
「……………………」
「ああ、故郷から見る満月は格別だなあ。心なしかいつもよりでかく見えるぐらいだ」
「……林田君、お楽しみのところを悪いんだけど」
「うん、何?」
「僕にはあれが月でなく、地球にしか見えないのだが」
「言われてみれば確かに……じゃあ、ここ海外?」
「……………………」
「あ、林田君。今、手紙を書いていたところなんだ」
「何だ、またかよ。本当に手紙書くのが好きな奴だな」
「いや、まあ、そういう訳でもないんだけど」
「ほら、ようやく日本に着いたんだから、さっさと帰ろうぜ」
「……うん……そうだね」
「いや~、久しぶりの故郷は空気が違うぜ。やっほ~」
「……ねえ、時に林田君。ここって本当に日本なのかな?」
「何言ってんだよ、神山。日本行きの飛行機に乗ったんだから、
日本に到着しているに決まっているだろ」
「まあ、それはそうなんだけどさ、だったら何で辺り一帯に砂と岩しか
見あたらないの?」
「……そういえばしばらく見ない間に随分と荒れ果てたものだな」
「いや、荒れると言っても限度ってものがあるでしょ。それに眼下に広がる
あの巨大なクレーターは一体、何?」
「クレーター?あのでっけえ穴ぼこのことか?」
「うん、東京にあんなものはなかったはずだよ」
「ふ~ん、じゃあここ伊豆?」
「……伊豆だったらクレーターがありそうという君の発想が全く分からないのだが」
「ああ、ああ、皆まで言うな。つまりお前はこう言いたいわけだ。『伊豆に空港は
無いよ、林田君』と」
「いや、違う。僕が言いたいのはここが一体、何処なのかってことだよ。
周囲には空港どころか、ビル一つだって見えないじゃない」
「お前も相変わらず心配性だな。あまり細かいことを気にするなよ。ほら、
空を見てみろ。青いお月様が浮かんでいるぞ。なんとも粋なものじゃねえか」
「……………………」
「ああ、故郷から見る満月は格別だなあ。心なしかいつもよりでかく見えるぐらいだ」
「……林田君、お楽しみのところを悪いんだけど」
「うん、何?」
「僕にはあれが月でなく、地球にしか見えないのだが」
「言われてみれば確かに……じゃあ、ここ海外?」
「……………………」
追伸:おふくろ様、日本に帰るのは当分先になりそうです。
おしまい