七人?のクロ校
前略、おふくろ様。僕がクロマティー高校に入学して、早いもので一年以上の
月日が流れました。初めのうちはどうなることかと思いましたが、今では友人も
出来、楽しい高校生活を満喫させてもらってます。まあ、そんなこんなで僕達は
今回、待望の修学旅行に臨んでいる訳なんですが……………ここ、何処?
月日が流れました。初めのうちはどうなることかと思いましたが、今では友人も
出来、楽しい高校生活を満喫させてもらってます。まあ、そんなこんなで僕達は
今回、待望の修学旅行に臨んでいる訳なんですが……………ここ、何処?
~新幹線内~
「お~い、神山。何やってんだよ、さっさと遊びにいこうぜ」
「あ、林田君。ちょっと待っててよ。今、手紙を書いていたところなんだ」
「は、手紙?……おいおい、何処まで糞真面目なんだよ、お前は」
「何だよ、悪い?」
「別に悪かないけどさ、手紙なんて何時でも書けるだろう。折角の修学旅行
なんだから、有名な大仏でも拝みにいこうぜ」
「大仏かあ。修学旅行の定番だよね」
「そうさ!ほら、そうと決まったら、早く行こうぜ」
「……うん……そうだね」
「おおう、ここからでも大仏が見えるぜ!でっけ~な~、やっほ~」
「…………………………」
「いや~、京都に来た甲斐があったってもんだ。あれ、どうした神山?」
「……ねえ、ときに林田君、アレって本当に大仏なのかな?」
「何、言ってんだよ。京都に来たんだからそうに決まっているじゃん」
「……あのさ、大仏の背後にピラミッドなんてあったけ?」
「は?知らねえよ、そんなこと。おい、それより見てみろよ!お釈迦様って
ロンゲだったんだな。奴がこんなにお洒落さんだとは今まで気付かなかったぜ」
「うん、僕も知らなかったよ、そんなこと」
「それになんかさ、獣っぽいっていうの?野生と神々しさのアンサンブルが
たまらないよな。『お前のことは全て知っている』的な瞳なんか思わず
痺れちまうぜ。やるな、大仏!」
「……林田君、大変お楽しみのところを悪いんだけど、」
「え、何?」
「僕にはあれは大仏でなくて、スフィンクスにしか見えないのだが」
「ん?……う~む、そう言われてみれば、確かに俺が覚えている大仏とは
少し違うな、色とか」
「いや、色どころの話じゃなくて。そもそも京都に来たのになんで辺り一面、
砂漠なの?絶対、おかしいよ」
「あれだ、枯山水って奴?」
「んな訳ないでしょ!京都の何処に地平線を見渡せる枯山水があるの。
いくらなんでも枯れ過ぎだよ!」
「ああ、分かったぜ。要約すれば、つまり、お前はこう言いたい訳だ。
『大仏は京都じゃなくて奈良だよ、林田君』と」
「いや、違うよ!僕はスフィンクスやら砂漠やらが国内の修学旅行先に
あるのがおかしいと言ってるんだ」
「でも、鹿とかいるぜ。奈良の名物なんだろ、こいつら。お、このでかいのは
人に馴れているみたいだぞ。よ~し、よしよし」
「林田君、それは鹿じゃなくてラクダだ。よく見てみなよ、角が生えて
いないでしょ」
「へえ~、じゃあ、この鹿ってメス?」
「……なんでそうなるかな」
「おい、お前ら、何をゴチャゴチャやっているんだ」
「あ、みんな」
「なにやら、揉めていたようだが」
「北斗君、ちょっと、聞いてよ。林田君たら、ここが京都か奈良だって
言い張るんだよ」
「……え、違うのか?だってあそこに五重の塔があるぞ」
「君もか!一体、どうやったらピラミッドが五重の塔に見えるの。しっかりしてよ」
「しかし、さっき黒装束の忍者が歩いているのを見たが」
「それは忍者じゃなくて、肌を見せないように、女性がそういう服装を
しているだけだよ。ついでに言えば、忍者は日光江戸村だ」
「ほお、なるほど……ということは、」
「ふう~、ようやく分かってくれたんだね」
「皆、『くノ一』ということなんだな」
「凄え!流石、日本一の古都ですね、北斗さん!」
「この人達は一体どう言ったら分かってくれるんだ……」
「お~い、神山。何やってんだよ、さっさと遊びにいこうぜ」
「あ、林田君。ちょっと待っててよ。今、手紙を書いていたところなんだ」
「は、手紙?……おいおい、何処まで糞真面目なんだよ、お前は」
「何だよ、悪い?」
「別に悪かないけどさ、手紙なんて何時でも書けるだろう。折角の修学旅行
なんだから、有名な大仏でも拝みにいこうぜ」
「大仏かあ。修学旅行の定番だよね」
「そうさ!ほら、そうと決まったら、早く行こうぜ」
「……うん……そうだね」
「おおう、ここからでも大仏が見えるぜ!でっけ~な~、やっほ~」
「…………………………」
「いや~、京都に来た甲斐があったってもんだ。あれ、どうした神山?」
「……ねえ、ときに林田君、アレって本当に大仏なのかな?」
「何、言ってんだよ。京都に来たんだからそうに決まっているじゃん」
「……あのさ、大仏の背後にピラミッドなんてあったけ?」
「は?知らねえよ、そんなこと。おい、それより見てみろよ!お釈迦様って
ロンゲだったんだな。奴がこんなにお洒落さんだとは今まで気付かなかったぜ」
「うん、僕も知らなかったよ、そんなこと」
「それになんかさ、獣っぽいっていうの?野生と神々しさのアンサンブルが
たまらないよな。『お前のことは全て知っている』的な瞳なんか思わず
痺れちまうぜ。やるな、大仏!」
「……林田君、大変お楽しみのところを悪いんだけど、」
「え、何?」
「僕にはあれは大仏でなくて、スフィンクスにしか見えないのだが」
「ん?……う~む、そう言われてみれば、確かに俺が覚えている大仏とは
少し違うな、色とか」
「いや、色どころの話じゃなくて。そもそも京都に来たのになんで辺り一面、
砂漠なの?絶対、おかしいよ」
「あれだ、枯山水って奴?」
「んな訳ないでしょ!京都の何処に地平線を見渡せる枯山水があるの。
いくらなんでも枯れ過ぎだよ!」
「ああ、分かったぜ。要約すれば、つまり、お前はこう言いたい訳だ。
『大仏は京都じゃなくて奈良だよ、林田君』と」
「いや、違うよ!僕はスフィンクスやら砂漠やらが国内の修学旅行先に
あるのがおかしいと言ってるんだ」
「でも、鹿とかいるぜ。奈良の名物なんだろ、こいつら。お、このでかいのは
人に馴れているみたいだぞ。よ~し、よしよし」
「林田君、それは鹿じゃなくてラクダだ。よく見てみなよ、角が生えて
いないでしょ」
「へえ~、じゃあ、この鹿ってメス?」
「……なんでそうなるかな」
「おい、お前ら、何をゴチャゴチャやっているんだ」
「あ、みんな」
「なにやら、揉めていたようだが」
「北斗君、ちょっと、聞いてよ。林田君たら、ここが京都か奈良だって
言い張るんだよ」
「……え、違うのか?だってあそこに五重の塔があるぞ」
「君もか!一体、どうやったらピラミッドが五重の塔に見えるの。しっかりしてよ」
「しかし、さっき黒装束の忍者が歩いているのを見たが」
「それは忍者じゃなくて、肌を見せないように、女性がそういう服装を
しているだけだよ。ついでに言えば、忍者は日光江戸村だ」
「ほお、なるほど……ということは、」
「ふう~、ようやく分かってくれたんだね」
「皆、『くノ一』ということなんだな」
「凄え!流石、日本一の古都ですね、北斗さん!」
「この人達は一体どう言ったら分かってくれるんだ……」
「おい、皆、ふざけるのはいい加減にして、ちょっと真面目に考えてみようぜ」
「!?」
「大体、俺達がここに辿り着くまでどの位時間がかかってんだよ。新幹線で
60時間だぞ。奈良にしろ京都にしろ、なんでこんなにかかるんだよ。
神山の言う通り、どう考えてもおかしいじゃねえか」
「………………………………………」
「……何で皆、黙っているんだ?」
「いや、あまりに陰が薄いから前田君は旅行に来ていないとばかり」
「酷いな、お前等……」
「まあ、この場にいない奴のことはさて置いて……、ちょっと俺、思ったんだ
けどさ、神山は少し神経質に過ぎないか?折角、旅行に来たんだしさ、もっと
楽しもうぜ。それじゃ京都の風情や町並みも台無しだろ」
「林田君、スフィンクスやらピラミッドの何処に京都の風情を感じろと言うんだい」
「神山、目を閉じてみろ。そうすればお前にも感じられるはずだ、京都の熱い
息吹を」
「林田君、熱いのは京都の息吹なんかじゃなく、ただの激しい紫外線だ。あ~あ、
見てよ、メカ沢君なんかさっそく壊れちゃったよ」
「メカ沢はいつだって故障中なんだから関係ないだろ。大体、お前の言う
『修学旅行先にスフィンクスがあるのはおかしい』なんてツッコミは『酢豚に
パイナップルが入っているのはおかしい』とブーたれてる中学生と一緒じゃねえか。
生言ってんじゃねえよ。このニセ優等生が」
「……林田君、今まで我慢していたけど、今日という今日は勘弁ならない」
「おう、言いたいことがあるなら言えよ」
「じゃあ、言わせてもらうけどね、酢豚のパイナップルは間違いなく美味しいよ!」
「なんだと、神山!」
「!?」
「大体、俺達がここに辿り着くまでどの位時間がかかってんだよ。新幹線で
60時間だぞ。奈良にしろ京都にしろ、なんでこんなにかかるんだよ。
神山の言う通り、どう考えてもおかしいじゃねえか」
「………………………………………」
「……何で皆、黙っているんだ?」
「いや、あまりに陰が薄いから前田君は旅行に来ていないとばかり」
「酷いな、お前等……」
「まあ、この場にいない奴のことはさて置いて……、ちょっと俺、思ったんだ
けどさ、神山は少し神経質に過ぎないか?折角、旅行に来たんだしさ、もっと
楽しもうぜ。それじゃ京都の風情や町並みも台無しだろ」
「林田君、スフィンクスやらピラミッドの何処に京都の風情を感じろと言うんだい」
「神山、目を閉じてみろ。そうすればお前にも感じられるはずだ、京都の熱い
息吹を」
「林田君、熱いのは京都の息吹なんかじゃなく、ただの激しい紫外線だ。あ~あ、
見てよ、メカ沢君なんかさっそく壊れちゃったよ」
「メカ沢はいつだって故障中なんだから関係ないだろ。大体、お前の言う
『修学旅行先にスフィンクスがあるのはおかしい』なんてツッコミは『酢豚に
パイナップルが入っているのはおかしい』とブーたれてる中学生と一緒じゃねえか。
生言ってんじゃねえよ。このニセ優等生が」
「……林田君、今まで我慢していたけど、今日という今日は勘弁ならない」
「おう、言いたいことがあるなら言えよ」
「じゃあ、言わせてもらうけどね、酢豚のパイナップルは間違いなく美味しいよ!」
「なんだと、神山!」