SS暫定まとめwiki~みんなでSSを作ろうぜ~バキスレ P2!~after 10 years~ 51-1


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―――時は西暦2017年。週刊少年ジャンプにおいて、ある意味伝説と化した一つの漫画があった。
其の名は<P2!>。21世紀最大のトンデモ卓球漫画とも称される名作にして問題作である。
世に卓球ブームを巻き起こし、アニメ化・実写映画化・カードゲーム化・ミュージカル化・その他ありとあらゆる
メディアミックスを行いながら、連載開始から足掛け11年。
ついに久瀬北と王華学園との、波乱に満ちた全国大会決勝戦が始まろうとしていた―――

「とうとうここまで来たな…」
大歓声の中、感慨深げに眼鏡の男―――久瀬北卓球部部長・遊部(あそべ)が呟いた。
ここは全国大会決勝の地、中学生で卓球を志す者ならば誰もが憧れる場所―――そう、聖地・甲子園である!
そしてグラウンドのド真ん中にどっしりと設置された、神々しさすら放つ一つの卓球台―――
それこそが両雄相まみえる、最終最後の決戦場なのだ!
「色々あったな…」
同じく感慨深げに言ったのは、遊部の盟友にして、卓球部副部長・川末(かわずえ)。
そう、本当に色々あった。ピンポン玉で人や物が吹っ飛ぶなど序の口、最終的にはラケットを振った風圧だけで地面が
抉れている始末だった。
「だが、ここではそんな心配はいらん。卓球の聖地・甲子園―――そこらの試合場とは頑丈さが違う。滅多なことでは
壊れはしないさ。気にせず存分にやればいい―――気にするのは、相手だけにしろ」
卓球部顧問・蒔絵(まきえ)は向い側に並ぶ王華学園の面々を見据えた。
「王華…!」
居並ぶ面々の中でも一際小柄な少年―――藍川ヒロムは闘志を漲らせていた。王華との因縁―――その全てに決着をつける
時がついに来たのだ。
「久瀬北か…やはり来たな!」
王華卓球部副部長・鰐淵(わにぶち)が厳めしい顔で睨みつけてくる。その身体からは、金色の光が溢れ出していた。
そんな彼を、部長・相馬(そうま)が宥める。
「ふ…落ち着け、鰐淵。オーラが漏れているぞ」
「む、すまん。こんなところで無駄にオーラを出して、体力を消耗させては元も子もないな…」


―――さて、P2!愛読者には今さら言うまでもないだろうが、一応オーラについて説明しておこう。
オーラ。それは県大会3回戦で初めて確認された現象であり、強力な卓球プレイヤーのみが生み出すことのできる神秘の
パワーにして、トッププロですら会得している者は10人にも満たないという、卓球プレイヤーの究極の境地である。
その割には全国だと基本的に全員オーラが出せるのだが、それについての質問は一切受け付けん!
「頑張れよ、藍川…それにみんな…!」
三塁側観客席(久瀬北の応援席)からヒロムたちに声援を送るのは、かつてはヒロムと反目していた男・前園である。
久瀬北の活躍を間近で見てきた彼は、今や久瀬北になくてはならない応援団長だ。え、乙女ちゃん?アキラ?お嬢?
ああ、そんな子たちもいたね。
関東大会入った辺りから女性キャラほぼ全員、全然出なくなったけど。その代わり美少年キャラは醗酵するくらい出てくる
ようになったけど。
まあとにかく前園は、今では「藍川たちの活躍をいつか漫画にしてやるぜ!」と意気込んでいる。後に釣船屋で額に汗して
働きながら漫画を描く彼の姿があったというが、定かではない。
それはともかく、ついに試合開始である。
まずはS(シングルス)1―――久瀬北は遊部!そして王華は一年生にしてレギュラーを勝ち取った柊十悟(とうご)!
事前の予想では、遊部の圧勝と見られていた。それもそのはず、十悟の卓球力は精々ピンポン玉でコンクリートを破壊する
程度―――数値に直すと130程度だが、遊部の卓球力は実に300(ショットの余波だけでクレーター)に達していた。
彼我の実力差は歴然―――事実、序盤は遊部が完全にゲームを支配していた。だがセットカウント2-1になったその時、
十悟の身に変化が起こった。
「遊部さん…悪いがサービスタイムは終わりだ。俺の本当の力を見せてやるぜ!」
「…!?な、何やて!?あれは…まさか、サタン化か!?」


―――さて、P2!愛読者には今さら言うまでもないだろうが、一応サタン化について説明しておこう。
サタン化。それは全身に漲るオーラを全て暴力的な方向に向けた、卓球の暗黒面の奥義である。県大会準決勝において、
日本に来た三人のチャイナの二人目がこれを使い、遊部を瀕死の状態にまで追い詰めたが、結局は己の力を制御しきれず
に、再起不能に追い込まれてしまった。
遊部の脳裏には、その時の悪夢のような光景がまざまざと蘇っていた。サタン化―――それは絶対に使ってはならない、
云わば禁断の扉の先の開かずの間のパンドラの箱に閉じ込められた、えーと、とにかくヤバいのである!
「あかん…!十悟くん!それだけはやめるんや!二度と卓球ができひん身体になってまうで!」
「うるせえええええぇぇぇ!!」
十悟はもはや聞く耳持たない。サタン化のもたらす力に、完全に心を奪われているのだ。見る見る内に、遊部の身体が血に
染まっていく。遊部もオーラで身を護るが、それではとても追いつかない。
「オラオラァ!そんなチンケなオーラで俺のサタン卓球術を破れるかよぉ!無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァッ!!」
「ぐうっ…しゃあないな。アレをやるしかないか!」
遊部は満身創痍の身体に気合を入れ、ラケットを握る手にオーラを注ぎ込む。
「ドーマンセーマン!その悪しき思い、清めるも陰陽の道!成仏せいやぁ!」
これぞ遊部の秘技・悪神殺し(サタン・スレイヤー)!ラケットに清浄なるオーラを込めて放つショットは、全てを癒し
清める―――そう、サタン化さえも例外ではない!
いや、むしろ遊部はサタン化の危険性を身をもって知っているからこそ、この技を編み出したのだ!
「あ…ああ…」
遊部のオーラを浴びた十悟から、ドス黒いサタンオーラが消えていく。そして、彼の中の悪しき心も―――
「どや…ええ気持ち…やろ…」
遊部はそう笑いながら―――その場に倒れ伏した。
悪神殺し―――それを使うためには、体内のオーラ全てを絞り出す必要がある。結果、遊部はもはや、立つことすらも
ままならなくなったのである。
「あ…遊部さん…あんた…大バカ野郎だ…!俺なんかのために…!うわぁぁぁーーーっ!」
十悟は泣いた。己の罪深さと、そして、そんな愚か者を救うために命を賭した漢のために―――

10分後。
「いやー、すまん。勝てんかったわ」
応急処置を終え、意識を取り戻した遊部は皆に詫びる。
「そんな。遊部さん以外が彼の相手をしていたら、命に関わっていたかもしれません」
ちなみに試合結果は、その後十悟が責任を感じて棄権を申し出たため、引き分けとなった。卓球に引き分けのルールが
あるのかどうか知らないが(多分ない)、とにかく引き分けである。
「S2は、僕に任せてください!」
力強く言い放ち、卓球台の前に立ったのは眞白(ましろ)―――天才の異名を持つ、白皙の美少年だ。
まあ、この漫画で天才なんて言われたところで今さら有難味はない。全国だけで天才と呼ばれる男は2ダースくらいいた。
けどまあ眞白、彼は天才である。天才だから強い。多分。
「お前か…眞白」
対するは王華副部長・鰐淵。二人は以前の練習試合で戦って以来の因縁の相手だ。
S2、眞白VS鰐淵―――始め!
「行くぞ!サイドワインダー最終進化系・・・バハムート!」
―――さて、P2!愛読者には今さら言うまでもないだろうが、一応サイドワインダーについて説明しておこう。
サイドワインダー。それは眞白の必殺技であり、玉が真横に跳ねるという、連載開始時は凄かったが今思えば実に普通な
技である。色々進化系もあるのだが、基本的にどう変わってるのかよく分からんという意見が2ちゃんでは大半だ。
ちなみに多用すると肘が壊れるという設定もあったが、そんなもん今は何処吹く風。肘?湿布貼れば治るよ。
しかし何でサイドワインダーの最終進化系が蛇とは無関係なバハムート(神話でのバハムートは魚である)なのか、
理解に苦しむところである。
とにかく眞白は必殺のバハムートをいきなり放った!大して鰐淵は―――
「成程…インパクトの瞬間に肘を20度右方向に回転させ、その0.1秒以内に逆に左方向に30度回転、そしてオーラ
を込めて打ち出す…実に理にかなったショットだ」
分かったような分からんような解説をしつつ、彼はかっと目を見開き、気合一閃、バハムートを打ち返す!
「だが、それが切り札というなら哀れだな!はああああ!覇神砲(ゴッド・ブラスター)・1cm口径!」
「な…うわああああ!」
ミサイルの如き破壊力でかっ飛んで来るピンポン玉。眞白はその直撃を受け、フェンスにめり込んだ。そのまま気絶
するかと思われたが、彼はフェンスから脱出し、よろよろと立ち上がった。


「ま…まさか…なんて威力だ…しかも…一段だと…?まだ上があるのか…!?」
「ほお…立ち上がったか。素晴らしい精神力だ…それに敬意を表し、最初に言っておこう…」
鰐淵は眞白に向けて、絶望的な宣告を行う―――!
「俺の覇神砲は、108cm口径まであるぞ」
それを聞き、誰もがざわめく。恐るべき威力の奥義・覇神砲―――それがまだ、ほんの入り口でしかなかったのだ!

―――その後の戦いは、まさに一方的な虐殺だった。
眞白も諦めずにバハムートを打ち続けるも、鰐淵には通用しない。大して鰐淵は、どんどん覇神砲の口径を上げていく。
もはや眞白は一撃ごとに観客席へと叩きつけられるサンドバッグ同然だ。
点差ももはや絶望的だった。セットカウント2-0。しかもあと一点取られればマッチポイントである。
「眞白…お前はよく戦った。もはや棄権したとて恥ではない。ここまでだ」
棄権を迫る鰐淵。だが―――
「ぐ…まだだ…」
だが―――眞白の目は、まだ死んでいない!
「まだ…こんなことで…」
「…死に急ぐか、眞白。いいだろう…ここまで口径を上げたのはお前が初めてだ!覇神砲・69cm口径!」
もはやそれは、ピンポン玉の威力を明らかに超えていた。一個兵器に匹敵すると言っても過言ではないだろう。
眞白は上空数十メートルまで打ち上げられながら、脳裏にこれまでの人生を浮かべていた。
最後に浮かんだのは、卓球部の仲間たちの笑顔だった。
(ごめん…みんな…僕は…ここまでだよ…)
そのまま、眞白は観客席に叩きつけられる―――かと思われた時、突如飛び出した巨大な影が、眞白を受け止めた!
「ふう…危なっかしくて、見てらんねえぜ」
それは、人間離れした巨体を誇る男だった。
「何諦めてんだ…眞白ちゃんよ」
「あ…あなたは…」
眞白はその男を見て驚愕を隠せない。何故ならば、その男は―――
「あなたは…超山崎(ちょうやまざき)さん!」

―――さて、P2!愛読者には(以下略)超山崎さんについて説明せねばならないだろう。
超山崎。その名の通り、地区大会準決勝の相手である秀鳳学園の副部長である大山崎とは従兄弟―――の親戚の叔父さんの
甥っ子の又従兄弟の叔母さんの祖父の孫の友達の隣の家に住むという、深い因縁を持つ男であり、P2!において、初めて
試合で相手を病院送りにした男である。
県大会決勝、S3で眞白と戦い、大山崎の2倍のパワー・体力・身長・体重を持って眞白を終始圧倒したが、最後の最後で
眞白が編み出した新技・ヨルムンガンドによって体育館の壁に激突、全治3ヶ月の重傷を負い集中治療室に運ばれた。
その彼が、何故ここに―――
「へ…決まってんだろ。てめえに気合を入れにだ。この俺様を倒しといて、あんな野郎に負けてんじゃねえよ!」
バン!と眞白の背を叩く超山崎さん。その荒々しくも、何よりも優しい激励に、眞白の眼に闘志が蘇った。
「ありがとう…超山崎さん…」
そして、ゆっくりと、だが、力強くグラウンドに向けて歩き出す!
「もう一度だけ…やってきます!」
「ああ…やってこい!骨は拾ってやらあ!」
観客席から降り立ち、再び卓球台へ向かう眞白。ボロボロに成り果て、それでもなお諦めぬその漢に、会場の誰もが静かに
拍手を送る。
「待たせたね…鰐淵さん」
「この卓球台に舞い戻ったことは誉めてやろう…だが、これで終わりだ!」
鰐淵は勝利を確信し、覇神砲・108cm口径を放つ!全てを砕く必殺の一撃を前に、不思議と眞白の心は穏やかだった。
そして、眞白はゆっくりとラケットを振る―――
(みんな…見ていてくれ…これが僕の最後のショット…)
それは風前の灯火なのか―――眞白のオーラがこれまでになく激しく光り輝いた!
「サイドワインダー・最終を超えた究極進化系―――八岐大蛇(ヤマタノオロチ)!」
鰐淵渾身の覇神砲・108cm口径すら吹き飛ばし、さらに原理は分からないが八つに分裂したピンポン玉が、鰐淵を襲う!
それはまさに―――八頭の大蛇(ヤマタノオロチ)!
「な、何い…ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!」
勝利を確信したが故に、鰐淵には油断が生じていた。彼は八岐大蛇をまともに喰らい、ラッキーゾーンへと放り込まれた。
白目を剥いて、ピクリとも動かない。完全に失神していた。


「し…勝者眞白!」
審判が勝鬨をあげる。プレイヤーが戦闘不能に陥った場合、それまでの得点に関係なくその場で敗北は決まってしまうのだ。
つまり勝ったのは―――眞白だ!
それと同時に、ヒロムを先頭として仲間たちが眞白に駆け寄った。
「やったな、眞白!」
「すごいで、ほんま!大金星や!」
「眞白くん!眞白…」
祝福の言葉を言おうとして、ヒロムは気付いた。眞白はもはや―――何も見えていない。何も聞こえていない。
彼は己の全てを使い果たし―――力尽きていた。その身体はゆっくりと、グラウンドに崩れ落ちていく―――
「眞白くん…?…眞白くーーーーーーーーーーーーん!」
ヒロムの悲痛な声が、甲子園の空にこだました―――!