第四話<そして、外れていく日常・3>
秀一は、時空管理局の万能戦闘母艦、ハガネの廊下を歩いていた。
向かう先は、館長室。オフィスと、自分の寝室を兼ねた部屋だ。
最近は、事件ばっかりでほとんど休めていないので、ちょっとの間、艦を部下に任せて休も
う、というわけだ。それと、部屋にあるコンピュータで、個人的な知り合いにも連絡をとる、
というのもある。
「…………頭が、痛い……」
徹夜のせいだろうか、と思いながら秀一は頭をぶんぶん振る。よけいに頭痛はひどくなった。
なんとか途中で倒れたりせずに部屋に到着する。冷蔵庫から冷たいミルクコーヒーの缶を取
り出し、パソコン台の前に置かれた椅子に座る。そして、コーヒーを飲み始めた。
その片手間にコンピュータの電源を入れ、異世界間通信用のソフトを立ち上げ、通信先のア
ドレスを入力した。
しばらくの間が空いて、それから通信が繋がる。コンピュータの画面に、その相手の顔が映
し出された。
『おっひさしぶりー!なにやってたのよ秀一!』
と、久しぶりに聞く、やかましい声が聞こえてきた。
「……いや、最近仕事が忙しくてな……ああ、本当に久しぶりだ、リナ=インバース」
向かう先は、館長室。オフィスと、自分の寝室を兼ねた部屋だ。
最近は、事件ばっかりでほとんど休めていないので、ちょっとの間、艦を部下に任せて休も
う、というわけだ。それと、部屋にあるコンピュータで、個人的な知り合いにも連絡をとる、
というのもある。
「…………頭が、痛い……」
徹夜のせいだろうか、と思いながら秀一は頭をぶんぶん振る。よけいに頭痛はひどくなった。
なんとか途中で倒れたりせずに部屋に到着する。冷蔵庫から冷たいミルクコーヒーの缶を取
り出し、パソコン台の前に置かれた椅子に座る。そして、コーヒーを飲み始めた。
その片手間にコンピュータの電源を入れ、異世界間通信用のソフトを立ち上げ、通信先のア
ドレスを入力した。
しばらくの間が空いて、それから通信が繋がる。コンピュータの画面に、その相手の顔が映
し出された。
『おっひさしぶりー!なにやってたのよ秀一!』
と、久しぶりに聞く、やかましい声が聞こえてきた。
「……いや、最近仕事が忙しくてな……ああ、本当に久しぶりだ、リナ=インバース」
リナ、と呼ばれた少女は、栗色の長い髪の、とにかく端正な顔をしている。ちょっと小柄な
体に、管理局の制服を着た、秀一の元同僚だ。
その、単純な破壊能力だけならSSS+ランク、総合戦闘能力はSS+に及ぶほどの圧倒的
な力を持っているとは思えないほどの満面の笑みで、リナは言った。
『いや~。そっちの方はどうもややっこしいことになってるみたいね……』
「……まぁ、な。戦力の補充はできそうだが、それでもまだ忙しいだろうな……管理局も、もっ
と人員を割いてくれればいいのだが」
『単純な物療作戦が「あいつら」に通用しないのはわかってるでしょ?』
「……まぁ、そうだが……それでも、物量がなければできることもできん」
と、秀一は飲み干したコーヒーを、背後にあるゴミ箱のに、見もせずに放り投げた。
小気味のいい音からすこし間を空けて、リナは言う。
『まぁ、今度私らもそっち手伝えそうだから、安心して大船に乗ったつもりでいなさい!』
「……ああ」
それをいうなら『泥舟』では?という突っ込みは言わない秀一であった。口はわざわいの元
である。
「……ゼルガディスやガウリィ、アメリアにもよろしく言っておいてくれ」
『はいはーい!』
と、リナの元気のいい声を最後に、通信は切れた。
秀一は、しばらく背もたれによりかかるようにして座っていたが、しゅばっと背筋を伸ばす
と、さっさとコンピュータの電源を落とし、そしてベッドにばたんきゅーした。
体に、管理局の制服を着た、秀一の元同僚だ。
その、単純な破壊能力だけならSSS+ランク、総合戦闘能力はSS+に及ぶほどの圧倒的
な力を持っているとは思えないほどの満面の笑みで、リナは言った。
『いや~。そっちの方はどうもややっこしいことになってるみたいね……』
「……まぁ、な。戦力の補充はできそうだが、それでもまだ忙しいだろうな……管理局も、もっ
と人員を割いてくれればいいのだが」
『単純な物療作戦が「あいつら」に通用しないのはわかってるでしょ?』
「……まぁ、そうだが……それでも、物量がなければできることもできん」
と、秀一は飲み干したコーヒーを、背後にあるゴミ箱のに、見もせずに放り投げた。
小気味のいい音からすこし間を空けて、リナは言う。
『まぁ、今度私らもそっち手伝えそうだから、安心して大船に乗ったつもりでいなさい!』
「……ああ」
それをいうなら『泥舟』では?という突っ込みは言わない秀一であった。口はわざわいの元
である。
「……ゼルガディスやガウリィ、アメリアにもよろしく言っておいてくれ」
『はいはーい!』
と、リナの元気のいい声を最後に、通信は切れた。
秀一は、しばらく背もたれによりかかるようにして座っていたが、しゅばっと背筋を伸ばす
と、さっさとコンピュータの電源を落とし、そしてベッドにばたんきゅーした。
哀川潤。
人類最強の請負人という愛称を持つ彼女は、その名に違わぬ圧倒的な力を所有している。
裏の世界に存在する、殺し名や呪い名なども、彼女に関わることを禁忌とするほどのもので、
とにかく彼女はどこまでも最強である。
人類最強の請負人という愛称を持つ彼女は、その名に違わぬ圧倒的な力を所有している。
裏の世界に存在する、殺し名や呪い名なども、彼女に関わることを禁忌とするほどのもので、
とにかく彼女はどこまでも最強である。
そんな彼女は、野比家にいた。
「いや、ドラえもん。いいかんじにぶっ壊されてんじゃねぇか」
「……大…夫…す(大丈夫です)」
「どこら辺が大丈夫なんだよ……」
と、シニカルに笑いながら、壊れたドラえもんの頭を開き、どこが損傷しているか、損傷の
具合はどんなもんかを見ている。
のび太が、潤に聞いた。
「あの、ドラえもん……直せますか?」
「うーん……ちょっち道具がねぇとさすがのあたしでも無理だな……多分ミニドラでも、これ
ほどの損傷を単体で直すのは無理だろうし……」
それを聞いたのび太たちの顔は、曇っていった。あの謎の敵に狙われているというのに、頼
みの綱であるドラえもんが使えないのは、かなり致命的だ。
「……大…夫…す(大丈夫です)」
「どこら辺が大丈夫なんだよ……」
と、シニカルに笑いながら、壊れたドラえもんの頭を開き、どこが損傷しているか、損傷の
具合はどんなもんかを見ている。
のび太が、潤に聞いた。
「あの、ドラえもん……直せますか?」
「うーん……ちょっち道具がねぇとさすがのあたしでも無理だな……多分ミニドラでも、これ
ほどの損傷を単体で直すのは無理だろうし……」
それを聞いたのび太たちの顔は、曇っていった。あの謎の敵に狙われているというのに、頼
みの綱であるドラえもんが使えないのは、かなり致命的だ。
「まったく、あいつは一体なんなんだよ!」
と悪態をついたのは、ジャイアンだった。眉間に皺をよせ、かなり怒っている様子である。
それに答えたのは、潤だった。その顔には、相変わらずシニカルな笑みが浮かんでいる。
「……あいつが何なのかはあたしにもわからないが……でも、どうにかできる奴らは知ってい
るぜ」
「本当ですか?」
と、静香。
「……ああ。あいつらが何者かはわからんが、それでも、何と関わりを持っているか、くらい
ならよくわかる。……なるほど、タイムパトロールが最近おかしな動きをしてると思ったら、
そういう事だったんだな……時空管理局関係じゃ、仕方が無いか」
「時空管理局?」
ととぼけた声を発するのは、スネ夫である。
「ああ、お前らは知らないのか……あー。説明するの面倒臭い。百聞は一見にしかず、だ。ちょっ
とついてきてもらうぜ。ドラえもんの修理もあそこならできるしな」
と、立ち上がりながら潤は、一〇〇キロ以上の重さを持つドラえもんを、軽く片手で担いで
そして笑いながら言う。
と悪態をついたのは、ジャイアンだった。眉間に皺をよせ、かなり怒っている様子である。
それに答えたのは、潤だった。その顔には、相変わらずシニカルな笑みが浮かんでいる。
「……あいつが何なのかはあたしにもわからないが……でも、どうにかできる奴らは知ってい
るぜ」
「本当ですか?」
と、静香。
「……ああ。あいつらが何者かはわからんが、それでも、何と関わりを持っているか、くらい
ならよくわかる。……なるほど、タイムパトロールが最近おかしな動きをしてると思ったら、
そういう事だったんだな……時空管理局関係じゃ、仕方が無いか」
「時空管理局?」
ととぼけた声を発するのは、スネ夫である。
「ああ、お前らは知らないのか……あー。説明するの面倒臭い。百聞は一見にしかず、だ。ちょっ
とついてきてもらうぜ。ドラえもんの修理もあそこならできるしな」
と、立ち上がりながら潤は、一〇〇キロ以上の重さを持つドラえもんを、軽く片手で担いで
そして笑いながら言う。
「さて、面白くなってきやがった────」
この、潤にとってのちょっとした気紛れで、大きく全世界の運命が変わったのは、まだ誰も
知らない。
知らない。
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