「ど・・・」
振り上げられた拳が、前もって警戒していたことでかろうじて反応できたクリリンの顔面数センチ横を、唸りを上げて通り過ぎる。
「わああぁっっ!!」
のみならず、その風圧のみでクリリンを数メートル後方に吹き飛ばした。
「ほう、取るに足りないパワーしか感じなかったが、よける一瞬パワーが随分と跳ね上がったな。パワー操作型、それも相当熟練しているようだ。
面白い」
「ヘ・・・ヘヘ・・・」
(界王拳習っといて良かったあ。危なく死んでたとこだぜまったく)
未来に来る際、クリリンは18号との修行と並行して、未来行きを辞退した天津飯から界王拳を習っていた。わずか半年の修行ではあるが、
ナメック星やそれ以降の修行で力をつけていたこともあって、始めから8倍まで可能となっている。しかしそれをもってしてなお、ガネットの攻撃は
紙一重でしか対応出来なかった。
(いきなりアレで行くしかないな。もう避けるのも難しいだろうし)
「次は本気で行く。今度も凌いで・・・」
と、そこまで言って、ガネットは目の前の小男が両手を頭の横に添えているのに気付いた。
「太陽拳!」
振り上げられた拳が、前もって警戒していたことでかろうじて反応できたクリリンの顔面数センチ横を、唸りを上げて通り過ぎる。
「わああぁっっ!!」
のみならず、その風圧のみでクリリンを数メートル後方に吹き飛ばした。
「ほう、取るに足りないパワーしか感じなかったが、よける一瞬パワーが随分と跳ね上がったな。パワー操作型、それも相当熟練しているようだ。
面白い」
「ヘ・・・ヘヘ・・・」
(界王拳習っといて良かったあ。危なく死んでたとこだぜまったく)
未来に来る際、クリリンは18号との修行と並行して、未来行きを辞退した天津飯から界王拳を習っていた。わずか半年の修行ではあるが、
ナメック星やそれ以降の修行で力をつけていたこともあって、始めから8倍まで可能となっている。しかしそれをもってしてなお、ガネットの攻撃は
紙一重でしか対応出来なかった。
(いきなりアレで行くしかないな。もう避けるのも難しいだろうし)
「次は本気で行く。今度も凌いで・・・」
と、そこまで言って、ガネットは目の前の小男が両手を頭の横に添えているのに気付いた。
「太陽拳!」
カッ
クリリンの掛け声と共に、まるで文字通りその場に太陽が生まれたかのような光が生まれ、ガネットの網膜を貫いた。
「ぐあっ!」
(今だ!)
咄嗟のことにうろたえたとは言え、他所の闘いの気を感じていた以上、気で自分を捉えることは出来るはず。即座にそう判断して、クリリンは気を
一度消して少し離れた位置にある岩の上まで後退すると、右手を突き上げた。
「ぐあっ!」
(今だ!)
咄嗟のことにうろたえたとは言え、他所の闘いの気を感じていた以上、気で自分を捉えることは出来るはず。即座にそう判断して、クリリンは気を
一度消して少し離れた位置にある岩の上まで後退すると、右手を突き上げた。
「はあああ~~~っ!」
その右手の上に、薄い円盤のような気の塊(かたまり)が浮かぶ。クリリンの得意技である気円斬だ。
「あああああ~~~っ!」
しかし充分な大きさになったにもかかわらず、クリリンはさらに気を込めた。それに合わせて円盤の大きさもどんどん大きくなっていく。
「ちいっ!そこか!」
眼を閉じたまま、膨れ上がったクリリンの気を捉えてガネットがそちらを向く。それを見ながら、クリリンは軽く笑った。
「気円斬・改!」
その声と共に、最早直径20メートルを超えるかという程に大きくなった気の円盤をクリリンが放った。
「何っ?!」
しかしいくら巨大な円盤とはいえ、気を捉えることの出来るガネットに易々と当てられるはずもない。案の定ガネットは自分に向かってくる円盤を
ジャンプしてかわした。
「つあっ!」
クリリンはすかさず放った右手の指を細かく動かし、円盤を反転させた。しかしそれで動きの速いガネットに当てられるわけもない。しかし-
「ばっ!!」
クリリンが突き出した右手を思い切り開くのと同時に、ガネットに迫る円盤が十数個の小さな円盤に分裂した。
「な?!」
その右手の上に、薄い円盤のような気の塊(かたまり)が浮かぶ。クリリンの得意技である気円斬だ。
「あああああ~~~っ!」
しかし充分な大きさになったにもかかわらず、クリリンはさらに気を込めた。それに合わせて円盤の大きさもどんどん大きくなっていく。
「ちいっ!そこか!」
眼を閉じたまま、膨れ上がったクリリンの気を捉えてガネットがそちらを向く。それを見ながら、クリリンは軽く笑った。
「気円斬・改!」
その声と共に、最早直径20メートルを超えるかという程に大きくなった気の円盤をクリリンが放った。
「何っ?!」
しかしいくら巨大な円盤とはいえ、気を捉えることの出来るガネットに易々と当てられるはずもない。案の定ガネットは自分に向かってくる円盤を
ジャンプしてかわした。
「つあっ!」
クリリンはすかさず放った右手の指を細かく動かし、円盤を反転させた。しかしそれで動きの速いガネットに当てられるわけもない。しかし-
「ばっ!!」
クリリンが突き出した右手を思い切り開くのと同時に、ガネットに迫る円盤が十数個の小さな円盤に分裂した。
「な?!」
ズドドドドドッ!
分裂した円盤が、さながら散弾銃の弾のようにガネットを襲う。1つの円盤のみに気を取られていたガネットに、これを避ける術はなかった。
「やった!」
思わず快哉(かいさい)の声を上げるクリリン。
しかし結果は彼の期待を裏切るものだった。
「ぐ、うう」
円盤はガネットを切断することは出来なかった。両腕で身体の前面をカバーし、なおかつ己をフルパワーの気で包むことで円盤の威力を削いだの
だろう。円盤は彼の両手と脚に半ばまで食い込んで止まっていた。
「はは・・・お見事・・・」
「この・・・チビがああああ~っ!!」
と、最早視力も回復したらしく憤怒の形相でクリリンを睨みつけるガネットが、次の瞬間クリリンの目の前に現れ、蹴りを放った。
「やった!」
思わず快哉(かいさい)の声を上げるクリリン。
しかし結果は彼の期待を裏切るものだった。
「ぐ、うう」
円盤はガネットを切断することは出来なかった。両腕で身体の前面をカバーし、なおかつ己をフルパワーの気で包むことで円盤の威力を削いだの
だろう。円盤は彼の両手と脚に半ばまで食い込んで止まっていた。
「はは・・・お見事・・・」
「この・・・チビがああああ~っ!!」
と、最早視力も回復したらしく憤怒の形相でクリリンを睨みつけるガネットが、次の瞬間クリリンの目の前に現れ、蹴りを放った。
「ぎゃっ!」
界王拳をもってしても反応できないスピードで繰り出された蹴りに、為す術もなく吹き飛ばされたクリリンになおもガネットの拳と脚が連続して襲う。
「まだまだあっ!」
界王拳をもってしても反応できないスピードで繰り出された蹴りに、為す術もなく吹き飛ばされたクリリンになおもガネットの拳と脚が連続して襲う。
「まだまだあっ!」
ベキィッ!
右腕の骨の折れる嫌な音と共にクリリンの身体が横に吹き飛んだ。そのまま岩に激突するが、何故か岩は砕けなかった。ガネットがわざと加減したのだ。
「そう簡単には殺さん。俺が受けた痛みの万倍も味わわせてやる」
怒りの表情に、拭いきれぬ残忍な喜悦をにじませながら、ガネットはかろうじて岩によりかかって立つクリリンにゆっくりと近付いていった。
しかしその顔がまたも怒り一色に染まる。もう対抗する力もないはずのチビが、あろうことかこの状況で笑っていたためである。
「へへ・・・」
「何がおかしい!」
怒りの声と共に、今度は左腕を折られて吹き飛び、倒れた所に両膝を落とされ、左右の脚の骨も折られる。それでもなおクリリンは笑みを消さなかった。
(ち・・・ちったぁ、時間稼ぎには・・・なったよな。悟飯、トランクス、後は・・・頼むぜ・・・・・・)
激痛に襲われながら、なおも笑みを浮かべるクリリンの意識が、やがて闇に塗り潰されて行った。
「そう簡単には殺さん。俺が受けた痛みの万倍も味わわせてやる」
怒りの表情に、拭いきれぬ残忍な喜悦をにじませながら、ガネットはかろうじて岩によりかかって立つクリリンにゆっくりと近付いていった。
しかしその顔がまたも怒り一色に染まる。もう対抗する力もないはずのチビが、あろうことかこの状況で笑っていたためである。
「へへ・・・」
「何がおかしい!」
怒りの声と共に、今度は左腕を折られて吹き飛び、倒れた所に両膝を落とされ、左右の脚の骨も折られる。それでもなおクリリンは笑みを消さなかった。
(ち・・・ちったぁ、時間稼ぎには・・・なったよな。悟飯、トランクス、後は・・・頼むぜ・・・・・・)
激痛に襲われながら、なおも笑みを浮かべるクリリンの意識が、やがて闇に塗り潰されて行った。
「クリリンさん!」
突然、弾かれたように悟飯の顔が右-クリリンの向かった方向-を向いた。目の前には、今は眼下に小さく見える「パル」と書かれた筒から出て来た
異星人が浮かんでいる。短い黒髪の完全な地球人タイプに近いが、指は3本しかなく耳が尖っている。背は低いが顔はいかつかった。
(気が、どんどん小さくなってる。このままじゃ・・・)
「何をよそ見している!」
と、悟飯の背後からパルの蹴りが襲った。防御する暇もなく地面へと叩きつけられる悟飯を、さらに空中からパルが放つ気弾の連射が襲う。
「そらそらそらそら~~~っ!この俺と闘おうなんざ、1000オプト早いんだよ!」
なおも気弾の連射を続けながら、しかしパルの顔が急に強張った。小規模な爆発に隠れた中心に感じられる気が、小さくなるどころか、どんどん
膨れ上がっていくのを感じたためである。
「こ・・・この!!」
焦ったパルはミスを犯した。思わず惑星破壊級の気を込めたエネルギー砲を放ってしまったのだ。しかし-
「バカヤローーッ!!」
爆煙から叫び声と共に放たれたエネルギー砲は、パルのそれを遥かに圧倒する威力で押し返し、更にはパル自身も光の中に呑み込みながら空の彼方へと
消えて行った。
突然、弾かれたように悟飯の顔が右-クリリンの向かった方向-を向いた。目の前には、今は眼下に小さく見える「パル」と書かれた筒から出て来た
異星人が浮かんでいる。短い黒髪の完全な地球人タイプに近いが、指は3本しかなく耳が尖っている。背は低いが顔はいかつかった。
(気が、どんどん小さくなってる。このままじゃ・・・)
「何をよそ見している!」
と、悟飯の背後からパルの蹴りが襲った。防御する暇もなく地面へと叩きつけられる悟飯を、さらに空中からパルが放つ気弾の連射が襲う。
「そらそらそらそら~~~っ!この俺と闘おうなんざ、1000オプト早いんだよ!」
なおも気弾の連射を続けながら、しかしパルの顔が急に強張った。小規模な爆発に隠れた中心に感じられる気が、小さくなるどころか、どんどん
膨れ上がっていくのを感じたためである。
「こ・・・この!!」
焦ったパルはミスを犯した。思わず惑星破壊級の気を込めたエネルギー砲を放ってしまったのだ。しかし-
「バカヤローーッ!!」
爆煙から叫び声と共に放たれたエネルギー砲は、パルのそれを遥かに圧倒する威力で押し返し、更にはパル自身も光の中に呑み込みながら空の彼方へと
消えて行った。
「クリリンさん・・・・・・くっ!」
トランクスもまた、クリリンの気が弱くなって行くのを感じていた。その足元には既に異星人が倒れている。
(間に合ってくれ!)
焦りの表情を浮かべて猛スピードで飛び立ったトランクスの身体が、突然急制動をかけて止まった。
「この気は・・・」
トランクスもまた、クリリンの気が弱くなって行くのを感じていた。その足元には既に異星人が倒れている。
(間に合ってくれ!)
焦りの表情を浮かべて猛スピードで飛び立ったトランクスの身体が、突然急制動をかけて止まった。
「この気は・・・」
死を覚悟し、一度はなくした意識が戻ったことにクリリンは驚いた。
(あれ?これは死んだ時の感覚じゃないよな)
戸惑うクリリンの耳に、聞き覚えのある懐かしい声がかけられた。
「危なかったなー、クリリン」
「え?」
かつて何度も修行の場や闘いの場で聞いた声。圧倒的な力を持つ敵を前にして、それでも自分のなけなしの勇気を支えた声。それは1年前に
もう聞けなくなったはずの声だった。
「ご・・・」
「いやあ、こっち来たらいきなりあっちこっちで闘ってて、しかもおめえの気がどんどん弱くなってたもんだから、びっくりしたぞ。あっち(過去)から
予備の仙豆もらってなかったら、瞬間移動でも間に合わなかったかも知れねえ」
「悟空!!」
跳ね起きて声の方を向いたクリリンの視線の先に、1年前と何ら変わらない笑みを浮かべた、懐かしい道着姿が立っていた。
「バ・・・バカヤロウ、こんなタイミングで、来るなんて・・・反則だろ」
「ハハ、オラもこんな具合にまた会えるとは思わなかったぞ」
それまで死を覚悟したところで、またも自分達と地球を救うべく来てくれたことと、懐かしさが混ざり合って、クリリンは思わず泣き出してしまいそうに
なるのを必死にこらえた。
本当に変わっていない。何らかの方法で死んだままの状態でこちらに来たのか、頭の上に小さな輪が浮かんでいるが、それ以外は口調も姿も
まるで変わらない。
過去幾度となく訪れた破滅的な危機を救った戦士は、舞台を未来と変えて再び訪れた危機を救うべく、時を越えてやって来たのだった。
(あれ?これは死んだ時の感覚じゃないよな)
戸惑うクリリンの耳に、聞き覚えのある懐かしい声がかけられた。
「危なかったなー、クリリン」
「え?」
かつて何度も修行の場や闘いの場で聞いた声。圧倒的な力を持つ敵を前にして、それでも自分のなけなしの勇気を支えた声。それは1年前に
もう聞けなくなったはずの声だった。
「ご・・・」
「いやあ、こっち来たらいきなりあっちこっちで闘ってて、しかもおめえの気がどんどん弱くなってたもんだから、びっくりしたぞ。あっち(過去)から
予備の仙豆もらってなかったら、瞬間移動でも間に合わなかったかも知れねえ」
「悟空!!」
跳ね起きて声の方を向いたクリリンの視線の先に、1年前と何ら変わらない笑みを浮かべた、懐かしい道着姿が立っていた。
「バ・・・バカヤロウ、こんなタイミングで、来るなんて・・・反則だろ」
「ハハ、オラもこんな具合にまた会えるとは思わなかったぞ」
それまで死を覚悟したところで、またも自分達と地球を救うべく来てくれたことと、懐かしさが混ざり合って、クリリンは思わず泣き出してしまいそうに
なるのを必死にこらえた。
本当に変わっていない。何らかの方法で死んだままの状態でこちらに来たのか、頭の上に小さな輪が浮かんでいるが、それ以外は口調も姿も
まるで変わらない。
過去幾度となく訪れた破滅的な危機を救った戦士は、舞台を未来と変えて再び訪れた危機を救うべく、時を越えてやって来たのだった。