SS暫定まとめwiki~みんなでSSを作ろうぜ~バキスレ 戦闘神話49-2


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part3.act2
ライトセーバー独特の脈動音を呻らせながらにじり寄る集団を見て、
アステリオンが誰に言うとでもなく。

「ダンテ、ケルベロスのダンテがな、あの映画大好きでな。
 シスの暗黒卿と戦ってみたい、なんて言ってたが…。
 まさかそんな日が来るとは思っても見なかった」

なるほど、赤黒く光る刀身はシスの暗黒卿のそれと瓜二つだ。
アステリオンが妙に乗り気なのもそのせいなのだろう。

「すまない、俺は見たことが無い。」

「残念ながら僕も」

偉大な先達二人の応えで、麒星はそれが軽口だと気が付いた。
実戦経験は乏しい麒星だ。ましてや対集団戦闘などは今回は初めてなのだ。

「なんだ、そうだったのか?アドニスは面白がってくれたんだが…。
 よかったら今度DVD貸すぞ」

ダンテの供養だと思ってEP3のワールドプレミア行ったのに、
というアステリオンの呟きを聞こえないフリをするくらいの余裕は、今の麒星にあるのだが。

「…いや、ニコルの手伝いをやったほうがよっぽど供養に成るのではないか?」

紫龍のほうはどう応えて良いのか分からず、つい、その呟きに反応を返した。
それを見て、瞬はくすりと笑う。

「紫龍ってそういうところ変わらないよね…。
 そういう時は素直に借りておくのが得だよ?」

冗談めかして瞬が言う。
こういう点では、瞬に紫龍は及ばない。
それが気に障ったわけでは無いだろうが、
制服の集団は統制の取れた動きで四人を囲んで走り出した。
完成した包囲網は、少しずつ狭められていく。
その動きで瞬と紫龍は気が付いた。
目配せは一瞬、それで事足りる。

突如として紫龍が天空に向けて廬山昇竜覇を放つ。
同時に、瞬が消えていた。
みれば遥か上空に緋色の星が流れているのがみえる。
瞬と紫龍は別働隊の存在を察知したのだ。
紫龍の目くらましに乗じて、瞬がその別働隊を叩く為動く。
目配せ一つでそこまでの段取りが組みあがるのが、歴戦の猛者の証である。
紫龍の昇竜覇に恐れをなしたかは分からないが、電子音、恐らくはそれが合図なのだろう、
を響かせて四人に向かって襲い掛かってきた。

「安い連中ですね」

三人一組で四組、総勢十二人が第一派。
ライトセーバーを呻らせて襲い掛かる。

「軽口を叩くな、麒星」

挑発に乗ったわけではないのだろう。紫龍は冷徹に彼らをみている、恐らくは足止めだ。
なぜ聖闘士の邪魔をするのか?考えられる理由として竜騒動が挙げられる、
彼らもまたこの騒動を感知していたのだろう。
聖域上層部のくだらない縄張り意識に付き合ってやるつもりは紫龍には毛頭ないが、
現実、こうして目の前に差し迫ってくると意識せざるを得ない。
協議の場を設け、協定なり何なりを組んだほうが余程建設的だ。
彼らもまたそう考えるのが自然だ。
抗争など、損害ばかり大きくて利益が少ないのだから。
こうして思考に耽溺している間にも、
ライトセーバーを構えた三人が紫龍に向かって襲い掛かってきている。
だが、紫龍とて光速の住人だ。
たかだか音速程度の攻撃、目をつぶっていても避けられるし、
彼らほどのレベルになれば普段肉体に纏っている小宇宙であっても白銀聖衣を凌駕する。
さしたるダメージにはならない。だからといって喰らってやる義理もないのだが。

「ミリオンゴーストアタック!」

声と共にアステリオンの体がぶれる。
音速の蹴撃である。
たとえ対象が主力戦車だったとしても、アステリオンならば蹴り砕いてしまうだろう。
無限幻影ともいうべきこの技は、必殺の一撃のタイミングを覚らせないための技である。
それ故、見切られたが最後なのだが、
アステリオンは相手の心を読む「サトリの法」によってこれを回避していた。

「…ッ!麒星!紫龍!こいつら人間じゃないぞ!
 サイボーグか何かだ!」
アステリオンとて一流、蹴りの感触如何で硬軟重厚軽薄、
ましてや人か否かなどはわかって当たり前だ。
しかし、対象が人間のつもりで攻撃したら、
その実人外化生でしたでは、思わぬ反撃をうけかねない。
年長者の常で、つい紫龍にまで警戒の声をかけたが、
それだけ不意の反撃を危険視した証拠である。
不意の要素による敗北は未熟の証左などとよく言われるが、
それは必ずしも正鵠を得ているとは言いがたい。
強制的に不意を創り出させる技術は、世界中の格闘技に存在するし、
勝利をもぎ取る為には卑怯ともとれる手段をも講じるのが戦闘者の常だ。
三人を一蹴してのけ紫龍に目をやれば、
紫龍を取り囲んでいた三人が崩れ落ちるのが見え、
麒星を見やれば、逆袈裟に切り上げられた一人目の後から二人目が切りかかっていた。

「麒星!」

「アステリオン!下だ!」

紫龍の声にアステリオンは自分の右足が、
たおれた戦士の背から服を破って突き出たメカニカルな腕によって握り締められているのを知った。
運悪く、軸足である。
更に、斃れていたはずの一人の首が後に倒れると、そこから砲身が現れる。
ダメージを覚悟するも、その覚悟は翠の円盤によって破られた。
翠の円盤は砲身ごと切り裂くと、
その勢いのままアステリオンの脚を掴んだままだった戦士にトドメをさす。
龍星座のシールドは、取り外して投擲武器として使うことが出来るのだ。

「助かった!紫龍」

その声が紫龍に届く頃には、紫龍は麒星に切りかかろうとしていた戦士を打倒していた。
天秤座ライブラの童虎直伝の技、廬山龍飛翔である。
廬山昇龍覇の骨子でもあるこの技は、突撃技としても使うことが出来る、
事実紫龍は麒星の窮地を救う為に突貫していた。
亜光速の蹴撃である。
紫龍の脚が触れた瞬間に、戦士の体は四散していた。

「エクスカリバー!」

麒星の横一文字で戦士は腹を掻っ捌かれる。
これで決まりだ、と彼は思った。直前のアステリオンとの戦闘を見ていれば、
そういう思考が頭をもたげる事はなかっただろう。
崩れ落ちるかと思われた戦士は、しかし、上半身と下半身が別個に動いて攻撃しだした!
戦士の下半身は太ももに隠されたニードルガンで麒星の動きを止め、
上半身は麒星に向かって切りかかる。
麒星は、おろかにもそのアクションに呆然としていた。
麒星の未熟の証左である。
もし、これが星矢ならばそのタフネスでもって白刃取りを敢行しただろう。
もし、これが氷河ならば凍気でもってガードし、攻撃に転じただろう。
もし、これが瞬ならば敵はネビュラチェーンで粉砕されていただろう。
もし、これが一輝ならば最初の攻撃で敵は消し炭となっていただろう。
もし、これが紫龍ならばそもそも油断などしなかったろう。
だが、これは麒星だ。
未熟な青銅聖闘士だ。
麒星に、この一撃を避ける術はなかった。