一まずの平和を取り戻した悟飯達は、さっそくこの世界にドランゴンボールを復活させるべく、神の住居へと向かった。
「うわあ、もっとボロボロになってるのかと思ってましたけど、結構変わってませんね」
「はい。その・・・俺達の世界で、ピッコロさんは地上で人造人間に殺されてますから」
自分達の世界のものと同じではあるが、珍しそうに見回す悟飯達に、トランクスは多少言いにくそうにそう言った。
それを聞いてピッコロも複雑な表情になる。
「早速始めるか。デンデ」
「はいっ!」
ピッコロの呼びかけにテコテコと容器を抱えてデンデがやって来ると、悟飯達の中央の辺りにそれを置き、
意識を集中させた。
しばらくして容器が輝き出したかと思うと、上空に光が伸び、一度止まったかと思うと7つに分かれて飛び散った。
「これでドラゴンボールは復活した」
「次の奴らが来るまでに集めておかんとな」
「うわあ、もっとボロボロになってるのかと思ってましたけど、結構変わってませんね」
「はい。その・・・俺達の世界で、ピッコロさんは地上で人造人間に殺されてますから」
自分達の世界のものと同じではあるが、珍しそうに見回す悟飯達に、トランクスは多少言いにくそうにそう言った。
それを聞いてピッコロも複雑な表情になる。
「早速始めるか。デンデ」
「はいっ!」
ピッコロの呼びかけにテコテコと容器を抱えてデンデがやって来ると、悟飯達の中央の辺りにそれを置き、
意識を集中させた。
しばらくして容器が輝き出したかと思うと、上空に光が伸び、一度止まったかと思うと7つに分かれて飛び散った。
「これでドラゴンボールは復活した」
「次の奴らが来るまでに集めておかんとな」
取り合えず最優先にやっておくことが終わったので、これからどうするのかをトランクスの家で話し合うことになった。
「ここです」
と、トランクスが示したのは、悟飯達の世界とは場所も大きさもまるで違う家だった。
これは周りのものもそうだが、新築と呼べる家はまるでない。その中でも特にひどい、百年も前に作られたような
廃工場といった印象を与える家である。
「もう人造人間もいなくなって、いくらでも新しい家は建てられるんですが、母さんはどうもここに愛着が湧いて
しまったみたいで」
トランクスがフォローするものの、あんぐりと口を開けたクリリンを筆頭に、皆余りの違いに声もないようであった。
「取り合えず、母さんに紹介しますのでこちらへ」
と中へ入っていくトランクスを見ながら、
「あいつ、こんなとこからタイムマシンで来たのか」
とクリリンが呆然とつぶやいた。
「さて、これからどうするかだが」
一段落終えて、悟飯達に用意された大部屋の中、ピッコロがそう切り出した。
部屋の中央に置かれた大きなテーブルに、ベジータを除いた全員が座っている。
「まずドラゴンボールを回収するのが一つ。もう一つは・・・」
「奴の宇宙船から出来る限りの情報を引き出すことですね」
ピッコロの言葉をトランクスが引き継いだ。
「情報を引き出すのは俺と母さんに任せてください。ドラゴンボールの方は・・・」
「そっちは俺がやるよ。戦闘じゃほとんど役に立てそうにないしな」
クリリンが手を上げて言った。僕も、と悟飯も手を上げる。
「俺もやろう。俺の内部にはドラゴンレーダーの機能も組み込んである」
と、スパッツがとんとんと眼の横をつつきながら言った。
「俺は、こちらでも『精神と時の部屋』が使えないか試してみよう。いざとなれば、あそこはきっと役に立つ」
「え?でもあそこは・・・」
「忘れたのか?こちらの世界ではお前達はまだ、あの部屋に入っていない」
と、悟飯の言葉を遮ってピッコロは言った。
「これで決まりだな。それじゃ飯も食ったし、そろそろ寝ようか。てそういやベジータの奴はどうしたのかな。
まだ戻って来ないけど」
「ハハハ・・・」
と、クリリンの言葉にトランクスは決まり悪そうに頬を書いた。
「しかしまさか、ブルマさんが泣き出すとは思わなかったよなあ。あの時のベジータの顔、写真に取りたかったぜ」
こちらの世界のブルマに紹介すると案内され、彼らの知るそれよりもかなり年を取った姿の彼女に会った途端、
彼女は一瞬呆けた顔をした直後、泣き出したのだ。あまつさえベジータには抱きつきまでしたのである。
「まあ、この世界の父さん達はかなり前に死んでますからね。おまけに悟飯さんまで倒されてから俺が人造人間を
倒すまでは、母さんはずっと一人で頑張ってたんです。だから、あの頃のままの姿で現れた皆さんや父さんを見て、
ああなったのは仕方ないと思います」
トランクスの言葉に、その場を沈黙が占めた。この世界の現実の過酷さを、改めて実感させられたのである。
「守らないとな」
しばらくしてから、クリリンが言った。
「俺達の世界と違って、こっちは10年以上も経って、ようやく平和が来たんだ。その平和を、今度こそ守らないと」
「はい!」
「当然だ」
クリリンの言葉に悟飯、ピッコロが応じる。トランクスは心を込めてもう一度、ありがとうございますと言った。
「それにしてもベジータの奴、いつになったら戻るんだろうなあ」
「ここです」
と、トランクスが示したのは、悟飯達の世界とは場所も大きさもまるで違う家だった。
これは周りのものもそうだが、新築と呼べる家はまるでない。その中でも特にひどい、百年も前に作られたような
廃工場といった印象を与える家である。
「もう人造人間もいなくなって、いくらでも新しい家は建てられるんですが、母さんはどうもここに愛着が湧いて
しまったみたいで」
トランクスがフォローするものの、あんぐりと口を開けたクリリンを筆頭に、皆余りの違いに声もないようであった。
「取り合えず、母さんに紹介しますのでこちらへ」
と中へ入っていくトランクスを見ながら、
「あいつ、こんなとこからタイムマシンで来たのか」
とクリリンが呆然とつぶやいた。
「さて、これからどうするかだが」
一段落終えて、悟飯達に用意された大部屋の中、ピッコロがそう切り出した。
部屋の中央に置かれた大きなテーブルに、ベジータを除いた全員が座っている。
「まずドラゴンボールを回収するのが一つ。もう一つは・・・」
「奴の宇宙船から出来る限りの情報を引き出すことですね」
ピッコロの言葉をトランクスが引き継いだ。
「情報を引き出すのは俺と母さんに任せてください。ドラゴンボールの方は・・・」
「そっちは俺がやるよ。戦闘じゃほとんど役に立てそうにないしな」
クリリンが手を上げて言った。僕も、と悟飯も手を上げる。
「俺もやろう。俺の内部にはドラゴンレーダーの機能も組み込んである」
と、スパッツがとんとんと眼の横をつつきながら言った。
「俺は、こちらでも『精神と時の部屋』が使えないか試してみよう。いざとなれば、あそこはきっと役に立つ」
「え?でもあそこは・・・」
「忘れたのか?こちらの世界ではお前達はまだ、あの部屋に入っていない」
と、悟飯の言葉を遮ってピッコロは言った。
「これで決まりだな。それじゃ飯も食ったし、そろそろ寝ようか。てそういやベジータの奴はどうしたのかな。
まだ戻って来ないけど」
「ハハハ・・・」
と、クリリンの言葉にトランクスは決まり悪そうに頬を書いた。
「しかしまさか、ブルマさんが泣き出すとは思わなかったよなあ。あの時のベジータの顔、写真に取りたかったぜ」
こちらの世界のブルマに紹介すると案内され、彼らの知るそれよりもかなり年を取った姿の彼女に会った途端、
彼女は一瞬呆けた顔をした直後、泣き出したのだ。あまつさえベジータには抱きつきまでしたのである。
「まあ、この世界の父さん達はかなり前に死んでますからね。おまけに悟飯さんまで倒されてから俺が人造人間を
倒すまでは、母さんはずっと一人で頑張ってたんです。だから、あの頃のままの姿で現れた皆さんや父さんを見て、
ああなったのは仕方ないと思います」
トランクスの言葉に、その場を沈黙が占めた。この世界の現実の過酷さを、改めて実感させられたのである。
「守らないとな」
しばらくしてから、クリリンが言った。
「俺達の世界と違って、こっちは10年以上も経って、ようやく平和が来たんだ。その平和を、今度こそ守らないと」
「はい!」
「当然だ」
クリリンの言葉に悟飯、ピッコロが応じる。トランクスは心を込めてもう一度、ありがとうございますと言った。
「それにしてもベジータの奴、いつになったら戻るんだろうなあ」
その頃、ブルマの家から遠く離れた丘の上で、ベジータは不機嫌そうに胡坐をかいて座っていた。
「・・・クソったれめ!」
「・・・クソったれめ!」
「まもなく目標の星の星系に突入します。4ビクト後に星団間航行モードを解除。亜空間超光速航行モードに移行します」
どことも知れぬ宇宙空間を飛ぶ大型宇宙船の内部。その居住空間らしき部屋に機械が発したものとは思えない声が、
滑らかな口調でそう告げた。
部屋の中には二人の人間が向かい合って座っている。
一人は緩くウェーブのかかった黒い長髪で、いわゆる美人と言えるほど整った顔をしている。半袖の、動きを制限しない
程度にゆったりとした衣服を着ており、装飾品らしいものは何一つ身に着けていない。その胸の膨らみを見るまでもなく、
一目で20代の女性と解る姿はしているが、その瞳は見る者全てを凍らせそうな冷たさを持っていた。
もう一人はやはり黒い短めの髪をオールバックにしており、鋭い眼をしたいかつい顔についた唇を固く引き締めている。
その周りは髭で覆われているが、それ程年をとっているようにも見えない。形状的には革鎧のように見えながら、それでいて
硬質的な光を放つ鎧のようなものを付けた身体はがっしりと逞しく、その下から覗く足は一振りで目の前の女性の首など
簡単に折ってしまいそうな程太く、筋肉質であった。
「ようやく着くな」
女の方が独り言のようにつぶやいた。実際そうなのかもしれない。目の前の男は聞こえてはいるのだろうが、
何を言う気配もなく、ただむっつりと黙り込んでいる。
「亜空間レーダーから『奴』の反応が消え、原因を探るべくこちらの銀河に戻ると決めてからもう24オプトだ。
その4分の3は眠っていたとはいえ、こうも移動だけに時間がかかると身体がなまってくる」
言いながら女は首を軽く左右に動かして見せた。男は無言ではあるが、同感だと言わんばかりに自分の右腕を
軽く回して見せた。
「正直、『奴』如きを倒したくらいで私達の相手にもなるまいが、後ろから面白そうな連中も来ているようだし、
行く先の星では退屈せずに済みそうだ」
と、女はその『面白そうな連中』が付いて来ているらしい方向をちらりと見ながら、軽く口の端を曲げて見せた。
男はやはり無言である。
「さて、無愛想なお前の顔を見るのも飽きた。どうせあと20ビクトもせん内に到着するだろう。それまで
もう一眠りさせてもらう」
そう言い残して、軽く伸びをしながら女は出て行った。
男は無言のまま、彫像のようにぴくりともせず、ただテーブルに視線を据えたまま座っていた。
どことも知れぬ宇宙空間を飛ぶ大型宇宙船の内部。その居住空間らしき部屋に機械が発したものとは思えない声が、
滑らかな口調でそう告げた。
部屋の中には二人の人間が向かい合って座っている。
一人は緩くウェーブのかかった黒い長髪で、いわゆる美人と言えるほど整った顔をしている。半袖の、動きを制限しない
程度にゆったりとした衣服を着ており、装飾品らしいものは何一つ身に着けていない。その胸の膨らみを見るまでもなく、
一目で20代の女性と解る姿はしているが、その瞳は見る者全てを凍らせそうな冷たさを持っていた。
もう一人はやはり黒い短めの髪をオールバックにしており、鋭い眼をしたいかつい顔についた唇を固く引き締めている。
その周りは髭で覆われているが、それ程年をとっているようにも見えない。形状的には革鎧のように見えながら、それでいて
硬質的な光を放つ鎧のようなものを付けた身体はがっしりと逞しく、その下から覗く足は一振りで目の前の女性の首など
簡単に折ってしまいそうな程太く、筋肉質であった。
「ようやく着くな」
女の方が独り言のようにつぶやいた。実際そうなのかもしれない。目の前の男は聞こえてはいるのだろうが、
何を言う気配もなく、ただむっつりと黙り込んでいる。
「亜空間レーダーから『奴』の反応が消え、原因を探るべくこちらの銀河に戻ると決めてからもう24オプトだ。
その4分の3は眠っていたとはいえ、こうも移動だけに時間がかかると身体がなまってくる」
言いながら女は首を軽く左右に動かして見せた。男は無言ではあるが、同感だと言わんばかりに自分の右腕を
軽く回して見せた。
「正直、『奴』如きを倒したくらいで私達の相手にもなるまいが、後ろから面白そうな連中も来ているようだし、
行く先の星では退屈せずに済みそうだ」
と、女はその『面白そうな連中』が付いて来ているらしい方向をちらりと見ながら、軽く口の端を曲げて見せた。
男はやはり無言である。
「さて、無愛想なお前の顔を見るのも飽きた。どうせあと20ビクトもせん内に到着するだろう。それまで
もう一眠りさせてもらう」
そう言い残して、軽く伸びをしながら女は出て行った。
男は無言のまま、彫像のようにぴくりともせず、ただテーブルに視線を据えたまま座っていた。