SS暫定まとめwiki~みんなでSSを作ろうぜ~バキスレ ハンバーガーにライ麦を


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海風とかもめの声が、辺りを賑やかす。
こういった海辺に近い場所は、黄金の麦が存在するのをご存知だろうか?
そう、ライ麦畑という黄金の畑。

「少し腹が減ったな。んっ、喫茶店か・・・。」

そんな美しいライ麦畑の目の前に、一件の喫茶店が存在していた。
日本では珍しいこの光景も、アメリカの地方へ行けば別段当たり前のことだ。

そして、太陽が頭上に照らされる正午の頃。
そんな辺鄙なところに一人の成人男性が来店した。

「ヤレヤレ。研究のためとはいえ、まさかこんな所まで来る羽目になるとはな。」
男はバルコニーにある椅子に腰をかけると、手に持っていた真っ黒な鞄をテーブルの下へ置く。
「・・・店主、注文だ。」
長ランという奇抜な服装をしているその男は、店のメニューを一通り見た後(のち)、
疲労感を漂わせる様子で店の主人を呼び寄せた。
「お客さん。何をご注文で?」
「そうだな、アメリカンコーヒーにサラダだ。」
男は軽めの食事なつもりなのだろう。
成人男性が昼に食べる量を考えれば、遙かに少ないのだから。
しかし店側からすれば、もっと金を落として貰いたいのが普通。
店主はそんな素振りを見せながら、男に向かってこう言った。


「ハンバーガーはいかかがですか?この店自慢の一品ですよ。」

―――辺鄙な場所にあるハンバーガーなど不味いに決まっている。

男は瞬時にそう軽視する。
『味だけは三ッ星』という言葉があるくらいのアメリカの食文化。
確かに美味しい店に関して言えば、他の国と遜色はそうない。
だが、不味い店はとことん不味いのだ。
しかも郊外にある店ならば、集客の様子でその店の味が分かるというものだ。

そして、この店には昼だというのに男一人しかいない。
これ以上、男がこの店の味を軽視した理由があるだろうか。

「いや、いい。コーヒーとサラダ。それだけだ。」
そんな考えの下、男は店主の提案を彼なりにやんわりと断る。

しかし・・・。

「そんな美味しいですから。食べてみてくださいよ。
目の前のライ麦畑のように、こんがりと黄金色のしたハンバーガー。
本当に美味しいですから。ねえ、お客さん。」
「・・・おい、店主よ。俺はいらないと言ったはずだが?」
断られたというのに、店主は尚も食い下がる。
「いやいや、美味しいですから。一度食べてみてくださいよ。」


「おい・・・。」
仏の顔も三度までという言葉がある。
これには様々な意味があるが、概ね『どんなに穏やかで寛容な人でもやりすぎたら怒る』
という解釈が解り易く一般的だ。
当然、普段は冷静沈着が売りの男も、二度目までは店主の押し売りに耐えていた。

―――が、旅疲れと多少の空腹のせいか、彼は二度目までしか仏になれなかった。

「聞いてるのか!!この距離で俺の声が聞こえるはずがないだろう。」
そう。この三度目の押し売りに、とうとう彼の頭の中にあるヤカンが一気に沸騰したのだ。
それも、目の前にあるライ麦畑全体に響き渡るほどの声で。
「親父!!その不味そうなハンバーガーはいらないと、今さっき言ったはずだ!!
それに、俺はこの店で食事を取らなくてもいいんだぜ。」

『失敗した・・・。』
店主の顔にはしっかりとそう書いてあった。
きっと久しぶりに来た客を前に、思わず欲が出てしまったのだろう。
店主は少し項垂れながら男の言葉に従うと、たった一言だけ残してから店の奥へ引っ込んでいった。

――― この店の主としての言葉を。

「スイマセンお客さん。
ですが・・・、うちのハンバーガーが美味しいの本当です。
それだけは譲れませんよ。
では・・・、コーヒーとサラダ。少々お待ちください。」
(ヤレヤレ・・・。)
店主が奥へ引っ込んだ後、男は椅子に深く腰をかけながら眼前に広がる美しいライ麦畑を見ながら、
自分がした行動について考えていた―――いや、後悔していた。
店主へ投げつけたあの言葉を。

『その不味そうなハンバーガーはいらないと、今さっき言ったはずだ!!』

考えてみれば当然の事であるが、店側として―――いや、店主として、
味というものに自信が無ければ個人経営は中々しないもだ。

それを『アメリカという国柄だけ』で、店の味に関してのプライドを傷つけてしまったかもしれない。
だから男は後悔していた。

自分の軽率さに・・・。

「お客さん。コーヒーとサラダです。」
男が後悔をし終える間も無く、店主がコーヒーとサラダを持ってくる。
「あ、ああ・・・。そこに置いてくれ。」
「はい。では、ごゆっくり・・・。」
店主はコーヒーとサラダをテーブルの上に置くと、いそいそと店の奥へ引っ込む。
恐らく、久しぶりに来た客を怒らせてしまったことに、大きな後悔の念を感じているのだろう。
店の奥―――厨房へ引っ込む直前に、男の顔をほんの少し見たのがその証だ。


「さて・・・。」
男は店主が店の奥へ引っ込むと同時に、テーブルの上に置かれた品々を見る。
彼の魂が篭っているはずのコーヒーとサラダ。

――― 一時の感情でその魂を侮辱した自分に、果たしてこれらを食す資格はあるのか?

そんなことを考えながら、男はコーヒーカップの取っ手に手をやった。
男の嗅覚を刺激する――珈琲豆の芳醇なの香り。
決して強く挽きすぎず、かといって中途半端に加減せず。
一寸の狂いもない力加減が生み出した、大平原を感じさせる香りだ。
「・・・。」
男はその香りに心底感動しながら、心の中で店主に謝る決意をする。
これは店主の押し売りに激怒した事を謝罪するのではない。
その際に傷つけた、彼のこの店の味―――矜持に関して謝罪するのだ。
(・・・まずは食事を終えてからだな。)
考え事をしながら食べるのは、店側に最も失礼な態度。
とりあえず男は、コーヒーとサラダが新鮮な内に食す事にした。

男はコーヒーを飲む度に。サラダを食べる度に。小さな感嘆の声を挙げる。
美味いとだけ表現するのは下賎だと感じながら。
子供がプレゼントを貰う時のような高揚感を感じながら。

その一口ごとに・・・。


「・・・・。」
男は遂にサラダの具材の一つである、真っ赤なトマトを食す時が来た。
そして、彼はその事を心の底から悲しみながらトマトにフォークを突き刺す。

――――ピチュッ!!

突き刺す時に感じる弾性力を破壊した感触――このトマトの故郷であるアンデスを思わせる匂い。
これは確実に、男の中で最高のトマトであろう。
「・・・・。」
彼はトマトから感じた全ての五感に感謝しながら、ゆっくりと口の中に・・・・。

「ビュミーーーー!!!」
突如、人間でも動物でもないような奇声がライ麦畑から響き渡る。
(何だ?今の声は。)
その声に言い知れぬ危機感を感じた男は、少し身をかがめて声の主を探し始める。
男が奇声の主を探す視線の先には黄金色をしたライ麦畑。
太陽で十分に光輝くそれは、彼に一瞬の錯覚を覚えさせる。
(気のせいか・・・?)
「びゅ、ビュミ?ビュミーーーー!!」
声が先程よりも近い場所から聞こえる。
これは幻聴ではない。―――現実である。
そう思わせるほどの大きさで。


(うっ・・・、やはり知る必要があるか・・・。
これは厄介ごとの可能性が高そうだからな。
本当は・・・ただの動物ならいいが。)
もう一度聞こえたその声によって、男は錯覚の世界から現実の世界へと戻される。
美しく光り輝くライ麦畑は健在だが、そこに得たいの知れない何かがいる。
やはり最初に感じた危機感は、決して勘違いではないと確定付ける程に。
(探すか。確か・・・、声はあそこから・・・。)
男はバルコニーから地面に降りると、下にある手ごろな大きさの石を何個から拾い上げる。
そして、その奇声が聞こえた方向に向かって投げた。
「オラァ!!」
いや、正確に言えば、その小石を投げたのは男自身ではない。
なんと男の背中から突如現れた幽霊が投げたのだ。
―――幽霊の投げた石が、高速でライ麦畑内に突き刺さる。

だが・・・、何も起こらなかった。

(手ごたえはあった・・・。が、何も反応がないということは外れたのか・・・?
いや、違う。意に返していないのか。それとも気のせいか・・・。)
男は後者であって欲しいと思いながら、ライ麦畑への警戒を高める。
すると外の騒ぎが気になったのか、店の奥に引っ込んでいた店主が出てきた。
「お客さん。どうかしましたか?」
「店主?身を低くしろ!!」

男は瞬時に店主の方へ向くと、彼の頭を押さえつける。
「ちょ、ちょっと!何をするんですか!!」
突然の事に少し乱暴に男の手を振り払いながら、当たり前の反応をする店主。
どんな人間だって、知らない男に頭を押さえつけられたら暴れるのが普通だ。
そして、これは男の決定的なミス。
彼らしくない。軽率でお粗末な行動だった。
いくら店主へ後悔の念があったとしてもだ。

店主の安全を確保しようとライ麦畑に背を向ける―――という、軽率な行動は。

「ビュミーーーーー!!」
奇声が男の背後から聞こえる。
(しまった!!)
だが、奇声の主は男が反応するよりも早く、バルコニーにあるテーブルで男を目一杯『挟む』。
―――テーブルが大きな音をたてて四散する。
「びゅ、ビュミーー!!ビュミーー!!」
これが奇声の主の勝ち名乗りなのだろうか。
モンキーダンスに似た踊りをしながら、バルコニーの上を楽しそうに駆け回っている。
「な、な、何もないのに、何が起こっているんだ?テーブルがぶっ壊れた?
お、お客さん、お怪我が!?」
「黙ってろ。すぐ片付く。」
奇声の主の背後から、『挟んだ』はずの人間の声が聞こえる。
当然、その声を聞いた奇声の主は踊りをやめて振り返る。
「びゅ、ビュミ?」
そう。その振り返ったその先には・・・。
「全く・・・、昼時だってのに。ヤレヤレだぜ。」
全く無傷の男が悠然と立っていた。

――――――――ハンバーガーにライ麦を・1――――――――


ライ麦畑が太陽によって光り輝く。
その美しさは、まさに桃源郷。
見るもの全てを魅了し、また、生への渇望を生み出させる。

だが、そこでも争いは起こるものだ。
人間と奇声を上げ続ける何かの・・・争いが。

「変な風体な奴だぜ。」
男は奇声の主を間近で見て、ポツリと感想を呟く。
何故なら目の前に居る奇声の主は、浮浪者のような汚らしい格好な上に、
頭部が二枚重ねの黄金色の円盤というなのだから。
「びゅ、ビュミ・・・。」
「まあ、姿なんて関係ねえ。すまないがこれで終わりにさせてもらうぞ。」
男がそういうと同時に、背中から先程の幽霊が出す。
いや、それを幽霊というには些かの侮辱であるかもしれない。
なぜならその幽霊は、まるでアポロンのように力強く、ミノタウルスのように屈強な戦士に見えるからだ。
「オラァ!!」
「びゅ、ビュミイイイーーー!!」
そして彼の背中から出た屈強な戦士は、奇声の主に向かって力強い突きを見舞う。
―――その速度はまさしく高速。
当然見るからに鈍そうな奇声の主は、その突きに全く対応できず、
ライ麦畑の方へすっ飛んで行ってしまった。


「終わった・・・か。」
「お、お客さん?一体何が!!」
店主は目の前の不思議現象に心底怯えながら尋ねる。
すると男は少し笑みを浮かべながら、店主に向かってこう言った。
「安心しな。おそらく、たちの悪い野犬だろう。」
「や、野犬って・・・。す、姿は見えませんでしたが。」
店主は納得できない様子のまま、ライ麦畑の方を見る。
当然であるが、男が言った野犬という発言は嘘である。

そう、男と店主を襲った者の正体は・・・。

(変な『スタンド』だったな。
全く手の内が分からなかったが、早いとこ勝負に出て正解だった。)

―――スタンドである。

スタンドとは、人間・動物の闘争心や防衛本能が具現化したもの。
つまり人や動物が操る、精神力から生まれた戦士なのである。

「とりあえず店主。もう一回、コーヒーをくれ。後、サラダもだ。
野犬のせいで、すっかりぐちゃぐちゃになってしまったからな。」
「えっ?ああ、はい。分かりました。」
男の言葉に少し落ち着きを取り戻したのか、店主はゆっくりと立ち上がり厨房へ戻る。
数分後。厨房――店の奥からコーヒーの香ばしい匂いが辺りに立ち込めた。
(良い匂いだ。)
だが、そんな安息の時間も長くは続かなかった。


何故なら、倒したはずの黄金色したスタンドの声が、またライ麦畑から聞こえたからだ。
勿論、その声を聞いた男は体勢を低くして臨戦態勢を整える。
(大したダメージではなかったのか?確かに手ごたえはあったんだが・・・。)
先程の突きは、彼のスタンドが繰り出せる最高の攻撃。
この突きで仕留めきれないとなると、あのスタンドは相当な強度を持つことになる。
男はそれらを瞬時に理解し、再度睨みつけるかのようにライ麦畑を凝視する。
「びゅ、ビュミーーー!!」
奇声の主――謎のスタンドの声が、もう一度男の耳に入る。
(どうやら、かなりすっ飛んでいったみたいだな。最初聞いたときよりも、遥かに小さく聞こえる。)
先程から聞こえる敵スタンドの声の大きさから、男は自分と敵スタンドの距離を確認する。
どうやら男のスタンドが放った突きは、相手スタンドを相当遠くまでぶっ飛ばしたようだ。
(遠隔操作タイプ・・・、だが攻撃方法は接近型か。
いや、それともアレ自体はスタンドではなく、付属品だという可能性も・・・。)
相手スタンドがこちらへ来るまで、男は相手の事を冷静に考察する。

そして、男は相手の場所を特定しようとした瞬間、自分の考察が間違っていた事に気づいた。

(もしや・・・・。)
ライ麦畑の右端と左端。
当然、彼の肉眼で見える範囲だが、その畑の色――いや輝きが僅かに違う。
確かに目の前に見えるライ麦畑は黄金色だ。
それは大変美しく、いずれ世の中の大人が大好きな飲料物になる。
しかし普通ならば、太陽光によってライ麦畑全体が光り輝いた筈なのに、
今はどう見ても右端から中心にかけて全く輝く様子はない。

―――つまり答えは唯一つ。


(敵のスタンド色も黄金色だった。
      • あの太陽で輝いていない部分は全て敵のスタンドという訳か。)
額からゆっくりと汗が流れ落ちる。
男は緊張していた。
数々のスタンド闘って来た彼だったが、あれほどの数を一度に―――
しかも見える距離で相手した事は無かったからだ。
(本体を叩かなくてはな。)
男はそう考えると、一瞬だが店の方を見る。
おそらく、この店の店主が襲われまいかと心配なのだろう。
自分が注文したコーヒーとサラダを作るため、まだ中にいる彼を。
(とりあえずは、ここから離れるか。)
となると、尚更ここに居る訳にはいかない。
敵は明らかに自分を狙っていたのだから。
(あの数だ。まともにやったら、こちらが圧倒的に不利。
いくら俺のスタンドでも、あの数を一度に相手にするのは困難だからな。)
男はさらに数秒ほど考えて、ある一つの結論に達する。
(だが、隠れて各個撃破することもできそうにないな。
やっぱり、あのスタンドを操っている人間・・・。
もしくは動物を直接叩くしかないか。ヤレヤレ・・・、手間がかかりそうだ。)
彼のすべき方針は決まった。
後は、後腐れのないよう闘うだけである。
「店主。美味いコーヒーとサラダだった。それと・・・、すまない。」
男は独り言のようにそう言うと、懐から財布を取り出し、コーヒーとサラダ―――
計二人前の代金をテーブルの上に置く。
「また飲みに来たいものだ。」
そして、そのまま力強い歩みと共に一人ライ麦畑へ行くのだった。

―――全く居場所の分からない『敵』を倒しに・・・。

――――――――ハンバーガーにライ麦を・2――――――――


男は店を一歩出た瞬間から相手スタンドの攻撃を受けていた。
左右から繰り出される、スタンドごとの『挟み撃ち』という単調な攻撃を。

普通、挟み撃ちとは前後だけでなく、左右からも―――つまり四方八方からするものである。
周りに障害物があるならば別だが、今はライ麦畑しかない。
それなのに、左右四匹程度でただひたすら『挟み撃ち』とは・・・。
(単調だな・・・。)
おそらくスタンド自体の知性は低いのだろう。
これは遠距離複数型のスタンドに見られやすい傾向だ。
(攻撃は難なく避けてはいるが・・・。)
男は、雪崩の様に連続して起こる挟み撃ちを直進する事で避けつつ、
敵の攻撃があまりに単調な事を疑問に思っていた。
確かに敵スタンドの知性は低いのだろう。

だが、本体の方はどうだろうか?
これだけの数のスタンドを一度に使える相手である。

これらの材料から、男は単調な攻撃の裏に何かあるのではないかと考えていた。

「ビュミーーー!!!」

そして、暫く同じ攻撃続いた後。
喫茶店を出てから僅か3分という間に、男はいつの間にかライ麦畑の中心付近へ来ていた。

―――見渡す限り一面のライ麦畑。

太陽の光によって美しく黄金色に輝くそれは、この戦いなど知らぬといわんばかりの雄大さを誇っていた。
そして男はその光景から、ある重大な事に不意に気付く。
(本体が見当たらない。まさか、ここではないのか?)
そう、このライ麦畑の半分は見たいうのに、敵スタンドしか見当たらないのだ。
もしも敵スタンドの射程距離が何百キロもあるならば、この探索は始めから無駄である。
―――が、敵のスタンドが『喫茶店にいる自分しか狙わなかった』事から察するに、
それの可能性は低いと男は踏んでいた。
(どういうことだ。敵のスタンドは確かに俺を狙っている。
確かあの時、店主は狙われなかった。)
男は自分の考えを完全に否定するのが嫌で、もう一度冷静に考える。
「ビュ~ミーー!!」
考えてる隙を狙ったのか、敵スタンドの単調な『挟み撃ち』攻撃が繰り出される。
(・・・。店主がスタンド使いという事も考えられるが、あの様子から見てそれは考えにくい。)
男はその攻撃を前に進む事であっさりと避けながら、店主が敵スタンドの攻撃で震えていた事を思い出す。
(確かに店主は男のスタンドが見えていなかった。
何が起こったかすらも理解していなかった。
俺のスタンドも見えていないようだった。となると店主はシロ・・・。)
「ビュミーーー!!ビュ、ビュミーーー!!」
今度は、十二匹同時に左右から『挟み撃ち』をしてくる。
(まるで猿のような奴だ。全く同じ攻撃を・・・、まさか!!)
男は敵の攻撃からある仮説を思いつく。


そして、辺りを見回す事で核心を得た。

(もしや・・・、本体は人間ではないのか?)

そうなのだ。
ライ麦畑―――ライ麦の高さは、平均的に成人男性の身長より低い。
つまり敵が人間ならば、ライ麦畑の中で丸くなるかうつ伏せの構えをしなくてはいけない。
しかし、そうなると極端に視界が悪くなる。
喫茶店のように距離が離れていれば問題はないが、同じフィールド―――ライ麦畑に入られると、
自分も移動しなければ常に相手を捕捉することが出来ない。
それでも敵のスタンドは、男に動いた素振りすら悟られる事無く、完璧にターゲットを捕捉し続けている。
(それに加えて、あの単調な攻撃の連続・・・。
そうなると相手は・・・、動物。加えて賢くなく、俺を常に補足する動物となると・・・。)
男が考え終える寸前、地面の中から敵スタンド数匹が襲い掛かってくる。
正に奇襲としては完璧なタイミング。
完全に不意を突かれた男は、一瞬血の気の引いた顔になる・・・が。
「スタープラチナ・ザ・ワールド!!」
男の声がライ麦畑全体に響く。
するとその瞬間、男に攻撃しているはずの敵スタンドは、半ば地面に埋もれた状態で動きを止めた。

そう、まるで時が止まったかのように・・・。



「ふう・・・、当たらない同じ攻撃なら、地中からとはな。
流石、動物の学習能力―――といったところか。」
男は自分のスタンド――スタープラチナの突きを、相手スタンドに放つ。
「オラッ!!
      • 止めていられる時間は0.4秒・・・と言ったところか。ヤレヤレ・・・。
そして時は動き出す。」
そして男がそう言うと、彼を囲んでいたはずのスタンドは間髪入れず同時に破壊される。
「ビュミ~?」
今の一部始終を見ていた相手スタンドの一匹は、頭部である二枚重ねの黄金の円盤を左右に振りながら不思議がる。
きっとこのスタンドにとっては、今の一撃で仕留めたと思っていたからだろう。
しかし、その考えとは正反対の事実が目の前で起きた。
「鳥か・・・、ウサギか。どちらにしても巣を見つけないことにはな。」
やはり知能が低いこのスタンドでは、考えても分からなかったのだろう。
今度は走り始めた男を尻目に、相手スタンドはそれに追従しながらもう一度頭を振るのだった。

――――――――ハンバーガーにライ麦を・3――――――――


(どこだ。どこに巣はある。)
相手スタンドの居場所を探して既に十分。
男は心底焦っていた。
何せ相手スタンドの攻撃を避けながらの、この捜索劇。
いくら強力なスタンドを持つ彼でも、敵の本体を殴らなければどうしようもない。
何しろ相手スタンドの数は数え切れないほど多く、一人ではどう考えても無理だからだ。
「びゅ、びゅ、ビュミーーー!!」
今度はタイミングをずらす事を覚えたのか、一秒ずつずらしながら『挟み撃ち』をしてくる相手スタンド。
しかし、左右からの攻撃は変わらないので、前へ進む事によって簡単に避けられてしまう。

―――それでも、十分な疲労は誘えているが。

(ウサギは・・・、ないな。穴はない。
そもそも、野良ウサギはライ麦畑を住処にすることは無いしな。
すると鳥だが・・・、ライ麦畑は海辺に近いのが通説。
ここもそれにもれず、東に十キロも行けば大西洋だ。
すると海鳥の可能性も・・・。)
男は走りながら必死に考える。
―――止まり木を探す。
だが、どうみても止まり木―――いや、木すら見つからない。
ならば相手スタンドの本体は、一体何なんだろうか?

「ビュミーー!!」
「うおっ!!」
男は・・・、遂に相手スタンドの攻撃を喰らう。
あれほど単調な、左右から繰り出されるスタンドごとの『挟み撃ち』攻撃を。
「くそったれ・・・。」
自身のスタンドでガードだけはしたが、流石に左右からの攻撃は完璧には防げない。
右脇腹。左肩関節。
どちらも暫くは安静にしなくてはいけないダメージだった。


(くそっ・・・、思ったよりもダメージがでかい。
そういえば、奴が喫茶店で攻撃してきた時、テーブルを木っ端微塵にしていたな。
迂闊だった・・・。)
男は自分の不甲斐無さを嘆きながら、次にすべき事を考える。
(どうする。敵の本体の居場所は分からない。今のところ全くのお手上げだ。
しかも仲間はここにはいない・・・。
―――どうする!!)
しかし男の思考は終わりきる前に、相手スタンドの攻撃によって中断される。
「ミュギイイイイ!!!」
相手にとって、これはトドメのつもりなのだろう。
一度に数百匹のスタンドが、同時に男へ襲い掛かる。
(くっ、仕方ない。今は逃げるしか・・・。)
男は咄嗟に思考を打ち切ると、自身のスタンド―――スタープラチナを出した。
「スタープラチナ・ザ・ワールド!!時よとまれ!!!」
男の声と同時に、時はまた止まる。
(距離を取らなくては・・・。)
もう何回も時は止めれないのだろう。男は肩から息をしながら脇を押さえてライ麦畑の中を走ろうとする。
―――が、彼の止めれる時間は僅か0.4秒。
敵の攻撃地点から三歩後ろに行くのが精一杯だった。
(くそっ!この時間では身を捻る事しか・・・。時は動き出す。)
男がそう思うと同時に、相手スタンドが一斉に彼がいた場所に飛び掛る。
そう、時が動き始めたのだ。
「グッ!!」
いくら後ろに下がったいえど、やはり完全には避けることは出来ない。
敵の攻撃の余波から、彼は後ろに吹き飛ばされた。

――――すると・・・。

(何だ?この穴は。)
男は吹き飛ばされ地面に叩きつけられた際に、地面に小さな穴があることに気づく。

その穴はとてもモグラが入るには小さく、蟻が掘るには大きすぎる穴だ。
しかも、その穴の底は鋭角に尖っている。

まるで『矢でも突き刺さった後』のように。

(ま、まさか・・・。)
男はその穴を見て、この土壇場であることを閃く。
いつもならば決して信じ切ることが出来ないこの閃き。
しかし、この極限状態だからこそ賭ける価値はある。
(遠距離型・・・、あの数・・・、単純な行動パターン。そして本体が全く見当たらない・・・。
おかしい。こんな考えに全てを託す俺はどうかしてる。
――だが、このままではどうせ長くは耐え切れまい・・・。
ならば・・・、俺はこの閃きに賭ける!!)
男は始めて天に運を任せながらスタープラチナを出す。
「ミュギ!ミュギーー!!」
するとその光景が相手スタンドの一匹に発見されたのか、大騒ぎしながら群れの中に戻っていく。
もはや一瞬の猶予もない。
「くっ、これ以上躊躇する暇はないか・・・・。」

そして・・・。



『オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ
オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ
オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ
オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ
オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ
オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラッ!!』

―――スタープラチナは、力の限りその穴を殴り続けた!!

穴が 凹む!!凹む!!凹む!!凹む!!凹む!!凹む!!凹む!!凹む!!凹む!!凹む!!凹む!!凹む!!
土が飛び散る!!飛び散る!!飛び散る!!飛び散る!!飛び散る!!飛び散る!!飛び散る!!飛び散る!!

『オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ
オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ
オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ
オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ
オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ
オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラッ!!』

全てを!!全てを!!全てを!!全てを!!全てを!!全てを!!全てを!!全てを賭けて殴り続けた!!

「みゅ、ミュギーーー?」
「ちっ・・・、何ともないか・・・。」
スタープラチナが全ての力を使い果たし消えうせた後、男の周りを相手スタンド数千匹以上が取り囲む。
完全に追い込まれた獅子と追い込んだハイエナの図。
もはや結果は見えた。

そう、この闘いの結末は・・・・。



「ミュ、ミュミュミュミュミュミュ!!!」
正に数千匹の相手スタンド全てが男に襲いかかろうとした寸前、急に彼らは痙攣を起こし始める。
酸欠で死に行くような悲壮な表情で。

そして数秒の後。
彼らは金色の液を辺りに飛び散らせながら、男から近い順にその体を四散していった。


相手スタンドは―――消滅したのだ。
一匹残らず。

「ふう・・・、俺の考えは正しかったようだが・・・。
紙一重だったな。」
男は心底疲れた様子でゆっくりと立ち上がると、辺りを見回す。
――― 一応の警戒をしながら。
(綺麗だな。)
しかし、彼の目に映ったのは長く連なるこのライ麦畑のみ。
それは先程までの戦いが嘘のように静かで、黄金色一色の絶景であった。
「おーい!!おーい!!」
男の背後から、つい最近知った声が聞こえる。
「はあ・・・、はあ・・・。こんな所に居たんですか。
まあ、大体のお客さんはここが珍しくて入っていきますけど。」
何とその声の主は、男が食事を獲った喫茶店の店主であった。
しかも両手には見覚えのある真っ黒な鞄を抱えている。
きっと、この鞄を渡すためにここへ来たのだろう。
男はそれに内心感謝しつつも、一応の警戒―――店主がスタンド使いの可能性を否定せずに言葉を発した。


「店主?どうしてここへ。」
「ど、どうしてってお客さん。この鞄、お客さんのでしょう?
貴方が座っていたテーブルの下に置きっぱなしでしたよ。」
店主はそう言って、持ってきた真っ黒な鞄を男に渡す。
「あ、ああ。俺のだ。すまない、世話をかけた。」
これは確かに男が自分でテーブルの下に置いた物。
中身も彼が研究で使用する資料が入っている。
「いえいえ。こちらこそ色々と不手際があり、本当に申し訳ございません。」
店主は深々と頭を下げながら、男に謝罪の念を伝える。
「いや、こっちもだ店主。」
すると男も店主の言葉に答えるように、先程は伝える事が出来なかった事。
―――料理を侮辱した事に対する謝罪の念を伝えた。

どうやら彼は本当に一般人のようだ。
しかも気の良い、立派な店の主。

「こちらこそ、貴店の味を侮辱した事を謝ろう。
出してきたコーヒーとサラダは格別だった。すまない。」
「いえ、褒めていただいて光栄です。」
店主はその言葉に、嬉しそうな・・・・。
恥ずかしそうな顔をしながら人差し指で頬をかく。

そして一陣の風が彼らを―――ライ麦畑を包んだ後(のち)、店主は思い出したかのような声でこう言った。

「そういえばお客さん。このライ麦畑に来て、何かありませんでした?」
「どういうことだ。店主。」
男はその言葉で自分の考えの正当性を確信する。
そう、彼を襲った相手スタンドの正体の事だ。
「いえ、今から十年くらいでしょうか・・・、あっ、立ち話もなんですから、店に戻りましょう。
丁度、コーヒーとサラダもありますし。」

――――――――ハンバーガーにライ麦を・4――――――――


「で、店主。十年前―――1987年のライ麦畑で何かあったのか?」
男はそう言ってコーヒーを一口すする。
口の中に広がる、芳醇で大平原を思わせる濃厚な味。
相変わらず、どこをどう取っても最高に冠に相応しいこのコーヒー。
少なくとも男にとっては、今までのんだ中で最高のモノだ。
「はい・・・、十年前。
私はそこにあるライ麦畑の栽培だけでなく、この店を始めました。
で、開店してまもなく一人の老婆が来店しまして・・・。」
店主は憂鬱な顔で自分用のコーヒーを一口すする。
そして徐にライ麦畑の方へ目をやると、ゆっくりと話を続けた。
「初めてのお客さんでしたから、それは張り切って接客しました。
元々農家育ちな物ですから、満足のいく接客は出来ませんでしたが・・・。」
「で、その老婆がどうかしたのか。」
男は店主の話下手さに少し呆れながら、話を進ませようと声を挟む。
「えっ!?ああ、そうです。
こんな風にちょうどコーヒーをお出しした時なんですが・・・。」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



「お主!心からの安堵感と、圧倒的な幸福感を手に入れたくはないか?」
「えっ?安堵感って・・・、なんです?あっ、コーヒーです。」
店主は老婆の言葉に少し呆気に取られつつ、持って来たコーヒーを差し出す。
「ふん!痴れ者め!もういいわ。ん・・・、あれは・・・。」
老婆は店主の反応に今日が削がれたのか、店の目の前に広がるライ麦畑に目を移す。

時刻はちょうど正午。
太陽光はライ麦畑に降り注ぎ、黄金色の綺麗な桃源郷を作り出していた。

「ああ、美しいでしょう?私はこの光景が大好きなんです。
それでこのライ麦畑にちなんだ、黄金色に焼けた美味しいハンバーガーをメニューとして作ったんですが・・・。
どうですか?お一つ。」
「ふん、老婆にハンバーガーは重過ぎるわ。
それにしても綺麗じゃの~。」
口の悪いこの老婆も目の前の光景に心打たれたのか、笑顔で店主の言葉に答える。

するとその刹那。
ライ麦畑の上空に一匹のハヤブサが現れた。

「あっ、ハヤブサですね。ここは海岸に近いから彼らもよくここに来るんですよ。
きっとこのライ麦畑に惹かれてくるんでしょうね。」
店主は上空を優雅に飛ぶハヤブサを感慨深く見つめる。

そして、彼もまた、笑顔で老婆の方へ振り返ると・・・。


「しゃしゃしゃしゃ!!これよ、人間でダメなら動物。動物が居たわ!」
気色悪い声で笑い始める老婆の姿があった。
「お、お客さん?」
「うるさい!!・・・これでよし。」
店主の怪訝な様子にも全く気にも止めず、老婆は自分の荷物から古い『弓と矢』を取り出すと、
空に向かってそれを構える。
「な、何を持ってるんですか!!危険ですよ!!」
「話しかけるでない!!ワシは今忙しいんじゃ!!」
老婆はそう言って、構えた『弓と矢』の狙いを空――――ハヤブサに向ける。
そう、この老婆は撃ち落とす気である。このハヤブサを。
「や、やめてくださいよ!可哀想じゃありませんか!!」
店主は必死になって老婆を引き止める。

ある時は口で。
ある時は羽交い絞めにして。

しかし、老婆は年齢とは裏腹に物凄い腕力――脚力で店主の行為を振り切ると、
とうとうハヤブサに向かって矢を射った。
(ああ・・・、矢が遂に・・・。で、でも・・・。)
老婆の力に驚愕しつつも、店主は内心安心していた。
何故なら、どんな人でも『弓と矢』でハヤブサを撃ち落とす事などほぼ不可能だからだ。
これがアーチェリーやピストルだったら可能かもしれない。
だが、これは古臭い『弓と矢』である。
物語上の名手ならともかくとして、唯の老婆が天空の王者であるハヤブサを打ち落とすなどという事は・・・。
「ギィーーー!!」
―――打ち落とした。
あの天空の王者をいとも容易く。
ゆっくりと自由落下していくのが、その何よりの証拠。
老婆の矢に撃ち落されたハヤブサはライ麦畑の中へ落下していった。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



「で、それがどうしたんだ?」
男は店主の話を一通り聞いた後、直感によって気付いてしまった。
その老婆の正体に。その『弓と矢』の正体に。

そして、自分の母を救うためにした―――あの旅を思い出していた。

「え、ええ・・・。確かに老婆の放った矢は、上空に居たハヤブサを撃ち落しました。
普通なら・・・、いえ。見たことが初めてだったのでよく判りませんが、・・・死ぬと思います。
矢に打ち抜かれたら・・・。で、でも・・・。」
「死ななかった・・・だな。」
「は、はい・・・。」
怯えた様子でそう言う店主を尻目に、男も内心穏やかでなかった。
確かに今の彼は一人の学者である。
この場所にも、研究の一環としてきたのだから。

しかし、彼にはもう一つの使命があった。
スタンド能力を突き刺された物に宿す―――『弓と矢』の捜索。
あの旅の元凶の力を更に高めた、あの忌まわしき存在。

こんな所でそんな話を聞けるとは、男にとっても心底意外だったに違いない。


「そ、それから変なことが立て続けに起こったんです。
いつもライ麦畑に見られている様な気もしましたし・・・・。
な、何よりこの店に立ち寄った人が、怯えたように逃げ出すこともありました。」
「そうか・・・、だが、俺には何もなかった。何もな。」
先程の戦いで負傷した脇腹と左肩を悟られないにしながら、男は冷静に言葉を紡ぐ。
「そ、そうですよね。スイマセン。変な話をして・・・。
あっ、お客さん。コーヒーが無くなってますね。宜しければ、もう一杯持ってきますが。」
「そうだな・・・、頼む。」
店主は男の言葉を受けるとすぐに店の奥に引っ込む。
―――コーヒーの香りがバルコニーに広がる。
本当に心地よい香りだ。
(ふう・・・、まさかこんな所で昔の話が聞けるとはな・・・。
にしても、あのスタンド・・・。一つ確認しておくか。)
男が丁度そう考えたと同時に、店主がコーヒーを持って出てくる。
「店主。あっ、スマン。で、一つ聞きたいのだが・・・。」
「なんですか?」
店主はテーブルの上にコーヒーを置くと、男の方に顔を向ける。
「ああ、そのハヤブサを撃ち落した後、地面には『矢の跡』があったか?」
「えっ・・・?いえ・・・、分かりませんでしたが・・・。
でも、地面に落ちたハヤブサは矢によって地面に支えられていましたから、
多分『矢は突き刺さった』と思います・・・・。」
店主は自信なさそうにそう言う。
しかし、一見歯切れの悪いこの言葉も、今の男にとっては十分だった。


(そうか・・・。
そうなるとあのスタンドが俺を襲ってきたのも、その攻撃方法が『挟む』オンリーなのも納得がいくな。
『主人とハンバーガーを馬鹿にしたら怒る』訳だ。)
男は全てを『完璧に』理解すると、座っている椅子に深く腰をかける。
そして全身の力を抜いた後、店主に向かってこう言った。

もう一度謝罪を込めて。―――ライ麦畑の心と店主のプライドに。

「ハンバーガーをくれ。この店の名物なのだろう?」
「は、はい!!」
店主の顔は男の言葉を聞いた途端、心からの笑顔に変わる。
それは――――ライ麦畑のように美しい笑顔だった。



スタンド名:A Hamburger Full of Rye(ハンバーガーにライ麦を)――― 消滅
本体名:ライ麦畑―――矢の跡のみ消滅。ライ麦畑自体は無傷

―――――――――→to be continued

――――――――ハンバーガーにライ麦を・了――――――――



スタンド名:A Hamburger Full of Rye(ハンバーガーにライ麦を)

パワー:B スピード:D 射程距離:∞(ライ麦の花粉が飛ぶ距離による)
持続力:A 精密操作性:E 成長性:E

能力―このスタンドは、とある喫茶店前方にあるライ麦畑のライ麦全てが使用可能である。
そのため、スタンドの出現数はライ麦畑に存在するライ麦の数と同じである。
ただしライ麦の為に知性は低く、火や暴雨といった自然現象にめっぽう弱い。
また、このスタンドの発動条件として、喫茶店の主人―――自分達の世話人が作る
ハンバーガーを馬鹿にした場合のみ発動する。