ノートパソコンの箱を開けたら、まな板が出てきた。プラスチック製の白いまな
板で、右側に取っ手の穴があいている。ヤムチャは電器屋に返品に行こうと思った
が、パソコンについての知識がまったくない。ひょっとしたらまな板型のノートパ
ソコンで、電器屋のオヤジに無知のサル呼ばわりされる可能性もある。しばらく考
えて、パソコンに詳しい孫悟空に確認してもらうことにした。
板で、右側に取っ手の穴があいている。ヤムチャは電器屋に返品に行こうと思った
が、パソコンについての知識がまったくない。ひょっとしたらまな板型のノートパ
ソコンで、電器屋のオヤジに無知のサル呼ばわりされる可能性もある。しばらく考
えて、パソコンに詳しい孫悟空に確認してもらうことにした。
「おいサル」
「オラ悟空だ!」
悟空は地球の存亡をかけた大決戦の真っ最中だった。ヤムチャは元気玉をこしら
えている悟空にまな板を見せた。
「悟空、これノートパソコンか?」
「オラ闘いで忙しい! 後にしろ!」
「地球なんかいつでも守れるだろ。これノートパソコンか? まな板か?」
「まな板だー!」
「あんがと」
ヤムチャはまな板を抱えて電器屋に直行した。後ろから悟空の断末魔が聞こえた。
「オラ悟空だ!」
悟空は地球の存亡をかけた大決戦の真っ最中だった。ヤムチャは元気玉をこしら
えている悟空にまな板を見せた。
「悟空、これノートパソコンか?」
「オラ闘いで忙しい! 後にしろ!」
「地球なんかいつでも守れるだろ。これノートパソコンか? まな板か?」
「まな板だー!」
「あんがと」
ヤムチャはまな板を抱えて電器屋に直行した。後ろから悟空の断末魔が聞こえた。
「電器屋ー! いるかー!」
電器屋のドアを蹴破ったらオヤジがいた。ヤムチャが何か言うより早く、カウン
ターの下から最新のノートパソコンを出した。蓋の上にキャベツが一個のっている。
「分かってます! まずはこのキャベツを千切りにして下さい!」
ヤムチャは包丁の刃をキャベツに当てた。力を少し入れればキャベツは切れるが、
その下のノートパソコンに傷がついてしまうかもしれない。ヤムチャの額から汗が
流れ落ちて、そして片膝をついた。
「切れん」
「でしょ! 次はそのまな板でやってみて下さい!」
ヤムチャは言われるままに、キャベツをまな板に載せ替えて包丁を持った。なん
のためらいもなくキャベツを切ることができた。
「あ! 切れた!」
包丁がリズミカルに音を立てて、山盛りのキャベツの千切りが出来上がった。ヤ
ムチャは少年のような表情でオヤジに言った。
「すごいよオヤジ! あんなに難しかったキャベツの千切りが、まな板にしたらこ
んなに簡単にできちゃった! ふっしぎー!」
「お客さん、ノートパソコンじゃこうはいかないよ! いい買い物したよ!」
「わーい!」
ヤムチャは小躍りして店を出て行った。1時間後に戻ってきた。
「オレ様は、ノートパソコンが欲しいのである。まな板はいらないのである」
オヤジはチッと舌を鳴らして、面倒くさそうにノートパソコンを持ってきた。ヤ
ムチャはパソコンを引ったくって、まな板をカウンターに叩きつけた。
「まな板は返してやる! 死ぬまでキャベツをきざんでろクソオヤジ!」
「もう返品はできないよー」
「するか!」
ヤムチャは正真正銘のノートパソコンを持って、悟空に見せびらかしにいった。
悟空は敵に半殺しにされていたが、ヤムチャが呼ぶとうっすらと目を開けた。
「ごめんなヤムチャ。地球の平和は守れなかったよ」
「そんなもんは守らなくていいから。それよりノートパソコン買っちゃった!」
ヤムチャは得意そうにノートパソコンの電源を入れた。ウインドウズが起動して、
画面右下にバルーンメッセージが表示された。
「コンピューターが危険にさらされています」
ノートパソコンにはアンチウイルスソフトが入っていなかった。喜色満面だった
ヤムチャの顔が見る見る青ざめた。
「悟空、これどうしたらいい! パソコンの危険はどうしたら治るの!」
「ア、アンチ……」
悟空は意識を失った。鼻の穴に指を突っ込んでも豚の生き血を呑ませても、悟空
はうんともすんとも言ってくれない。ヤムチャはパソコンを持ったまま右往左往し
た挙げ句、もと来た道を引き返した。
電器屋のドアを蹴破ったらオヤジがいた。ヤムチャが何か言うより早く、カウン
ターの下から最新のノートパソコンを出した。蓋の上にキャベツが一個のっている。
「分かってます! まずはこのキャベツを千切りにして下さい!」
ヤムチャは包丁の刃をキャベツに当てた。力を少し入れればキャベツは切れるが、
その下のノートパソコンに傷がついてしまうかもしれない。ヤムチャの額から汗が
流れ落ちて、そして片膝をついた。
「切れん」
「でしょ! 次はそのまな板でやってみて下さい!」
ヤムチャは言われるままに、キャベツをまな板に載せ替えて包丁を持った。なん
のためらいもなくキャベツを切ることができた。
「あ! 切れた!」
包丁がリズミカルに音を立てて、山盛りのキャベツの千切りが出来上がった。ヤ
ムチャは少年のような表情でオヤジに言った。
「すごいよオヤジ! あんなに難しかったキャベツの千切りが、まな板にしたらこ
んなに簡単にできちゃった! ふっしぎー!」
「お客さん、ノートパソコンじゃこうはいかないよ! いい買い物したよ!」
「わーい!」
ヤムチャは小躍りして店を出て行った。1時間後に戻ってきた。
「オレ様は、ノートパソコンが欲しいのである。まな板はいらないのである」
オヤジはチッと舌を鳴らして、面倒くさそうにノートパソコンを持ってきた。ヤ
ムチャはパソコンを引ったくって、まな板をカウンターに叩きつけた。
「まな板は返してやる! 死ぬまでキャベツをきざんでろクソオヤジ!」
「もう返品はできないよー」
「するか!」
ヤムチャは正真正銘のノートパソコンを持って、悟空に見せびらかしにいった。
悟空は敵に半殺しにされていたが、ヤムチャが呼ぶとうっすらと目を開けた。
「ごめんなヤムチャ。地球の平和は守れなかったよ」
「そんなもんは守らなくていいから。それよりノートパソコン買っちゃった!」
ヤムチャは得意そうにノートパソコンの電源を入れた。ウインドウズが起動して、
画面右下にバルーンメッセージが表示された。
「コンピューターが危険にさらされています」
ノートパソコンにはアンチウイルスソフトが入っていなかった。喜色満面だった
ヤムチャの顔が見る見る青ざめた。
「悟空、これどうしたらいい! パソコンの危険はどうしたら治るの!」
「ア、アンチ……」
悟空は意識を失った。鼻の穴に指を突っ込んでも豚の生き血を呑ませても、悟空
はうんともすんとも言ってくれない。ヤムチャはパソコンを持ったまま右往左往し
た挙げ句、もと来た道を引き返した。
「オヤジ、アンチなんとかをくれ!」
電器屋のオヤジはヤムチャをチラリと見て、奥の棚の一番上を指さした。
「あれだ」
「サンキュー!」
ヤムチャはノートパソコンの上に新鮮なアンチョビサラダを載せて家に帰った。
電器屋のオヤジはヤムチャをチラリと見て、奥の棚の一番上を指さした。
「あれだ」
「サンキュー!」
ヤムチャはノートパソコンの上に新鮮なアンチョビサラダを載せて家に帰った。