「バイオレット、どういうことだ?」
その問いに、キース・バイオレットはまたも珍しく弱気な表情を見せた。
「──クリフ・ギルバートとシルバー兄さんの戦闘は……現在進行形で続行中なの」
それからちらりとセピアとユーゴーに視線をやり、
「クリフ・ギルバートはユーゴー・ギルバートが死んだと思い込んでいるわ。
放送で呼びかけてみてもなんの応答もない。被害ばかりが拡大する一方。
シルバー兄さんはグリーンがこの子たちを助け出したことに気付いているでしょうけど……
彼にその事実を教えることより、戦いを続けることを選んだのね」
あの人も一度思い込むとこうだから、と、バイオレットは両手で自分の視界を狭めるジェスチャーをしてみせた。
「お陰でカリヨンタワー内は未曾有の大惨事よ。危険レベルが4まで引き上げられて、
シークレットフォース『イプシロン』の投入も真面目に検討されているわ。
笑えるだろう? たった二人の人間相手に、米国内でも指折りの特殊部隊を一部隊丸ごとぶつけると言うのだから」
もちろん、笑えなかった。
それにあの二人が人間だというのはどうだろうか、というのがレッドの率直な感想だった。
「に、兄さんは人間です。馬鹿にしないでください」
セピアの背に隠れながら、ユーゴー・ギルバートがレッドに精一杯の険しい視線を浴びせてきた。
それはてんでなっていない睨みかたで、睨むというよりはただ一心に見つめているように感じる。
しかもレッドが目線を返すと、途端にセピアの後ろに引っ込んでしまった。
「……誰もそんなこと言ってないだろう? なんだい、この子」
不思議そうに肩をすくめるキース・グリーンに、ユーゴーに代わってセピアが説明する。
「ユーゴーはテレパシーが使えるのよ。エッチなこと考えてても筒抜けなんだからね。分かったかしら、青少年たち?」
ね、とユーゴーの頭を撫でる。
驚きと興味の入り混じったグリーンの視線に怯えるように、ユーゴーがますますセピアの背中に張り付く。
「あれ? レッドは驚かないんだね」
薄々は感づいてたからな、とレッドは口にはせずに心の中で答える。
クリフの精神を一度は目覚めさせた声、あの時聞いたユーゴー・ギルバートの声は音の無い声だった。
自分の思念波を直接、周囲に振りまいたのだろう。
ユーゴーはクリフと同じくPSIラボの実験体のはずだった。そんなことのできる超能力と言えば一つしか思い浮かばない。
「テレパスってやつか」
「え? 違うよう、テレパシストだよ」
「……どっちでもいいだろ。大事なことか、それ」
レッドがぶっきらぼうに返すと、セピアはむっとした感じでメガネの位置を直した。
その仕草に訳も無く気の咎めるレッドだったが、そこに空気の読めないグリーンが話に割って入る。
「とにかくだね、今回の事態にはブラック兄さんも憂慮している。
兄さんは僕を褒めてくれたよ。兄が妹を手に掛けるという最悪の事態を回避したこと、
エグリゴリにとって非常に有益な二人の妹を救い出したことに、ね。……ああレッド、君のことはなにも言っていなかったよ」
まさに鼻高々といった風情であった。ただ自慢したかっただけにしか聞こえない。
最後の一言は明らかに余計であり、レッドを挑発しているとしか思えなかった。
そう判断したレッドは『グリフォン』を密かに解放させ、チェシャ猫よろしくにやけたグリーンの鼻面へ超音波を──
「やめろと言っているだろう」
バイオレットがベッドシーツの下に隠されたレッドの腕を鷲掴みにした。女の、いや人間の握力とは思えなかった。
「ぐあああぁ!」
あまりの痛さに絶叫し、それを見下ろすバイオレットが呆れたように溜息をつく。
「……まあ、そんな元気があるのなら命に別状は無いようね。安心したかしら、セピア」
こっそりセピアの横顔をうかがうと、彼女は心底から嬉しそうに深く頷いていた。
その問いに、キース・バイオレットはまたも珍しく弱気な表情を見せた。
「──クリフ・ギルバートとシルバー兄さんの戦闘は……現在進行形で続行中なの」
それからちらりとセピアとユーゴーに視線をやり、
「クリフ・ギルバートはユーゴー・ギルバートが死んだと思い込んでいるわ。
放送で呼びかけてみてもなんの応答もない。被害ばかりが拡大する一方。
シルバー兄さんはグリーンがこの子たちを助け出したことに気付いているでしょうけど……
彼にその事実を教えることより、戦いを続けることを選んだのね」
あの人も一度思い込むとこうだから、と、バイオレットは両手で自分の視界を狭めるジェスチャーをしてみせた。
「お陰でカリヨンタワー内は未曾有の大惨事よ。危険レベルが4まで引き上げられて、
シークレットフォース『イプシロン』の投入も真面目に検討されているわ。
笑えるだろう? たった二人の人間相手に、米国内でも指折りの特殊部隊を一部隊丸ごとぶつけると言うのだから」
もちろん、笑えなかった。
それにあの二人が人間だというのはどうだろうか、というのがレッドの率直な感想だった。
「に、兄さんは人間です。馬鹿にしないでください」
セピアの背に隠れながら、ユーゴー・ギルバートがレッドに精一杯の険しい視線を浴びせてきた。
それはてんでなっていない睨みかたで、睨むというよりはただ一心に見つめているように感じる。
しかもレッドが目線を返すと、途端にセピアの後ろに引っ込んでしまった。
「……誰もそんなこと言ってないだろう? なんだい、この子」
不思議そうに肩をすくめるキース・グリーンに、ユーゴーに代わってセピアが説明する。
「ユーゴーはテレパシーが使えるのよ。エッチなこと考えてても筒抜けなんだからね。分かったかしら、青少年たち?」
ね、とユーゴーの頭を撫でる。
驚きと興味の入り混じったグリーンの視線に怯えるように、ユーゴーがますますセピアの背中に張り付く。
「あれ? レッドは驚かないんだね」
薄々は感づいてたからな、とレッドは口にはせずに心の中で答える。
クリフの精神を一度は目覚めさせた声、あの時聞いたユーゴー・ギルバートの声は音の無い声だった。
自分の思念波を直接、周囲に振りまいたのだろう。
ユーゴーはクリフと同じくPSIラボの実験体のはずだった。そんなことのできる超能力と言えば一つしか思い浮かばない。
「テレパスってやつか」
「え? 違うよう、テレパシストだよ」
「……どっちでもいいだろ。大事なことか、それ」
レッドがぶっきらぼうに返すと、セピアはむっとした感じでメガネの位置を直した。
その仕草に訳も無く気の咎めるレッドだったが、そこに空気の読めないグリーンが話に割って入る。
「とにかくだね、今回の事態にはブラック兄さんも憂慮している。
兄さんは僕を褒めてくれたよ。兄が妹を手に掛けるという最悪の事態を回避したこと、
エグリゴリにとって非常に有益な二人の妹を救い出したことに、ね。……ああレッド、君のことはなにも言っていなかったよ」
まさに鼻高々といった風情であった。ただ自慢したかっただけにしか聞こえない。
最後の一言は明らかに余計であり、レッドを挑発しているとしか思えなかった。
そう判断したレッドは『グリフォン』を密かに解放させ、チェシャ猫よろしくにやけたグリーンの鼻面へ超音波を──
「やめろと言っているだろう」
バイオレットがベッドシーツの下に隠されたレッドの腕を鷲掴みにした。女の、いや人間の握力とは思えなかった。
「ぐあああぁ!」
あまりの痛さに絶叫し、それを見下ろすバイオレットが呆れたように溜息をつく。
「……まあ、そんな元気があるのなら命に別状は無いようね。安心したかしら、セピア」
こっそりセピアの横顔をうかがうと、彼女は心底から嬉しそうに深く頷いていた。
「ブラック兄さんと善後策を協議する」と言い残し、バイオレットとグリーンは病室から消えた。
入れ違いにドクター・ティリングハーストがレッドの元を訪れる。
「ふむ、また死に損なったようじゃの。同情するわい、レッドよ」
いつもならその手の毒舌には不機嫌と苛立ちを込めた憎まれ口で応戦するのだが、今はそれよりも大事な用があった。
どうしてもドクターに問い質さなくてはならないことがある。
「セピア。出て行け」
ちょっと考えて、言い直す。
「オレはドクターと話があるから、あんたとユーゴーは呼ぶまで外で待っていてくれ」
こう言うと、セピアは素直に従った。
ユーゴーの手を引いて退室するセピアを見送り、ドクターは面白そうに口を歪ませる。
「どういう風の吹きまわしかね? まさかお前が言葉を選んでものを言うなど、思いもしなかったぞ」
「うるせえよドクター。それより聞きたいことがある」
「ほう……」
ドクター・ティリングハーストの目が興味深く開かれる。
それはエグリゴリの最高頭脳に相応しい、知性溢れる眼差しだった。
「セピアのARMSのことだ。『セマンティック・コンタクト』ってのはなんだ?」
ドクターが「セピアのARMSとは」として提示したヒントがその言葉だった。
意味論的に接触すること。
その意味不明なシラブルに、いったいどんな秘密が隠されているのか、レッドはそれを知りたかった。
レッドは、クリフとシルバーの極限状態を見、自分の行く末を悟った。
だが、獣でも機械でもない道があるような気がした。
その鍵がセピアの『モックタートル』にあるのではないか、と。
「この際、変にもったいぶるのはナシだ。答えろよ、ドクター。それが『モックタートル』の真の能力なのか?」
「そうであるとも言えるし、そうでないとも言える」
「おいドクター──」
その韜晦めいた返答に、レッドは業を煮やして眉を吊り上げる。
だがドクターは深い皺の刻まれた科学者の手でそれを制した。
「レッドよ。なぜ同じことをセピアに訊ねないのかね?」
「なんだと……?」
「彼女はお前と違って馬鹿ではない。自分のことを良く知っておる。それはお前さんにも分かるじゃろう。
なぜ、キース・セピアに『あなたを理解したい』、とたった一言が言えないのかね?」
「ふざけろよ、オレが聞きたいのはそういうことじゃなくてだな」
「同じことじゃよ。お前たちは不幸にもARMSを移植された、運命に選ばれた適応者じゃ。
その区別から逃れることなど出来はしない。大事なのは、それをどう受け止めるか、ではないかね?」
ドクターがなにを言いたいのか、レッドにはさっぱりだった。
だが、ドクターは確実になにかを伝えようとしている。
おそらくはレッドに、セピアに、すべてのキースシリーズに伝えたいであろう、心底からの言葉を。
「ARMSを受け入れると言うことは、それを理解するということじゃ。それが生む破壊や絶望に委ねることでは、決してない。
ARMSをただの殺人兵器だと割り切り、自在に操っている気分になることに、いったいなんの意味がある?
キース・セピアその人を理解せずして、『モックタートル』が理解できると考えるのは、まさに愚考だと思わんかね?」
入れ違いにドクター・ティリングハーストがレッドの元を訪れる。
「ふむ、また死に損なったようじゃの。同情するわい、レッドよ」
いつもならその手の毒舌には不機嫌と苛立ちを込めた憎まれ口で応戦するのだが、今はそれよりも大事な用があった。
どうしてもドクターに問い質さなくてはならないことがある。
「セピア。出て行け」
ちょっと考えて、言い直す。
「オレはドクターと話があるから、あんたとユーゴーは呼ぶまで外で待っていてくれ」
こう言うと、セピアは素直に従った。
ユーゴーの手を引いて退室するセピアを見送り、ドクターは面白そうに口を歪ませる。
「どういう風の吹きまわしかね? まさかお前が言葉を選んでものを言うなど、思いもしなかったぞ」
「うるせえよドクター。それより聞きたいことがある」
「ほう……」
ドクター・ティリングハーストの目が興味深く開かれる。
それはエグリゴリの最高頭脳に相応しい、知性溢れる眼差しだった。
「セピアのARMSのことだ。『セマンティック・コンタクト』ってのはなんだ?」
ドクターが「セピアのARMSとは」として提示したヒントがその言葉だった。
意味論的に接触すること。
その意味不明なシラブルに、いったいどんな秘密が隠されているのか、レッドはそれを知りたかった。
レッドは、クリフとシルバーの極限状態を見、自分の行く末を悟った。
だが、獣でも機械でもない道があるような気がした。
その鍵がセピアの『モックタートル』にあるのではないか、と。
「この際、変にもったいぶるのはナシだ。答えろよ、ドクター。それが『モックタートル』の真の能力なのか?」
「そうであるとも言えるし、そうでないとも言える」
「おいドクター──」
その韜晦めいた返答に、レッドは業を煮やして眉を吊り上げる。
だがドクターは深い皺の刻まれた科学者の手でそれを制した。
「レッドよ。なぜ同じことをセピアに訊ねないのかね?」
「なんだと……?」
「彼女はお前と違って馬鹿ではない。自分のことを良く知っておる。それはお前さんにも分かるじゃろう。
なぜ、キース・セピアに『あなたを理解したい』、とたった一言が言えないのかね?」
「ふざけろよ、オレが聞きたいのはそういうことじゃなくてだな」
「同じことじゃよ。お前たちは不幸にもARMSを移植された、運命に選ばれた適応者じゃ。
その区別から逃れることなど出来はしない。大事なのは、それをどう受け止めるか、ではないかね?」
ドクターがなにを言いたいのか、レッドにはさっぱりだった。
だが、ドクターは確実になにかを伝えようとしている。
おそらくはレッドに、セピアに、すべてのキースシリーズに伝えたいであろう、心底からの言葉を。
「ARMSを受け入れると言うことは、それを理解するということじゃ。それが生む破壊や絶望に委ねることでは、決してない。
ARMSをただの殺人兵器だと割り切り、自在に操っている気分になることに、いったいなんの意味がある?
キース・セピアその人を理解せずして、『モックタートル』が理解できると考えるのは、まさに愚考だと思わんかね?」
もったいぶった話はナシだ、と言ったはずが、やはりドクターのベースに巻き込まれ、それそのものといった話になってしまった。
「やっぱり素直に教える気はねーのか」
「ふふん、ワシは単純明快な解決策を提示したぞ。『セピアに訊け』。それが最終回答じゃ。
どの道、お前の理解力ではワシの高尚な理論にはついて来れまいて」
「この狸ジジイ……」
毒づくレッドをいなすように、ドクターは椅子から立ち上がる。
「しかしまあ、もう一つだけヒントを与えてやらんでもない。ただし、今後はワシにもっと協力的になることが条件じゃがな。
ワシのありがたい検査結果を邪険にしたり、自分にだけ都合のいい説明を求めるのは──
そう、お前の低俗な言葉を借りるなら『ナシ』、というやつじゃ」
「分かったよ。だからさっさと言ってくれ」
それは即答とも言えるレスポンスの早さで、さしものドクターも「ほっ」と笑い声を漏らした。
そしてドクターは白衣のポケットに突っ込んでいた拳を取り出し、レッドの眼前で開く。
なにか握れていると思ったのだが、まったくの空手だった。
その手は完全に上を向いておらず、むしろ地面に対しての垂直に近かった。
「……なんだ」
「ワシと同じようにしてみろ」
言われて、レッドは半信半疑のままドクターの見真似で手を差し出す。
すると、ドクターはレッドの手を握った。それは微かに生温かく、硬い皮膚感触がレッドに伝わってきて、
「な、なにすんだよ気持ち悪ぃ」
手を振りほどこうとするレッドだったが、ドクターはその動きに合わせてぶんぶんと腕を振って離そうとしない。
「なに、ただのシェイクハンドじゃよ。気持ち悪いとはご挨拶じゃな。そんなに他人との接触を嫌うのはなぜだね?」
ムキになったレッドがさらに強く腕を振ろうとしたところで、ドクターはあっさりとその手を離す。
勢いあまったレッドがたたらを踏むのへ、ドクターはさっさと出口に歩いていった。
「レッドよ。こういうときはの、『気持ち悪ぃ』ではなく、『How are you?』と言うものじゃ。
そうするとワシは『Fine,Thank you』と答える。握手の後に交わされる会話としては、そのパターンが統計上最も多い」
ドクターはそこでポケットに手を差し込んだままで両腕を開いて見せた。
白衣が垂幕のように広がり、レッドの視界を占める。これでヒントはお終い、とでも言いたげに。
アリストテレスに代表される古代哲学の逍遥派が、講義の締め括りに衣を幕のように開いてみせていた、
という故事など、もちろんレッドは知る由も無い。
「やっぱり素直に教える気はねーのか」
「ふふん、ワシは単純明快な解決策を提示したぞ。『セピアに訊け』。それが最終回答じゃ。
どの道、お前の理解力ではワシの高尚な理論にはついて来れまいて」
「この狸ジジイ……」
毒づくレッドをいなすように、ドクターは椅子から立ち上がる。
「しかしまあ、もう一つだけヒントを与えてやらんでもない。ただし、今後はワシにもっと協力的になることが条件じゃがな。
ワシのありがたい検査結果を邪険にしたり、自分にだけ都合のいい説明を求めるのは──
そう、お前の低俗な言葉を借りるなら『ナシ』、というやつじゃ」
「分かったよ。だからさっさと言ってくれ」
それは即答とも言えるレスポンスの早さで、さしものドクターも「ほっ」と笑い声を漏らした。
そしてドクターは白衣のポケットに突っ込んでいた拳を取り出し、レッドの眼前で開く。
なにか握れていると思ったのだが、まったくの空手だった。
その手は完全に上を向いておらず、むしろ地面に対しての垂直に近かった。
「……なんだ」
「ワシと同じようにしてみろ」
言われて、レッドは半信半疑のままドクターの見真似で手を差し出す。
すると、ドクターはレッドの手を握った。それは微かに生温かく、硬い皮膚感触がレッドに伝わってきて、
「な、なにすんだよ気持ち悪ぃ」
手を振りほどこうとするレッドだったが、ドクターはその動きに合わせてぶんぶんと腕を振って離そうとしない。
「なに、ただのシェイクハンドじゃよ。気持ち悪いとはご挨拶じゃな。そんなに他人との接触を嫌うのはなぜだね?」
ムキになったレッドがさらに強く腕を振ろうとしたところで、ドクターはあっさりとその手を離す。
勢いあまったレッドがたたらを踏むのへ、ドクターはさっさと出口に歩いていった。
「レッドよ。こういうときはの、『気持ち悪ぃ』ではなく、『How are you?』と言うものじゃ。
そうするとワシは『Fine,Thank you』と答える。握手の後に交わされる会話としては、そのパターンが統計上最も多い」
ドクターはそこでポケットに手を差し込んだままで両腕を開いて見せた。
白衣が垂幕のように広がり、レッドの視界を占める。これでヒントはお終い、とでも言いたげに。
アリストテレスに代表される古代哲学の逍遥派が、講義の締め括りに衣を幕のように開いてみせていた、
という故事など、もちろんレッドは知る由も無い。