「狼娘よ」
イカ娘が聞いた。
「もが? もぐもぐ、もが」
「飲み込んでからでいいでゲソが……。
お主は何を目的に、わたしたちに近づいたのでゲソ?
まさかそうやって肉を食べるためだけじゃなイカとは思うでゲソが……」
「もがー」
狼娘が口の中の肉類を一気に飲み込んだ。
「もちろん侵略だワン」
(やっぱりか……)
何人かが心の中でつぶやいた。
が、イカ娘と狼娘は大真面目に、
「実はわたしもそうなのでゲソ」
「そうだったワンか!」
「人間どもはやりすぎたでゲソ」
イカ娘が考え深げな表情になった。
「ポイ捨て、化学薬品の垂れ流し、地球温暖化……。
どれもこれも、人間が自分の廃棄物の処理に考えが至らないところからきているでゲソ。
その辺の猫でさえ、自分のフンに砂をかける知恵はあるでゲソ。
これでは猫以下じゃなイカ!」
イカ娘が聞いた。
「もが? もぐもぐ、もが」
「飲み込んでからでいいでゲソが……。
お主は何を目的に、わたしたちに近づいたのでゲソ?
まさかそうやって肉を食べるためだけじゃなイカとは思うでゲソが……」
「もがー」
狼娘が口の中の肉類を一気に飲み込んだ。
「もちろん侵略だワン」
(やっぱりか……)
何人かが心の中でつぶやいた。
が、イカ娘と狼娘は大真面目に、
「実はわたしもそうなのでゲソ」
「そうだったワンか!」
「人間どもはやりすぎたでゲソ」
イカ娘が考え深げな表情になった。
「ポイ捨て、化学薬品の垂れ流し、地球温暖化……。
どれもこれも、人間が自分の廃棄物の処理に考えが至らないところからきているでゲソ。
その辺の猫でさえ、自分のフンに砂をかける知恵はあるでゲソ。
これでは猫以下じゃなイカ!」
「わたしもまったく同じ感想だワン」
狼娘が言った。
「人間は身勝手だワン。
あの道路というやつでどれだけの動物が苦労しているか分かっていないのだワン。
里山と称して自然に手を加え(これにはメリットもあるワンが)、
働き手がいなくなったら放置する。この無計画さにはあきれるワン」
「そこでわたしは深海から侵略に来たのでゲソ」
「わたしも樹海から侵略に来たのだワン」
がしっと音をたて、イカ娘と狼娘の腕が組み合わされた。
「いいやつじゃなイカ!」
「同胞だワン!」
狼娘が言った。
「人間は身勝手だワン。
あの道路というやつでどれだけの動物が苦労しているか分かっていないのだワン。
里山と称して自然に手を加え(これにはメリットもあるワンが)、
働き手がいなくなったら放置する。この無計画さにはあきれるワン」
「そこでわたしは深海から侵略に来たのでゲソ」
「わたしも樹海から侵略に来たのだワン」
がしっと音をたて、イカ娘と狼娘の腕が組み合わされた。
「いいやつじゃなイカ!」
「同胞だワン!」
「同胞もできたところで侵略の訓練をするでゲソ」
「まずは水泳だワン」
イカ娘と狼娘が、それぞれワンピースとジャケットを脱ぎすて、
川へと走っていった。
イカ娘は白のワンピース水着、狼娘は黒のビキニ姿である。
(川遊びにしか見えんが……)
栄子が心の中で呟いた。
イカ娘と狼娘は、水を掛け合ったり、泳ぎの競争をしたり、まるで双子の姉妹のように見える。
(まあ、いいか)
「まずは水泳だワン」
イカ娘と狼娘が、それぞれワンピースとジャケットを脱ぎすて、
川へと走っていった。
イカ娘は白のワンピース水着、狼娘は黒のビキニ姿である。
(川遊びにしか見えんが……)
栄子が心の中で呟いた。
イカ娘と狼娘は、水を掛け合ったり、泳ぎの競争をしたり、まるで双子の姉妹のように見える。
(まあ、いいか)
「いいだワンか、イカ娘」
ひとしきり泳いだあと、川の真ん中で、狼娘がイカ娘に言った。
「あの看板を見るだワン」
狼娘が指さした、川のほとりの看板を見て、イカ娘の顔色が変わった。
「ゴルフ場、建設予定地……?」
「市は、人を呼び込むために、ゴルフ場をこのキャンプ場に併置する予定なのだワン。
ゴルフ場ができてしまったら、森の生態系は大ダメージだワン。
わたしはなんとしても、少なくとも倉鎌市を、侵略しなければならないのだワン」
「わたしも手伝……」
「だからイカ娘」
狼娘は敏捷に水を掻くと、イカ娘の体に自分の体を重ねあわせた。
そして。
柔らかな首筋に、冷たく鋭い牙を突き立てた。
「さよならだワン」
ひとしきり泳いだあと、川の真ん中で、狼娘がイカ娘に言った。
「あの看板を見るだワン」
狼娘が指さした、川のほとりの看板を見て、イカ娘の顔色が変わった。
「ゴルフ場、建設予定地……?」
「市は、人を呼び込むために、ゴルフ場をこのキャンプ場に併置する予定なのだワン。
ゴルフ場ができてしまったら、森の生態系は大ダメージだワン。
わたしはなんとしても、少なくとも倉鎌市を、侵略しなければならないのだワン」
「わたしも手伝……」
「だからイカ娘」
狼娘は敏捷に水を掻くと、イカ娘の体に自分の体を重ねあわせた。
そして。
柔らかな首筋に、冷たく鋭い牙を突き立てた。
「さよならだワン」