“神”という単語を聞けば、おそらく十人中十人が(実在を信じるかはともかくとして)
いわゆる“最高の存在”を連想するだろう。
ところが「上には上がいる」という言葉が象徴するように、神もまた最高ではない。
なぜなら、宇宙には神をも超越する存在“界王”がいるからだ。
いわゆる“最高の存在”を連想するだろう。
ところが「上には上がいる」という言葉が象徴するように、神もまた最高ではない。
なぜなら、宇宙には神をも超越する存在“界王”がいるからだ。
界王星。蛇の道終着点に位置する、あの世ともこの世ともつかぬ領域。
体積は小さいが、重力はなんと地球の十倍。
「ほれ、出たぞ~い」
淡い黄土色をした液体が、あちこちにばら撒かれる。
「それっ、ウェーブじゃっ!」
液体の軌道が右往左往し、心電図さながらの波を描く。
「はいーっ! 超スピード!」
とてつもない勢いで雑草に落ちていく液体。まもなく噴射が終わる。
丸出しになっていた陰茎をしまい、声の主が一息つく。
「ふぅ……すっきりした」
背は低く、体格は太め。丸いサングラスに、触覚がついた奇妙な帽子。さらにはこれま
た奇妙なマークが刻印された中華服。加えて余りにも下らない遊びに興じていた男。正真
正銘、界王その人である。
彼が行っていたのは小便アート。現在ちょっとしたマイブームとなっている。
「どうじゃった、今のは?」
「ウッホッホ、ウッホッホ」
「そうかそうか~!」
ペットである猿、バブルスに評価を求め大喜びする界王。
偉人が考えていることは、どうも凡人には理解しがたいところがあるようだ。
体積は小さいが、重力はなんと地球の十倍。
「ほれ、出たぞ~い」
淡い黄土色をした液体が、あちこちにばら撒かれる。
「それっ、ウェーブじゃっ!」
液体の軌道が右往左往し、心電図さながらの波を描く。
「はいーっ! 超スピード!」
とてつもない勢いで雑草に落ちていく液体。まもなく噴射が終わる。
丸出しになっていた陰茎をしまい、声の主が一息つく。
「ふぅ……すっきりした」
背は低く、体格は太め。丸いサングラスに、触覚がついた奇妙な帽子。さらにはこれま
た奇妙なマークが刻印された中華服。加えて余りにも下らない遊びに興じていた男。正真
正銘、界王その人である。
彼が行っていたのは小便アート。現在ちょっとしたマイブームとなっている。
「どうじゃった、今のは?」
「ウッホッホ、ウッホッホ」
「そうかそうか~!」
ペットである猿、バブルスに評価を求め大喜びする界王。
偉人が考えていることは、どうも凡人には理解しがたいところがあるようだ。
ちょうどその時、界王星に珍しく来客があった。
「よぉっ、界王様、バブルス!」
軽快な挨拶が飛ぶ。
「ご、悟空っ! いったいどこから現れたんじゃ!?」
来客は孫悟空であった。ナメック星で超サイヤ人に目覚め、悪の根フリーザを打ち倒し
た張本人。
「あぁ、ちょっと瞬間移動でな」
「瞬間移動……? また便利な技を覚えたもんじゃのう。で、何しに来たんじゃ?」
「え、あぁ、ほらフリーザとの戦いじゃ、ずいぶん界王様に世話になったからさ。お礼に
来たんだ」
と、五百ゼニーで購入した菓子折りを手渡す悟空。
「ほう、わざわざすまんな」
「あ、あと、これも」
菓子折りの上に、ぽんと乗せられるビデオテープ。タイトルは『爆笑必至!お笑い傑作
選』とある。
「これは?」
「あぁ、初め何を持っていくか迷ってちゃってさ。ヤムチャとかに相談したら、界王様は
ギャグが好きだからこういうのがいいって持たされたんだ。っつっても、オラはどうもよ
く分からねぇけど。まぁ、せっかくだから暇があったら見てくれよ」
「ふむ……。ギャグの天才であるわしにとっては“釈迦に説法”のような土産じゃが、暇
があったら見ておこう」
こうして悟空は帰っていった。
さて、“暇があったら”どころか暇だらけの界王。意気揚々と自宅のビデオデッキにテ
ープを入れる。
悟空にはああいったが、内心は期待に満ち溢れていた。
「よぉっ、界王様、バブルス!」
軽快な挨拶が飛ぶ。
「ご、悟空っ! いったいどこから現れたんじゃ!?」
来客は孫悟空であった。ナメック星で超サイヤ人に目覚め、悪の根フリーザを打ち倒し
た張本人。
「あぁ、ちょっと瞬間移動でな」
「瞬間移動……? また便利な技を覚えたもんじゃのう。で、何しに来たんじゃ?」
「え、あぁ、ほらフリーザとの戦いじゃ、ずいぶん界王様に世話になったからさ。お礼に
来たんだ」
と、五百ゼニーで購入した菓子折りを手渡す悟空。
「ほう、わざわざすまんな」
「あ、あと、これも」
菓子折りの上に、ぽんと乗せられるビデオテープ。タイトルは『爆笑必至!お笑い傑作
選』とある。
「これは?」
「あぁ、初め何を持っていくか迷ってちゃってさ。ヤムチャとかに相談したら、界王様は
ギャグが好きだからこういうのがいいって持たされたんだ。っつっても、オラはどうもよ
く分からねぇけど。まぁ、せっかくだから暇があったら見てくれよ」
「ふむ……。ギャグの天才であるわしにとっては“釈迦に説法”のような土産じゃが、暇
があったら見ておこう」
こうして悟空は帰っていった。
さて、“暇があったら”どころか暇だらけの界王。意気揚々と自宅のビデオデッキにテ
ープを入れる。
悟空にはああいったが、内心は期待に満ち溢れていた。
一週間後、再び界王星を訪れる悟空。
界王はいつもと変わらないのんきな生活を送っていた。──ある一ヶ所を除いて。
「あれっ! 界王様、どうしちまったんだ?!」
悟空はすぐに気づいた。彼の頭上に、金色に光る輪っかが浮かんでいることに。
「えっ?! い、いや……ちょっと、ね……」
汗をかき、口ごもる界王。まさかビデオで笑い死にしたなどと、口が裂けてもいえるも
のか。
界王はいつもと変わらないのんきな生活を送っていた。──ある一ヶ所を除いて。
「あれっ! 界王様、どうしちまったんだ?!」
悟空はすぐに気づいた。彼の頭上に、金色に光る輪っかが浮かんでいることに。
「えっ?! い、いや……ちょっと、ね……」
汗をかき、口ごもる界王。まさかビデオで笑い死にしたなどと、口が裂けてもいえるも
のか。
お わ り