SS暫定まとめwiki~みんなでSSを作ろうぜ~バキスレ 第096話 「演劇をしよう!!」(中編) (2)


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「戦士長が監督ぅ!!?」
「はい。アクションの方ですが。ちなみに特撮監督は無銘サンです」
 斗貴子は愕然とした。演劇部をめぐる状況はだんだん凄まじくなりつつある。
「フ。俺にかかればこれぐらい簡単だ」
 振り返る。黒檀の素晴らしいタンスができたところだ。額の汗を拭う総角。歓声。周囲の生徒が燃えている。
 香美とのアクションがひと段落した斗貴子は大道具の方を見にきた。総角の動向が気になったというのもあるがそれ以上
に防人の所在を知りたかったのだ。
「助かった毒島。ケータイが通じなかったからな。手間をかけた」
「い、いえ。大丈夫です。仲間をサポートするのも仕事ですから」
 そういう彼女は小道具係らしい。先ほどから何やら赤やら緑やらの宝石を針金に通している。
「ところでどうしてキミは素顔なんだ?」
「防人戦士長の命令です……。ずっとガスマスクだと目立ちますし、その、体験入学扱いで皆様のお手伝いをするコトになり
ましたから素顔の方がいいって。でも、でも……私、やっぱりガスマスクの方が……。素顔だと……恥ずかしくて……」
 これがあの毒島なのかと目を疑う斗貴子だ。ひどく気弱そうな少女がそこに居た。大きな瞳は垂れ目気味でひどく愛らし
いが同時に小動物のように怖々と潤んでいる。物音がするたびビクビクとそちらを見ている。
 マスクのせいで紫外線とは無縁なのだろう。肌ときたらミルクを流し込んだように白い。青いカチューシャはいかにも良家
のお嬢様。なぜ戦団などにいるのか。斗貴子は内心首をかしげた。(もっとも良家のお嬢様なのは斗貴子も同じだが)。髪と
きたらたんぽぽの綿毛よりも柔らかそうだ。小柄な体はガスマスク着用時こそ奇兵の印象をますます強めていたが今はむ
しろ愛くるしさを倍加中。
(心持ち態度も変わっているような……)
 普段はむしろ千歳や根来寄り、秘書官的な知性を感じさせる佇まいなのだがいまはどこにでもいる恥ずかしがりの女の
コという感じだ。しかも幼い。年齢を聞いた斗貴子は仰天した。「2つ下!? たったの!?」。高校生というのが信じられ
ないほどの童顔だった。小柄な体と相まって小学生にしか見えない……それが毒島だった。平素のくぐもった声も今は
ない。桜色のぷにゅぷにゅした唇からは天使がごとき囁きばかり漏れている。
 そこに小札が来て立ち止まった。毒島も彼女を見た。


(なんだか)
(気が合いそうなコト請け合い!)


 どこか似た要素のある二人である。どちらからともなく握手をした。とても力強い握手を。


 とりあえず斗貴子は体育館へ向かった。防人と無銘はそこに居るらしい。




 栴檀貴信はガチガチに緊張していた。

「あ!! ああああの!! 頼まれていた資料だ!! た、た、足りるだろうか!!」
 大声を張り上げると少女が1人、驚いたように顔を上げた。執筆中だったのだろう。机の上には原稿用紙が何枚か。
書きかけのものもあれば白紙も。丸まっているのは書き損じだろう。そういったものが不規則に散らばっている。
 顔を上げた少女はしばらくおっかなびっくりで貴信を眺めた。メガネの似合うおかっぱ頭だ。若宮千里。豆知識の要領で
覚えた演劇部員の個人情報には「几帳面」とある少女。散らかり具合は苦闘のせいだろう。
「そ、その!! 脚本を書くのに必要な本を!! 探してきたのだけれど!! あ、あ、あ、大声でビックリさせたのは
すまない!! ぼ、僕はこうしないと喋れなくて!!!」
 手近な机に本を置く。10数冊はあるだろう。新刊の文庫本もあればホコリだらけでカビ臭いハードカバーもある。ズシリ。
置くと重苦しい手ごたえがした。
「あ、いえ。すみません。ありがとうございます」
 やっと状況を理解したのだろう。千里は微笑した。それだけでもう逆上せ上がる貴信だ。まだ人間だった頃、学生時代
ときたら恋人はおろか同性の友人さえ作れなかった彼である。ときどき総角とバカをやったりもするがそれは貴信の性格
を見抜いた彼のレクリエーション的なサービスだし(それが分かっているからなお辛い!!)、無銘に至っては『尊敬でき
る弟』なるフクザツな位置づけ……頼れるし自分以上だと認めているがときどき危なっかしいので年上としてさりげなく
教導したいという様子だ。友情の萌芽があるのは目下秋水だが既知のとおり完璧超人、友誼を結びたいが結んでいい
のかという葛藤もありどうも踏み込めない。
 まして異性など!! 見た目だけなら同年代の異性など!!
 テンパって仕方ない貴信だ。
(わーーーーーーーーっ!! 良くない!! 良くないぞお!! ちょっと笑われたぐらいで意識するのは良くない!!!!
誰だって愛想笑いぐらいする!! そこを勘違いするのはダメだ!! ひょ、ひょ、ひょっとしたら僕の顔を笑ったのか
も知れないし……!! そ!! それはないと信じたいが!!! でででもでもやはり学生生活なんて僕には……!)


 なぜこうなったのか。


「栴檀貴信。キミも高校生活をエンジョイしたらどうだ?」
『ま!! 待つんだ戦士長さん!! 僕なんかが表に出ていい訳が!!』
「素顔のコトを言っているなら気にするな!! 戦士・秋水から聞いた!! キミもまたブラボーな精神の持ち主だ!!
あと足りないものがあるとすればそれはズバリ、勇気だ!!」
『勇気!?』
「そうだ!! 己を曝け出す勇気こそキミには必要だ!!」
『しかし僕はホムンクルスで……!!』
「総角主税から話は聞いている。例の、キミたちを1つの体にした『月の幹部』」

「奴に対しキミが取った行動……実にブラボーだ!! もちろん人によって反応はさまざまだろうが」

「あの姿勢を貫こうとする限りキミは奴らのようにはならない」





「んーにゅ。なんかよーわからんけどたまには交代したらどよご主人」





(勇気……)

 防人の励ましで香美との交代を決意した貴信だがしかしいきなり舞台に出る勇気はない。
 何か裏方作業がないか探しているうち文芸に空きを見つけたので立候補した。本を読むのは昔から得意である。
中学時代は昼休みになるたび図書室に居た。本の世界に浸るというよりは他人との交渉材料が欲しかったので
ある。豆知識。話のとっかかりを集積すれば自然と会話上手になる……そう思っていたが大失敗。人見知りが災
いし高校デビューは頓挫した。披露しても大した反応が返ってこないのが豆知識。会話の広がりなどまるでない。
「……の」
(あ、ああ。思い出すに辛い学校生活……。でも全うしたかった……)
「あの」
「うええええ!?」
 貴信はレモン型の瞳を張り裂きそうに見開いた。漆細工かと勘違いする見事な黒髪が40cmほど先にある。
「あの。本、好きなんですか?」
 千里が立ち上がっている。どうやら会話のとっかかりを探してくれたらしい。内向的であるが故に(ほぼ同質な)
相手の機微が分かりすぎる貴信だ。同時に相手の配慮に凄まじい罪悪感を覚えてしまう。いらぬ気遣いをさせて
しまった。申し訳ない。マンゴーって実は漆科だからあまり触れるとかぶれるぞ。反問と豆知識がぐるぐる揺れて
言葉をうまく紡げない。「あ、ああ!!」。広がりのない応答を漏らすのが精いっぱいだ。
(何! 何を聞けばいいのかなあ!! でも迂闊に踏み込むのも失礼だし!! 変な質問して気持ち悪がられた
ら悲しいし!! ど、どうしよう!!)
 助け舟は、予想外のところから来た。
「あー居た。貴信先輩ー。ちょっといいですか?」
 教室に明るい声が響いた。振り返る。まばゆい金の光にさまざまな既視感がよぎる。駆けよってきたのは少女。
貴信の知る範囲では小札をあてはめるのが一番近そうだ。お遊びのすぎるゴシックな制服がぶかぶかに見える
ほど小さな体で幼い顔。色素の薄い髪は光の中できらきら輝いている。それを頭の両側で短く縛っている姿に
もまた実は既視感。なぜなら──…
「沙織? どうしてココに?」
 千里の声。現実に戻る貴信。かぶりを振る。『過去』に浸りかけていたのは失敗だ。
「てかちーちん。本好きですかとか言っちゃダメだよ。もー。文芸選ぶぐらいなんだから好きに決まってるじゃない。ね。貴
信先輩?」
「こら沙織。いきなり名前で呼ばないの。失礼でしょ」
「えー。だって「せんだん先輩」じゃ呼びづらいし香美先輩とも区別つけ辛いし……。あ!! 香美先輩とは兄弟!?
それとも親戚!? まさか夫婦ってコトないよね!! というか香美先輩どこなのかなー」
「香美とは!! 血を分けた中で!! いまは割と近くに居る! と思う!!」
 目をキョドキョド泳がせたのは不意の来訪に驚いているせいでもあったが。それ以上に


(思い出した!! 思い出したぞこのコ!! 確か鐶副長がすり替わっていた!!)


 河合沙織。彼女は知らないだろうが記憶を抜き取るため頭に鎖分銅をぶつけたコトもある。


(本人と会話するのは初めて!? どうする!! 謝るのが筋!?)


 結果からいえば貴信属する音楽隊は沙織を一時期監禁していたカタチになる。
 鐶がなり変わっていたため騒ぎにはならなかったが……。


「そ!! そのだな!! 貴方は夏休みの一時期ちょっと記憶が飛んだりしてはないだろうか!!?」
「ふえ?」

 もともと丸い瞳を更にまろくして沙織は考え込んだ。

「言われてみればいろいろおかしかった気がする……。見覚えのない部屋で目覚めたりいつの間にか何日か過ぎてたり」
「くくく詳しくは話せないが!!! その件じつは僕も関わっている!! 本当に悪いコトをした!! すまない!!」
「? どゆコト?」
「え、えーと!! たとえば鎖分銅が頭に当たったりとか色々!!」
「よく分からないや」
 沙織は相好をくしゃくしゃに崩し舌を出した。
「えーと。何か事故があったってコトですか? 鎖分銅の練習中当たって……とか?」
「というか貴信先輩鎖分銅使えるんだ。スゴーい!!」
 口々にまくし立てる少女たちをほとほと持て余す貴信である。

(しまった!! というか思わず謝ったが機密的にどうなんだコレ!!)

 重要な情報こそ伏せはしたが……。疑念は尽きない。話題を変える。

「とととというか河合沙織……さん!! どうして貴方はココに!?」
「そうだった!! あのねあのね!!」

「六舛先輩たちが『見たら教えて』って。話があるって!」

(……!!!)

 六舛先輩。名前を聞いて即座に顔が浮かんだのは教室での出来事あらばこそ。


(確か彼は友人に耳打ちされていた!! 大浜という人に!!)

 あのとき香美の後頭部にあった貴信の顔。それを目撃した大浜。すかさず六舛に報告していた。



「六舛先輩たち今は体育館に居るよ。もし良かったら案内するけど……来る?」
 頷くほかなかった。正体を知られるコトは恐怖だが……それでも話すほかないと思った。


(なぜなら僕たちはこの学校に対し決して無害とは言い切れない!! すでにいくつか被害を出している!!)


 歩きながら携帯をイジる。総角と防人めがけ送ったメールはすぐ返信が来た。暴露を良しとされたのは六舛たちがカズ
キの親友であり薄々ながら錬金術の存在に気付いているせいだ。

 同時に貴信は沙織も六舛たちと同じ立場と知った。

 廊下の中央。立ち止まる。沙織に声をかける。汗だくになりながら言葉を発する。

 ……図らずも沙織がまずかつての戦いを知った。

 ただしヴィクトリアがホムンクルスだというコトは…………伏せた。

 彼女は音楽隊ではない。生活を脅かすような暴露はしたくなかった。



「なんだったの……?」


 一人教室に残された千里はしばらく呆然としていたが……すぐさま執筆を再開した。

 と。そこへ。


「さあ今回お送り致しますのは脚本でありまする!! 執筆されておりますのは若宮千里どの!! その筆力たるやまさに
鼎を扛(あ)ぐという風!! 新進気鋭! 期待のルーキー! 名場面の数々! はたして如何に生まれいでるか!!
隅から隅までズズ・ずいーーーーと映させて頂きたき所存!!」

 騒がしいリポーターがやってきた。一瞬撮影を拒もうかと思ったがカメラマンの姿を見てそれもやめた。
 カメラを持つヴィクトリアは薄く頬を染めながら千里を見ていた。美しい彼女のそういう表情を見ると脳髄の何事かが甘く
とろけそうだった。断われる理由がなかった。







 体育館。

「ブラボーさん? さっきまでその辺りをブラブラしてましたけど。いないわね今は」
「ったく。ブラつくならせめて携帯の電源ぐらい入れてくれ。細かい打ち合わせができないじゃないか」
 マジメ一方ね。桜花が揶揄するように笑うと斗貴子は喰ってかかった。剣呑な雰囲気だが演劇部はとっくに順応している
らしい。体育館に集まった生徒のうち何人かが面白そうに眺めている。
「だいたい戦士長は彼らを信じすぎている。ヴィクトリアといい、学校にホムンクルスを招くなどどうかしている。大体……」
 斗貴子はある一点を見た。鐶。打ち合わせ中らしくパピヨンと何事か話している。視線に気づくと気まずそうに首を竦めた。
 それもその筈。鐶は。
「蒸し返すようで悪いが、何人もの生徒を傷つけている」
 かつて繰り広げられた六対一。学校にて繰り広げられた大決戦。剣道部員たちはじめ多くの生徒を傷つけたのは年齢吸
収のためだから死者は出ていないがそれにしても特性のおぞましさ、当時校庭付近にいた生徒みな悉く胎児である。
 しかも斗貴子はその現場を見ている。戦士として防げなかった悔しさもある。ホムンクルスたる音楽隊の通学、もとより許容
不可である。まして鐶は平然といる。生徒を傷つけながら学校に。嫌悪たるや想像を絶するだろう。

「フム。確かに精神衛生上良くないな」
「戦士長!?」
 いつの間に!? 斗貴子は仰天した。背後に防人がいる。いつの間に!? そんな金切り声を浴びながら彼はしばし
考え込む仕草をし──…

「まあ精神衛生上こうするのがブラボーだな。桜花。今からいう生徒たちをココに集めてくれ」

 鐶の方へ歩いて行った。



「良く分からないけど、まあ」
「実は刺されたような気もするけど、その辺りよく覚えてないんだよなー」
「なー」
「傷も残っていないし」
「何より!」
「何より!」

「可愛いからオーケー!!!」


 無数のサムズアップが鐶めがけ突き出された。



「と言う訳で謝らせてみたぞ戦士・斗貴子!!」



 得意気に瞳輝かす防人の向こうには人だかり。先日鐶に一撃喰らわされた被害者たち。赤い髪の少女は彼らめがけ
ペコペコ頭を下げている。斗貴子はただ成り行きを眺めていたが、生徒たちの反応が明らかになるにつれ凛然たる表情
をどんどんどん情けなく取り崩した。誰一人責めていない。

(というかそもそも!!)

 人だかりはそろそろ崩れ始めている。蟻のような人影がばらばらと千切れ飛んでいる。
 その塊の一つが斗貴子の傍を通り過ぎた。唐突な謝罪について感想を漏らし合っているらしく、こんな言葉が聞こえた。

「いやー。しかしまさか悪いヤツに操られていたなんて」
「このまえ学校襲った連中の残党がやったのかな。あんな可愛いコを利用するなんて! 許せない!!」

 泡を食った表情で手まねき。寄ってきた防人に小声でまくし立てる。

(なんで捏造したんですか戦士長~~~~~~~~~~~~~~~!!)
(理由は簡単だ戦士・斗貴子!! ありのままを話せばコトがややこしくなる!!)

 なんという力押しで大雑把な事後処理。いつものコトだが斗貴子は肩を落とした。

「もうやだ。相変わらず戦士長は甘いし生徒は生徒で気楽すぎる……。私の心配はなんなんだ……」
「まあまあ。そんな人たちだからいいんじゃない」
「そうだぞ。だいたい鐶だって犠牲者……望まずしてホムンクルスになったんだ。仕出かしてしまったコトはちゃんと謝るべき
だが……許されたならエンジョイすべきだ。高校生活を」
 ぽんぽんと肩を乗せる桜花と防人。慰めているらしいが斗貴子には届かない。ただ悩ましげに嘆息した。
「で、アイツはいま何をしてるんだ。もう見たくない……。概要だけ説明してくれ」
「いま? そうね……」
.


「斗貴子先輩! 俺謝りましたけど正直本当に馴染めていくんスかね(声色)」
「生徒たちは許してくれたんだろ。なら大丈夫だと思うが(声色)」



((同じタイプの特技!!)


「あっちで生徒・六舛と睨みあっている。俺の見たところ拮抗している。ブラボーだ!」
 指示されるままそこを見た斗貴子は一段とうなだれた。六舛と鐶。お互い油断ならぬ相手と認めたらしくじつと
対峙している。
 もう馬鹿馬鹿しい。他の場所へ行く。肩いからせ去りかけた斗貴子だが意外な影に押しとどめられた。
 その影は別に斗貴子を留置するつもりはなく、原則の赴くまま部屋に飛び込んできたらたまたま衝突したまたま押し留
める結果になったというのが実情だ。影は誰か。斗貴子はすぐさま理解した。
「カメラどのカメラどのこっちこっち! ご覧下さい!! 時に演技とは戦争よりも苛烈なのでしょーか!! 何の練習か
よく分かりませぬが恐らく相当重要な場面なのでしょう!! 漲る白熱くゆる波濤! おっとまず動いたのは鐶副長、全身
から金色(こんじき)の火を噴いた! 出ました十八番・大得意の光輝の膜! それが怒髪よろしく天を突くううう!! 大き
い!! 時々思い出したように消防署の方がヘンな棒ぺったんこする天井のアレ! アレ! 正体不明、憎くてハダカの白
い奴がゴールド極彩色に染めあがる! これには六舛どもも表情を崩した!! 何という先手! 甘露が薄くけぶる瞳!
もはや相手さえ映っておりませぬ! 見るのは天挑むのも天! 神よ演技の覇権は我にあり認めぬならば殺すのみ!! 
そんな声さえ聞こえるほど猛っております!! 鐶副長肉体年齢12歳、かつてないほど猛っております!! オオオ!! 
しかし六舛どのもまた動いた! 一瞬深く息を吸い、吸い──、出したああああ!!光輝の膜ッ! くゆりにくゆる山吹の
ヴェール! 精緻! この世に存ずる何ものよりも美しい!! さあさあ、両者の気迫がとうとう動き出した。互いの速度は
まさに互角、ゆっくりと、しかし確実に相手めがけ……そろそろと動きつつ動きを探り──…放 た れ た ー っ! 勃発
です!! ついに勃発のジハード、その始まりはお二方の制空圏外ギリギリが触れ合いしとある個所! せり出したオーラ
がついに激突ーーーー!! さあ、さあっ!? 第一次銀成大戦その最前線はのっけからの膠着状態! 互いの威圧が
威圧と絡まり合いジガジガジガジガスパークしている! 激しい!! 対立のエチュードはかくも激しいものなのか!! ぶ
つかりあうオーラが右下とか斜向いとかとにかくその辺でボンボンボンボン弾けております!! もはや人の目に映るコトさ
え放棄した光の戦い! 戦況を示すものはただ一つ、せめぎあう境界を具現化した橙のっ! ぐにゃぐにゃぐにゃ~な稜線
のみ! その均衡は雄弁かつ壮大に語っている!!  五分ッッ!! 両者はまったくの五分!! 果たしてこの戦い、一体!
一体どうなるのでありましょうーーーーーーーーーーーーーっ!!」

「あの人も何かスゴいんだけど」
「……気にするな」

 近くにいた生徒の呟きにただ諦観を返すしかできぬ秋水である。






スターダストさん
ああ。相変わらず貴信の、「学生時代の辛い記憶」は胸を抉るものがあるっっ。とはいえ
過去編を見た今となっては、香美ともども(一応)平和に暮らせているのを見るとホッと
しますが。毒島が小札と意気投合してますが、性格及び能力の厄介さなら、鐶とも近い気が。