SS暫定まとめwiki~みんなでSSを作ろうぜ~バキスレ 第094話 「パピヨンvsヴィクトリア&音楽隊の帰還」後編 (8)


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──────銀成学園。演劇部一同がよく使う教室で──────

「ほう」
「以上が、修業の成果だ」
「三日後の劇には俺たちも参加させて欲しい」

 教室には鳴りやまない拍手が満ちていた。

「すげー! 秋水先輩と斗貴子さんの打ち合い!」
「これが修行の成果!!」
「秋水先輩の方は武術演武の流れをくむクラシカルな受け答え!」
「片や斗貴子先輩の方は美しくも荒々しい女豹のような動き!!」
「通常なら前者がヒーロー役で後者を倒すという流れこそ王道! にも関わらず斗貴子先輩の方が何度打撃を受けても
立ち上がり最後は勝つという流れ! たった3分という短い時間の中で起承転結と意外性に富んだアクションシーンは
まったく見応え充分だ!」
「特に2:31の倒れ伏した斗貴子先輩が最後の力を振り絞って立ち上がる場面! 一連の逆転劇の糸口になったこの
場面! スローモーションで見ると何と1秒で16回も秋水先輩の攻撃をいなしている! 特に8撃目と9撃目! ここ!
胸に迫った逆胴を大きく弧を上げつつ摺り上げる! その隙に秋水先輩が投げた火薬玉をクナイで迎撃! 2人の
間で爆発が起こるのだけれど、もしタイミングがコンマ1秒でも遅れていたら失敗していた!」
「爆炎を突っ切りつつ互いが互いに突進するのも良かった」
「げふう。牛丼うまかったのじゃ。次は特上寿司5人前にちゃれんじじゃ!!」
「クナイは1:06で秋水先輩が投げていた奴だね。よく見ると実はちゃんと拾ってある。執拗な下段突きを転がりながら
回避している場面だったから見落としていたけど、本当によく考えてあるね。2人は演技を始めてまだ1日だというけど
ぜひともこの先続けて欲しい。キラリと光る物があるよ」
「そんなコトよりわしはおやつが食べたい! プリプリしたクリームのたっぷり入ったパンが食べたい!」
「特撮出れるって特撮! 高岩さんの敵役ぐらいはできるって!!」
「どうします監督! 秋水先輩も斗貴子先輩も出るべきだと思うんですが!!」

 パピヨンは、笑った。




──────銀成市住宅街。学園から寄宿舎へ続く道の半ばで──────

「はあ。それで劇に出るコトに?」
「ただの劇じゃないそうだ」

 銀成学園から寄宿舎に続く道で、剛太は数度瞬いた。

「普通の劇じゃないって……まさかムーンフェイスが乱入したあげく先輩がダブル武装錬金発動したりするんですか?」
「そりゃドラマCD1の話だって。ゴーチン」
「対戦形式だそうよ」
 ふわふわ浮かぶ御前を愛しげに撫でつつ笑うのは桜花。その横には秋水。いつもの戦士一同が仲よく帰宅していた。
「対戦形式? 劇で?」
「パピヨンの意向らしい。ただ劇をやるだけではつまらない、と」


「感謝して敬え。伝手を辿ってなかなかの相手を用意してやったぞ。負ければお前たちは……そうだな。全員そこのブチ撒
け女と同じ服で卒業まで過ごしてもらう。ダサい服を着せられるのは屈辱だろ?」


「お相手は劇団よ。声優さんとか俳優さんとか、ちょくちょくテレビに出ている人たちがいっぱいいるらしいの」
「プロばっかじゃないですか。大丈夫なんですか? いや、負けても斗貴子先輩は影響なしか。じゃあ大丈──…」
「俺も、セーラー服を着るかも知れないのだが」
 静かな秋水の囁きに、剛太は「うげ」と顔をしかめた。想像してしまったらしい。
「あら? 秋水クンならそれもいいと思うけど。元がカッコいいんですもん。私の弟だし、女装もきっと似合うわよ」
「姉さん。まさか写真を撮るつもりかい」
「そんな……。撮 る に 決 ま っ て る じ ゃ な い 」
 にっこり微笑む桜花に秋水は黙りこんだ。
「そーだそーだ。秋水の女装姿なんてめったに見れないんだぜ! いっそ負けちまえ演劇部!」
(女装なんてなあ。やる奴の気が知れねェ)
「頼むから勘弁してくれ。この前の俺の不規則発言だって「消した」とはまだ聞いていないよ姉さん」
「あー。そっちはまだナイショ」
 げんなりする秋水に剛太は「ああ」と頷いた。「まっぴー」。メイドカフェでの戯れで飛び出た秋水の声。咄嗟にそれを
録音した桜花の恐ろしさ。セーラー服に喰いつかぬ訳がない。
「お前、最近運がないよな」
「いいんだ。総ては俺の不注意だ。総ては俺の不注意だ……」
 秋水は肩を落とした。眉目秀麗の顔も曇り気味だ。
 微妙にブルーになっているらしい。桜花などは「まあまあ」と笑顔で慰めにかかっているが、秋水の憂鬱の原因の8割方
はこの姉にあると剛太は思った。おかしな格好をさせられるコト自体より、それを面白がって後世に残さんとする桜花の
茶目っ気こそ恐怖なのだろう。
「キミが一番貧乏くじを引いたかもな」
「かも知れない」
「まったく。まひろちゃんにパピヨンの服を着せたくないと参加したばかりに」
 斗貴子の口調もやや同情的だ。
(あれ? 微妙に打ち解けてるような。……そーいや先輩とこいつ、昨晩はどっか泊まったとか。…………いや!! まさ
かな! 先輩はそんな軽くねェ!! あの激甘アタマ一筋なんだしコイツだって武藤の妹と馬鹿ップルなんだから、ンな
コトある訳が)
「どうしたの剛太クン? 顔が青いけど」
「な、なんでもねェ!!」
 必死に叫ぶ剛太を桜花はくすくすと眺めた。
「お泊りが羨ましかったら私としてみる? どうせ秋水クンはまひろちゃんの相手で忙しそうだし」
「断る!!」
「あら残念。でも確かに秋水クンへの棘がなくなってるのは気になるわね。修行の時、何かあったの?」
「いまはパピヨンをどうにかするのが先決だ。過去のいきがかりにこだわっていても仕方ない。それだけだ」
「そう。私達はどうこういえる立場じゃないけど、津村さんがそうしてくれるならまひろちゃんもおかしな目に遭わないでしょうね」
 悩ましげに頬を抑え溜息をつく桜花もまた、まひろを案じているらしい。天真爛漫なまひろだがこの点、妙に人徳がある。
「そうだ。もし演劇部が負けてしまい、パピヨンの思うままになればやがて部員達は全員彼の衣装を着る羽目になるだろう」
 粛然とした秋水の呟きに桜花は「え?」と目を白黒させた。
「そんな状態だったの……? え? あんな服を? ダメよあんな服! 人間として守るべき最低限の尊厳が侵される……!!」
 鋭い叫びに一同は微妙な表情を返した。「同意だが衣装に関して弟の尊厳を踏みにじらんとしているのはどこの誰だ」とい
うニュアンスが多分に伺えた。
「おい聞いてないぞ秋水! そーだとわかってたら桜花は入部しなかったって!」
「あ。そういえば生徒会のお仕事が残っていたわ。先に行ってて。私は学校に戻ってくるわ」
 立ち止まりたおやかな笑みを浮かべる桜花に、剛太は疑惑の視線を突き刺した。
「……あんたも部員だったよな。まさかとは思うけど、会長権限で自分だけこっそり退部手続きしようとか思ってないだろうな?」
「う」
 決まりが悪そうな頬笑みは、頬のあちこちが引き攣っていた。面頬には特大の汗。図星なのはまったく否めない。
「「う」じゃないぞ桜花! 面白半分で入部しておいて都合が悪くなったら自分だけ逃げるのか!? 実行したらブチ撒けるぞ!!」
 勢い低くざらつく斗貴子の声に、桜花はいよいよ震え出した。
「だ! だって! セーラー服ならいいかなあとは思うけど、でもパピヨンのスーツとか嫌よ! 気持ち悪い! 胸元がはだ
けるから嫌とかそういうのじゃないの! パピヨンの格好だから嫌なの! ダメ。ダメよ……。メイド服もバニーさんもいいけ」
どあの格好だけは絶対にダメー! だから私は退部したいの。いいでしょそれ位、お願い。見逃して津村さん」
 桜花はいやいやと首を振った。振り乱れる見事な黒髪から立ち上るかぐわしい匂いに剛太はやや我を奪われかけたが「これは
きっとハニートラップ!」と踏みとどまる。
 だが桜花はかなり本気で泣いているようだった。こういう場合の慣習として、剛太も斗貴子も演技を疑ったが、童女のよう
なあどけなさが包み隠さず覗いている所を見ると、どうやら「素」らしかった。
「今から退部手続きを取ろうとしても無駄だよ姉さん。パピヨンはやめた部員にもあの服を着せようとしている」
「え? じゃあ秋水クンはあの格好の私を撮るの? いや、やめて。ごめんなさい」
 やおら弟に向き直った姉は胸の前で手を交差させ半歩後ずさった。声はいまにも消え入りそうだった。
「許して。寝顔に水性ペンで肉って書いた写真とか瞼にきらきらお目目書いた写真とか全部消すから許して……」
「元より撮るつもりはないが……落書きをするな姉さん。いい加減、俺で遊ばないでくれ姉さん」
「ふぇ!? あ、いえ、そのたとえ話というか出来心というか、ちちち違うのちゃんと水性ペンだからティッシュで落ちたし、ま
ひろちゃんにも送ってないのよ。あとちょっと悲しい時とかに見ると元気が出てくるし食欲も湧……あ、違うの! 秋水クンを
食べたいとかそういうのじゃなくて、ああああの、あのね! あのね秋水クン──…」
(すっげー取り乱してやがる)
 剛太は思わず口に手を当て、顔を背けた。その横で斗貴子だけが厳しく釘を刺した。
「彼の言う通りだ。じゃれるのはいいがやりすぎは良くない。少しは自重しろ」
「だって、だって秋水クン最近私に構ってくれないんだもん」
 寂しそうな拗ねているような表情が美貌を塗り固めた。
「だもんとかいうな。腹黒女の癖に」
 まったく中身のない会話ばかりが続いていく。このまま放置しても仕方ないと思った剛太は、ふと話題を変えた。
「ところで先輩。どうしてみんなして寄宿舎に向かってるんですか?」

 粛然たる面持ちで、斗貴子は呟いた。

「いま、大戦士長の誘拐事件がどうなっているか聞きたいというのもあるが……どうもあの劇の発表、戦士長が一枚噛んで
いるような気がする」
「防人戦士長がですか?」
「ああ。パピヨンの奴、対戦相手を用意するため伝手がどうこうと言っていたが、あんなフザけた格好の元ヒキコモリに伝手があって
たまるか! あんな奴と関係を持つ物好き、カズキ以外じゃ戦士長ぐらいなものだ!!」
「あらあらひどい言い草」
「だから今から問いただす! 演劇と戦士長の関係をな! いろいろ我慢してきたが私もそろそろ限界だ!」

「だから」

「戻るぞ! 寄宿舎へ!!!」


──とある道で──

「ぬ……ぐぐぐううううううううう!!!」
「ごめんなさい……です……」
「や、やかましい! 痛くなんかないわ! 痛くなんか!!」
「なにあったのさご主人?」
『はは! ”大事な時にフラフラするな!”と殴ったら特異体質で防御された! そして殴った方の手がぐしゃぐしゃになった!』
「うわぁ。あんたさ。あんたさ。さっきこのコに、あたしとご主人と3人がかりでボロ負けしたの忘れた訳?」
「さっきではない! 1年ぐらい前だ! あと我は、最終的には引き分けた!!」
「ハゲタカかはたまたクマタカか!! 咄嗟のコトゆえよくは分かりませぬがとにかくゴツンと殴られる瞬間、特異体質にて
頭をとても堅くされたご様子! ぬおお!? 実況どころではありませぬ! 大変です! 殴ってぐしゃぐしゃになってしまった
右拳、果して大丈夫なのでしょうか? 大丈夫でありましょうか! 痛いの痛いの飛んで行けです!!!」
「母上ーっ! わーっ!!」
「ごめんなさい……ごめんさない……です」
「フ。殴られた方が謝りまくっているのはなかなか面白い。あと、積悪うんぬんの使い方、微妙に違うぞ」
「ふ、普通に殴られれば……よかった……です。ケガさせて……ごめんなさい……です
「や! やかましい! 古人に云う、積悪の家には必ず余殃(よおう)有り。アホに脊椎反射で殴りかかった我の方が悪いのだ!」
「なんかさ。アイツ。えらそーな感じなのにすっごく謝っとらん?」
『はは! 不器用な奴!! 女のコ殴った自分が悪いと素直にいえないようだ!!』
「不肖がふーふーいたしましょう。え? いい? むー。昔はけっこうやってましたしけっこう喜んでくれたものですが、これは
やはり思春期ゆえの照れ臭さなのでしょーか」
(ふーふー……したい……です)
「と! とにかくやっと全員が揃われましたね!」

「ですから」

「行きましょう! 寄宿舎へ!!

──寄宿舎・管理人室──

「ああ。俺が手をまわした。戦士・斗貴子の入部も発表場所の選定も、対戦相手の募集も全てやっておいた!」
 実にあっけらかんと答える防人は、まったく会心の笑みだ。
「フフフ、フザけている場合ですか戦士長! そもそも大戦士長が誘拐されているんですよ! こんな呑気にいつまでも日常生活に
浸っている場合じゃありません!」
 ばんとちゃぶ台を叩く斗貴子だが、防人はまったく涼しい顔だ。卓上で揺らめく湯呑を手に取り、緑黄色の液体をゆっくりと
流し込み始めた。成り行きを見守っていた秋水たちも釣られる形で湯呑を取り、或いはせんべいなどを齧る。つかの間の
休息時間。ゆるやかな空気が、管理人室に立ち込めた。


「誘拐されているからこそだ。戦士・斗貴子」
 1分ほど経っただろうか。湯呑を置くと防人はぽつりと呟いた。
「?」
 防人らしからぬしんみりとした口調だ。斗貴子は首を傾げた。
「何か、進展があったんですか?」
「結論からいう。キミたちが日常を楽しめる時間は残り少ない」
 秋水達が思い思いの驚愕を浮かべたのは、次の言葉の持つ意味を理解したからであろう。


「3日後の劇発表が終わり次第、キミたちには大戦士長の救出作戦に従事してもらう」


 斗貴子は息を呑むと、ゆっくりと反問した。
「居場所が分かったんですか? 大戦士長の」
「ああ。戦士・犬飼たちの追跡の結果、大まかな位置までは絞り込まれた。後は戦団全体の体勢が整い次第、作戦を実行する」
「その期間が、3日間……という訳ですね」
 品良く頷く桜花の横で、剛太はかるく頭を掻いた。
(戦団全体の? あれ? でもいまの戦団ってヴィクター討伐の余波で……確か)
「ブラボー。気付いたようだな。戦士・剛太」
「あ……。は。はい。確かほとんどの戦士はヴィクターとの戦いで疲弊しきってる筈ですよね。なのにあと3日ぽっちで大戦士
長助けられるぐらい回復するんですか?」
「それはすでに解消された。ようやくだが総ての重軽傷者が戦えるまでに回復。今は火渡の元、組織を再編成している」
 秋水の表情が曇った。
(全員が……。自然回復にしては早すぎる。もしかすると──…)
 脳裡にさまざまな人物の姿が浮かぶ。かつて激しく戦ったその人物たちのうち何人かは「回復」に適した能力を持っていた。

「ひいては3日後。現在動ける総ての戦力が戦士・犬飼たちと合流する。もちろん俺たちも彼らとともに大戦士長の救出作
戦へ従事する」
「だったら、演劇をするヒマはない筈です戦士長。パピヨンのコトも気になりますが、私達だけでも早く戦団に合流して、足並み
を整えた方が──…」
 立ち上がらんとするセーラー服姿の部下を、防人は「いやいや」と手で制止した。
「実はだ戦士・斗貴子。救出作戦開始までの3日間、俺たちは別の任務も託されている。
「別の任務? こんな時にですか?」
「あー。何というか、こんな時だからこそ、だ。救出作戦が現実のものになったせいで新たに生まれた任務というべきか」
 防人の歯切れはやや悪い。
「どこから説明すればいいのか。その、だな。火渡の奴はあまり快く思っていないらしい。戦士たちのケガを治したのはいい
が、救出作戦直前に日本支部で造反されても下らないとか何とかで」
「話が見えないのですが……」
 訝しげな斗貴子の横で、桜花だけがただ、くすりと笑った。
(私は見えてきたわ。つまり、そういうコトね)
 寄宿舎管理人室は2つの部屋から出来ている。いま桜花達がいる居間(台所付き)と、寝室に。
 いまは襖で覆われた寝室を、桜花は意味ありげに見つめた。
(…………)
(…………)
 秋水と剛太もまた黙りこんだ。もし斗貴子が防人との会話にのみ神経をとがらせていなければ、彼女も隣の部屋を見た
だろう。

 寝室の方から、かすかな気配が漂う。
 息遣いと微かな囁きが、漏れてくる。

「すまない。順を追って話そう。実は大戦士長救出にあたり、ある外部組織の協力を仰ぐ事になった。ヴィクター討伐で疲弊
していた戦士たちがある程度戦えるまでに回復したのも」
「その、外部組織の協力で?」
「ああ。だがその外部組織の素性にちょっとした問題があってな。困ったコトに火渡は日本支部に置きたがらない。そこで
一旦俺たちに預けた。要は、救出作戦まで監視しろというコトだ」
 ここまで話を聞いた斗貴子は、他の戦士たちの尋常ならざる雰囲気にようやく気付いた。

「……もしかすると戦士長? その、外部組織というのは──…」

 協力者。
 疲弊した戦士の回復役。
 火渡が快く思わない。
 造反の可能性。
 ちょっとした問題のある素性。

 様々な言葉が斗貴子の脳裏で組み上がっていく。
 ただしそれが導く予想図は、戦団の常識を、これまで従事してきた任務の不文律を根底から覆す代物だった。

「ま、対面した方が早いだろ」


 防人はゆっくりと襖に歩み寄り。

 そして。

 開けた。

                                                                        .













「お、お前たちは─────────────!!」















                                                                        .

 誰が発したのか。驚愕に満ち満ちた絶叫轟く中、寝室にいた5体の影は思い思いに喋り出した。

「フ。聞いての通りだ」
 流れるような金髪の下で、綽綽たる笑みが漏れた。

「いやはや、以前より不肖、僭越ながら祈っておりましたが叶ってみれば正に妙味不可思議奇縁の再会劇!」
 タキシードをまとった小柄な体が、ぴょこぴょことおさげを跳ねあげる。

「古人に云う。昨日の敵は今日の友……。フン。早坂秋水など認めたくもないがな」
 不機嫌そうに腕組み中の忍者少年の周りには、龕灯がいくつか浮遊している。

「お久しぶり……です」
 バンダナをつけた虚ろな目の少女がはにかんだ様に手を振り、

『はっはっは!! まあそういう事なんだ! 宜しく頼む!!』
 どこか後ろ向きに突き刺さる大声を物ともせず

「お! 垂れ目いるじゃん垂れ目! さっきはくすりありがとじゃん!」
 豊麗な佇まいのシャギー少女が人懐っこい笑みでまくし立てる。





 総角主税。
 小札零。
 鳩尾無銘。
 鐶光。
 栴檀貴信。
 栴檀香美。

 ザ・ブレーメンタウンミュージシャンズ!

 かつて戦士と激闘を繰り広げた異形の戦士たちが、そこに居た!!