サンレッドは予選の夜を―――正確には、風見幽香と初めて出会った瞬間を思い出そうとして―――
「…最悪だったな、ありゃ」
やめた。思い出すには、彼女の姿はえげつなすぎる。
美しい少女の姿でありながら―――どこまでも、怪物そのものを体現していた。
サンレッドといえど、認めなければならない。
あの時確かに、彼は恐怖していた―――それでも。
「それが、どーした」
逃げる気も、負ける気もない。
「どーするもこーするも…勝つしかねーだろ」
「…最悪だったな、ありゃ」
やめた。思い出すには、彼女の姿はえげつなすぎる。
美しい少女の姿でありながら―――どこまでも、怪物そのものを体現していた。
サンレッドといえど、認めなければならない。
あの時確かに、彼は恐怖していた―――それでも。
「それが、どーした」
逃げる気も、負ける気もない。
「どーするもこーするも…勝つしかねーだろ」
「さて…始まるわね」
風見幽香は少女のあどけなさを残す美貌に、どこか酷薄な笑顔を貼り付けたまま、入場門へ続く廊下を歩く。
そのしなやかな細腕に<何か>を抱えて。
「手間をかけた分ぐらいは、愉しませてほしいものね―――サンレッド」
風見幽香は少女のあどけなさを残す美貌に、どこか酷薄な笑顔を貼り付けたまま、入場門へ続く廊下を歩く。
そのしなやかな細腕に<何か>を抱えて。
「手間をかけた分ぐらいは、愉しませてほしいものね―――サンレッド」
ジロー達は、未だ戻らぬヴァンプ様とコタロウを待っている。
―――二回戦開始の声が響いてなお、二人は戻らない。
―――二回戦開始の声が響いてなお、二人は戻らない。
二回戦開始のアナウンスを、レミリア・スカーレットは十六夜咲夜、そして望月コタロウと共に聴いていた。
「―――あら。もうそんな時間?」
「ええ~っ!?大変大変、早く戻らないと見逃しちゃうよ!」
「ですね…申し訳ありません。随分と時間を取らせてしまったようです」
「謝ることないよ。それより、急がないと試合が始まっちゃう!」
「はい―――咲夜、行くわよ…咲夜?」
―――吸血姫の従者・咲夜は、前回から引き続き、未だに鼻血を放出し続けていた。
「彼の前でだけは、いつになくしおらしいお嬢様…ああ、どういう事情なのだか知ったこっちゃありませんが―――
貴女という御方はどこまで萌えキャラなんですかぁ~~~っ!」
「…行きましょう、コタロウ」
「…うん」
二人は、咲夜に一切目を向けようとせず、そっと立ち去る事にした。
「ね、ねえねえ、レミリアちゃん」
やるせない空気を打破しようと、コタロウはやや無理をした笑顔でレミリアに問う。
「レミリアちゃんは次の試合、どっちが勝つと思う?ねえ」
「…………戦闘力だけならほぼ互角。されど今、此処で闘えば風見幽香に分があるかと」
逡巡するように視線をわずかに泳がせて、レミリアは答えた。
「あなたの望む返答は当然<サンレッドの勝利>でしょうが…今のままでは、奴は負ける」
「え~~~っ!?何でそんな事言うかなあ…」
「その理由は、まず一つ―――」
レミリアは、人差し指を立てる。
「第一試合でのダメージ…サンレッドは星熊勇儀との闘いで、勝利したものの相応の手傷を負った―――例え治療
を受けていても、ベストコンディションとはいえない。対して風見幽香は、無傷で切り抜けた―――この差は、かなり
厳しいものがあるでしょう」
「むー…」
正論すぎて、グウの音も出ないコタロウである。対してレミリアは、中指を立てる。
「二つ目の理由―――経験値。風見幽香はこの幻想郷にて、永き命の大半を闘争に明け暮れて過ごした怪物…相手
にしてきた連中も、いずれ劣らぬ化物揃い。それに対し、平和な川崎で、自分に比肩する敵もなく、ヒモ暮らしで毎日
だらだらと生きてきたサンレッドでは、潜ってきた修羅場の数も質も、余りにも違いすぎる」
そこまで語った所で、レミリアは締め括った。
「その差を覆すには―――相応のプラス・アルファが必要かと」
「―――あら。もうそんな時間?」
「ええ~っ!?大変大変、早く戻らないと見逃しちゃうよ!」
「ですね…申し訳ありません。随分と時間を取らせてしまったようです」
「謝ることないよ。それより、急がないと試合が始まっちゃう!」
「はい―――咲夜、行くわよ…咲夜?」
―――吸血姫の従者・咲夜は、前回から引き続き、未だに鼻血を放出し続けていた。
「彼の前でだけは、いつになくしおらしいお嬢様…ああ、どういう事情なのだか知ったこっちゃありませんが―――
貴女という御方はどこまで萌えキャラなんですかぁ~~~っ!」
「…行きましょう、コタロウ」
「…うん」
二人は、咲夜に一切目を向けようとせず、そっと立ち去る事にした。
「ね、ねえねえ、レミリアちゃん」
やるせない空気を打破しようと、コタロウはやや無理をした笑顔でレミリアに問う。
「レミリアちゃんは次の試合、どっちが勝つと思う?ねえ」
「…………戦闘力だけならほぼ互角。されど今、此処で闘えば風見幽香に分があるかと」
逡巡するように視線をわずかに泳がせて、レミリアは答えた。
「あなたの望む返答は当然<サンレッドの勝利>でしょうが…今のままでは、奴は負ける」
「え~~~っ!?何でそんな事言うかなあ…」
「その理由は、まず一つ―――」
レミリアは、人差し指を立てる。
「第一試合でのダメージ…サンレッドは星熊勇儀との闘いで、勝利したものの相応の手傷を負った―――例え治療
を受けていても、ベストコンディションとはいえない。対して風見幽香は、無傷で切り抜けた―――この差は、かなり
厳しいものがあるでしょう」
「むー…」
正論すぎて、グウの音も出ないコタロウである。対してレミリアは、中指を立てる。
「二つ目の理由―――経験値。風見幽香はこの幻想郷にて、永き命の大半を闘争に明け暮れて過ごした怪物…相手
にしてきた連中も、いずれ劣らぬ化物揃い。それに対し、平和な川崎で、自分に比肩する敵もなく、ヒモ暮らしで毎日
だらだらと生きてきたサンレッドでは、潜ってきた修羅場の数も質も、余りにも違いすぎる」
そこまで語った所で、レミリアは締め括った。
「その差を覆すには―――相応のプラス・アルファが必要かと」
―――そして、入場門からサンレッドが姿を見せた瞬間、観客席から一斉に歓声が巻き起こった。
『さあ!東の入場門からやってきたのは真っ赤なアイツ!天体戦士サンレッドだぁぁぁっ!』
実況・文のボルテージも一気に上がる。
『幻想郷においては全くの無名!されど一回戦では星熊勇儀を相手に見事勝利を収めたダークホース!この二回戦
では果たしてどんな闘いを我々に見せてくれるのでしょうか!?―――おっとぉ!西の入場門から、あの女がやって
きたようです!』
闘技場に敷き詰められた砂利を踏み締めて、花々が化身したようなたおやかな少女が死地へと降り立つ。
『究極加虐生物・風見幽香!彼女の歩いた先には血塗られた道が出来る!一回戦では宇宙人・蓬莱山輝夜に対し
無傷で完勝!更なるルール無用の残虐ファイトに期待が高まり…ま…す…?』
文の声がどんどん小さくなる。気付いたのだ。
『さあ!東の入場門からやってきたのは真っ赤なアイツ!天体戦士サンレッドだぁぁぁっ!』
実況・文のボルテージも一気に上がる。
『幻想郷においては全くの無名!されど一回戦では星熊勇儀を相手に見事勝利を収めたダークホース!この二回戦
では果たしてどんな闘いを我々に見せてくれるのでしょうか!?―――おっとぉ!西の入場門から、あの女がやって
きたようです!』
闘技場に敷き詰められた砂利を踏み締めて、花々が化身したようなたおやかな少女が死地へと降り立つ。
『究極加虐生物・風見幽香!彼女の歩いた先には血塗られた道が出来る!一回戦では宇宙人・蓬莱山輝夜に対し
無傷で完勝!更なるルール無用の残虐ファイトに期待が高まり…ま…す…?』
文の声がどんどん小さくなる。気付いたのだ。
風見幽香が手にする<それ>を。
「て…テメエ…何のつもりだ、そりゃあ!」
レッドも驚愕を隠し切れず、怒鳴りつける。
「あら、怖い。か弱い女の子相手に、そんなに怒らないで」
幽香はそんなレッドとは対照的に、変わらぬ笑顔で答える。
レッドも驚愕を隠し切れず、怒鳴りつける。
「あら、怖い。か弱い女の子相手に、そんなに怒らないで」
幽香はそんなレッドとは対照的に、変わらぬ笑顔で答える。
「―――ちょっと試合を面白くするために、仕込みを入れさせてもらっただけよ」
彼女が手にしていたのは、巨大な十字架―――そして。
その先には、一人の男が手足を縛り付けられ、磔にされていた。
気絶しているのか、彼はぐったりとして動かない。
一体、何が起きたのか?
あの男は何者なのか?
場内がざわめく中、文は懐から手帳を取り出し、それに目を落としながらマイクに向けて叫ぶ。
『―――あの男性のデータがありました!彼の名はヴァンプ将軍…悪の組織フロシャイム・川崎支部リーダーであり、
サンレッドの宿敵にしてカリスマ主夫!得意なものは家事全般・特に料理の美味しさには定評があり、サンレッドも
しばしば馳走になっているとのこと!』
どうやって調べたのか。恐るべしは天狗の情報収集能力である。
『そんな彼を捕まえて、風見幽香は何をしようとしているのか!?第二試合開始前からいきなり血腥い暴力の気配が
濃厚に漂ってまいりました!』
「…人質のつもりか?コイツを助けたきゃ負けろってか!?つまらねー事しやがって!」
「ふふ…人質ですって?そんな下らない真似はしないわ」
幽香は笑う。
今まで張り付けていた花のような可憐な微笑みではなく、牙を剥き出しにした、肉食獣の笑みだ。
「むしろ逆よ、サンレッド。彼を助けたいなら、この私を倒してみなさい」
「あんだと?」
「誰かを守るための闘い―――ヒーローが最も力を発揮できるシチュエーションじゃなくて?」
幽香は言い放ち、轟然と胸を張る。
「宣言する―――あなたが私に負けた瞬間、ヴァンプ将軍はとてもとても、可哀想なことになるわ!」
どよどよと、会場中がざわめく。それにも構う事なく、幽香は続けた。
「サンレッド―――今のあなたが相手なら、三分もあれば倒せる。でもね、それじゃつまらないの…もっともっと、
強い敵と。もっともっと、危険な相手と…そうでないと、闘いに意味などない」
「何が言いてえんだ…!」
「全力すら越え、死力を振り絞るあなたと闘いたいのよ、サンレッド」
ドシャッ!と轟音と共に、十字架が大地に突き立てられた。
同時に大地が割れ、無数の蔦が怪物の触手の如くに蠢きながら湧き出し、十字架ごとヴァンプ様に絡みつく。
「うふ…これで、私を倒さないことには、彼を救えなくなったわね?」
すう―――と。
手にした日傘を持ち上げ、穂先をレッドに突き付ける。
「ボヤボヤしている暇はないわよ、サンレッド…あなたの肩には、彼の命がかかっているのだから」
『な…なんという非道!なんという外道!強い相手と闘いたい―――ただそれだけの為に善良なる悪の将軍を平然と
<可哀想な目>に合わすつもりのようです!まさしく幻想郷史上最低最悪最凶・最も卑劣なド腐れ妖怪!こんな悪い
奴がいたなんて!審判の四季映姫様、彼女の行為は閻魔的に赦されるのでしょうか!?』
「―――問題はありません。彼女の行為は<白>です」
厳かに、映姫は答えた。
「そもそも妖怪が人―――この場合は怪人ですが―――を襲うのは当然の事。此処、幻想郷にいる以上は、常にその
危険性を認識しておかねばなりません。そう…ヴァンプ将軍は、少しその自覚が足りな過ぎた」
『し、しかし…試合に関しては、反則ではないのでしょうか?』
「ヴァンプ将軍の命を盾に敗戦を迫る、というのならば反則ですが…むしろ彼女はサンレッドにハッパをかけるために、
このような行為に及んだ。ならば、反則とまでは言えません」
その先には、一人の男が手足を縛り付けられ、磔にされていた。
気絶しているのか、彼はぐったりとして動かない。
一体、何が起きたのか?
あの男は何者なのか?
場内がざわめく中、文は懐から手帳を取り出し、それに目を落としながらマイクに向けて叫ぶ。
『―――あの男性のデータがありました!彼の名はヴァンプ将軍…悪の組織フロシャイム・川崎支部リーダーであり、
サンレッドの宿敵にしてカリスマ主夫!得意なものは家事全般・特に料理の美味しさには定評があり、サンレッドも
しばしば馳走になっているとのこと!』
どうやって調べたのか。恐るべしは天狗の情報収集能力である。
『そんな彼を捕まえて、風見幽香は何をしようとしているのか!?第二試合開始前からいきなり血腥い暴力の気配が
濃厚に漂ってまいりました!』
「…人質のつもりか?コイツを助けたきゃ負けろってか!?つまらねー事しやがって!」
「ふふ…人質ですって?そんな下らない真似はしないわ」
幽香は笑う。
今まで張り付けていた花のような可憐な微笑みではなく、牙を剥き出しにした、肉食獣の笑みだ。
「むしろ逆よ、サンレッド。彼を助けたいなら、この私を倒してみなさい」
「あんだと?」
「誰かを守るための闘い―――ヒーローが最も力を発揮できるシチュエーションじゃなくて?」
幽香は言い放ち、轟然と胸を張る。
「宣言する―――あなたが私に負けた瞬間、ヴァンプ将軍はとてもとても、可哀想なことになるわ!」
どよどよと、会場中がざわめく。それにも構う事なく、幽香は続けた。
「サンレッド―――今のあなたが相手なら、三分もあれば倒せる。でもね、それじゃつまらないの…もっともっと、
強い敵と。もっともっと、危険な相手と…そうでないと、闘いに意味などない」
「何が言いてえんだ…!」
「全力すら越え、死力を振り絞るあなたと闘いたいのよ、サンレッド」
ドシャッ!と轟音と共に、十字架が大地に突き立てられた。
同時に大地が割れ、無数の蔦が怪物の触手の如くに蠢きながら湧き出し、十字架ごとヴァンプ様に絡みつく。
「うふ…これで、私を倒さないことには、彼を救えなくなったわね?」
すう―――と。
手にした日傘を持ち上げ、穂先をレッドに突き付ける。
「ボヤボヤしている暇はないわよ、サンレッド…あなたの肩には、彼の命がかかっているのだから」
『な…なんという非道!なんという外道!強い相手と闘いたい―――ただそれだけの為に善良なる悪の将軍を平然と
<可哀想な目>に合わすつもりのようです!まさしく幻想郷史上最低最悪最凶・最も卑劣なド腐れ妖怪!こんな悪い
奴がいたなんて!審判の四季映姫様、彼女の行為は閻魔的に赦されるのでしょうか!?』
「―――問題はありません。彼女の行為は<白>です」
厳かに、映姫は答えた。
「そもそも妖怪が人―――この場合は怪人ですが―――を襲うのは当然の事。此処、幻想郷にいる以上は、常にその
危険性を認識しておかねばなりません。そう…ヴァンプ将軍は、少しその自覚が足りな過ぎた」
『し、しかし…試合に関しては、反則ではないのでしょうか?』
「ヴァンプ将軍の命を盾に敗戦を迫る、というのならば反則ですが…むしろ彼女はサンレッドにハッパをかけるために、
このような行為に及んだ。ならば、反則とまでは言えません」
「よって―――風見幽香は白!」
「白でも黒でも、どっちでもいーよ」
驚くほどに抑揚のない声で。
「どっちでも変わらねー…その女が今から、俺にブチのめされるってー未来にはな!」
サンレッドが拳を、パキパキと鳴らす。
瞬時に、噎せ返るような熱気が周囲数キロに渡って放たれた。サンレッドの怒りに呼応し、彼の太陽闘気(コロナ)が
赤く、熱く燃え上がっているのだ。
驚くほどに抑揚のない声で。
「どっちでも変わらねー…その女が今から、俺にブチのめされるってー未来にはな!」
サンレッドが拳を、パキパキと鳴らす。
瞬時に、噎せ返るような熱気が周囲数キロに渡って放たれた。サンレッドの怒りに呼応し、彼の太陽闘気(コロナ)が
赤く、熱く燃え上がっているのだ。
「―――俺の拳がおかしくなるまでボコってやるよ、風見幽香!」
「―――私の頭がおかしくなるまで愉しませて頂戴な、サンレッド!」
「―――私の頭がおかしくなるまで愉しませて頂戴な、サンレッド!」
試合開始の宣言を待つことなく、両者同時に地を蹴る。
その勢いのまま繰り出されたレッドのキックを、幽香は愛用の日傘を盾に防ぐ。
複雑な軌道を描き、巻き起こる砂埃を断ち切って必殺の斬撃がレッドを襲う。
今度はかわさず、敢えて懐へと飛び込んだ。
全身が刻まれ、打ち据えられるのを無視して、渾身の当て身を喰らわせる。
―――だがそこに、既に幽香の姿はない。
攻撃をいなした幽香は宙に舞い、更に追い討ちをかける。
その勢いのまま繰り出されたレッドのキックを、幽香は愛用の日傘を盾に防ぐ。
複雑な軌道を描き、巻き起こる砂埃を断ち切って必殺の斬撃がレッドを襲う。
今度はかわさず、敢えて懐へと飛び込んだ。
全身が刻まれ、打ち据えられるのを無視して、渾身の当て身を喰らわせる。
―――だがそこに、既に幽香の姿はない。
攻撃をいなした幽香は宙に舞い、更に追い討ちをかける。
「花葬―――<落花狼藉>」
落下する勢いと共に、全身を回転させながら生み出した遠心力を加える。
傘を斧刀に見立てて、サンレッドの脳天目掛けて真っ直ぐに振り下ろした。
衝撃が大地を砕き、揺らす。
「ねえ…いつまで遊んでるつもり?」
退屈そうに傘をくるくると、狂々(クルクル)と廻しながら、幽香が挑発する。
「あの星熊勇儀をも倒したあなたの真の力…早く見せてくれないかしら?」
「慌てんなよ…せっかちな女は嫌われるぜ?」
割られた額から止め処無く流れる血を乱暴に拭い、レッドは荒れた呼吸を整える。
「言われなくてもやってやるよ…全力で…いや、死力でな!」
瞬時、サンレッドの全身が太陽の如き真紅の炎で包まれた。
傘を斧刀に見立てて、サンレッドの脳天目掛けて真っ直ぐに振り下ろした。
衝撃が大地を砕き、揺らす。
「ねえ…いつまで遊んでるつもり?」
退屈そうに傘をくるくると、狂々(クルクル)と廻しながら、幽香が挑発する。
「あの星熊勇儀をも倒したあなたの真の力…早く見せてくれないかしら?」
「慌てんなよ…せっかちな女は嫌われるぜ?」
割られた額から止め処無く流れる血を乱暴に拭い、レッドは荒れた呼吸を整える。
「言われなくてもやってやるよ…全力で…いや、死力でな!」
瞬時、サンレッドの全身が太陽の如き真紅の炎で包まれた。
「強火で直火で、正義が燃える―――!」
紅く煌く焔(ひかり)と、荒れ狂う灼熱の風の中、サンレッドが変化していく。
額には、太陽を象った冠(サークレット)。
背には、太陽の紅き炎を宿す外套(マント)。
バトルスーツを、更に強固な追加装甲が包み込む。
朝陽のようにキラキラ輝き。
夕陽のようにギラギラ燃えて。
その姿は正しく日輪の化身にして、紅蓮の闘神!
額には、太陽を象った冠(サークレット)。
背には、太陽の紅き炎を宿す外套(マント)。
バトルスーツを、更に強固な追加装甲が包み込む。
朝陽のようにキラキラ輝き。
夕陽のようにギラギラ燃えて。
その姿は正しく日輪の化身にして、紅蓮の闘神!
「天体戦士サンレッド・飛翔形態―――<プロミネンスフォーム>!」