SS暫定まとめwiki~みんなでSSを作ろうぜ~バキスレ 天体戦士サンレッド外伝・東方望月抄 ~惑いて来たれ、遊惰の宴~ それぞれの思惑・前篇


※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

さて、天体戦士サンレッドとレミリア・スカーレットの挨拶代わりの闘いから一夜明けて。

幻想郷と外の世界の境界に位置する博麗神社。
神主は不在。いるのはただ一人<博麗の巫女>。
彼女こそは外界との往来を遮断する<博麗大結界>を管理する存在にして、幻想郷の異変を解決する役割(ロール)
を与えられし存在。
そんな霊験あらたかな神社であるが、一言でいえば寂れている。
二言でいえば蝶・寂れている。ほんともう、閑古鳥が大挙して押し寄せているのだ。
そんなトホホな神社の境内には、件の<博麗の巫女>。
紅白を基調とし、脇を大胆に露出させた巫女服を着込んだ黒髪の少女―――

<楽園の素敵な巫女>博麗霊夢(はくれい・れいむ)だ。

幻想郷の異変解決屋である博麗の巫女として多忙な日々を送っている割に、ちっとも懐が潤わない彼女は賽銭箱を
覗いては溜息をつく。その姿だけならば憂いを帯びた美少女に見えなくもない。
「あ~金欲しいな~金かねカネ。世の中お金が全てじゃないけど大概の物は金で買えるし人の心だって金で動かせ
なくもないのよ。世の大人が本当の事を言わないなら言ってやるわ、金は命よりも重いのよ。命乞いなら貴様の好き
なお金様に頼めですって?上等よ、金さえくれればアンタを守って私がバットー斎と闘ってやるわー」
台無しだった。
「あー…どっかに金になる話はないかなー…」

「金、金、金と嘆かわしい。<博麗の巫女>ともあろう者がなんたるザマか」

いつの間にか境内に、狐がいた。
金色の狐だった。
九つの尾を持つ、この世のものとも思えぬほどに美しい狐だった。
「貴女は財布よりも心を豊かにすべきだな。心に一輪の美しき花を咲かせれば、空っぽの賽銭箱も閑古鳥の鳴き声
も、きっと気にならなくなることだろう。心が満たされれば世界はほら、こんなに素晴らしい」
「心の前に私のお腹を満たしてよ。こちとらこのままじゃ強制断食道場だっつーの」
九尾の狐が言葉を発している―――とんでもない光景だったが、霊夢は特に驚く様子もない。
この狐とは、顔見知りだ。
「浅ましい、浅ましい。腹が膨れればそれでいいなど、貴女の心はまっこと乾いているな」
「だったら何か面白い事をやってよ、藍(らん)。最近さっぱり異変も起こらないし、退屈してんのよ」

―――この九尾の狐は<スキマ妖怪の式>八雲藍(やくも・らん)。
大妖怪・八雲紫の使役する式神であり、忠実なる家来だ。

なお九尾狐とは、この幻想郷においても伝説級の妖怪である。そんなシロモノを己の手足として扱う八雲紫―――
まこと、底知れぬ深淵だ。
「ほら、魔理沙プロデュースの<星屑のバレンタイン>や紫考案の<星隠しのホワイトデー>みたいな。ああいう
エンターテイメントを求めてるの、私は」
それを前にしてまるで萎縮する様子のない霊夢も、大したものである。無礼とも思える態度も慣れっこなのか、藍
は特に気分を害した様子もなく答えた。
「<幻想郷最大トーナメント>」
「はあ?」
何それ、と顔に?マークを浮かべる霊夢。
「我が主・八雲紫とその朋友であらせられる西行寺幽々子殿によって、近々開催される祭りだ」
「祭り…?一体、どういうものよ」
事情が飲み込めない霊夢に対し、藍は得々と昨夜の顛末を語った。
外界より招かれた者達。
伝説の吸血鬼<賢者イヴ>の遺した秘蔵の宝。
それを巡り開催される、一大トーナメント。
何を考えているのやら、話が進むにつれて次第に霊夢の瞳が輝きを増し始めていた。
「…既にこの件はかの<伝統の幻想ブン屋>にも伝わっているからな。今日中には幻想郷全土に渡って広まること
だろう。なお、開催日は一週間後を予定している」
「ほほお…それにしても、親切な狐ね。放っておいても伝わるってのに、わざわざ教えに来てくれるなんて」
「主の命令だ。折角だから貴女にも出番をあげる、などと仰られてな…紫様は偉大な御方だが、時々理解できない
時もある―――否、私如きが紫様を理解しようなどと、おこがましいというもの。私はただあの御方の式として、
命令に従うまで」
「ふん、殊勝だこと。世の家来に恵まれない御主人様はあんたを見てさぞ羨むことでしょうね。ほんと、家来の鑑
だわ。奴隷根性ここに極まるってカンジ」
「ふふふ、褒めても何もあげないぞ?」
「今のを褒め言葉だと思えるあんたがすごいわ…まあいい。とにかく、そのトーナメントで優勝すれば、賢者イヴ
の秘宝とやらが頂けるって寸法でしょう?」
「イグザクトリィ(その通り)」
九尾の妖狐はくいっと首を持ち上げる。人間でいえば、胸をそっくり返らせているようなものだろう。
霊夢は尊大な妖狐に気を悪くした様子もなく、にやりと笑った。
原作・東方の主人公らしからぬ、真っ黒な笑みだった。
「面白そうじゃない。退屈しのぎがてらに秘宝とやらを手に入れて、ウチの神社の御神体にしてやるわ!」
「ほほう、それで参拝客と賽銭GETだぜ!といった所か?」
「そう上手くいけばいいけどね。ま、最悪でも売り飛ばせば二束三文でもお金にゃなるでしょ」
「それは物凄く失礼な発言だぞ、博麗の巫女よ…」

何はともあれ<楽園の素敵な巫女>博麗霊夢。
トーナメント、参戦決定。


―――さて、日も落ちて暗闇の中。
此処は人里離れた妖怪の山。
その名の通り、この地は河童や天狗といった数々の妖怪が生息している。
そして―――こんな奴らもいたりするのだ。

妖怪の山の奥深く、その一軒家はあった。
ごく普通の瓦葺の日本家屋―――しかし、その実態は恐るべき妖怪達の巣窟なのだ!
その内部はというと、異様の一言である。
煌びやかな照明に、整然と並んだテーブル席。まるでキャバクラか何かである。
その一角に、幼子がちょこんと座っていた。
それはそれは、奇妙な姿の幼子だった。
衣類は簡素な上着にヒラヒラしたスカート。
長く伸ばした亜麻色の髪。その頭部の両脇からは、捩れた二対の長い角。
妖怪の中でも最強の戦闘種族と謳われし、伝説の怪物―――<鬼>。
そして彼女こそは<鬼>の中でも群を抜いた力量を誇り、妖怪の山の四天王の一角―――

名を伊吹萃香(いぶき・すいか)。
<小さな百鬼夜行>の二つ名を持つ、酔いどれツルペタ幼女である。

「…お姉さん。手持ち、これだけあるんだが」
萃香は懐から、いくらかの硬貨を取り出し、テーブルに置く。
「これで、一番上等な酒をくれないか…悪酔いしないやつを頼む」
「おう。ちょっと待ってなよ」
金を受け取って奥へと引っ込んでいったのは、萃香とは対照的に長身でグラマー、腰まで伸びた鮮やかな金髪を悠然
と靡かせる、如何にも男勝りな印象の美女だった。
まるで体操服のような簡素な上着に、足首まで隠れるロングスカート。額から突き出た真っ赤な一本角。
萃香と同じく鬼にして、共に四天王の名を受けた女傑。

その名を星熊勇儀(ほしぐま・ゆうぎ)。
<語られる怪力乱神(かいりょくらんしん)><力の勇儀>と称される実力派の妖怪だ。

彼女はぱたぱたと店の奥に引っ込み、じきに酒瓶を手に戻ってきた。
「どうぞ、お客さん」
「ありがとよ」
ワイングラスに注がれた真っ赤な液体を、グイっと一口。萃香はその味わいに、目を瞠った。
「―――美味い。本物の葡萄酒ってのはこんなに美味いもんだったのか…今まで私が酒だと思ってた液体は、一体
何だったんだろうな…」
「それは<ロレーヌ>。上等な味なのに懐に優しい、人気の逸品さ」
「<ロレーヌ>か…」
不意に、脳裏に浮かんだ光景。
赦されぬ想いに身を焦がした貴族の令嬢と使用人の少年。悲恋の果ての逃避行。
そんな歓びも哀しみも思い出も、全てを包むような優しい味わい。
萃香は寂しげに、けれど満足したように微笑み、席を立った。
外に出ると、空には満面の星屑(エトワール)。
「嗚呼…人生はままならぬ…されど、この痛みこそ―――私が生きた証なのだ…」
そしてカメラ目線で振り向き、ニカッと笑って親指を立てる。

「そんな素敵(ロマン)が溢れてる!さあ、キミも<クラブ・イブキ>で夢の時間を過ごそう!」

「はい、カットカットカットォ!御二方、素晴らしい演技でした!…って、何なんですかこれ…」
草むらからビデオカメラと集音マイクを手に現れたのは、見目麗しい少女。
海のように、あるいは空のように青く煌くロングヘア。
桃の実と葉をあしらった装飾の丸い帽子がトレードマーク。
胸元に赤いリボンを取り付けた半袖の白い上着にロングスカート、足にはブーツという洋装。

<非想非非想天の娘>比那名居天子(ひななゐ・てんし)。
天界に住まう高貴なる民・天人が一人である。

彼女は以前、とある事件をきっかけに萃香によって叩きのめされ、以来悲しき舎弟扱いを受けているのだ。
元来ワガママお嬢様気質の天子にとっては、辛い日々であった。
「そんな事をいって分かっとるんだぞぉ、天子ちゃんよ。ドMの天子ちゃんは実は私にぞんざいに扱われることで
快感を得ているのだという事実を」
「ちょっと、やめて下さいよ。私のドM設定はファンの皆さんが面白がって捏造してるだけなんですからね!私は
痛いのなんて大嫌いなんです!」
「またまたー。寝言で<もっとぶって>と言ってるのをこの萃香ちゃんは聴き逃しませんでしたよ?」
「バカな!?いやいや、そういう話じゃなくて、何故こんな撮影をしてるのかと聞いてるんです!」
「何故?ふふふ…これを見れば分かろう、天子ちゃん」
萃香が指差した先には、ド派手なネオンが取り付けられた看板。ネオンの文字はこう書かれていた―――

<クラブ・イブキ>と。

「これぞ萃香ちゃんプロデュース・幻想郷の夜のオアシス<クラブ・イブキ>じゃあ!」
うっとりした顔で、萃香は語る。
「幻想郷の夜に華と彩りを。楽しく美味しく酒を呑もう―――そんな想いを込め、私は念願の店を持つに至った!
さっきのは、宣伝用のプロモーション・ビデオ撮影というわけよ」
「さいでっか…しかし、そんな事のためにわざわざ勇儀さんまで呼んだんですか?」
「いいのいいの。数百年来の親友・萃香の頼みだからね。断る理由もないよ」
からからと快活に笑う勇儀。
「それに、地底に閉じこもりっぱなしも何だしね。たまには地上に出てみるのも悪かないさ」
「地底か…こう言っちゃなんですけど、あんまりイメージよくないですよね」
「否定はしないよ。けど、棲んでる奴らは意外とイカしてる」
「例えば?」
「病毒遣いの土蜘蛛に、死体運びが趣味の猫娘。核融合を操る地獄鴉に心を読むロリっ娘。そして妬ましがり屋の
寂しがり屋さ」
「…どれもこれもお近づきになりたくないんですけど」
「そう言いなさんな。付き合ってみりゃ、意外と可愛い魑魅魍魎共だからね」

妖怪の山の四天王―――とはいうものの勇儀は現在、地上に住んでいない。
というよりも、地上で呑気に暮らしている萃香の方が鬼としては珍しいのだ。
鬼は遥か昔に地上を棄て、地底深くに新天地を求めて移り住んだ。
星熊勇儀はその代表者として地底の鬼達を纏め上げている―――誰に頼まれたわけでもないが、そもそも鬼は闘い
を好み、強者を尊ぶ。豪放磊落で面倒見のいい姉御肌の性格に加え、山の四天王の一人に数えられる実力を備えた
彼女は、自然とそんなポジションに立っていたのだ。

「そりゃそうと天子ちゃん、さっきの映像を早速見せておくれよ。どんな仕上がりになってるのか確認しねーと」
「おお、そうだそうだ。私はかっこよく映ってるんだろうね?」
「はいはい、今やりますよ」
天子はいそいそと機器を操作し、ついにお披露目の時となった。
「さあ、とくとごろうじろ!これが<クラブ・イブキ>プロモーション・ムービーでございます!」


「…うん…すげえよ。すっごくよくできてる…でもさあ…」
萃香はジト目で天子を睨んだ。
「全然さっきの映像ねーじゃん!まるで別物じゃん!」
「だってさっきの寸劇、どう見ても漫画版<Roman>の<見えざる腕>のおパクリじゃないですか」
「いいじゃん別に!サンホラリスペクトって奴だよ!」
「リスペクトとかオマージュとか付けば何でも赦されるわけではないんですよ、萃香さん」
「ぬう…まあ、仕方ねーか…」
萃香はそれでも納得いかない様子だったが、結局は折れたようだった。
「プロモーション映像はこれでよし…後はホステスとして選りすぐりの幼女とツルペタを萃(あつ)めるばかり!」
「幼女とツルペタしかいない店に需要があるんですか?貧乳はステータスで希少価値だなんて幻です」
「う、ぬう…」
「実際は巨乳の方が余程ステータスだし希少価値なんですよ…ケッ!」
天子は自嘲気味に悪態を吐く。その掌は己の胸部をぺたぺたと撫でている。
<揺れない震源地>その控えめにして絶壁の胸に与えられし二つ名であった。
萃香も悲しげに己の断崖絶壁を見つめる。
この場で唯一巨乳の勇儀はというと、ちょっと肩身の狭い思いをしていたという。
「うーん…しかし、今更デカ乳を萃めるというのも負けた気が…となると、別の方面で勝負か…なんぞないかなー、
凡百のキャバクラとは一線を画す、ここにしかない名物…」
萃香は眉間にしわを寄せて考え込む。そして一分後、彼女の頭上に豆電球が光った。
「よし、思いついた…天子ちゃん」
「はい?」
「おめー、脱げ」
萃香の目は、マジだった。
「あ、あの…それは」
「だから、脱げ。クラブ・イブキの名物―――ザ・女体ショー!」
叫びながら萃香は天子にのしかかり、力任せに脱がしにかかる。
「何でそうなるんですかぁぁぁぁぁ!?」
「とりあえずエロじゃあ!エロさえあれば男はやってくる!困ったらエロに走れば間違いない!それはToLOVEるが
歴史的事実として証明しちょる!手始めにおめーの貧相な乳でもいいから晒すんじゃあ!さあ、おめーも手伝え
勇儀!オープンしたらタダ酒チケットやるから!」
「ガッテン承知の助!さあ、あたしのタダ酒のために乳を見せろ!」
「そんな史上最低の理由で乙女の乳を晒してたまるかぁぁぁぁ!助けてぇぇぇ!」
「ええい、五月蠅い!健全な男性読者諸君が今頃右手をせわしなく動かしとるんじゃ、観念せい!」
まるでニューヨークのスラム街か、でなくば梅澤春人漫画のような光景であった。
このまま天子ちゃんはロック&ドラッグ&セックス&バイオレンスの世界に突入してしまうのだろうか!?
その時。

「あやややや、お取り込み中でしたか?とりあえずパシャパシャ、とな。毎度お馴染み、清く正しい射命丸です」

能天気な声とカメラのフラッシュに、萃香達は振り向く。
そこにいたのは黒い翼を生やした少女だった。
翼とは対照的に、雪のように白く陶器の如く滑らかな肌。
肩までの艶やかな黒髪は、まさに鴉の濡れ羽という他にない美しさだ。

彼女は鴉天狗の射命丸文(しゃめいまる・あや)。
<伝統の幻想ブン屋>と異名を取る、新聞記者である。

「あ、私の事は気にせず続けてください。なんならエロパロでやれというレベルまでやっちゃって結構なんで」
「…興が失せたよ、天狗め」
萃香と勇儀は天子から離れた。天子は衣服を整えながら安堵の息をつく。
「た、助かった…ところで、さっきの写真は…」
「安心して下さい。我が文々。新聞(ぶんぶんまるしんぶん)の一面にバッチリ掲載しますので!」
「悪魔だ!ここに悪魔がいる!」
※射命丸文は鴉天狗です。
「くくく…今宵の文々。新聞は貴女のおかげで世の貧乳マニアにバカ売れですぞ…」
「嬉しくなーいっ!」
「ま、冗談はともかく、これをどうぞ」
文は肩に下げたバッグから、紙の束を取り出す。
それこそは<文々。新聞(ぶんぶんまるしんぶん)>―――射命丸文が個人で発行している新聞であり、常人にも
理解しやすい身近な話題を、到底常人とは言い難い連中に配達し、それなりに人気を博している読み物である。
「いやあ、最近は中々いい記事が書けなかったんですが、今回は特ダネですよ」
「へー。まあ、期待せずに読んでやんよ」
やる気のない態度で文々。新聞を読み始める萃香。勇儀と天子も横から覗き込む。
「ふーん…トーナメント、ねえ…あんま興味ないかなー」
「そっか?強い奴がたくさん出るなら、面白そうだとおもうけど」
「痛いのはやだなあ…」
いまいち反応が悪い三人に、文は少々不満顔だ。
「あややや、あまり乗り気でなさそうですねぇ?貴女方のような実力者に出て頂ければ、盛り上がる事間違いなしなん
ですが」
「ヒマなら出てもよかったんだけどね、私は<クラブ・イブキ>の開店準備で大忙しなんだよ。人員の確保に広報活動
だの、他にも諸々」
「だからこそですよ!」
ずいいっ!と文はキスするかと思うくらいに顔を近づける。
「トーナメントは一般公開して、観客も人妖問わず大勢集めますからね。バリバリ活躍すれば、俄然注目を浴びますよ。
そこでキャバクラの宣伝をすればいいんです!」
「お?」
その意見には思うところがあったのか、萃香は目を丸くする。
「そうすればホステスとして働きたいという女性もいるかもしれませんし、一度は行ってみようかなと思う者もいるやも
しれません。立派な広報活動ですよ」
「お、お?」
「そして優勝すれば、かの大吸血鬼<賢者イヴ>の遺産も手に入る―――それは、この店の名物になるんじゃない
でしょうか、などとこの愚かな天狗は思うわけですが如何です?」
「お、お、おお!」
萃香は色めきたち、目をキラキラさせて文の手をガシっと握った。
「おーし、トーナメントで活躍しまくってクラブ・イブキの宣伝すっぞー!ついでに秘宝とやらも手に入れてウチの名物
にしちゃる!これで赤字も閑古鳥も何処吹く風よ!」
すっかりその気である。文は誰にも聴こえないように小さく呟いた。
「まさか、ここまで単純なオミソの持ち主だったとは…」
「ん?なんか言った?」
「いえいえ、何も」
「まーいいや。もっちろん勇儀も出るよな?一緒に大暴れしたろうぜ!」
「そーだなぁ…」
顎に手を当てて少し考えるフリをしてみるが、断るつもりも理由もない。
お祭り騒ぎも強い奴とのケンカも、彼女は大好きなのだ。
「よし!一緒に出よう、萃香」
「そう来ないとね!」
グッと拳を押し当てあう二人の鬼であった。天子はそんな彼女らに不安げに問う。
「そう上手くいきますか?強い人がいっぱい出るんじゃ…それにほら、外界の吸血鬼とかヒーローとか、どういう力の
持ち主なのか分からない奴らも出るみたいですし、油断してれば足元を掬われますよ」
「かかかかか、天子よ。おめーも随分丸くなっちゃったなあ。我等を誰と心得る!」
「そう!この星熊勇儀と伊吹萃香―――共に<妖怪の山>四天王が一角也!」
二人は肩を組み、啖呵を切った。
「人間だろうと妖怪だろうとヒーローだろうと―――ケンカで鬼に勝てるものか!」

<小さな百鬼夜行>伊吹萃香。
そして<語られる怪力乱神>星熊勇儀。
トーナメント、参戦決定。