時間貯金箱。22世紀のスケジュール管理ツールである。
これには、預金機能の他にクレジットカード機能がついていた時期もある。
しかし、そのバージョンはあらゆる時代を見渡しても19基しか存在していない。
”時”の貸し借り。
普通、時間とか身長の方を担保にしてもらうもんだ。そして通貨を融資する。
たとえば22世紀でも最大手の金融集団「帝愛」。
岩盤を『ピーチ缶詰や業務用の上白糖に変えながら』汗を流す債務者の一条さんにお話をうかがった。
これには、預金機能の他にクレジットカード機能がついていた時期もある。
しかし、そのバージョンはあらゆる時代を見渡しても19基しか存在していない。
”時”の貸し借り。
普通、時間とか身長の方を担保にしてもらうもんだ。そして通貨を融資する。
たとえば22世紀でも最大手の金融集団「帝愛」。
岩盤を『ピーチ缶詰や業務用の上白糖に変えながら』汗を流す債務者の一条さんにお話をうかがった。
「時は金なり、と申します」。
はい、ありがとうございました。
そして、20世紀の練馬区。
そして、20世紀の練馬区。
のび太「じゃあ、夜の寝る時間を持ってきて昼寝すればいいんじゃん。利子も僅か2分7厘だ。とりあえず1時間!」
最近、のび太の様子がおかしいので心配し始めるドラえもん。
きちんとスケジュールを自己管理してくれているのだろうか。
慣れるまでが大変なのは、当たり前。そこを、乗り越えて欲しかった。
だが、もう1ヶ月になるのにのび太は規則正しい生活に慣れていないようだ。成績も元のまんま。
当初は調子が良かったのに、最初の週の終わりごろから元気が無くなってきていたのも気になる。
自律神経系かと思ったドラえもんは、渋るのび太をお医者さんカバンで簡易検査した。
きちんとスケジュールを自己管理してくれているのだろうか。
慣れるまでが大変なのは、当たり前。そこを、乗り越えて欲しかった。
だが、もう1ヶ月になるのにのび太は規則正しい生活に慣れていないようだ。成績も元のまんま。
当初は調子が良かったのに、最初の週の終わりごろから元気が無くなってきていたのも気になる。
自律神経系かと思ったドラえもんは、渋るのび太をお医者さんカバンで簡易検査した。
【生活が不規則です】
のび太より先に押入れへ到達しようと、まるでビーチフラッグの選手でもあるかのように
畳の上を滑り行くドラえもん。彼が時間貯金箱を手に取り、慣れた手つきでクルクルと回しいくつかのパネルを押す。
そして時間貯金箱が発した電子音がスタートの合図であるかのように、机のヒキダシを開けて頭を突っ込む。
タイムマシンが搭載している印刷機へデータが転送されていたのだ。
それらを止めるでも無く、のび太は襖にもたれて寝ていた。ドラえもんが何とかしてくれるとでも思っているのだろう。
「これはいかんぞ、のび太くん」。
向かって右斜め上が留められた紙の束をめくり終え、開口一番にそう言ったのはロボットではない。
顔色の悪い黒服の男性だ。
時間貯金箱の「借り入れ」は、限度額の寸前にまで届いていた。
だから、ドラえもんは急いでこちらから出向いたのだ。動きの緩慢な、のび太を引っ張って。
「この10分とか20分、初等科施設の休み時間じゃないのか?きちんとトイレには行っているのか」。
「この日の夕方、返済したと思ったら8分22秒後にまたドカンといってるが、これはなぜだね?」
黒服はいろいろと疑問点を質した。それでどうやら、のび太に返済の意志があることは伝わったようだ。
「うん、きみはまだ"何とかなる”。いや、心配しなくていい。何も、きみをどうこうしようってんじゃあない」。
だが、何が何とかなるのだろう。のび太は、掛け値無しにヘタッピすぎた。要領の問題だった。
要は時間の使い方。
畳の上を滑り行くドラえもん。彼が時間貯金箱を手に取り、慣れた手つきでクルクルと回しいくつかのパネルを押す。
そして時間貯金箱が発した電子音がスタートの合図であるかのように、机のヒキダシを開けて頭を突っ込む。
タイムマシンが搭載している印刷機へデータが転送されていたのだ。
それらを止めるでも無く、のび太は襖にもたれて寝ていた。ドラえもんが何とかしてくれるとでも思っているのだろう。
「これはいかんぞ、のび太くん」。
向かって右斜め上が留められた紙の束をめくり終え、開口一番にそう言ったのはロボットではない。
顔色の悪い黒服の男性だ。
時間貯金箱の「借り入れ」は、限度額の寸前にまで届いていた。
だから、ドラえもんは急いでこちらから出向いたのだ。動きの緩慢な、のび太を引っ張って。
「この10分とか20分、初等科施設の休み時間じゃないのか?きちんとトイレには行っているのか」。
「この日の夕方、返済したと思ったら8分22秒後にまたドカンといってるが、これはなぜだね?」
黒服はいろいろと疑問点を質した。それでどうやら、のび太に返済の意志があることは伝わったようだ。
「うん、きみはまだ"何とかなる”。いや、心配しなくていい。何も、きみをどうこうしようってんじゃあない」。
だが、何が何とかなるのだろう。のび太は、掛け値無しにヘタッピすぎた。要領の問題だった。
要は時間の使い方。
「限度額と繰り入れの期限。これらにさえ、触れなければ、いい」。
「しかし、もし”その時”が来たら・・・きみは満11歳でしかも20世紀人だから、きみではなく・・・」
「22世紀世界に於ける後見人の債務となる。すなわち、ドラえもん氏だな」。
「しかし、もし”その時”が来たら・・・きみは満11歳でしかも20世紀人だから、きみではなく・・・」
「22世紀世界に於ける後見人の債務となる。すなわち、ドラえもん氏だな」。
思わず「えっ!?どういうことですか!?」とソファーを跳び上がるのび太。
「まぁ掛けたまえ」。のび太が落ち着ける時間を、と紙コップのシナモン緑茶を啜る黒服。
もう温くなっているけど、作法だからフーフーと冷ますそぶりを交えつつ。
黒服が宣告した事実は、「期限までに完済できなければ、ドラえもんとの時間を失う」というものだった。
ドラえもんの時間をのび太の時間に替えて回収すれば、当たり前のことだった。
帝愛が要求する時間自体は、そんなに長くない。50時間余りだ。
しかし、ロボットに債務代行をさせたら22世紀世界に於いて二度と子守ロボットを持てなくなる。
そして次に子守ロボットが必要な事態になったら、22世紀人であれば児童福祉施設への送致・・・じゃなくて保護。
そうでなければ、レッドカードがついて二度とドラえもんともドラミとも会えなくなる。
ドラえもん、一度は「数々の冒険を共にした、仲間たちにカンパを募ろう」「地域猫からも幾許か拝借しよう」みたいな
ことを言ってくれた。だがのび太、自分の意志でそれらを突っぱねた。
「まぁ掛けたまえ」。のび太が落ち着ける時間を、と紙コップのシナモン緑茶を啜る黒服。
もう温くなっているけど、作法だからフーフーと冷ますそぶりを交えつつ。
黒服が宣告した事実は、「期限までに完済できなければ、ドラえもんとの時間を失う」というものだった。
ドラえもんの時間をのび太の時間に替えて回収すれば、当たり前のことだった。
帝愛が要求する時間自体は、そんなに長くない。50時間余りだ。
しかし、ロボットに債務代行をさせたら22世紀世界に於いて二度と子守ロボットを持てなくなる。
そして次に子守ロボットが必要な事態になったら、22世紀人であれば児童福祉施設への送致・・・じゃなくて保護。
そうでなければ、レッドカードがついて二度とドラえもんともドラミとも会えなくなる。
ドラえもん、一度は「数々の冒険を共にした、仲間たちにカンパを募ろう」「地域猫からも幾許か拝借しよう」みたいな
ことを言ってくれた。だがのび太、自分の意志でそれらを突っぱねた。
それからのび太は頑張った。月末には土日の殆どの時間を返済に充て、最初の関門を余裕で通過した。
借り入れを25時間弱に減らして、ラストの週に臨んだ。
昼寝する時間を飛ばして、生理的生活時間を含む「すべきこと」へ突入したり
木曜日の夜は思い切って消灯時から起床までを飛ばしてチャージしたりもした。
その甲斐あって、ドラえもんと別れなくて済んだのび太。はじめて、自分の力で成し遂げた何か。
ドラえもん、感慨無量で大喜びした。
「これじゃダメだ」。
「えっ?」
のび太が、何をダメだと言ってるのかわからないドラえもん。
「ジャイアンとのミッドナイト・タイマン。あれを皮切りに何度も、僕は奮起してきた」。
「けど、いつの間にか真剣になれなくなっていたじゃないか。日常で、真剣さを維持できない病」。
借り入れを25時間弱に減らして、ラストの週に臨んだ。
昼寝する時間を飛ばして、生理的生活時間を含む「すべきこと」へ突入したり
木曜日の夜は思い切って消灯時から起床までを飛ばしてチャージしたりもした。
その甲斐あって、ドラえもんと別れなくて済んだのび太。はじめて、自分の力で成し遂げた何か。
ドラえもん、感慨無量で大喜びした。
「これじゃダメだ」。
「えっ?」
のび太が、何をダメだと言ってるのかわからないドラえもん。
「ジャイアンとのミッドナイト・タイマン。あれを皮切りに何度も、僕は奮起してきた」。
「けど、いつの間にか真剣になれなくなっていたじゃないか。日常で、真剣さを維持できない病」。
「あー・・・・・・そうだね。でもそれがのび太くんの」
今日はそれを遮るのび太。「ぼくは明日の放課後、修業をしてくるよ」。
心配だったが、少し嬉しかったドラえもん。
のび太が久々の昼寝を満喫し始めると、ポケットからパサパサと時間貯金箱の廃棄勧告書を広げ出す。
折り目や変色など、かなり前から何度も読まれていた様子だ。それを畳に置く。
そして書面の中央、魔法陣のような模様の上に時間貯金箱を置くとそれは22世紀へと転送された。
残存していた時間の代価なのだろう、明滅をやめた魔法陣には未来の小銭らしい物がいくつか積んである。
「よかった・・・・・・」。ドラえもんは、嬉しかった。
今日はそれを遮るのび太。「ぼくは明日の放課後、修業をしてくるよ」。
心配だったが、少し嬉しかったドラえもん。
のび太が久々の昼寝を満喫し始めると、ポケットからパサパサと時間貯金箱の廃棄勧告書を広げ出す。
折り目や変色など、かなり前から何度も読まれていた様子だ。それを畳に置く。
そして書面の中央、魔法陣のような模様の上に時間貯金箱を置くとそれは22世紀へと転送された。
残存していた時間の代価なのだろう、明滅をやめた魔法陣には未来の小銭らしい物がいくつか積んである。
「よかった・・・・・・」。ドラえもんは、嬉しかった。
【のび太の更生・完】※この続編として、のび太がバキ世界へ鍛練に行く話を考えてます。龍書文も出てきますよ。