SS暫定まとめwiki~みんなでSSを作ろうぜ~バキスレ 遊☆戯☆王  ~超古代決闘神話~ 第四十九話「ラスト・デュエル!(前篇)」


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―――現世から遥か遠くに隔たる超空間。
「遂に」「終に」「目覚めてしまった」
「<黒き予言書>」「<終焉の魔獣>」「<歴史の支配者>」
其処では先刻、タナトスと矛を交えた詩女神六姉妹が、死神と人間の最後の闘いを見守っていた。
「最早、人間達の力では」「到底太刀打ちできない」「されど、タナトスも今は十全ではない」
「今なら、我々が加勢すれば」「冥王を斃す事も」「せこくね、それ?」
どこか白けたような末っ子の六女だったが、姉達はそれを黙殺した。
「では参りましょう」「これ以上タナトスに」「人間達を殺させるわけにはいかない」
「あの者達に」「力を貸して」「姉ちゃん達さあ。あたいはどーかと思うよ、そーいうの」
またしても混ぜっ返した六女に対し、残る五姉妹は流石に気分を害したようだ。
「―――ロクリア。貴柱(あなた)は何を言いたいのです」
最年長の姉・イオニアが代表して苦言を呈するが、六女・ロクリアは涼しい顔だった。
「なんかさあ…偉そうってか上から目線なんだよね。姉ちゃん達も、タナトスのおっさんもさあ。人間を救ってやる
とか、助太刀してやるとか。あたいがもし人間だったら、いえいえ何もしてもらわなくて結構と言ってるよ」
「貴柱は…!みすみすタナトスを討つ機会を逃し、人間達を見殺しにしようというのですか!」
「そんなん言ってないでしょ。あたいはたださ―――ここはあの仔等に任せてみようって思ってるだけ」
ロクリアはそう言って、闇遊戯達を見つめる。
「これは、あの仔等のケンカさ。あたい達がしゃしゃり出る場面じゃないよ…それに、あたいは思うんだ」
「何を」
「あの仔達がどんでん返しを見せてくれるんじゃないか、ってね」
「バカな。最早これは、人の身で抗える段階を遥かに越えています」
「姉ちゃん達は人間が大好きなのに、人間を下に見てるよね。人間って、案外侮れないよ?」
ロクリアは、飄々とした態度で笑う。
「人間って、時々だけどほんの一瞬、本当に眩しく輝くんだ。まるで、閃光みたいに」
だから。
「あの仔等に任せたら、全部上手くいく―――そんな、女のカンだよ」
最終決闘場と化した、黒の領域。
黒そのものと為った死神は、嘲るでもなく問う。
「最後ニ、一応訊ィテォキタィ…降参スル気ハナィノカ?」
返事はない。闇遊戯達はただ、決意を秘めた眼差しで闇すら超えた黒を睨むだけだ。
「ソゥカ」
タナトスも、それは訊くまでもなく分かっていた。この世界が何者かによって綴られる物語ならば、この場は正しく
最終章。今や、最後の決着を残すのみだ。言葉など、今となっては意味など持たない。
意味を成すのはただ、己の意志を貫くための力のみ。
「ナラバ見セテァゲヨゥ…書ニ刻マレシ者達ノ力ヲ!」
黒が蠢き、姿を変えていく―――

「<ブラック・クロニクル>第一巻・44頁(ページ)―――<王宮ノ魔神(エクゾディア)>!」

波打つ黒が、逞しい四肢と化す。
右腕・右足・左腕・左足―――それは人のパーツのようにも見えるが、その意味を理解したのは闇遊戯と城之内と、
そして海馬だ。
エレフ達もそれが何かは分からずとも、底知れぬ脅威であることだけは明確に感じ取った。
そして、最後に胴体と頭部。四肢がそれに接続され、完全なる五体を成した。
「あれは…そんな!」
まさにそれは、異形の神だった。異形で異様で、何より偉大な神だった。
その怒りは大地を焼き、その怒号は天すら砕く。
彼こそは、絶対。眼前に如何なる存在も赦さぬ、壮烈なる魔神。
「―――<エクゾディア>!」
「知ッティタカ…ナラバ理解デキヨゥ、其ノ力モ!」
魔神は、祈りを捧げるかのように両の掌を合わせる。だが、その意味する所は敬虔な祈りなどとは程遠い。
もしそれを祈りというなら、彼はただ裁くために、焼き尽くすために、破壊するために祈るのだ。
「あ、あれは…おい!やべえぞ!」
「やべえのは分かるよ!けど、どうすんだ!?」
「落ち着け!まずは皆で防御を固めて―――」
「いや」
エレフがその場を制し、前へ出る。まるで、仲間達の楯であるかのように。
「―――皆、聞いてくれ」
「エレフ…おい、戻れ!アレをまともに喰らったら、いくらお前でも終わりだぞ!?」
「終わらんさ。お前達が、生きていれば」
エレフは、決然と答えた。
「この一撃は、私が全て受け止める…だから、お前達は防御の事など考えるな。奴を倒す事だけに集中しろ!」
「エレフ…」
「これは、タナトスにとっても最後の賭けのはず。奴は体力をほとんど使い果たしていた…その上でこれほどの力
を振るえば、恐らくは反動で完全に無防備になるはずだ。そこを狙え!」
「中々ノ推察ダヨ、エレフ。確カニォ前ノ言ゥ通リダ…ケレド、ォ前一人ダケデ、コノ一撃ヲ受ケ止メラレルカナ?
失敗スレバ、其レデ終ワリダ」
「やるさ…やってみせる」
「やめて、エレフ!どうしてそんな…」
「ミーシャ。私は、死なない」
エレフは、きっぱりと言い放つ。
「私は死にはしない…お前達と共に、これからの世界を生きるために闘うんだ!」

「怒リノ業火―――エクゾード・フレイム!」

地獄の炎―――そんな言葉は、この業火の前ではまるで陳腐だ。
極限の熱量は、もはや火炎とすら呼べない。
それはただの、悪夢だ。
万物を灰燼に帰してなお燃え盛る、破滅そのものの悪夢だ。
その悪夢を、エレフは双剣を楯にして受け止めた。
「ぐうううううぅッ!」
己の中の全ての力で、太陽の如き灼熱を押さえ込む。
「うあああああああぁーーーーーーっ!」
皮も肉も骨も、魂まで焼けていくような苦痛に、エレフは耐えた。命すらも振り絞り、力強く叫ぶ。
「タナトス!私は…人間は…神(おまえ)などに負けない!」
そして、無限熱量が弾け飛ぶ。眩い閃光に、タナトスさえも一瞬、眼が眩んだ。
「クッ…!」
「今だ―――行け、皆!」
―――その一瞬で、彼等は既に疾風のように駆け出していた。
レオンティウスの槍が雷光を纏い、エクゾディアの眉間に突き立った。
オリオンが残った星屑の矢を二本同時に放ち、それは正確に胸を貫いた。
海馬が駆る三体の白龍が、天地を震わす咆哮と共に破壊の吐息を放った。
城之内に寄り添う黒竜が、渾身の力を振り絞って特大の火球を吐き出した。
闇遊戯の召喚した頼れる仲間達が、一斉に攻撃を仕掛けた。
それを。
それすらをも。
冥王タナトスは、耐え切ってみせた。
「…残念ダッタネ…少シダケ…モゥ少シダケダッタノニ…」
魔神の姿がぐにゃりと歪み、新たな形態を取る。
「コノ悪魔ノ姿ニ為ルノハ気ガ進マナィガ…ソゥモ言ッテハィラレナィカ」

「<ブラック・クロニクル>第二巻・666頁―――<石畳ノ緋キ悪魔(シャイタン)>!」

それは炎髪灼眼(えんぱつしゃくがん)と捩れた二本の角を持つ、黒のレザージャケットに身を包んだ、異形にして
精悍な男だった。
ペンキで塗ったような白い顔には、奇妙な刺青。
背中には、悪魔を思わせる漆黒の翼。
この世に存在するどんな剣よりも強く鋭い鉤爪。
全身に炎を纏うその男は、彫像の如く美しい姿をしながらにして、おぞましい悪魔に相違なかった。
「全ク、悪趣味ナ格好ダロ?何ヲ考ェティルノカナ、コノ馬鹿悪魔ハ」
彼にしては珍しく悪態を吐きながら、緋き悪魔と化したタナトスは魔力を凝縮させる。
「シカモコノ馬鹿ハ、技名ダサィンダヨ…センスヲ磨ケ、センスヲ!」
先の魔神の業火にも劣らぬ爆炎が、黒すらも蹂躙し、闇遊戯達に押し寄せる。

「受ケテミヨ悪魔ノ炎!ウルトラスーパーデラックス・シャイタン・ファイアー!」

あんまりな技名に対し、ツッコミを入れる余裕などない。
白龍や黒竜をはじめとするモンスター達が主達を守ろうと、自らの意志でその命を楯に、果敢に炎を堰き止める。
それでも。
その炎を前に、彼等では余りにも脆すぎた。
「うあぁぁぁぁっ!」
「く…ちっくしょォーーーっ!」
そして防ぎきれなかった炎の余波だけで、闇遊戯達を蹴散らすには充分すぎた。
燃え盛る火炎の中で、彼等はただ糸が切れたように崩れ落ちた―――否。
「…ヤハリ…キミダケハ立チ上ガルカ、古ノ王ヨ…フフ。コノ世界ガ物語ナラ、間違ィナクキミガ主人公ダ」
「オレは…負けない」
「其ノ粋ヤ良シ。シカシ、最早キミニハ何モナィ筈」
(違う…)
最後の最後―――奥の手は、まだある。しかし…。
(だが…それでも、この恐るべき神に勝てるのか…!?)
その恐怖が、闇遊戯の手を縮こまらせていた。
(オレは、怯えているんだ…敗北に…!)
握り締めた手は汗に塗れ、がくがくと震える。
(恐ろしい…恐ろしいんだ、オレは…!)
と―――震えるその手に、誰かの手が重ねられた。
「ゆう…ぎ…」
「じょ…城之内くん…」
城之内はボロボロの身体で立ち上がっていた。闇遊戯の手を強く握り締め、力づけるように笑ってみせる。
「一人じゃあ耐えきれねえ力でも…皆一緒なら、きっと大丈夫だ」
重ねられたのは、力。そして想い。
「―――オレは、オレ達は…お前を信じるぜ、遊戯!」
「城之内くん…」
闇遊戯は、仲間達を見つめた。
オリオンとレオンティウス、そしてエレフは力強く笑みを浮かべる。
ミーシャは祈るように両手を合わせる。
海馬は<こんな奴に負けたら承知せんぞ>という顔で睨んできた。
ボロボロになりながら―――誰一人、諦めてなんかいなかった。
(―――もう一人のボク)
そして、遊戯。
(―――負けないで!)
(ああ―――オレは、勝つ!)
あれほどの恐怖が、嘘のように吹き飛んでいた。
そして、笑った。口の端を吊り上げ、不敵に。
それこそが、彼の真骨頂だ。
「何ヲ笑ゥ―――万策尽キ果テ絶望シタカ、遊戯!」
「それは違うぜ、タナトス」
闇遊戯は、笑みを崩さない。
「オレは<希望>を手にしたんだ!」
天高く掲げるは、三柱の神のカード!
「今―――王の名の下に三幻神を束ねる!」
古の伝説。
選ばれし王は自らの名の下に神を束ね、光の女神を呼ぶ。
闇と共に封印されし、王の名。
失われし、その名は。
「我が名は<アテム>―――!オベリスク・オシリス・ラー!今こそ真なる姿を顕現させよ!」
破壊を司る巨神が、天空を翔ける竜王が、太陽の化身たる神鳥が、光と化して連なり、渦巻く。
全てを拒む黒すらも煌々と照らし、今、女神が舞い降りる―――!

「―――光の創世神・ホルアクティ!」

神たる威厳と慈愛に満ちた美貌。
聖なる力を秘めた金色の衣装に身を包む彼女は、まさしく光の化身。
闇を、黒をも圧倒する、それは希望の権化だった。
「其レガ、キミノ切リ札カ」
対して、タナトスは。
「ナラバ見セヨゥ…予言ニ記サレシ、終焉ノ魔獣ノ姿ヲ!」
その姿を、更に変えていく。
魔神ではなく、悪魔でもない。黒そのものたる、純粋なる獣へ!

「<ブラック・クロニクル>第二十四巻・1023頁―――<魔獣(ベスティア)>!」

それはもはや、名状など不可能。
ただ、それは魔獣。ただ、それは破壊。ただ、それは終焉。
それは、ただただ―――黒き歴史の権化!
黒き魔獣―――ベスティア!
「これでお互い、全てを出し切ったか―――いくぜ、タナトス」
闇遊戯が、黒へと向けて咆哮する!
「最終決闘(ラスト・デュエル)!」