SS暫定まとめwiki~みんなでSSを作ろうぜ~バキスレ ダイの大冒険AFTER(ガモンさま) 第二十三話 始まりの一撃


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鬼気迫る表情でアトラスを睨みつけるクロコダイン、彼の眼は太陽が入ったかの様に神々しく輝いていた。
二人の間合いは一メートルも無い。アトラスの巨大な棍棒はリーチの差を活かし、クロコダインを殴り付ける。
痛恨の一撃とも呼べるような攻撃を受けてもクロコダインは倒れない。
「いい加減に……死ね~~!!!!」
アトラスが棍棒を振りあげた瞬間にクロコダインは突進する。そのままグレイトアックスで下腹部を叩き斬る。
「ふ、勝負は……どうなるか分からんぞ!?」
力対力、純粋な一撃で優勢から劣勢に陥ることさえ有り得る。今のアトラスはまさにその状況である。
この一撃でアトラスが変わった。一つ目を血走らせ、クロコダインに集中的に棍棒を叩きつける。そのスピードは今までの比ではない。
クロコダインは棍棒を振り切りアトラスの下に潜り込む。アトラスはクロコダインにまた棍棒を振り下ろす。
城の者達から見れば押しているのはクロコダインだと見えているだろう。しかしヒュンケルはそれでも胸騒ぎを感じていた。
「このままでは、不味い!!」
ヒュンケルの予感は的中し、アトラスの想像以上に速い攻撃により、クロコダインはカウンター気味に倒されたのだ。
今までに無い程のダメージを受けたクロコダイン、常人ならば即死してもおかしくはない。クロコダインも立ち上がることが出来なくなっていた。
『無様な、必ず勝つと豪語して、実際に俺は今敗北を迎えようと……」
ふとクロコダインの左目の傷が痛み始める。まるで何かを伝えるかのように。
「やっと終わった~~。じゃあ止めだ!!!!」
アトラスが倒れたクロコダインに向けて最後の一撃を振り下ろす。クロコダインは最早避ける事も出来そうになかった。
一方で左目の傷はますます痛みを増していく。気づいた時にはクロコダインは棍棒を紙一重でかわしていた。
「俺は今、何を!!?」
「しぶとい野郎だ~~~!!!」
アトラスがクロコダインを襲う。しかしクロコダインの眼に映っていたのは過去の情景であった。
気がつけばクロコダインはダイ達と共に旅をしていた記憶がフラッシュバックされてきていた。
ダイ達をヒュンケルから逃がし、バランの攻撃を耐え忍び、戦い続けてきた記憶。
気がつけばバダックにも”真の武人”であるとまで言われるほどになっていた自分。
しかしロモス城での闘い、クロコダインはザボエラの策略により、武人の誇りを捨て去り、非常に徹し、勝利を渇望した。
ダイを殺す為にブラスを闘わせたが、ポップに諭されクロコダインの心は動き始めた。その後、策略を破られ、完膚無きまでに叩き潰され、クロコダインはまた正気に戻る。
『今思えば、あの闘いも、俺に課せられた試練だったのかも知れん、ダイを殺そうと必死でもがいた俺の……何故、何故俺はあんなにまでダイを狙って!?」
その時アトラスの一撃がクロコダインの左目に直撃した。
「クロコダイーーン!!!!」
ヒュンケルが叫ぶ、その叫びを聞きながら彼は思い返していた。
『そうだ、あの時ポップに諭されなければ俺はザボエラに駒にされていたかもしれん。いや、そうでなくとも奴等に遭わなければ、今の俺は決してなかった!!!
そう、ロモス城で奴等と闘ったのも、ダイに執拗な殺意を覚えたのも、全てこの一撃があったからだ!!!!』
クロコダインが左目を触る。傷の痛みは少しずつ引いていく。
『ダイ、あの日お前に会って、俺の人生は変わった、いや、お前のあの一撃から始まり、ロモスで闘い敗れた時から、
俺の人生は始まった。ククク、あの時はお前を食い殺してしまいたいとすら思っていたのに、今では、俺の眼を斬った事が……唯、有難く思う。』
クロコダインは血まみれの体でアトラスの前に立つ。クロコダインの顔を見て思わずアトラスは後ずさりした。
「ならば、ダイの守ろうとしたこの地上を、貴様等に渡すわけにはいかん!!!!」
「しつこい奴だあ、いい加減に、くたばれ!!!!」
全力でクロコダインを打ん殴る。しかしクロコダインは避けずにそのまま当たっていく。
「こんなもの痛くもない、”アイツ”の攻撃に比べればとてもとても。」
その後もアトラスは攻撃を続ける、しかしクロコダインはまるで倒れる素振りを見せない。
「こいつ、一体!!」
攻撃をしているアトラスが引き、耐えているクロコダインが追い詰めている状況に一同は驚愕する。
クロコダインもグレイトアックスで応戦し、下腹部を十字に斬り付ける。
「ぐああ~~~!!!!」
余りの激痛にアトラスが悶える。傷の上から更に逆方向に斬る攻撃、アバンストラッシュXをモチーフにした攻撃方法である。
互いに逆転続きの闘いにもフィナーレは近づいて来ていた。
「貴様~!!!!」
アトラスには怒りしか残ってはいなかった。対してクロコダインには先程までには無い余裕の様なものが感じられた。
「圧倒的に不利な状況に追い詰められても、まるで諦めない、奴もダイに影響されたか…」
ヒュンケルが微笑みをこぼす、しかし彼もクロコダインが不利な状況に歯がゆい思いを抱いていた。
「最早体の動かない俺がお前に望む事は、勝ってもらう以外にはない。だが、死ぬな、クロコダイン!!!」
ダメージは依然クロコダインの方が大きい、しかしクロコダインは止まらない。
クロコダインの鬼神の様な顔にアトラスが怯える、力を誇示して来た彼が初めて屈しようとしていた。
「俺も、ここで負けられぬ訳がある。ここで負ければ俺は、奴等に借りを返せぬまま死ぬ事になるだろう。
俺はそんな死に方が、我慢ならないのだ!!!!」
クロコダインの気迫に押されながらもアトラスは立ちあがり、棍棒を振り上げる。
「もっとだ、貴様の全てを、この俺にぶつけて来い!!!!!」
アトラスは受け答えるかのようにクロコダイン目掛けて振り下ろす。棍棒はグレイトアックスと交差し、火花を散らせた。
「ぐう、ぐああ!!!!」
アトラスは更に力を込める。既に彼から恐怖の色は消えうせていた。しかしそれでもクロコダインを潰す事が出来ない。
「もっと、もっとだ!!」
二人の衝突はますます激化する。
クロコダインは衝突の最中でも感じていた。自分の勝利を願う民の存在、今までに関わってきた仲間達の存在、そして生涯の友の存在を。
彼等がすぐ後ろで見守ってくれている。クロコダインは柄にもなく涙する。
「アトラスよ、俺の勝ちだ!!!」
一瞬アトラスが退く、その瞬間をクロコダインは見逃さなかった。
クロコダインがグレイトアックスをアトラスに向けて振りぬく瞬間、クロコダインの後ろに手を合わせ、勝利を懇願する民の姿があった。
先の戦いがなければ化け物と蔑まれていただろう人生が変わったという事を象徴した光景だった。
『有難い。』
クロコダインは横一線にグレイトアックスを振った。
「大魔神斬り!!!!!」
アトラスは胸を斬り裂かれ、崩れる様に倒れ落ちた。最後に勝負を分けたものは互いに背負ってきた物の違い。

             クロコダイン、完勝