「七クロ 53-7」(2008/02/11 (月) 00:19:39) の最新版変更点
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「ちょっと待った!!」
「だ、誰だ!?」
「少女が守りし、泉を奪い」
「ゴフ!」
「さらには力でねじ伏せる」
「ゲッ!」
「悪鬼のごとき、その行状は」
「ヘブッ!」
「見過ごすことは出来申さぬ」
「ガフン!」
「よって、拙者が助太刀……って、ちょっと、ちょっと、林田君。殴るの早い」
「え、そう?」
「折角、人がなりきっているんだから段取りとか考えてよ」
「おお、そうか、すまん」
「もう……じゃ、改めて……ドスン、ガスン、ボスン、バタン、ガッ、ガッ、ガッ!!
……安心なされよ、峰打ちじゃ。と、まあ、こんな感じでいきたいよね」
「これだけ殴られたら、ちっとも安心なんて出来なさそうだが」
「大丈夫だよ。なんてったって峰打ちなんだし、いくら殴っても命に別状は無いでしょ」
「……全身に返り血を浴びながら言う台詞じゃないな」
「ひぃ、何だ、こいつら!た、助けてくれー!」
「あ、悪党共が逃げ出したぞ」
「放って置きなよ。それより女の子の方が心配だ」
「う、うう~ん……」
「お、気が付いたみたいだぜ」
「あ痛たたた……」
「大丈夫かい、君?怪我をしているようだけど」
「うん、だ、大丈夫……あ、貴方達は!!…………えっと、誰?というか何?」
「ああ、さっき会った僕達を忘れているなんて……」
「可哀想によっぽど酷く痛めつけられてたんだな」
「え、さっきのお兄ちゃん達なの!?何よ、そんな珍妙な格好していたら気が
付く訳ないじゃない」
「あ、そう?一応、サムライのつもりなんだけど」
「……何か、私が想像していたのと大分違う」
「お前は知らんだろうが、今のサムライはこれがトレンドなんだ」
「現代のサムライってかなり思い切っているのね……」
「まあ、事実は小説より奇なり、と言うし。気にしない気にしない」
「そ、そう……でも助けてくれてありがとう。危うく、オアシスを
奪われるところだったわ」
「ああ、間に合って良かったぜ。ただ、逃げていった奴が仲間を連れてくると
なると厄介だな」
「うん。多勢で来られたら、二人じゃ防ぎようが無いね。ねえ、君、
敵は一体どの位いるんだい?」
「う~ん、詳しくは分からないけど、社員の数はおよそ10000人。
黒い噂が絶えない会社でしこたま武器を溜め込んでいるって話も聞くわ」
「げ、そんなにいるのかよ」
「正直、勝ち目の無い数字だよね。おまけに僕は荒事が苦手だし」
「うーむ、2人対10000人か……」
「………ちょっと」
「10000匹もいたらチワワだって充分、脅威だよ」
「ああ、ムツゴロウさんが10000人いたら、ロシアぐらいは占領しているぞ」
「その数を二人でか……」
「……ねえ、ちょっと」
「ちなみに曙が10000人だったら?」
「あ、それはなんか勝てそうな気がする」
「ちょっとってば!」
「え、何?」
「さっきから聞いてれば、二人で戦うとか言ってるけど、誰か忘れてやしない?」
「いや、僕と林田君の二人しかいないよ?」
「何言っているの。私を入れたら二人でなく、三人じゃない」
「へ、お前も戦うつもりか?」
「当たり前でしょ。私だってサムライよ」
「……フフフ」
「……ハハハ」
「何よ、何がおかしいのよ」
「いやいや、一丁前に言うじゃねえかと思ってよ。じゃあ、ここにいるのは三人の
サムライって訳か」
「フフ、一人ははぐれ優等生、一人はニセモヒカン、さらにもう一人は女の子
……とんだサムライもいたもんだね」
「ハハハ、全くだ。しかし、不思議もんだな。全然、負ける気がしなくなったぜ」
「ホウ、それは頼もしいことだな」
「!!」
「オイオイ、知らせを聞いて駆けつけてみれば、何だよ、ガキばかりじゃねえか。
こんな奴ら相手に俺らを呼んだのか?」
「へ、へへ、すいません。何しろ、突然のことだったもんで……」
「全く、しっかりしてくれよ。ただでさえ評判の悪い会社だ。俺ら、兵隊崩れが
匿われているなんてことが公になったらちょっとまずいことになる」
「まあ、そうとも言えんぞ。今はクーデターを成功させるための一番大事な時だ。
問題になりそうなことは早めに潰しておいても損は無い」
「へえ、流石リーダーともなると言う事が違うね。でも、ウチの社長がクーデター
を企んでいるなんて喋っちゃっていいの?」
「問題無い。砂漠はお前らみたいにお喋りじゃないからな」
「は、違えねえ。それじゃ、早いとこ片付けるとしますか」
「クソ、もう新手が来やがったのか!どうする、神山?」
「う~ん、敵はざっとで50人。銃を所持しているのが半数、作業車に乗って
いるのがまた半分。戦闘経験者も混じっているようだ。いくら林田くんが筋金
入りの不良でも厳しい戦いになりそうだね」
「へ、ケンカにプロもアマチュアもあるかよ。結局は根性のある奴が勝つんだ。
上等だ、やってやろうじゃねえか!」
「……うん、怖気づいていては勝てるものにも勝てない。身を捨ててこそ、
浮かぶ瀬もある。よし、打って出よう!」
「お、なんだよ。こいつら、降服するかと思ってたのに、向かってくるぜ」
「ほお、威勢の良いことだ。既に勝敗は決まっているというのに」
「しかし、こいつらなかなかにやるな。見ろ、たった3人なのに善戦してるぞ」
「ふ~ん、日本人得意のカミカゼって奴なのかもね。全く、ご苦労なこった」
「まあ、暇つぶしには丁度良いだろう。よし、いっちょう揉んでやるとするか」
「了解、こっちも出るぞ!」
「オリャアアア!!……ゼェゼェゼェ」
「大丈夫かい、林田君」
「おう、なんとかな。しかし、ここまで頭数に差があると、いくらなんでも
体がもたんぞ」
「うん、でも、ここでなんとか持ちこたえないと……あ!!」
ガツン!
「グッ!」
「ホラホラ、後ろがお留守だぜ」
「ウ、ウウ……」
「は、林田君!!後ろからとは卑怯な!」
「は、卑怯?なんだそりゃ、サムライの美学って奴か?」
「ハハハ、生憎だな。俺らはサムライじゃねえから美学なんて
ものは持ち合わせちゃいねえんだ。だから……」
ガッ!
「キャ!」
「こうやって女子供も平気で殴れる」
「クッ、よくもやってくれたわね!!必殺、股間……」
ズガガガガ!!
「おっと、蜂の巣になりたくなければそれ以上動くなよ。いくら腕に自信があっても
銃には敵わないだろ。それとも試してみるか?」
「ウ、ウウ……」
「なんだ、随分と大人しくなっちゃって。もう終わりかよ」
「そう言うな。三人にしちゃあ良くやった方だ」
「ま、俺らを相手にするにはミサイルでも持ってこなきゃな」
「そういうことだ。さて、さっさと片を付けるとするか」
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