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「ジョジョの奇妙な冒険第4部―平穏な生活は砕かせない― 52-6」(2008/02/10 (日) 22:30:09) の最新版変更点
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ドドドドドドドドドドドド……
この騒音のような耳鳴り……いつも不快だった。
平穏のみ、求めて生きる吉良吉影のピンチにいつもつきまとっていたからな。
だが……今は違う…私が上、奴等は下だ。
私に味方してくれる『運命』が勝利を約束している。
「あっ……姉さァ――――ん!」
この私に背を向けてまで女を守るのか…いや、そうじゃあないね。
小林玉美の発汗量、かなり動揺しているな……チンピラらしい薄着一枚、それでは汗を隠せまい。
まぁ…この状況では仕方ないだろう、このスタンド………段々と消えてきている。
罪悪感とやらが消えればこのスタンドも消滅するようだ。
「……君、他人の心配なんて………してる場合なのかい?」
「テメェ…姉さんになにしやが……」
ピタッ、と玉美の口から言葉が止んだ。
3メートル先に居た吉良が、今は目の前に居る。
1メートルも離れてはいない、そして『キラークイーン』
誰だって彼の能力と性格を多少なりとも知っていれば、最悪の展開を予想できる。
「フゥゥゥ……結構…前の話なんだがね………。
素敵な手をした女性に、名前を尋ねたんだが……。
彼女はヒドいことに…私を無視して色々と質問してきたんだ…。
失礼だと思わないかい…?私が尋ねているのに……疑問文に疑問文で返すんだ…。
今の君…その時の彼女と同じ状況を作っちまったようだ……。
まぁ、君の手なんて汚いから持ち帰ったりはしないがね」
スタンドは、宿主の精神の実像。
至近距離で見た彼の『キラークイーン』は、
キレた由花子と同等かそれ以上に恐ろしかった。
「…君の勝手なのだがね、もう手遅れなのを理解してるみたいだし。
私が代わりに答えてあげると『逃げなきゃ』って思うべきだったんだよ。
でも、逃げていても……君は死んでいたよ…間違いなく。
彼女が死んだ今、私の『シアーハートアタック』は誰にも防げないんだから
ようするに……どっちにしたって君は死ぬ『運命』にあったわけだ。」
押さえつけられている訳でも、動けないダメージを負っている訳でもないのに。
足は全く動こうとはしなかったし、動こうなんて思わなかった。
異常な殺人鬼、吉良吉影に掛けた『錠』は既に消えていた。
先程の罪悪感は消え失せ、これから殺人を犯すことにだって罪の意識を感じていない。
人殺しに慣れてるとかそんなんじゃあない。
高い知能、優秀な才能、神がこの世に居るなら殺人鬼にそんなものを与えたのが間違いである。
だが、それ以上の間違いはこの男に『ドス黒い魂』を与えたことである。
彼にとって殺人は欲求である、食欲や生理と何も変わらない。
『生体維持』に必要はなくとも、『生きる』為には必要なのだ。
ベートーベン……バッハ………フレディ・マーキュリー…。
彼等も『生体維持』に音楽は必要なかったが、彼等の人生から音楽を奪ったなら、
彼等は『生きる』ことが出来ただろうか?それと同じである。
「逃げなかったのが勇気か、それとも見せ掛けだけの有利に溺れて……思い浮かばなかっただけかな?
どちらにせよ……この吉良吉影に一杯喰わせたんだ。
選ばせてやるよ、楽に死にたいなら『キラークイーン』で吹っ飛ばす。
まだ、私に刃向かうなら…私の苛立ちを抑える為のサンドバックになってもらう。
誤解しないでくれよ……暴力は嫌いだがこれだけこっぴどくやられたんだ。
ストレスを残したまま、愛する家族の元へ向かえってのは酷だろう?」
玉美は抵抗を止め、恐怖を少しでも抑える為に目を閉じた。
フン……諦めたか………私はあんなに苦しい思いをしても諦めなかったというのに…。
やっぱり痛めつけてストレスを発散したいが…会社に向かわないとな……。
「それじゃあ…こっぱみじんに吹き飛ばしてやるッ!『キラークイーン』第一の爆…!」
パサ…
「うん?」
なんだ……奇妙な音な音だな………。
音はどこから…聞こえ……。
ドドドドドドドドド……
確かに成長した『ストレイ・キャット』の空気弾を喰らっていた。
たかだか3メートルでは、その威力は失われない。
分厚い辞書も貫く空気弾を心臓の位置する胸元にぶち込んだ。
だが、彼女は確かに地面に座り込んでいた。
倒れていた筈の体を起こし、胸元に大事な物を抱え込むように両手を合わせている。
そして、何故だか理由は分かりかねるが……泣いていた。
その涙は頬を伝い、首筋を流れて制服の内側へと隠れていった。
「馬鹿な……一体…何故…………?」
立ち上がる彼女の足取りは生まれたての小動物の様に頼りなく、
勇猛果敢な先程の彼女とは正反対の姿だった。
涙で濡れた眼には鮮やかな光が差し込み、先程の激昂は影も形も見当たらなかった。
「康一……君」
制服の穴から見えたのは彼女の傷痕や下着なんかではなかった。
黒い光沢、少し安っぽい色を放つそれは学生の使うカバンだった。
小さく切り取られて『お守り』のようになっていたそれには金具がついていた。
空気弾は運よく、丈夫な金具の部分に命中していたのだ。
「『運命』は……アナタの味方かもしれない…。
でも……私には彼の『精神』が味方してくれてる……。
『受け継がれた誠の精神』から生まれる行動は…決して滅びないっ!」
流れる涙は止まったのか、瞳に溜まってはいたが首筋や頬を見る限り乾いて来ている。
再び『ラブ・デラックス』が吉良を拘束する。
吉良は無意識に動きを止めてしまっていた、恐怖ではない。
確かに、これからの反撃に恐怖は感じたが、それを一瞬忘れるほど『美しかった』
凛とした、さわやかで温かな輝きの中に由花子はいた。
吉良を見る眼には、もう憎しみは残ってはいなかった。
ハッキリとした『白と黒』の世界の中、間違いなく彼女は『白』に居た。
「キ……『キラークイーン』!髪の毛を爆弾に変えろォ――――!」
なんだ……あの眼は!
ムカつく眼だ……どことなくクソったれ仗助や康一に似ていやがる。
だが、今すぐに白目を剥かせてやるッ!
あの眼を、この吉良吉影に向ける奴は……敵………私の平穏を乱す者は生かしてはおかないッ!
由花子の髪の毛に触れる『キラークイーン』
彼女には髪の毛が邪魔で見えていないのか、そんな力も残っていないのか髪を抜こうともしなかった。
「終わりだ……山岸由花子、あの世で広瀬康一と仲良くしろォォ――――!!」
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