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「ジョジョの奇妙な冒険第4部―平穏な生活は砕かせない― 52-3」(2008/02/10 (日) 22:24:43) の最新版変更点
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また聞こえる、またこの音を聞くことになるなんて…。
この音が聞こえる時、私はいつも平穏とはかけ離れた状況下にある……。
ゴゴゴゴゴゴゴゴ…
あの馬鹿が…人間関係は調べなかったのか?
父の情報によれば私を詮索しているのは承太郎、露伴、康一、億奏、仗助。
それに未起隆とかいう『矢』を弾いた奇妙な男だけ…こんな奴の情報は…ないッ……!
喉の奥まで突っ込まれていた髪の毛を引っ込め、呼吸する時間を与える。
「さぁ、話す気になった?」
顔に美しく、したたかな笑みを浮かべながらも瞼は涙に濡れていた。
だが、吉影は彼女を美しいとは思わなくなっていた。
額にブチ切れそうな程に太い青筋を立てつつ、
眼輪筋の動きは一層激しくなり、その振動で涙は頬を伝わずに空を舞っていた。
落ち着け…この吉良吉影、杜王町に来てから幾度となくクソカスどもに平穏を乱されてきた…。
だが、そんなピンチの時こそ冷静な対処で上手く切り抜け続けた…。
『運命』は……最終的には私に味方をするッッ!
「そ……そう、君の睨んだ通り…私の名前は吉良吉影…」
更にきつく締め付ける、だが身体中に巻きついているのに何故か手には髪を近付けない。
(まさか私のスタンド能力を…?クッ……有りうるな…私の写真を手にしたのだ…。
スタンドの察しがついてもおかしくはない…)
「そう…そうしていい子にしてれば、少しは優しく殺してあげるわ……」
こいつ……私を弄り殺す気か……だが時間を稼げば勝機はある筈…。
「ま…待ってくれ……私には妻と息子が…」
「『私には』?これで2度目よ…名前に続けて他人の物を勝手に使ったの……。
まったく……こいつぁメチャ許さんよなぁぁああああああ!」
ズッ、という這う音に続けて肉が裂けて血が出始める。
落ち着け…この女が、じっくりと私を殺す気ならここで一先ず止める……
少しずつ、肉へくい込むスピードを落としていく。
心を落ち着け、最愛の人を失った心の痛みを、思いつく限りの方法で肉体の痛みにして伝える。
思った通りだ…幸運にも、手首の所まで髪が来ている。
このまま更に伸ばして指が届く位置までくれば私の勝利……。
……だが、はっきりしない…こいつは私の『スタンド能力』を知っているのか?
例え指の触れる位置まで来なくとも、勝つ方法がない訳ではないが…。
「ち……違う…確かに最初は行方を眩ますのに利用していたに過ぎなかった…。
だが…一緒に暮らしている内に…なんというか……その…」
「……何よ。」
そう、この戸惑いの演技…速くも引っ掛かってくれたぞ……。
我ながら流石と言わざるを得ない、
フフ……この吉良吉影…役者でもなんでもこなして見せるぞ、平穏に暮らすためならばッ!
「れ…連帯感とでも言えばいいのか……家に残した家族を想うと…暖かな気分になるんだ…」
女は黙って殺人鬼へ冷たい視線を向け続けていた。
髪の動きも手足を動かせないぐらいで止めている。
この沈黙…無反応な訳ではない……。
確かに異常な女だが、所詮は小娘…情愛が絡めば弱いものだ。
一般人の見解では、殺人鬼に愛なんて感情は無いものだと決めつけている…偽りだろうと『愛』を見せるのだ。
「そう……」
よし、いい反応だ…このまま騙し通せば私の勝利だ!
だが油断してはいけない…口元の髪は引っ込めてはいない。
恐らく、私のスタンドを『近距離パワータイプ』だと確信しているのだろう。
私のスタンドの正体が分からないから距離を取る、そう言っておいて3メートルしか離れていない。
それに後ろに回り込んだりもせず、正面から堂々と対峙している。
いざとなれば、私が髪の毛を無理矢理にでも引き千切れることを理解している。
だが、先程の髪を伸ばすスピード、そしてこのパワー。
私が『キラークイーン』のスイッチを入れるより速く、内臓をズタズタに引き裂くことは決して不可能ではない。
「それじゃあ…スタンドを出して頂戴。本体同様に縛りあげるわ。
言っておくけど、抵抗すればどうなるか……判ってるわね?」
やはり私のスタンドを『近距離パワータイプ』と確信している…。
『本体同様』ということは手足を縛り付ける気でいるってことだからな……。
そしてこいつは、私のスタンドの『能力』は解ってはいないッ!
解っていれば出すように指名する筈はない…触れれば私の勝ちなのに『本体同様』手も縛ると言っている…。
そして………フフ…判っているさ……君が『許す』とは一言も言っていないことも。
アホ面ぶら下げながら『許して貰えてラッキー』って顔でこの女の策に引っ掛かった振りをしてやる…。
「ああっ……ありがとう…ありがとう……」
眼を涙で潤ませながら無様で間抜けな男を演じつつ、彼女の指示通りにスタンドを発現させる。
勿論、両手を上に降服のポーズで。(まぁ、スタンド同士の戦いでこれが意味を成すとは思えないが形式上…)
『キラークイーン』の腕や足へ大量の髪の毛を巻きつかせ行動を封じる。
その姿は如何にもロープで縛られた人質そのもの、目の前の女もそう思っていると確信していた。
形勢逆転だ…これで私は気付かれないよう、この忌々しい髪に触れてやれば勝利する……。
ピンチの時こそ『運命』はこの吉良吉影に味方する…乗り越えられない物事など、何一つない。
「それじゃあ…アナタを助けてあげるかどうかテストしましょう。」
…今なんと言った?助けるだと……白々しい嘘を…。
もしや……この状況で嘘をつくということは殺す気でいるのか?
『助かる』と信じ込ませてから、喉へ髪を突っ込んで絶望させながら弄り殺すのか?
は…速すぎる……まだ指の届く位置ではない………やられてしまう…この吉良吉影がやられてしまうッ!
「私にだって…情けくらいあるわ。
生きる価値があるかどうか…チェックしてあげる。
これから、アナタに質問することに決して嘘をつかないこと。
唯…生きていられても2度と悪事が出来ないようにその『両手を粉々にする』わ。」
この女……本気で言っているのか…?
クク…勝った……『両手を粉々にする』ということは私の指に触れる筈だ。
その時、私が抵抗出来ないように『スタンド』の手も縛り付ける筈……。
例えこの女が、動揺や汗に反応して嘘を見破る機械を持ってきたとしても無駄無駄ァ…。
最近ではクソったれ仗助達に寝首をかかれやしないかと……不安の余り夜も寝付けなかった………。
そのお陰で、口の中に精神安定剤を仕込んでおく習慣がついていたのだ…。
もう必要ないと思っていたが…幸運だった……。
しかし、女は数分経っても質問を始めようとはしなかった。
一体、何をしているのだろうか?
機械をここに持ってくる為の時間だろうか?
あれこれ考えているうちに、奥の小道から小柄な男が出てきた。
「こいつですか……康一殿を殺したっつー殺人鬼は…」
歳は20代前半ってとこか……嘘を判別するような道具は見当たらない…。
待てよ、こいつ…広瀬康一を知っているということはまさか……!
み…耳鳴りが激しく……また………あの音がッ……。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ………
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