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「その名はキャプテン51-2」(2007/10/05 (金) 18:01:34) の最新版変更点
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重い体を太く、逞しい両足で支えるようにしてずっしりと地面に降り立つ。
滞空にはかなりの労力を使う、滑空は風を利用して周囲を飛び回っていられる。
だが翼だけでその場に滞空するには、かなりの筋量を必要とするのだ。
リオレウスが滞空からの攻撃後は、ほぼ確実に着陸に移行するのはこのためである。
2階から飛び降り、左翼へと狙いをつける。
「ぬうんっ!」
翼膜を引き裂き、周囲に血が飛び散る。
飛竜種は共通して翼膜が柔らかいものだ。
飛行時に風のコントロールをする箇所なのでとても重要でもある。
ただ再生力が異様に高く、戦闘しながらでも回復してしまう。
基本的にダメージも少ないので足止めにしかならない。
「ぬうっ、何故トカゲの化物がこんな所に居る!
俺は貴様達の崇拝するサルーインの意思で動いているのだぞ!」
突然の奇襲に激昂するアミバ、リオレウスも翼を傷つけられたのが気に喰わないのか、
唸り声を上げ巨大な炎をゲラ=ハに向けて吐きつける。
かなり高速で吐き出されたが、雄の火竜は地上で連続でブレスを吐く事は滅多にない。
喉が雌に比べて弱いため、自分の炎で焼けてしまうのだ。
落ち着いて左右へかわせば反撃へ移れる。
素早くかわしてリオレウスへと突撃を仕掛ける。
背後で爆音が響く、それとほぼ同時に槍を顔面に向けて突き立てる。
硬い、かなり鱗の強度が発達している。
「むううっ!」
抉る様にして突いた状態から振り抜く。
鱗を何枚か引っぺがしたが、肉には到達していない。
「チッ、裏切り者のトカゲめ。放って置いても滅びそうな部族だがいいだろう。
俺がお前を使ってゲッコ族の秘孔を解明してやる!」
闘気を集中させ、掌から波動が噴き出す。北斗剛掌波、使用者の闘気をそのまま破壊力にして打ち出す。
威力はリオレウスの火球には及ばないがその分、更に速く突っ込んでくる。
かわす事に成功したが体制が崩れてしまった。
すかさず追い打ちをかけるリオレウス、巨体に似合わぬ速さで尻尾を振り回してくる。
巨大で鋭い棘のついたハンマーを鞭のようにして相手に叩きつける。
しかもその担い手は人知の及ばない怪力を持つ竜である。
当然、受け止める事もままならず紙屑の様に軽々と吹き飛ばされる。
衝撃が体中を走り抜ける、体の自由が利かず空中で姿勢制御がとれない。
「終わりだ、北斗千手殺!」
リオレウスの背を離れ、空中に放り出されたゲラ=ハを追撃する。
(ここまでかもしれませんね・・・。)
「北斗飛衛拳!」
突然、アミバの腹部へと強烈な蹴りが突き刺さり、空中で吹き飛びそのまま地面へと激突する。
一子相伝の最強にして非情なる暗殺拳、北斗神拳伝承者ケンシロウ。
「どうして生きているかは知らんが、まぁいい。
貴様が生きている限り何度でも言ってやる。」
地べたからムクリと起き上がるアミバへ情けを欠片も見せず言い放つ。
眼の色を腐ったドブ川にも劣る薄汚い色に濁らせながらケンシロウを睨みつける。
火竜も己に撤退を余儀なくさせた宿敵に、闘志を滾らせ口から火が溢れだす。
「アミバ、お前は長く生き過ぎた。」
「ケンシロウ・・・会いたかったぞ、今度こそ、この天才の真の実力を思い知らせてやる!」
「そうか、化物に頼らなければ実力を発揮できないのか。通りで2度も死ぬ訳だ。」
頭部に不自然な筋が浮かび上がり、眼は益々強い濁りと怒りを顕わにしている。
火竜の口からケンシロウ目掛けて炎が噴き出す。
~メルビル港~
「なあっ、俺は物心ついた時から海賊続けて来たんだがよ。
今までアンタみたいな女には出会った事がねぇ。シェリル、アンタにはマジなんだよ。」
海の様に青いボロ服を身につけ、炎の様に情熱的な眼差しを持った男が、
海を見つめる女性へと執拗に話しかけている。
女性は暗い色をした服で身を包み、顔の下半分もマスクで覆っている。
「貴方を見ていると、悲しい話を思い出すわ。」
一瞬だけこちらを見る、星一つない夜空の様に全てを闇に飲み込みそうな瞳。
色は黒ではなく、紫なのに闇そのものに見えるのは輝きの無さがそうさせるのか。
「過去にとても凶悪な海賊がいたわ、海という海を駆け廻り、
人の死なんて少しも気に留めず殺戮を続けたの。
でも、歳を取り海賊を止めると過去を後悔するようになったわ。
そして償いの為に自分が殺してきた者達の子供を引き取ったの。
彼は実の子の様に、分け隔てなく大切に育てたわ。
でも子供達は知ってしまったの、自分の親が名の知れた海賊である事を。」
決して小さな声で喋っている訳でもないのに、妙に静かな気がする。
周りの音を吸い込んでいるかのような錯覚に惑わされる。
波の音も耳に入らず彼女の声に耳を傾け続けた。
「彼は殺されたわ、自分が育てた子供たちに。自分がやったように無慈悲に、残虐にね。」
話を終えるとホークに背を向け、街の出口へと歩いて行ってしまった。
彼女を引きとめようと手を伸ばした次の瞬間、街に爆音が響き渡る。
「なっ、なんだぁ!?」
中央の広場の方を振り返ると煙が上がっており空中に竜の姿があった。
行かなくては、そうは思っても気持ちはシェリルの方へと向いていた。
だが、彼女の姿はもう消えていた。
「クソっ、また進展なしかよ・・・まぁ怒りの矛先は決まってるがな。」
リオレウスは動かずに、アミバを支援する大砲の様にして火球を放ち続けている。
炎の吐き過ぎで体内の器官を傷つけぬ様、休憩をとりつつ狙いを定める。
炎をかわしながらアミバを相手にするケンシロウ。
お互いに南斗、北斗を知りえているので、激しい攻防の中で手の内を読み合っている。
これは戦闘経験の多いケンシロウの方が上手だが、援護のあるアミバが絶対的に有利となる。
リオレウスの火球を避ける事も考えなくてはならないケンシロウは、集中力の途切れる瞬間が生まれる。
アミバは読み合いに負けても、後ろに下がれば援護の火球がケンシロウを遮り追撃を逃れられる。
アミバが読み合いに勝てば、秘孔に気が入るのを防ぐ事が出来ても、
衝撃や苦痛による硬直を火球に焼かれてしまう。
この深刻な状況を一刻も早く打破するため、一人の戦士が立ち上がろうとしていた
(身体の自由が戻ってきましたね、今なら生命の水も唱えられそうです。)
体の傷を術法で癒すため魔力を集中する、術師ではないので大怪我は治せないが楽にはなる。
だが、魔力の集中には己の体内の魔力だけではなく、空中に四散している魔力を使う物である。
その使い分けは魔法使いでなければ難しく、場の空気に敏感な生物には気づかれてしまう。
空気の変化を感じ取ったリオレウスは、再起不能にした筈の相手へ目を向け、異変に気づく。
「グゥオオオオオ!」
叫び声と共に轟音が鳴り渡り、地獄の業火にも匹敵しかねない爆炎が噴き出す。
二人の男は激しく拳を撃ち合っていたが、片方がその炎の先にいる人物へつい目を向けてしまった。
もう一人の男はこの隙を逃そうとする筈もなく、冷徹な死の拳が放たれた。
「うおりゃあああああ!」
「空っ!圧っ!波ぁ!」
回転する斧がアミバの鼻先すれすれに舞う。
大気の歪みが滅びの業火を消し飛ばす。
「なんだぁ!?今のは誰だ!」
斧を飛ばしたホークが空中に現れた歪みに反応する。
歪みの直線状には男が居た、全身に鎧を纏った屈強な男が。
「ある時は酒場のマスター。ある時は鎧に身を包んだ謎の剣士。
その正体は、アバロン帝国重装歩兵部隊隊長。俺の名はベア、よろしくな。」
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